ハラミちゃんは浮気性!? すべての曲に同じ熱量と愛情を込めて
ハラミちゃんのピアノカバーアルバム企画第三弾『ハラミ定食3~ビタミンスマイル!~』がスゴい。自分の殻を破ることに成功したオリジナル曲「祈りのワルツ」からして鳥肌モノだし、1970年代から2020年代まで網羅したヒット曲のカバーひとつひとつ取っても、それぞれの曲への深い愛情と共鳴と解釈を感じさせ、原曲のファンをも唸らせる内容となっている。
今回のインタビューでは、そんな本作が完成するまでのエピソードも掘り下げつつ、現在開催中の47都道府県ピアノツアーやハラミちゃんが考えるピアノレッスンの在り方についてまで、終始楽しげに語ってもらった。このテキストを通し、ハラミちゃんが老若男女から愛される理由をぜひ感じ取ってもらいたい。
「地獄に落ちるんじゃないか」と思うぐらいしあわせ過ぎるアーティスト活動!
──現在【ハラミちゃん 47都道府県ピアノツアー~特急ハラミ号、出発進行だぬ!~】の真っ只中ですが、この大冒険に繰り出そうと思ったきっかけは何だったんですか?
ハラミちゃん とあるスタッフさんが「全国ツアーがやれているのってあたりまえのことじゃないよね」と仰っていて。たしかに私の場合はライブハウスから始まって徐々に活動範囲を広げていくスタイルじゃなくて、YouTubeとかネットでもともと活動していたこともあって、いきなり全国ツアーをまわることが出来たんですよね。それには感謝しなきゃいけないし、であれば47都道府県すべてにお住まいのファンの皆さんに感謝を直接届けたいなと思ったんです。
──直接会いに行ってしまおうと。
ハラミちゃん 私はピアノさえあればどこへでも行くストリート魂があって。だから「ホールじゃなきゃイヤだ」とか「とんでもなく素晴らしい音響設備やピアノがなきゃ行きたくない」みたいな感覚が一切ないんですよ。どんな環境であったとしても、そこに求めてくれている人がいるのであればピアノを弾きに行きたいんです。とあるメディアさんに「野生のピアニスト」という肩書きを付けてもらったことがあるんですけど(笑)、自分の中でもしっくり来ていて。なので、47都道府県すべてをまわるイメージもすぐ出来ましたし、津々浦々で皆さんにピアノを弾きながら感謝を届けたいなって。
──ハラミちゃんはもともとリクエストされた曲を即興でピアノ演奏されていて、昭和の文化で例えればギターの流しみたいなスタンスで活動してきたじゃないですか。
ハラミちゃん たしかに。「あの曲、やってくれよ」「やりますよ」みたいな。
──言うならば、現代版の流しですよね。そういう人が日本中を隈なくまわりながら音楽を届けるというのは、すごく必然性を感じます。実際まわってみていかがですか?
ハラミちゃん 本当に土地土地によって県民性みたいなものが全然違うし、グルメも文化も言葉も特徴があるんですよね。それで、事前にその土地土地のあるあるを調べてから行くようにしているんですけど、日本ってこんなに広いんだなと思って。例えば、福岡のゴミ回収って深夜なんですよ。関東は朝じゃないですか。同じ日本でもこれだけ違いがあるんだなと知れば知るほど驚きがあるんですよね。あと、ご年配の方が多い会場もあれば、ほとんどファミリーの会場もあるので、毎回新鮮な気持ちでライブができますし、新たな収穫がある。
──土地によってファン層も異なるんですね。
ハラミちゃん そうなんです。あと、私のめちゃくちゃファンじゃない人以外もめちゃくちゃ多いことに気付いて。要するに「1回観ておきたい」みたいなライトな方もすごく多い。普段はSNSとかで熱量高いファンの方の声ばかり目にしているんですけど、実際に47都道府県をまわってみると「あ、こういう方々も生活の中でハラミちゃんを気になったり、聴いたりしてくれているんだ」と知れて、音楽をしっかり届けなきゃいけないと思わせてくれる層が一気に広がったんですよね。
──聴く人を選ばない音楽をやってきたゆえかもしれませんね。
ハラミちゃん たしかに。今回のツアーは70年代から最新の「アイドル」みたいな曲まで、50年分ぐらいの音楽を幅広く演奏していて。沢田研二さんなどの懐かしい曲を弾いているときは年配の方が盛り上がっていて、子供はポカンとしている(笑)。でも「アイドル」とか「ミックスナッツ」とか弾くとめっちゃはしゃぎ出したりして。ディズニーの曲を演奏すると、世代関係なくみんなで一緒に歌ったりもしてくれますし、時にはX JAPANの曲でちっちゃい子がノリノリになっていたりもする。
──めちゃくちゃ有意義じゃないですか。
ハラミちゃん そういうライブを続けているので、本当に全世代、赤ちゃんから90代のおばあちゃんまで来てくれているんですよね。なので、改めて自分がいろんな世代の曲を幅広く愛せるタイプでよかったなと思いますし、それぞれの曲を本当に素敵だと思いながら届けているんですけど、それが伝わっている感じもしてすごく嬉しいです。
──ほとんどのアーティストは「それは私に合わない」とか「好きじゃない」とか当然のようにあると思うんですけど、ハラミちゃんは本当にぜんぶ好きですよね(笑)。
ハラミちゃん そうなんですよ。浮気性なんです(笑)。レコーディングする度に「この曲、世界一良い曲」って本当に思うんですよ。で、次の曲のレコーディングになったらまた「本当に世界一良い曲だと思う」ってなるんです。だから「こっちのほうが良いな」みたいな感覚すらあんまりなくて、すべての曲に同じ熱量と愛情を込めて演奏しちゃうんですよね。自分でも不思議なんですけど。
──浮気性と言いましたが、ハラミちゃんの場合はすべてに対して本気ですからね。ゆえに老若男女がライブに来てくれるんだと思います。ちなみに、富山公演ではピアノの弦が切れちゃったそうですね?
