【待望の1stアルバムついに発売】YouTubeでストリートピアノ演奏が話題の"ハラミちゃん"の魅力に迫る!
街なかに置かれている「ストリートピアノ」での演奏がYouTubeで評判を呼び、チャンネル登録者数が50万人に達したというハラミちゃん。そこからついにデビューアルバム『ハラミ定食』をリリースした彼女に、ピアニストとしての足跡やピアノ・カバーの方法、そしてもちろん、『ハラミ定食』の収録曲についてお聞きしました!
原体験となった小学校でのピアノ演奏
──アルバムのことなどは後でたっぷりお聞きするとして、まずはここまでの道のりを振り返っていただければと思うんですが、ピアノを始められたのは4歳ということで、子供の頃は弾くこと、練習することを楽しめましたか?
ハラミちゃん そうですね。兄の影響で始めて、クラシックをずっと教わってた感じですね。けっこう楽しめていたんですが、ピアノ教室が楽しかったというよりも、学校で人気者になれたことが大きくて。運動も勉強もそんなに得意ではなかったんですが、音楽の前後の休憩時間に、音楽室のピアノで、みんなが好きな曲とか流行ってる曲を弾いてたんですね。それで「ハラミちゃんすごい!」って言ってリクエストとかもしてくれて、それを弾くのがまた楽しくて。それがきっかけになって、ピアノも楽しめていたっていう感じです。
──では、流行りの曲を通してポップスに入っていったという感じなんですね。
ハラミちゃん 教室ではクラシックを真面目にやっていたので、自分の中では息抜きとしてこっそり弾いてたんですが、それを学校で弾いたら、みんなやっぱりクラシックよりポップスの方が好きだし興味もあるので楽しんでくれて。だから息抜きが楽しめる要因になって、基礎であるクラシックも一生懸命練習するっていうループができてきた感じですね。
──その後、音大を経て一時はOLとして働かれていたということですが、一時は仕事が大変な時期もあったとお聞きしています。その頃、音楽はどういう存在、役割でしたか?
ハラミちゃん 働いていた時期はホントにメチャクチャ忙しくて、仕事に追われていたので、音楽からはずーっと離れていたんです。もちろんピアノも弾かなかったですし、音楽に触れるということを全くしてこない時期でした。でもちょっと体を壊してメンタルもやられてしまって、何もないフラットな自分になったときに、自分の本質的な、根源から出てくるもので何をしたいかというのを本当に本当に、毎日毎日考えて、それが音楽だったなというのを、その時にすごく感じたんです。一時期、音楽から離れていたけど、自分の人生から絶対にこれは切り離せないなと思って。離れたからこそ気付くことができたのかもしれません。
──その時の「音楽」というのは、やっぱり「弾く」ということだったんですか?
ハラミちゃん そうですね。聴くというよりもプレイすることでしたね。かつ、それは一人で勝手に弾くというよりも。「聴かせる人ありき」というスタイルがいいなと自分は思っていて。作曲とか編曲とか、音楽に関わるものはいろいろありますけど、やっぱり「弾く」っていう部分と、聴いた側が笑顔になったり元気になったり、音楽で励ませる、寄り添えるという部分が、自分の中でやりがいを感じるというか、幸福度が高いというのは思いました。
──それは小学校のとき、友達に聴かせていた経験が大きい?
ハラミちゃん それはかなり原体験になってますね。体調もメンタルも崩してしまったときに、ふとした先輩の声がけがきっかけで、リハビリがてらストリートピアノを弾いたんですが、そのときに弾いたのがRADWINPSさんの「前前前世」だったんですね。それをたまたま、数人のおばさんたちが聴いてくれていて、「すごくよかった!」とか「元気になりました!」っていう声を笑顔でいただいたときに、小学生時代を思い出したんです。音楽を通してのコミュニケーションというか、自分も楽しいし相手も楽しいという経験は小学校でのことが原体験になっていて、自分としても一番幸福度が高いなと思ったというのはあります。
──ちなみに、話題になっている「ノールックスタイル」(鍵盤も楽譜も見ずに演奏する)というのは、いつ頃からやっていたんですか?
ハラミちゃん それは本当にたまたま生まれたものなんですよ(笑)。スタッフさんがストリートピアノに連れ出してくださって、一番最初に動画で上げた「前前前世」の演奏を撮っていたときに、「ちゃんと撮れてる?」というのがふと不安になって、アイコンタクトのつもりでちょっとカメラを見たんです。それがコメントとかで「カメラ目線キター!」みたいに言われるようになって、そこからどんどんノールックになっていったっていうイメージですね。だから最初から「見ないで弾こう」と思ったとかじゃなくて、自然発生でそうなりました(笑)。
──偶然から生まれた必殺技だったんですね。
ハラミちゃん そうなんです(笑)。お米さん……あ、自分のファンの方々のことを「お米さん」って呼んでるんですけど(笑)……が気に入ってくれて進化した、みたいな感じです。自分としては、周りの人に聴かせているという部分が大きいので、曲に没頭しながらも、自然に周りを見たくなるんですよ。それは周りを魅了するために見ているというよりも、「ちゃんと弾けてるかな?」「届けられてるかな?」という確認というか(笑)。だからいつも自然にやっているという感じです。
──一般的なピアニストだったりキーボーディストって、鍵盤に集中してるイメージがあるんですが、その意味では独特ですよね。
ハラミちゃん 確かに(笑)。その点では自分はコミュニケーション派というか。ピアノに限らず、対人でもコミュニケーションを取りたいというタイプなので。
──「ノールックスタイル」が、ここまで自分の代名詞的なものになるとは……
ハラミちゃん 全く思ってなかったです(笑)。「まさか」ですね。スタッフさんが動画の中でうまくテロップを強調して入れてくださっているので、自分が意識しているよりも、皆さんが楽しみにしてくださっているんだなという感じですね。
──そういう要素もあってYouTubeで評判になり、そこから今回のアルバム・リリースまでつながっていると思うんですが、その流れを体験して、ご自分ではいかがですか?