ハラミちゃん そうなんですよ! 大変でした。結局、切れてはいなかったんですけど、湿気でハンマーが緩んで飛び出ちゃって、それでヘンな音が鳴っちゃって。本番中だったんですけど、調律師さんに舞台に上がってもらって(笑)。
──ファンからしたらレア回ですね。そんなことって今まであったんですか?
ハラミちゃん ないない、一度もないです! でも、調律師さんに「あなたの弾き方だと、いつ弦が切れるか分からない。だから、絶対に調律師を常駐させたほうがいい」って言われました(笑)。
──それぐらいエモーショナルな演奏を聴かせてくれるハラミちゃんですが(笑)、CDデビューから4年目。憧れの人たちと共演したり、日本武道館に立ったり、作品もたくさんリリースしてきましたが、今、自分ではどんなアーティストになっていると思いますか?
ハラミちゃん 「こんなWin-Winなことはないな」と毎日毎日思うというか。小学生のときに友達の弾いてほしい曲をパッと弾いたら、めちゃくちゃ喜んでくれたことが私の音楽の原体験なんですけど、それは「何が何でも喜ばせたい!」と思ってやったことではなくて、単純に自分がピアノでいろいな曲を弾くことがめちゃくちゃ好きだっただけで。だからこそ「え、そんなに喜んでくれるの?」って嬉しく思ったんですけど、今やってることって、その当時と何ひとつ変わってないんです。自分の人生を朝から晩まで毎日生きていて、一番「しあわせ!」と感じる瞬間はみんなが聴きたい曲を弾いているときなんです。
──小学生の頃の気持ちのまま音楽ができているんですね。
ハラミちゃん で、それが仕事になっちゃってることがヤバすぎるというか、奇跡的すぎるし、運の良い状態がノンストップで続いている状態というか。なので、これをやり続ける為にやるべきことは何でもやりたいんです。このWin-Winなしあわせループをしっかり守りたいし、続けていきたいし、願わくば80代、90代までずっと今と変わらぬ活動をしていられたらなって。そういったことをデビュー4年目で思えているというのは、まわりの皆さんのおかげですし、YouTubeでこんなに多く観られなかったらデビューできてなかったし、そういった意味でも運が良すぎるアーティスト! なので……正直ちょっと怖いんですよね。どこかで地獄に落ちるんじゃないかなって。
──地獄に落ちる(笑)。しあわせが続き過ぎて怖いと。
ハラミちゃん そうなんですよ! それぐらい大切にしたい活動だなって思っています。
オリジナル曲「祈りのワルツ」制作秘話!
──そんなハラミちゃんのニューアルバム『ハラミ定食3~ビタミンスマイル!~』がリリースされます。今作にもピアノカバー曲をたくさん収録されていますが、まずオリジナル曲「祈りのワルツ」を聴いて「もっとオリジナルやればいいのに!」と思うぐらい感激しました。
ハラミちゃん 本当ですか? うれしい! さっき話したことと若干矛盾しちゃうかもしれないんですけど、すごくしあわせな活動をさせてもらっている中でも諦めたり、捨てたりしたものはあって。ずっとトレードオフの概念だったんですよ。何か大きなモノを得たら、代わりに大きなモノを捨てなきゃいけない。
──よくアニメとかにある「代償を支払わなきゃいけない」的な?