ハラミちゃん いやもう、何が起きてるのか分からないぐらい(笑)信じられない気持ちでいっぱいです。音楽大学に通ってたときはCDを出すなんて夢のまた夢でしたし、そんなことができる人は本当にひと握りでしたからね。もちろん自主制作でCDを作ることはできるでしょうけど、こういう形でファンに望んでいただいた状態で出せるというのがどれだけすごいことなのかは本当に分かっているというか、自分で一度諦めて就職もしているので、より「信じられないこと」というのを痛感しています。本当にYouTubeというメディアの力をお借りして、こういうことが起きているというのは、奇跡中の奇跡だなというのは、毎日思っています。
──YouTubeで注目された要因の一つに、「ストリートピアノ」という部分もあったと思います。ストリートピアノのよさというのは?
ハラミちゃん さっきも出たコミュニケーションの部分が、自分にとっては楽しいんですね。自分の中では、即興というか、その場でしか生まれないものはかなり価値が高いというか、自分の人生で欠かせないものだと思ってるんです。初めての土地に行って、初めてのピアノに触れて、初めての人々がいる中で弾いて、そこでしか生まれない音楽という部分が、毎回毎回すごく刺激的で楽しくて、それがすごくハマった要因でもあると思います。あと、日本人ってシャイじゃないですか。初めて会った人と会話するのはハードルが高いと思うんですけど、そこにピアノがあるだけで、聴いてる人たちに一体感が生まれたりとか、自分に話しかけてリクエストをくださったりしてくださるんですね。そうやって、普段話すことのなかった街の人々に一体感が生まれるみたいな空間がすごく幸せな情景に思えて、好きですね。
──では弾いているときに、どんどん人が集まってきた!みたいなことは意識されてるんですか?
ハラミちゃん それは、そんなに意識はしてないですね。ストリートピアノって、パフォーマンスというよりも、人々のBGMにしたいというイメージが強いんです。「バキバキに弾いてやるぞ!」というよりも、立ち止まってくださる人もいれば耳に入りながら通り過ぎる人もいていいと思ってて。日常に音楽がある情景がいいとおもっているので、別に人がたくさん集まってるかどうかというのは、あまり関係がないというか。その人にとって、いいBGMであればいいなと思ってます。
──「みんなを振り向かせて、立ち止まらせてやるぞ!」という感じではないんですね(笑)。
ハラミちゃん そうですね(笑)。もちろん、そういうスタイルの方もいるとは思うんですけど、自分の中では、フラッと来てフラッと帰るというのをポリシーにしてやってます。
ピアノ・アレンジで一番大切にしている部分とは?
──では、ピアノ・カバーについてお聞きします。カバーする曲の選曲については、何か基準みたいなものはありますか?
ハラミちゃん ファンの方とかリスナーさんにリクエストをいただくことが多いので、そこから選ぶことが多くて。ベースとしてはファンの方が望んでるものを届けるというのもありますし、そうでなくてもすごく流行ってる曲とかは積極的に弾くようにはしています。
──ファンの方々以外に、ターゲットというのは考えてますか?
ハラミちゃん 自分としては”癒し”を提供したくて、元気になってほしいとか励ましたいという意味合いが強いので、日々何かに頑張っている方々をイメージしています。
──自分でアレンジして弾く場合に、原曲の中で一番大事にしているのはどういう部分ですか?
ハラミちゃん 一番大事にしてるのは、「ひとりオーケストラ」という部分です。ピアノというのは、一つの楽器で様々な表現ができるものなので。それと、原曲へのリスペクトは忘れちゃいけないと思っているので、コテコテにアレンジしすぎるのは避けるようにしていますね。バンド曲の場合はドラム、ベース、ギター、ボーカルを10本の指で表現しなきゃいけないというときに、例えば途中でギターの「ピロピロピロ~」っていうフレーズが入っていたら、それは入れ込むとか。ドラムのリズムが変わったら、そこはピアノで入れてみようかとか。原曲から抽出した各楽器の大事な要素をピアノに落とし込むということは、一番大事にしているところですね。
──演奏をお聴きしていると、ヒット曲が多いということもあって、ボーカルラインがパッと耳に入ってくるように工夫されているのかなとも思ったんですが。
ハラミちゃん そうですね。ボーカルのメロディーが、その曲の一番のミソだと思うので、一番際立つように意識してアレンジしています。
──曲を選んでから、自分なりのアレンジを固めるまでには、どれぐらいの時間がかかるものですか?
ハラミちゃん 本当に曲や状況によるんですけど、今回のCDに収録した13曲に関しては、1曲あたり5日~1週間ぐらいですかね。ストリートピアノとかで、曲数をこなさないといけない場合は、1~2日でやってしまうこともあるんですけど、CDに入れる曲はやっぱり時間をかけましたね。
──いろいろなパターンを試してみるんですか?
ハラミちゃん Aメロ、Bメロ、サビというパートごとに作っていて、それを何回もトライ&エラーして、録音して聴いて直して……みたいな作業をひたすら繰り返します。
──アレンジしやすい曲、苦労する曲というのはありますか?