ハラミちゃん そうです! 本当にそういう感覚で、ハラミちゃんとしてすごくしあわせなループを手に入れたからこそ失ったものがあったときに「こっちを手に入れたから失くしちゃったんだ。仕方ないな」と思うようにしていたんです。でも、そんなトレードオフの概念じゃなくて、自分が欲しいものってちゃんと求めていいのかもしれない、ハナから諦めてしまうのは違うなと、わりと最近になって思うようになって。それで「叶える」為に「願う」って私の中で重いイメージなんですけど、「祈る」って若干弱いというか(笑)。ちょっと寝る前に「こうなったらいいなぁ」って祈ってみるようになったら、だんだんそっちの方向に自然と行ったりして。そんな感じで「祈る」というキーワードが2023年は自分の中にずっとあったんですよ。
──それが「祈りのワルツ」の「祈り」に繋がっていると。
ハラミちゃん あと、南こうせつさんとたまたま出逢って。恐れ多いんですけど、めちゃくちゃ話が合って。そこで話題になったのが、坂本龍一さんの「戦場のメリークリスマス」だったんです。あの曲は日本人に最も愛されているインストゥルメンタルと言っても過言ではなくて、全世界で聴かれているし、最近は小学生もカバーしたりとか、何十年にもわたって聴き継がれている。で、あの曲のサビって「ミファミシミ ミファミファラファミファミシミ♪」5個しか音を使ってないんですよ。それで、南こうせつさんが「本当に愛される曲ってやっぱりシンプルだし、ハラミちゃんはバァーって疾走感あるアレンジで走り抜けるイメージがあるけど、本当にシンプルな音だけで響かせる曲をいつかつくってみなよ」と仰って下さって。
──そのアドバイスから生まれた曲なんですね。
ハラミちゃん 誰でも弾ける簡単なフレーズなんですけど、耳に残って、みんなが右手だけでちょっと弾きたくなっちゃうようなメロディーラインの曲をつくりたいと思ったんです。そこにさっき話した「祈り」が重なって生まれた曲が「祈りのワルツ」。三拍子の曲なんですけど、三拍子ってみんな三角をイメージすると思うんですよ。でも、私の中で「祈りのワルツ」は丸で。時間をかけてゆっくりゆっくり丸をつくっていくイメージがあって、目を閉じたときにワルツを踊っているようなイメージもあるんですよね。
──それでいて、めちゃくちゃハラミちゃんっぽい曲でもあるじゃないですか。久石譲にも通ずる牧歌的な感じで終わるのかなと思いきや、最後はエモーショナルになっていく構成含めすごくオリジナリティもあるから、ハラミちゃんのこれからの代表曲になっていくんじゃないかなと思いました。
ハラミちゃん うれしい! まだ(このインタビューの時点では)発表していない曲なので、早く皆さんにも聴いてもらいたいです。
──このアルバム『ハラミ定食3~ビタミンスマイル!~』は、カバーも驚かされる曲がたくさんあって。そのひとつがMr.Children「シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~」。ハラミちゃんってピアノ一本ですべて表現しちゃうんだなと思って、ボーカルもギターもベースもドラムスもすべて聴こえてくる感覚になりました。
ハラミちゃん 仰る通りで、私はパートごとに耳コピするんですよ。ベースラインだけ、ドラムだけ、ギターだけ、ボーカルだけそれぞれに聴きまくるんです。YouTubeとかで各パートの演奏を録画して一斉に同時再生する動画がよく上がっていますけど、あれのイメージに近いと思います。で、この曲は、Mr.Childrenさんのライブへ行ったときに桜井さんがステージを駆け抜けながら歌っていたんですよ。とんでもない声量で。テレビとかで観たことはあったんですけど、「こんなに早く走るんだ!」って驚いたぐらい全力で。その「シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~」の多幸感、あのライブで観た感動を詰め込みたいと強く思って、今回はシンプルじゃなく音数多めでお祭り感を表現することにしたんです。
──イントロ聴いた瞬間にライブが始まりますよね。なんなら花火も上がっているかもしれない。
ハラミちゃん イントロから打ち上げ花火(笑)。
もっともっとピアノの面白さを広めていきたい!
──あと、H Jungle with t「WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~」のカバーも素晴らしくて。インストだけど、歌詞にめちゃくちゃ寄り添ったアレンジだなと。特に「流れる景色を必ず毎晩見ている~自分がどれだけやったか 窓に映っている素顔を褒めろ」の部分は圧巻でした。
ハラミちゃん 私はこの曲のドンピシャ世代ではなくて「平成のミリオンヒット」みたいな番組で浜田さんが歌っている映像を観たり、サビのフレーズだけ知ってるぐらいだったんですけど、あれは『HEY!HEY!HEY!』の最終回の映像だったのかな。超豪華なアーティストが集まっていて、その全員で歌う「WOW WAR TONIGHT」を観たときに初めて歌詞をフルでちゃんと聴いたんです。そのとき、まさに「自分がどれだけやったか 窓に映っている素顔を褒めろ」のくだりですよ。当時、会社員だったからめっちゃ響いちゃって! 普通に号泣して「この曲、ヤバい」と思ったんですよね。リアルに友達と「温泉でも行こう」って話していたし、鳥肌立たせながら「私のこと歌ってる!」みたいな(笑)。
──過去にちゃんとこの曲と共鳴していたんですね。
ハラミちゃん その曲をピアノでカバーしようと思ったときに、浜田さんの歌い方ってぶっきら棒な感じが逆に刺さったりするじゃないですか。なので、あんまり丁寧に弾き過ぎないように意識していて、敢えて強く叩く部分があったりとか、訴えかけるように演奏する部分もあったりするんですよ。あと、この曲はすごく共感性の高い歌詞だと思うし、それこそ出勤途中や仕事帰りに聴いてほしいイメージもあったので、前奏はちょっとバラードっぽくして、しっかり疲れた心を癒せるような部分もつくったりしました。
──あらゆる「WOW WAR TONIGHT」のカバーの中で最も沁みました。そんな感じで絶妙な解釈のカバーアレンジが「あの素晴しい愛をもう一度」のような懐メロから「ミックスナッツ」「群青」のような最新曲まで全曲に対して施されている本作。自身では仕上がりにどんな印象を持たれていますか?
ハラミちゃん 母がめちゃくちゃ昭和歌謡が好きで、すんごい詳しいんですよ。それで「あれ弾け、これ弾け」って親が一番言ってくるんですよね。知らない曲があると「みんな聴きたいよ、これ」って謎に怒られるんですよ(笑)。実家に母という膨大なデータベースがあるんです。その一方で、若い子たちからDMで「あれ弾いて下さい、これ弾いて下さい」とリクエストが日々届いていて。そのすべての曲に対して私は「なんだこれ」と思ったことが1回もなくて。「これも良い、あれも良い」と本当に思えるところが唯一自分で自分を褒めてあげられるところなんですけど、どの年代の曲も本当に素敵で。だから本気でカバーしたいと思いますし、そのカバーを聴いた人に「原曲も聴いてみたい」と思ってほしくてどの曲もアレンジしているんですよね。その結果として完成したのが今回のこのアルバム『ハラミ定食3~ビタミンスマイル!~』で。なので、ここに収録されている、あらゆる年代の曲をあらゆる年代の人に聴いてもらって、それでひとつでも多くの曲を好きになってもらえたらしあわせだなと思います。
──では、最後に、今後のヴィジョン。目標ややりたいことなどありましたら聞かせて下さい。
ハラミちゃん 基本的に目標をつくらないことを目標にしているんですけど、目の前のこと。自分とみんなが笑顔になれること。さっき話したWin-Winの音楽活動をずっと続けていきたいなと思っています。そんな中で別の領域でやりたいなと思っているのは、ピアノのレッスンや教育で。何故かと言うと、この4年間で「ハラミちゃんきっかけでピアノを始めました」ってめっちゃ言われたんですよ! 最初のうちは実感なかったんですけど、だんだん「それって凄いことじゃない?」と思うようになって。ピアノってまず買わなきゃいけないし、一番安いモノでも数万円するわけで。毎日練習するのも大変ですよ。「それでもやりたい」と思うきっかけに自分がなっているんだとしたら、私はその子たちにピアノの楽しさを教えたいなと思ったんです。いわゆるバイエルやって、ツェルニーやって……みたいな王道のレッスンのルートがあるんですけど、それ以外のルートがあっても良いじゃないですか。全員が音大に行くわけじゃないんだから。
──でも、ピアノ教室に行くとそのルートになってしまう。
ハラミちゃん ということは、そのルートで進める必要性があるんだと思うし、私もそのルートを通ってきたから感謝もリスペクトもあるんですけど、自分の好きな曲を弾きながら技術を身につけたり、耳コピできるようになったり、そういう私ができるピアノレッスンも可能性としてあるのかなと思って。それでピアノ人口が多くなったり、ピアノ業界が盛り上がったり、そういうことにも携われたらいいなと思っているんです。で、その一環として、1年間かけて開発したんですけど、ドレミファソラシドが読めなくても弾ける楽譜をプロデュースして。
──発明じゃないですか!
ハラミちゃん そうなんですよ! それでお仕事でお世話になってるディレクターさんに試してもらったら、1時間で「Forever Love」を弾けるようになったり。
ディレクター それまでまったく弾けなかったのが、たどたどしくはあるんですけど、あの教本でちょっと弾けるようになりました。
──それは凄い。買います(笑)。
ハラミちゃん 2回目の重版が決まったばかりなので、ぜひぜひ(笑)。なので、ハラミちゃんのもうひとつの活動として、そういうピアノの面白さを広めていくこともやっていけたらなと思っています!
『ハラミ定食3~ビタミンスマイル!~』
2023.11.01 ON SALE
【収録曲】
01.祈りのワルツ
02.シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~
03.WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~
04.ミックスナッツ
05.群青
06.アイノカタチfeat.HIDE(GReeeeN)
07.あの素晴しい愛をもう一度
08.雨 (Live Version)
09.世界でいちばん熱い夏 (Live Version)
10.何度でも (Live Version)
11.みんなのうた (Live Version)
12.ありがとう (Live Version)
『ハラミちゃんのレパートリーが初心者でも弾ける魔法のピアノ曲集』
ハラミちゃん PROFILE
ポップスピアニスト。2019年6月、一般企業のOLからピアニスト系YouTuberへと転身。 スタートから約4年でYouTubeチャンネル登録者数220万人、総動画再生数7億回を突破。2020年7月1日の発売のアルバムはピアノのみのインストゥルメンタルとしては異例のBillboard JAPAN週間ランキング初登場1位、オリコン週間アルバムラン キング初登場2位を獲得。2021年1月には女性ピアニストとしては15年ぶりの日本武道館での単独公演を成功させた。ファンの"お米さん"も若いファ ミリー世代から高齢の親子三世代まで幅広く支持を得ており、TV をはじめとしたメディ アにも多数出演。ピアノ絵本や楽譜の監修など、"ピアノを身近な存在にする"を目標に 幅広く活動中。現在5万人動員予定の『47都道府県ピアノツアー』を開催中。2024年1月13日には東京ガーデンシアターでファイナル公演が決定している。
【ハラミちゃん Official Site】
https://harami-piano.com/
【ハラミちゃん YouTube】
https://www.youtube.com/channel/UCr4fZBNv69P-09f98l7CshA
【ハラミちゃん YouTube(sub channel)】
https://www.youtube.com/channel/UCDzNUObGnzyegwPYMDDJmjg
【ハラミちゃん Twitter】
https://twitter.com/harami_piano
【ハラミちゃん Instagram】
https://www.instagram.com/harami_piano/
【ハラミちゃん Tiktok】
https://www.tiktok.com/@haramipiano?