ハラミちゃん すごくあります! 例えば演歌とかだとタメがすごくあったりとか、歌手の方によってはピッチが完璧には合ってないときがあって。例えばサザンオールスターズさんとかだと桑田佳祐さんの独特な歌い方がありますよね。私は全て耳コピでやってるんですけど、楽譜を買ってきてその通りに完璧なリズムで弾くのではなくて、アーティストによってピアノで物真似をする感覚ですね。玉置浩二さんとかMr.Childrenさんとか、独特な歌唱のタメとかもなるべくピアノで表現したくて、そういうところはなかなか難しいですね。素直な歌い方をされる人の曲はわりとすぐまとまるんですけど、特徴的な歌い方をされる方の場合は時間がかかりますね。
──でも、そういう特徴的な歌い手のほうが、アレンジのやりがいはあるのでは?
ハラミちゃん そうですね。満足度も高いですし、そういう曲のほうが喜んでいただけることも多い気がします。
──ちなみに今、レパートリーって何曲ぐらいあるものなんですか?
ハラミちゃん 自分が知ってる曲なら何でも弾けるので、その意味では無限大というか(笑)。ホントに自分が知ってる曲全てという感じですね。即興で弾くのも好きですし。
──オリジナル曲はお持ちなんですか?
ハラミちゃん まだないんです。唯一、YouTubeのエンディングに使っている20秒ぐらいの「ハラミ体操」という曲がオリジナルなんですけど(笑)。今後はいつか、自分の曲も出したいなと思っています。
──ではいよいよ、アルバムについてお聞きしたいと思います。制作期間はいつ頃だったんですか?
ハラミちゃん 2月から4月ぐらいですね。なので、コロナウイルスの影響でいったん中断しないといけなかったんです。
──なるほど。制作活動への影響はありましたか?
ハラミちゃん 緊急事態宣言中は動けなかったので中断して、明けてからちょっとやって完成させたという感じでした。アルバム発売も当初は5月の予定だったんですが、延期になったんですね。だから「そもそもホントに出せるのかな?」と心配になってしまった時期もありました。だから、やっと届けられるという気持ちでいっぱいです。
──そもそも、『ハラミ定食』というアルバム・タイトルがすごくいいですよね。これはご自身の発案だったんですか?
ハラミちゃん ありがとうございます(笑)。私自身が考えたんですけど、「メロディ」とか「ハーモニー」みたいなピアノらしい言葉よりも、もっと親しみがあるというか……ハラミちゃんらしい部分をすごく出したかったので。あと自分の中で「お肉好き」というところは外せなかったので(笑)、よりすぐりの曲が詰まっているという意味で『ハラミ定食』と名付けさせていただきました。
──収録曲の選曲や曲順はどう考えたんでしょうか?
ハラミちゃん 選曲に関しては、まずYouTubeで人気の曲はファンの方も望んでますし、自分も何度も弾いてきた曲が多いので、それを中心にして。あとは個人的に思い入れのある曲ですね。例えば、「ロビンソン」を入れてるんですけど、母がスピッツがすごく好きなんですね。音楽を好きになったのも、音楽好きの母が家や車の中でかけていたことの影響が大きかったので、そういう意味で入れたりとか。曲順については、フルで聴いたときにテンションの波とか、聴いてる人の感情の波をどうすればいいのかなというのを中心に考えました。スタッフさんといろんなパターンを試し聴きして、「これが一番しっくりくるね」というものを選んだ感じですね。
『ハラミ定食』全曲解説!
──ではアルバムの1曲目から解説をお願いしたいんですが、まず「前前前世」ですね。これはそもそものスタートになった曲ですが。
ハラミちゃん はじまりの曲ですね。これは映画「君の名は。」の主題歌ですけど、歌詞の内容が運命的というか、決まっていたことがついに動き出した、という感覚の言葉が多くて、勝手ながら自分とちょっと重なるというか。
──まさにこれから動き出すことへの期待感が感じられますね。
ハラミちゃん こういう時期にストリートピアノに出会って、こんなことになってるということ自体に、この歌詞と重なる部分が感じられたんですね。そういう部分を心で歌いながら、自分の中で心がけながら弾きました。あと、全体的には元気な曲なんですけど、メロディーが繊細というか、ちょっとやわらかい歌詞とメロディーだったりするので、力強くなりすぎないように気をつけました。パワーで押し切るのではなくて、繊細に柔らかく弾くように気をつけた感じです。
──次は「LOVE PHANTOM」ですね。あの壮大なイントロの再現力がすごいなと思いました。
ハラミちゃん そうですね。イントロに続く、右手の「ピロピロピロ」という音が素敵な曲なので、そこはちゃんと強調できるように弾きました。あとは曲の構成も原曲に忠実にアレンジさせていただいていて、あの松本孝弘さんのリフもちゃんとピアノとして違和感がないように入れ込むのは意識しました。
──「ロビンソン」については先ほども出ましたが。
ハラミちゃん これに関しては、「何も考えない」ということを考えていたというか(笑)。「前前前世」や「LOVE PHANTOM」みたいにテーマがあって見せどころがあって……という曲と違って、ある意味「普通」というか「日常」というか……あえて真ん中を狙うという感覚で弾いていて。スピッツの草野マサムネさんも、「タイで見つけた『ロビンソン商店』の看板を見て、本当に何気なく作った曲」ということをおっしゃっていたので、すごく感情を入れ込むというよりも、サラッと弾くほうが素敵な楽曲だと思うんですね。なのでそういう部分を意識しました。
──3曲目は「竈門炭治郎のうた」ですね。