今回のインタビューでは、そんな本作が完成するまでのエピソードも掘り下げつつ、現在開催中の47都道府県ピアノツアーやハラミちゃんが考えるピアノレッスンの在り方についてまで、終始楽しげに語ってもらった。このテキストを通し、ハラミちゃんが老若男女から愛される理由をぜひ感じ取ってもらいたい。
「地獄に落ちるんじゃないか」と思うぐらいしあわせ過ぎるアーティスト活動!
──現在【ハラミちゃん 47都道府県ピアノツアー~特急ハラミ号、出発進行だぬ!~】の真っ只中ですが、この大冒険に繰り出そうと思ったきっかけは何だったんですか?
ハラミちゃん とあるスタッフさんが「全国ツアーがやれているのってあたりまえのことじゃないよね」と仰っていて。たしかに私の場合はライブハウスから始まって徐々に活動範囲を広げていくスタイルじゃなくて、YouTubeとかネットでもともと活動していたこともあって、いきなり全国ツアーをまわることが出来たんですよね。それには感謝しなきゃいけないし、であれば47都道府県すべてにお住まいのファンの皆さんに感謝を直接届けたいなと思ったんです。
──直接会いに行ってしまおうと。
ハラミちゃん 私はピアノさえあればどこへでも行くストリート魂があって。だから「ホールじゃなきゃイヤだ」とか「とんでもなく素晴らしい音響設備やピアノがなきゃ行きたくない」みたいな感覚が一切ないんですよ。どんな環境であったとしても、そこに求めてくれている人がいるのであればピアノを弾きに行きたいんです。とあるメディアさんに「野生のピアニスト」という肩書きを付けてもらったことがあるんですけど(笑)、自分の中でもしっくり来ていて。なので、47都道府県すべてをまわるイメージもすぐ出来ましたし、津々浦々で皆さんにピアノを弾きながら感謝を届けたいなって。
──ハラミちゃんはもともとリクエストされた曲を即興でピアノ演奏されていて、昭和の文化で例えればギターの流しみたいなスタンスで活動してきたじゃないですか。
ハラミちゃん たしかに。「あの曲、やってくれよ」「やりますよ」みたいな。
──言うならば、現代版の流しですよね。そういう人が日本中を隈なくまわりながら音楽を届けるというのは、すごく必然性を感じます。実際まわってみていかがですか?
ハラミちゃん 本当に土地土地によって県民性みたいなものが全然違うし、グルメも文化も言葉も特徴があるんですよね。それで、事前にその土地土地のあるあるを調べてから行くようにしているんですけど、日本ってこんなに広いんだなと思って。例えば、福岡のゴミ回収って深夜なんですよ。関東は朝じゃないですか。同じ日本でもこれだけ違いがあるんだなと知れば知るほど驚きがあるんですよね。あと、ご年配の方が多い会場もあれば、ほとんどファミリーの会場もあるので、毎回新鮮な気持ちでライブができますし、新たな収穫がある。
──土地によってファン層も異なるんですね。
ハラミちゃん そうなんです。あと、私のめちゃくちゃファンじゃない人以外もめちゃくちゃ多いことに気付いて。要するに「1回観ておきたい」みたいなライトな方もすごく多い。普段はSNSとかで熱量高いファンの方の声ばかり目にしているんですけど、実際に47都道府県をまわってみると「あ、こういう方々も生活の中でハラミちゃんを気になったり、聴いたりしてくれているんだ」と知れて、音楽をしっかり届けなきゃいけないと思わせてくれる層が一気に広がったんですよね。
──聴く人を選ばない音楽をやってきたゆえかもしれませんね。
ハラミちゃん たしかに。今回のツアーは70年代から最新の「アイドル」みたいな曲まで、50年分ぐらいの音楽を幅広く演奏していて。沢田研二さんなどの懐かしい曲を弾いているときは年配の方が盛り上がっていて、子供はポカンとしている(笑)。でも「アイドル」とか「ミックスナッツ」とか弾くとめっちゃはしゃぎ出したりして。ディズニーの曲を演奏すると、世代関係なくみんなで一緒に歌ったりもしてくれますし、時にはX JAPANの曲でちっちゃい子がノリノリになっていたりもする。
──めちゃくちゃ有意義じゃないですか。
ハラミちゃん そういうライブを続けているので、本当に全世代、赤ちゃんから90代のおばあちゃんまで来てくれているんですよね。なので、改めて自分がいろんな世代の曲を幅広く愛せるタイプでよかったなと思いますし、それぞれの曲を本当に素敵だと思いながら届けているんですけど、それが伝わっている感じもしてすごく嬉しいです。
──ほとんどのアーティストは「それは私に合わない」とか「好きじゃない」とか当然のようにあると思うんですけど、ハラミちゃんは本当にぜんぶ好きですよね(笑)。
ハラミちゃん そうなんですよ。浮気性なんです(笑)。レコーディングする度に「この曲、世界一良い曲」って本当に思うんですよ。で、次の曲のレコーディングになったらまた「本当に世界一良い曲だと思う」ってなるんです。だから「こっちのほうが良いな」みたいな感覚すらあんまりなくて、すべての曲に同じ熱量と愛情を込めて演奏しちゃうんですよね。自分でも不思議なんですけど。
──浮気性と言いましたが、ハラミちゃんの場合はすべてに対して本気ですからね。ゆえに老若男女がライブに来てくれるんだと思います。ちなみに、富山公演ではピアノの弦が切れちゃったそうですね?
ハラミちゃん そうなんですよ! 大変でした。結局、切れてはいなかったんですけど、湿気でハンマーが緩んで飛び出ちゃって、それでヘンな音が鳴っちゃって。本番中だったんですけど、調律師さんに舞台に上がってもらって(笑)。
──ファンからしたらレア回ですね。そんなことって今まであったんですか?
ハラミちゃん ないない、一度もないです! でも、調律師さんに「あなたの弾き方だと、いつ弦が切れるか分からない。だから、絶対に調律師を常駐させたほうがいい」って言われました(笑)。
──それぐらいエモーショナルな演奏を聴かせてくれるハラミちゃんですが(笑)、CDデビューから4年目。憧れの人たちと共演したり、日本武道館に立ったり、作品もたくさんリリースしてきましたが、今、自分ではどんなアーティストになっていると思いますか?
ハラミちゃん 「こんなWin-Winなことはないな」と毎日毎日思うというか。小学生のときに友達の弾いてほしい曲をパッと弾いたら、めちゃくちゃ喜んでくれたことが私の音楽の原体験なんですけど、それは「何が何でも喜ばせたい!」と思ってやったことではなくて、単純に自分がピアノでいろいな曲を弾くことがめちゃくちゃ好きだっただけで。だからこそ「え、そんなに喜んでくれるの?」って嬉しく思ったんですけど、今やってることって、その当時と何ひとつ変わってないんです。自分の人生を朝から晩まで毎日生きていて、一番「しあわせ!」と感じる瞬間はみんなが聴きたい曲を弾いているときなんです。
──小学生の頃の気持ちのまま音楽ができているんですね。
ハラミちゃん で、それが仕事になっちゃってることがヤバすぎるというか、奇跡的すぎるし、運の良い状態がノンストップで続いている状態というか。なので、これをやり続ける為にやるべきことは何でもやりたいんです。このWin-Winなしあわせループをしっかり守りたいし、続けていきたいし、願わくば80代、90代までずっと今と変わらぬ活動をしていられたらなって。そういったことをデビュー4年目で思えているというのは、まわりの皆さんのおかげですし、YouTubeでこんなに多く観られなかったらデビューできてなかったし、そういった意味でも運が良すぎるアーティスト! なので……正直ちょっと怖いんですよね。どこかで地獄に落ちるんじゃないかなって。
──地獄に落ちる(笑)。しあわせが続き過ぎて怖いと。
ハラミちゃん そうなんですよ! それぐらい大切にしたい活動だなって思っています。
オリジナル曲「祈りのワルツ」制作秘話!
──そんなハラミちゃんのニューアルバム『ハラミ定食3~ビタミンスマイル!~』がリリースされます。今作にもピアノカバー曲をたくさん収録されていますが、まずオリジナル曲「祈りのワルツ」を聴いて「もっとオリジナルやればいいのに!」と思うぐらい感激しました。
ハラミちゃん 本当ですか? うれしい! さっき話したことと若干矛盾しちゃうかもしれないんですけど、すごくしあわせな活動をさせてもらっている中でも諦めたり、捨てたりしたものはあって。ずっとトレードオフの概念だったんですよ。何か大きなモノを得たら、代わりに大きなモノを捨てなきゃいけない。
──よくアニメとかにある「代償を支払わなきゃいけない」的な?
ハラミちゃん そうです! 本当にそういう感覚で、ハラミちゃんとしてすごくしあわせなループを手に入れたからこそ失ったものがあったときに「こっちを手に入れたから失くしちゃったんだ。仕方ないな」と思うようにしていたんです。でも、そんなトレードオフの概念じゃなくて、自分が欲しいものってちゃんと求めていいのかもしれない、ハナから諦めてしまうのは違うなと、わりと最近になって思うようになって。それで「叶える」為に「願う」って私の中で重いイメージなんですけど、「祈る」って若干弱いというか(笑)。ちょっと寝る前に「こうなったらいいなぁ」って祈ってみるようになったら、だんだんそっちの方向に自然と行ったりして。そんな感じで「祈る」というキーワードが2023年は自分の中にずっとあったんですよ。
──それが「祈りのワルツ」の「祈り」に繋がっていると。
ハラミちゃん あと、南こうせつさんとたまたま出逢って。恐れ多いんですけど、めちゃくちゃ話が合って。そこで話題になったのが、坂本龍一さんの「戦場のメリークリスマス」だったんです。あの曲は日本人に最も愛されているインストゥルメンタルと言っても過言ではなくて、全世界で聴かれているし、最近は小学生もカバーしたりとか、何十年にもわたって聴き継がれている。で、あの曲のサビって「ミファミシミ ミファミファラファミファミシミ♪」5個しか音を使ってないんですよ。それで、南こうせつさんが「本当に愛される曲ってやっぱりシンプルだし、ハラミちゃんはバァーって疾走感あるアレンジで走り抜けるイメージがあるけど、本当にシンプルな音だけで響かせる曲をいつかつくってみなよ」と仰って下さって。