ハラミちゃん この曲は自分のYouTubeチャンネルで再生回数が一番多くて、アニメのシーンと一緒に流れるというのがすごく象徴的な曲ですよね。あのシーンを思い浮かべながら聴いてる方も多いと思うので、自分もあのシーンを何度も見ながら練習しました。炭治郎の心情というか、「覚悟した強さ」みたいなものが現れている曲ですよね。抑揚が激しい曲なんですけど、そこに炭治郎の人生というか、彼の経験してきたことが乗っている曲だと思うので、炭治郎の優しくて強い人格を表現できるように抑揚をつけて弾きました。自分も「鬼滅の刃」にはハマってます(笑)。
──次は「天城越え」ですね。ここまでで、イントロに個性のある曲がお得意なのかなと感じたんですが……。
ハラミちゃん ああ、意識はしてなかったけど、そうかもしれないですね(笑)。この曲は確かにイントロが象徴的ですよね。自分の中で、「演歌×ピアノ」って思ったよりも相性がいいとすごく思ってるんですね。原曲のタメとか微妙なテンポのズレとかが好きで、微妙な「揺れ」とか「ズレ」が演歌の美しい部分なので、ピアノでそれをいかに出せるか。テンポ通りにサラッと弾くよりも、ちょっとタメたり走ったりするっていう加速・減速の部分を、石川さゆりさんの素敵な歌声になりきって弾きました。
──次は「M」ですね。これはもともと、原曲がピアノで始まる曲ですが。
ハラミちゃん 確かにピアノで始まって、バラードの名曲というイメージが大きいと思うんですけど、自分の中では「バラード」というよりはあくまで「ロックの曲」なんですね。この曲はバラード・バラードした感じにアレンジしてカバーされる方が多いんですけど、ギターの歪みとか歌唱の感じとかを聴くと、やっぱりロックなリズムとかリフとかが入ってるのが、よりエモーショナルだと思うんですよね。だからバラードらしくゆっくりと弾くよりも、ロックの強さもありつつメロディーがすごく切ないというのを表現したくて、両方の兼ね合いを出せるようにアレンジしました。
──7曲目は「366日」。
ハラミちゃん 追加で収録した「竈門炭治郎のうた」を除くと、この曲が最後のレコーディングだったんです。なぜ最後にしたかというと、めちゃくちゃカロリーが高いというか、すごく感情がえぐられる曲で。歌詞の内容も大失恋がテーマで、「彼が忘れられない」という曲なので、自分の過去の恋愛を思い出したりもして。「あの人が忘れられない」という気持ちって、本当に大きなエネルギーというか、強い力が働いてると思うので、大きなスケールで聴けるように意識しましたね。大きな波動が生まれるような。ポロポロ泣いてるというよりは、大号泣というか。「忘れられなくても、前に進むよ」というのではなくて、別れたばっかりで号泣してるようなイメージで弾いた曲です。
──続いては「ロマンスの神様」ですね。ここで一気に元気になる感じですが。
ハラミちゃん バラードが続いたので、ここからは自分の中で第2部というか、新しい世界が始まるようなイメージで選ばせていただきました。これは広瀬香美さんとコラボさせていただいたときに弾いた曲でもあるんですよ。コラボが決まってから当日まで「あと何日」ってカウントダウンしながら練習していた記憶が強く残っていて(笑)、それを思い出しながら、再度アレンジさせていただきました。香美さん自身が作詞・作曲されてて、リズム感がメチャクチャ必要とされる曲なんですよね。さっきの演歌でいう「タメ」とかが入ると崩れてしまうような。だから逆にタイトにリズムが進むように意識しながらアレンジしました。あとレコーディング当日は、香美さんとのハッピーな思い出を呼び起こしながら弾いたほうがいい曲に仕上がると思ったので、コラボのときに撮らせていただいた2ショット写真を譜面台に置いて、当時のことを思い出しながら弾きました(笑)。
──次は「千本桜」です。
ハラミちゃん この曲はハラミちゃんの活動の中で、ライブ配信とかストリートピアノなどで一番回数を弾いてる曲なんですね。だから指は慣れてるんですけど、ストリートピアノでは尺を短くして弾くことが多くて、間奏の速弾きだったりっていう見せ場の部分をあえて削らなきゃいけなかったりしたんですよ。でも今回はCDだからフルで入れられるので、間奏の速弾きの部分も再アレンジさせていただきました。やっぱり疾走感というか、桜吹雪が舞ってる情景のスピード感が大事な曲だと思うので、桜とともに風が巻き起こってるようなイメージで。ここは原曲通りというよりも、自分のイメージをちょっと混ぜて、指の速さとか魅力が伝わるようなアレンジにしました。
──10曲目、「シングルベッド」。
ハラミちゃん これも失恋というか、男の未練の曲ですね。Bメロからサビに行く前に、実は楽器だけのキメのフレーズがあるんですよ。そこに失恋の全てが詰まってるというか、あえて歌詞が乗ってない部分、歌がない部分にすごく素敵な、メロディアスで心に訴えるようなフレーズがあるんですよ。つんく♂さんのボーカルのクセとかを入れ込むのはもちろん、声以外の楽器隊やギターソロ部分も切なくなるように心がけてアレンジしました。
──次が「PIANO MAN」。唯一の洋楽カバーであり、これはタイトル通りピアノそのものの曲ですよね。
ハラミちゃん 私がよく弾いている東京都庁って、外国人の方が多くて、洋楽をリクエストされて弾く機会も多かったんですね。だから今回も1曲は洋楽から選びたいなと思ってて、悩んだんですけど、ピアノと抜群に相性がいいということもあって選ばせていただきました。でも原曲がピアノなだけに、より難しくて(笑)。ごまかしがきかないというか、いくらでも原曲に忠実にできるし、逆にアレンジしようと思えばいくらでもできちゃうので、どの案配でいくか、このアルバムで一番悩んだ曲だし、時間も一番かかりました。あと洋楽って、けっこう繰り返しが多いんですよ。邦楽だと展開していくところを、洋楽だとずっと同じようなフレーズが繰り返されるんですね。もちろんそこにビリー・ジョエルさんの歌声が乗るんですけど、それをピアノだけで再現すると、けっこう退屈な曲になっちゃうなと思って。だから原曲よりも抑揚をより強調しましたね。同じフレーズの繰り返しでも、一番目は普通に弾いて、次はちょっと落として……とか。そうやって原曲よりも自分の中で展開を作って、表現した感じですね。