──そのアドバイスから生まれた曲なんですね。
ハラミちゃん 誰でも弾ける簡単なフレーズなんですけど、耳に残って、みんなが右手だけでちょっと弾きたくなっちゃうようなメロディーラインの曲をつくりたいと思ったんです。そこにさっき話した「祈り」が重なって生まれた曲が「祈りのワルツ」。三拍子の曲なんですけど、三拍子ってみんな三角をイメージすると思うんですよ。でも、私の中で「祈りのワルツ」は丸で。時間をかけてゆっくりゆっくり丸をつくっていくイメージがあって、目を閉じたときにワルツを踊っているようなイメージもあるんですよね。
──それでいて、めちゃくちゃハラミちゃんっぽい曲でもあるじゃないですか。久石譲にも通ずる牧歌的な感じで終わるのかなと思いきや、最後はエモーショナルになっていく構成含めすごくオリジナリティもあるから、ハラミちゃんのこれからの代表曲になっていくんじゃないかなと思いました。
ハラミちゃん うれしい! まだ(このインタビューの時点では)発表していない曲なので、早く皆さんにも聴いてもらいたいです。
──このアルバム『ハラミ定食3~ビタミンスマイル!~』は、カバーも驚かされる曲がたくさんあって。そのひとつがMr.Children「シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~」。ハラミちゃんってピアノ一本ですべて表現しちゃうんだなと思って、ボーカルもギターもベースもドラムスもすべて聴こえてくる感覚になりました。
ハラミちゃん 仰る通りで、私はパートごとに耳コピするんですよ。ベースラインだけ、ドラムだけ、ギターだけ、ボーカルだけそれぞれに聴きまくるんです。YouTubeとかで各パートの演奏を録画して一斉に同時再生する動画がよく上がっていますけど、あれのイメージに近いと思います。で、この曲は、Mr.Childrenさんのライブへ行ったときに桜井さんがステージを駆け抜けながら歌っていたんですよ。とんでもない声量で。テレビとかで観たことはあったんですけど、「こんなに早く走るんだ!」って驚いたぐらい全力で。その「シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~」の多幸感、あのライブで観た感動を詰め込みたいと強く思って、今回はシンプルじゃなく音数多めでお祭り感を表現することにしたんです。
──イントロ聴いた瞬間にライブが始まりますよね。なんなら花火も上がっているかもしれない。
ハラミちゃん イントロから打ち上げ花火(笑)。
もっともっとピアノの面白さを広めていきたい!
──あと、H Jungle with t「WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~」のカバーも素晴らしくて。インストだけど、歌詞にめちゃくちゃ寄り添ったアレンジだなと。特に「流れる景色を必ず毎晩見ている~自分がどれだけやったか 窓に映っている素顔を褒めろ」の部分は圧巻でした。
ハラミちゃん 私はこの曲のドンピシャ世代ではなくて「平成のミリオンヒット」みたいな番組で浜田さんが歌っている映像を観たり、サビのフレーズだけ知ってるぐらいだったんですけど、あれは『HEY!HEY!HEY!』の最終回の映像だったのかな。超豪華なアーティストが集まっていて、その全員で歌う「WOW WAR TONIGHT」を観たときに初めて歌詞をフルでちゃんと聴いたんです。そのとき、まさに「自分がどれだけやったか 窓に映っている素顔を褒めろ」のくだりですよ。当時、会社員だったからめっちゃ響いちゃって! 普通に号泣して「この曲、ヤバい」と思ったんですよね。リアルに友達と「温泉でも行こう」って話していたし、鳥肌立たせながら「私のこと歌ってる!」みたいな(笑)。
──過去にちゃんとこの曲と共鳴していたんですね。
ハラミちゃん その曲をピアノでカバーしようと思ったときに、浜田さんの歌い方ってぶっきら棒な感じが逆に刺さったりするじゃないですか。なので、あんまり丁寧に弾き過ぎないように意識していて、敢えて強く叩く部分があったりとか、訴えかけるように演奏する部分もあったりするんですよ。あと、この曲はすごく共感性の高い歌詞だと思うし、それこそ出勤途中や仕事帰りに聴いてほしいイメージもあったので、前奏はちょっとバラードっぽくして、しっかり疲れた心を癒せるような部分もつくったりしました。
──あらゆる「WOW WAR TONIGHT」のカバーの中で最も沁みました。そんな感じで絶妙な解釈のカバーアレンジが「あの素晴しい愛をもう一度」のような懐メロから「ミックスナッツ」「群青」のような最新曲まで全曲に対して施されている本作。自身では仕上がりにどんな印象を持たれていますか?