──アルバムのラスト2曲、「Forever Love」と「紅」は唯一、同じアーティストの曲が並びますね。
ハラミちゃん 私のYouTubeチャンネルがバズった一番のきっかけが「紅」で、その次が「Forever Love」なんですね。それぐらいX JAPANの人気が根強いので、激しい曲と不朽のバラードの2曲は絶対に入れたいなと思ってたんですね。入れるならバラバラよりも続けて聴いていただいたほうが、より没頭していただけるかなと思って、あえて最後に連続で入れさせていただきました。
──どちらもやはりドラマチックな流れの曲ですよね。特に「紅」などは荘厳なイントロに始まって劇的に速くなるという。
ハラミちゃん 自分の中でも、感情を込めやすいので自然とこういう曲を選んでいるのかもしれないですね。どんなに速弾きの曲でも、その曲の情景とか感情というのは必ずあって、その曲がたまたま速いだけというとらえ方をしていて。だから速い中にも感情を入れるということを大切にしていて、特に「紅」はメタルというかトゲトゲしたイメージがあると思うんですけど、実はXJAPANさんの歌って歌詞もメロディーもすごく繊細なんですよ。そこはもしかしたら「前前前世」と似てるのかもしれないんですけど。だから、ただただ激しくパワーで押し切るのではなく、激しい中にもメロディアスな部分とか、TOSHIさんの歌声の特徴的な部分だったりビブラートだったりを込められるように気をつけて弾きました。そして今回はフル尺だったので、HIDEさんのギターソロにも初チャレンジさせていただいてるんですね。ピアノに落とし込める限りの音を詰め込んだので、そこにもぜひ注目していただきたいです。
初のホールコンサート、そしてこれからの目標とは?
──さて先日、8月13日に中野サンプラザで初のホールコンサートが開催されることが発表されました。昨年12月に初のワンマンライブを経験されて、その後はコロナウイルスの影響でライブが中止になったりもしていたので、意気込みもかなりなものではないかと思いますが。
ハラミちゃん そうですね。コロナが流行り始めて、ストリートピアノすらできない状況が続いていたので、このライブの準備を進めていくにあたっては、やれるのか、やれないのか、本当に不安な日々が続いていました。スタッフの方々とは、どうやったら実現できるのかを何度も話し合って、今回は50%ライブということで密にならない状態で開催が決定して。お米さんの前で弾けるのは2月以来なので半年ぶりなんですよね。その喜びは本当にメチャクチャ大きいです。しかも中野サンプラザっていう、有名なホールでできるという部分が信じられないです。その喜びを噛み締めながら、半年ぶりという喜びも噛み締めながら……という感じですね。
──ホールとなると、ストリートピアノとはまた違いますよね?
ハラミちゃん 「しっかり聴かせる」という部分では本当に違いますね。ストリートピアノって、「1人5分」って決まってたり、次の人が待ってるっていう状況があったりして……それはそれで楽しいんですけど……ホールだと自分だけの空間で、自分のためだけの時間で、自分の音を、聴いてほしい人にちゃんと聴かせるという部分では、精神状況も、自分のとらえ方も違います。あと、音も音響もいいですからね。ストリートピアノって、音も音響もすごくいいというわけではないですからね。そういう意味ではYouTubeともストリートピアノとも違う、一つ一つクリアーな音を伝えられるので、伝えたいものがより濃く届けられると思います。
──アルバム、コンサートと大きな話題が続きますが、ここからやっていきたいことというのは?
ハラミちゃん 自分は2つのことを同時にやっていこうと思ってるんですね。一つは認知度を上げること。それはYouTubeはもちろん、他のイベントとかメディアとかでも、ハラミちゃんという人物を通してピアノの楽しさを広く伝えていきたいという思いが強いですね。もう一つは、身近であり続けることを大切にしたいなと。「YouTubeとかストリートピアノをやってたけど、最近のハラミちゃんはすごく遠くなっちゃったよね」って言われるんじゃなくて(笑)、もっと知られるようになってもストリートピアノはやり続けていきたいんですよね。「フラッと来てフラッと帰る」っていうスタンスは変えたくないというか。そうすることによって、ピアノをより身近に感じてもらえると思うので。「認知度を上げること」と「身近であり続けること」の2つは続けていきたいですね。
──立ちたい舞台などはありますか?
ハラミちゃん ありがちですけど、日本武道館とかはやっぱり憧れますね。インスト業界って、日本ではもっともっと盛り上がっていいと思っていて。自分が思うインストの一番素晴らしいところって、メロディーの素晴らしさだとか音の素晴らしさだとかが直に人の心に入ってくるところだと思うんですよね。ピアノのシンプルな音色が、ときには歌声よりも心の核に響く部分があると思っていて、それこそ音楽療法にはピアノの音が使われていたりしますよね。ピアノの、シンプルで核を突いてくるような部分が素敵だと思ってるんですけど、そこはまだまだ広められると思っているし、ハラミちゃんを通してそういう魅力に気づいてもらえるような存在になれたらなと思ってます。ピアノを身近にする存在であるということと、ピアノの楽しさ、素晴らしさをもっと伝えていきたいというのが目標ですね。
──では最後に、読者の皆さんへのメッセージをいただけますか?
ハラミちゃん 今回のアルバムは13曲あって、1曲も知らないという方はたぶん誰もいないだろうというぐらい、有名だったり皆さんにとって思い出になってるような曲が1曲ぐらいは入ってる確率が高いと思うので、ピアノでアレンジした曲を通して、ピアノの音色の素晴らしさが伝わったらうれしいですね。原曲とは違ったよさがあると思うので、原曲が好きという方も、「ピアノの音色ってどういう響きなんだろう」ということに興味を持ってもらえたら、とてもうれしいです。そしてお米さんに対しては、自分がこのアルバムを出せたのは、お米さんのおかげだと思ってます。もちろんスタッフさんとか関係者の方にもお世話になってるんですが、「ハラミちゃんの音が聴きたい」という皆さんの後押しが、自分がピアニストになれたきっかけでもあるし、このアルバムを出せた理由でもあると思うので、「出せた」という感謝の気持ちを音に込めました。なので、それを受け取っていただけたらと思います。
──ありがとうございました!
1st PIANO COVER ALBUM
『ハラミ定食 ~Streetpiano Collection~』
2020.7.1 on sale
Youtube Channel:https://www.youtube.com/channel/UCr4fZBNv69P-09f98l7CshA
Twitter:https://twitter.com/harami_piano
Instagram:https://www.instagram.com/harami_piano/
原体験となった小学校でのピアノ演奏
──アルバムのことなどは後でたっぷりお聞きするとして、まずはここまでの道のりを振り返っていただければと思うんですが、ピアノを始められたのは4歳ということで、子供の頃は弾くこと、練習することを楽しめましたか?
ハラミちゃん そうですね。兄の影響で始めて、クラシックをずっと教わってた感じですね。けっこう楽しめていたんですが、ピアノ教室が楽しかったというよりも、学校で人気者になれたことが大きくて。運動も勉強もそんなに得意ではなかったんですが、音楽の前後の休憩時間に、音楽室のピアノで、みんなが好きな曲とか流行ってる曲を弾いてたんですね。それで「ハラミちゃんすごい!」って言ってリクエストとかもしてくれて、それを弾くのがまた楽しくて。それがきっかけになって、ピアノも楽しめていたっていう感じです。
──では、流行りの曲を通してポップスに入っていったという感じなんですね。
ハラミちゃん 教室ではクラシックを真面目にやっていたので、自分の中では息抜きとしてこっそり弾いてたんですが、それを学校で弾いたら、みんなやっぱりクラシックよりポップスの方が好きだし興味もあるので楽しんでくれて。だから息抜きが楽しめる要因になって、基礎であるクラシックも一生懸命練習するっていうループができてきた感じですね。
──その後、音大を経て一時はOLとして働かれていたということですが、一時は仕事が大変な時期もあったとお聞きしています。その頃、音楽はどういう存在、役割でしたか?
ハラミちゃん 働いていた時期はホントにメチャクチャ忙しくて、仕事に追われていたので、音楽からはずーっと離れていたんです。もちろんピアノも弾かなかったですし、音楽に触れるということを全くしてこない時期でした。でもちょっと体を壊してメンタルもやられてしまって、何もないフラットな自分になったときに、自分の本質的な、根源から出てくるもので何をしたいかというのを本当に本当に、毎日毎日考えて、それが音楽だったなというのを、その時にすごく感じたんです。一時期、音楽から離れていたけど、自分の人生から絶対にこれは切り離せないなと思って。離れたからこそ気付くことができたのかもしれません。
──その時の「音楽」というのは、やっぱり「弾く」ということだったんですか?
ハラミちゃん そうですね。聴くというよりもプレイすることでしたね。かつ、それは一人で勝手に弾くというよりも。「聴かせる人ありき」というスタイルがいいなと自分は思っていて。作曲とか編曲とか、音楽に関わるものはいろいろありますけど、やっぱり「弾く」っていう部分と、聴いた側が笑顔になったり元気になったり、音楽で励ませる、寄り添えるという部分が、自分の中でやりがいを感じるというか、幸福度が高いというのは思いました。
──それは小学校のとき、友達に聴かせていた経験が大きい?
ハラミちゃん それはかなり原体験になってますね。体調もメンタルも崩してしまったときに、ふとした先輩の声がけがきっかけで、リハビリがてらストリートピアノを弾いたんですが、そのときに弾いたのがRADWINPSさんの「前前前世」だったんですね。それをたまたま、数人のおばさんたちが聴いてくれていて、「すごくよかった!」とか「元気になりました!」っていう声を笑顔でいただいたときに、小学生時代を思い出したんです。音楽を通してのコミュニケーションというか、自分も楽しいし相手も楽しいという経験は小学校でのことが原体験になっていて、自分としても一番幸福度が高いなと思ったというのはあります。
──ちなみに、話題になっている「ノールックスタイル」(鍵盤も楽譜も見ずに演奏する)というのは、いつ頃からやっていたんですか?
ハラミちゃん それは本当にたまたま生まれたものなんですよ(笑)。スタッフさんがストリートピアノに連れ出してくださって、一番最初に動画で上げた「前前前世」の演奏を撮っていたときに、「ちゃんと撮れてる?」というのがふと不安になって、アイコンタクトのつもりでちょっとカメラを見たんです。それがコメントとかで「カメラ目線キター!」みたいに言われるようになって、そこからどんどんノールックになっていったっていうイメージですね。だから最初から「見ないで弾こう」と思ったとかじゃなくて、自然発生でそうなりました(笑)。
──偶然から生まれた必殺技だったんですね。
ハラミちゃん そうなんです(笑)。お米さん……あ、自分のファンの方々のことを「お米さん」って呼んでるんですけど(笑)……が気に入ってくれて進化した、みたいな感じです。自分としては、周りの人に聴かせているという部分が大きいので、曲に没頭しながらも、自然に周りを見たくなるんですよ。それは周りを魅了するために見ているというよりも、「ちゃんと弾けてるかな?」「届けられてるかな?」という確認というか(笑)。だからいつも自然にやっているという感じです。
──一般的なピアニストだったりキーボーディストって、鍵盤に集中してるイメージがあるんですが、その意味では独特ですよね。
ハラミちゃん 確かに(笑)。その点では自分はコミュニケーション派というか。ピアノに限らず、対人でもコミュニケーションを取りたいというタイプなので。
──「ノールックスタイル」が、ここまで自分の代名詞的なものになるとは……
ハラミちゃん 全く思ってなかったです(笑)。「まさか」ですね。スタッフさんが動画の中でうまくテロップを強調して入れてくださっているので、自分が意識しているよりも、皆さんが楽しみにしてくださっているんだなという感じですね。
──そういう要素もあってYouTubeで評判になり、そこから今回のアルバム・リリースまでつながっていると思うんですが、その流れを体験して、ご自分ではいかがですか?