ハラミちゃん 母がめちゃくちゃ昭和歌謡が好きで、すんごい詳しいんですよ。それで「あれ弾け、これ弾け」って親が一番言ってくるんですよね。知らない曲があると「みんな聴きたいよ、これ」って謎に怒られるんですよ(笑)。実家に母という膨大なデータベースがあるんです。その一方で、若い子たちからDMで「あれ弾いて下さい、これ弾いて下さい」とリクエストが日々届いていて。そのすべての曲に対して私は「なんだこれ」と思ったことが1回もなくて。「これも良い、あれも良い」と本当に思えるところが唯一自分で自分を褒めてあげられるところなんですけど、どの年代の曲も本当に素敵で。だから本気でカバーしたいと思いますし、そのカバーを聴いた人に「原曲も聴いてみたい」と思ってほしくてどの曲もアレンジしているんですよね。その結果として完成したのが今回のこのアルバム『ハラミ定食3~ビタミンスマイル!~』で。なので、ここに収録されている、あらゆる年代の曲をあらゆる年代の人に聴いてもらって、それでひとつでも多くの曲を好きになってもらえたらしあわせだなと思います。
──では、最後に、今後のヴィジョン。目標ややりたいことなどありましたら聞かせて下さい。
ハラミちゃん 基本的に目標をつくらないことを目標にしているんですけど、目の前のこと。自分とみんなが笑顔になれること。さっき話したWin-Winの音楽活動をずっと続けていきたいなと思っています。そんな中で別の領域でやりたいなと思っているのは、ピアノのレッスンや教育で。何故かと言うと、この4年間で「ハラミちゃんきっかけでピアノを始めました」ってめっちゃ言われたんですよ! 最初のうちは実感なかったんですけど、だんだん「それって凄いことじゃない?」と思うようになって。ピアノってまず買わなきゃいけないし、一番安いモノでも数万円するわけで。毎日練習するのも大変ですよ。「それでもやりたい」と思うきっかけに自分がなっているんだとしたら、私はその子たちにピアノの楽しさを教えたいなと思ったんです。いわゆるバイエルやって、ツェルニーやって……みたいな王道のレッスンのルートがあるんですけど、それ以外のルートがあっても良いじゃないですか。全員が音大に行くわけじゃないんだから。
──でも、ピアノ教室に行くとそのルートになってしまう。
ハラミちゃん ということは、そのルートで進める必要性があるんだと思うし、私もそのルートを通ってきたから感謝もリスペクトもあるんですけど、自分の好きな曲を弾きながら技術を身につけたり、耳コピできるようになったり、そういう私ができるピアノレッスンも可能性としてあるのかなと思って。それでピアノ人口が多くなったり、ピアノ業界が盛り上がったり、そういうことにも携われたらいいなと思っているんです。で、その一環として、1年間かけて開発したんですけど、ドレミファソラシドが読めなくても弾ける楽譜をプロデュースして。
──発明じゃないですか!
ハラミちゃん そうなんですよ! それでお仕事でお世話になってるディレクターさんに試してもらったら、1時間で「Forever Love」を弾けるようになったり。
ディレクター それまでまったく弾けなかったのが、たどたどしくはあるんですけど、あの教本でちょっと弾けるようになりました。
──それは凄い。買います(笑)。
ハラミちゃん 2回目の重版が決まったばかりなので、ぜひぜひ(笑)。なので、ハラミちゃんのもうひとつの活動として、そういうピアノの面白さを広めていくこともやっていけたらなと思っています!
撮影 長谷英史
『ハラミ定食3~ビタミンスマイル!~』
2023.11.01 ON SALE
【収録曲】
01.祈りのワルツ
02.シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~
03.WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~
04.ミックスナッツ
05.群青
06.アイノカタチfeat.HIDE(GReeeeN)
07.あの素晴しい愛をもう一度
08.雨 (Live Version)
09.世界でいちばん熱い夏 (Live Version)
10.何度でも (Live Version)
11.みんなのうた (Live Version)
12.ありがとう (Live Version)
『ハラミちゃんのレパートリーが初心者でも弾ける魔法のピアノ曲集』
ハラミちゃん PROFILE
ポップスピアニスト。2019年6月、一般企業のOLからピアニスト系YouTuberへと転身。 スタートから約4年でYouTubeチャンネル登録者数220万人、総動画再生数7億回を突破。2020年7月1日の発売のアルバムはピアノのみのインストゥルメンタルとしては異例のBillboard JAPAN週間ランキング初登場1位、オリコン週間アルバムラン キング初登場2位を獲得。2021年1月には女性ピアニストとしては15年ぶりの日本武道館での単独公演を成功させた。ファンの"お米さん"も若いファ ミリー世代から高齢の親子三世代まで幅広く支持を得ており、TV をはじめとしたメディ アにも多数出演。ピアノ絵本や楽譜の監修など、"ピアノを身近な存在にする"を目標に 幅広く活動中。現在5万人動員予定の『47都道府県ピアノツアー』を開催中。2024年1月13日には東京ガーデンシアターでファイナル公演が決定している。
【ハラミちゃん Official Site】
https://harami-piano.com/
【ハラミちゃん YouTube】
https://www.youtube.com/channel/UCr4fZBNv69P-09f98l7CshA
【ハラミちゃん YouTube(sub channel)】
https://www.youtube.com/channel/UCDzNUObGnzyegwPYMDDJmjg
【ハラミちゃん Twitter】
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【ハラミちゃん Instagram】
https://www.instagram.com/harami_piano/
【ハラミちゃん Tiktok】
https://www.tiktok.com/@haramipiano?
- WRITTEN BY平賀哲雄
- インタビュアー、ライター、MC、コメンテーター。1999年に音楽情報WEBサイト「hotexpress」を立ち上げ、2012年より「Billboard JAPAN.com」の編集長として活動。現在は様々なメディアで活躍している。ジャンルレスにこれまで1000組以上のアーティストを取材。小室哲哉、安室奈美恵、TM NETWORK、中島美嘉、倖田來未、大塚 愛、Do As Infinity、MINMI、モーニング娘。、BiS、BiSHなど様々なアーティストのイベントや番組の司会、解説も担当している。