ハラミちゃん いやもう、何が起きてるのか分からないぐらい(笑)信じられない気持ちでいっぱいです。音楽大学に通ってたときはCDを出すなんて夢のまた夢でしたし、そんなことができる人は本当にひと握りでしたからね。もちろん自主制作でCDを作ることはできるでしょうけど、こういう形でファンに望んでいただいた状態で出せるというのがどれだけすごいことなのかは本当に分かっているというか、自分で一度諦めて就職もしているので、より「信じられないこと」というのを痛感しています。本当にYouTubeというメディアの力をお借りして、こういうことが起きているというのは、奇跡中の奇跡だなというのは、毎日思っています。
──YouTubeで注目された要因の一つに、「ストリートピアノ」という部分もあったと思います。ストリートピアノのよさというのは?
ハラミちゃん さっきも出たコミュニケーションの部分が、自分にとっては楽しいんですね。自分の中では、即興というか、その場でしか生まれないものはかなり価値が高いというか、自分の人生で欠かせないものだと思ってるんです。初めての土地に行って、初めてのピアノに触れて、初めての人々がいる中で弾いて、そこでしか生まれない音楽という部分が、毎回毎回すごく刺激的で楽しくて、それがすごくハマった要因でもあると思います。あと、日本人ってシャイじゃないですか。初めて会った人と会話するのはハードルが高いと思うんですけど、そこにピアノがあるだけで、聴いてる人たちに一体感が生まれたりとか、自分に話しかけてリクエストをくださったりしてくださるんですね。そうやって、普段話すことのなかった街の人々に一体感が生まれるみたいな空間がすごく幸せな情景に思えて、好きですね。
──では弾いているときに、どんどん人が集まってきた!みたいなことは意識されてるんですか?
ハラミちゃん それは、そんなに意識はしてないですね。ストリートピアノって、パフォーマンスというよりも、人々のBGMにしたいというイメージが強いんです。「バキバキに弾いてやるぞ!」というよりも、立ち止まってくださる人もいれば耳に入りながら通り過ぎる人もいていいと思ってて。日常に音楽がある情景がいいとおもっているので、別に人がたくさん集まってるかどうかというのは、あまり関係がないというか。その人にとって、いいBGMであればいいなと思ってます。
──「みんなを振り向かせて、立ち止まらせてやるぞ!」という感じではないんですね(笑)。
ハラミちゃん そうですね(笑)。もちろん、そういうスタイルの方もいるとは思うんですけど、自分の中では、フラッと来てフラッと帰るというのをポリシーにしてやってます。
ピアノ・アレンジで一番大切にしている部分とは?
──では、ピアノ・カバーについてお聞きします。カバーする曲の選曲については、何か基準みたいなものはありますか?
ハラミちゃん ファンの方とかリスナーさんにリクエストをいただくことが多いので、そこから選ぶことが多くて。ベースとしてはファンの方が望んでるものを届けるというのもありますし、そうでなくてもすごく流行ってる曲とかは積極的に弾くようにはしています。
──ファンの方々以外に、ターゲットというのは考えてますか?
ハラミちゃん 自分としては”癒し”を提供したくて、元気になってほしいとか励ましたいという意味合いが強いので、日々何かに頑張っている方々をイメージしています。
──自分でアレンジして弾く場合に、原曲の中で一番大事にしているのはどういう部分ですか?
ハラミちゃん 一番大事にしてるのは、「ひとりオーケストラ」という部分です。ピアノというのは、一つの楽器で様々な表現ができるものなので。それと、原曲へのリスペクトは忘れちゃいけないと思っているので、コテコテにアレンジしすぎるのは避けるようにしていますね。バンド曲の場合はドラム、ベース、ギター、ボーカルを10本の指で表現しなきゃいけないというときに、例えば途中でギターの「ピロピロピロ~」っていうフレーズが入っていたら、それは入れ込むとか。ドラムのリズムが変わったら、そこはピアノで入れてみようかとか。原曲から抽出した各楽器の大事な要素をピアノに落とし込むということは、一番大事にしているところですね。
──演奏をお聴きしていると、ヒット曲が多いということもあって、ボーカルラインがパッと耳に入ってくるように工夫されているのかなとも思ったんですが。
ハラミちゃん そうですね。ボーカルのメロディーが、その曲の一番のミソだと思うので、一番際立つように意識してアレンジしています。
──曲を選んでから、自分なりのアレンジを固めるまでには、どれぐらいの時間がかかるものですか?
ハラミちゃん 本当に曲や状況によるんですけど、今回のCDに収録した13曲に関しては、1曲あたり5日~1週間ぐらいですかね。ストリートピアノとかで、曲数をこなさないといけない場合は、1~2日でやってしまうこともあるんですけど、CDに入れる曲はやっぱり時間をかけましたね。
──いろいろなパターンを試してみるんですか?
ハラミちゃん Aメロ、Bメロ、サビというパートごとに作っていて、それを何回もトライ&エラーして、録音して聴いて直して……みたいな作業をひたすら繰り返します。
──アレンジしやすい曲、苦労する曲というのはありますか?
ハラミちゃん すごくあります! 例えば演歌とかだとタメがすごくあったりとか、歌手の方によってはピッチが完璧には合ってないときがあって。例えばサザンオールスターズさんとかだと桑田佳祐さんの独特な歌い方がありますよね。私は全て耳コピでやってるんですけど、楽譜を買ってきてその通りに完璧なリズムで弾くのではなくて、アーティストによってピアノで物真似をする感覚ですね。玉置浩二さんとかMr.Childrenさんとか、独特な歌唱のタメとかもなるべくピアノで表現したくて、そういうところはなかなか難しいですね。素直な歌い方をされる人の曲はわりとすぐまとまるんですけど、特徴的な歌い方をされる方の場合は時間がかかりますね。
──でも、そういう特徴的な歌い手のほうが、アレンジのやりがいはあるのでは?
ハラミちゃん そうですね。満足度も高いですし、そういう曲のほうが喜んでいただけることも多い気がします。
──ちなみに今、レパートリーって何曲ぐらいあるものなんですか?
ハラミちゃん 自分が知ってる曲なら何でも弾けるので、その意味では無限大というか(笑)。ホントに自分が知ってる曲全てという感じですね。即興で弾くのも好きですし。
──オリジナル曲はお持ちなんですか?
ハラミちゃん まだないんです。唯一、YouTubeのエンディングに使っている20秒ぐらいの「ハラミ体操」という曲がオリジナルなんですけど(笑)。今後はいつか、自分の曲も出したいなと思っています。
──ではいよいよ、アルバムについてお聞きしたいと思います。制作期間はいつ頃だったんですか?
ハラミちゃん 2月から4月ぐらいですね。なので、コロナウイルスの影響でいったん中断しないといけなかったんです。
──なるほど。制作活動への影響はありましたか?
ハラミちゃん 緊急事態宣言中は動けなかったので中断して、明けてからちょっとやって完成させたという感じでした。アルバム発売も当初は5月の予定だったんですが、延期になったんですね。だから「そもそもホントに出せるのかな?」と心配になってしまった時期もありました。だから、やっと届けられるという気持ちでいっぱいです。
──そもそも、『ハラミ定食』というアルバム・タイトルがすごくいいですよね。これはご自身の発案だったんですか?
ハラミちゃん ありがとうございます(笑)。私自身が考えたんですけど、「メロディ」とか「ハーモニー」みたいなピアノらしい言葉よりも、もっと親しみがあるというか……ハラミちゃんらしい部分をすごく出したかったので。あと自分の中で「お肉好き」というところは外せなかったので(笑)、よりすぐりの曲が詰まっているという意味で『ハラミ定食』と名付けさせていただきました。
──収録曲の選曲や曲順はどう考えたんでしょうか?
ハラミちゃん 選曲に関しては、まずYouTubeで人気の曲はファンの方も望んでますし、自分も何度も弾いてきた曲が多いので、それを中心にして。あとは個人的に思い入れのある曲ですね。例えば、「ロビンソン」を入れてるんですけど、母がスピッツがすごく好きなんですね。音楽を好きになったのも、音楽好きの母が家や車の中でかけていたことの影響が大きかったので、そういう意味で入れたりとか。曲順については、フルで聴いたときにテンションの波とか、聴いてる人の感情の波をどうすればいいのかなというのを中心に考えました。スタッフさんといろんなパターンを試し聴きして、「これが一番しっくりくるね」というものを選んだ感じですね。
『ハラミ定食』全曲解説!
──ではアルバムの1曲目から解説をお願いしたいんですが、まず「前前前世」ですね。これはそもそものスタートになった曲ですが。
ハラミちゃん はじまりの曲ですね。これは映画「君の名は。」の主題歌ですけど、歌詞の内容が運命的というか、決まっていたことがついに動き出した、という感覚の言葉が多くて、勝手ながら自分とちょっと重なるというか。
──まさにこれから動き出すことへの期待感が感じられますね。
ハラミちゃん こういう時期にストリートピアノに出会って、こんなことになってるということ自体に、この歌詞と重なる部分が感じられたんですね。そういう部分を心で歌いながら、自分の中で心がけながら弾きました。あと、全体的には元気な曲なんですけど、メロディーが繊細というか、ちょっとやわらかい歌詞とメロディーだったりするので、力強くなりすぎないように気をつけました。パワーで押し切るのではなくて、繊細に柔らかく弾くように気をつけた感じです。
──次は「LOVE PHANTOM」ですね。あの壮大なイントロの再現力がすごいなと思いました。
ハラミちゃん そうですね。イントロに続く、右手の「ピロピロピロ」という音が素敵な曲なので、そこはちゃんと強調できるように弾きました。あとは曲の構成も原曲に忠実にアレンジさせていただいていて、あの松本孝弘さんのリフもちゃんとピアノとして違和感がないように入れ込むのは意識しました。
──「ロビンソン」については先ほども出ましたが。
ハラミちゃん これに関しては、「何も考えない」ということを考えていたというか(笑)。「前前前世」や「LOVE PHANTOM」みたいにテーマがあって見せどころがあって……という曲と違って、ある意味「普通」というか「日常」というか……あえて真ん中を狙うという感覚で弾いていて。スピッツの草野マサムネさんも、「タイで見つけた『ロビンソン商店』の看板を見て、本当に何気なく作った曲」ということをおっしゃっていたので、すごく感情を入れ込むというよりも、サラッと弾くほうが素敵な楽曲だと思うんですね。なのでそういう部分を意識しました。
──3曲目は「竈門炭治郎のうた」ですね。
ハラミちゃん この曲は自分のYouTubeチャンネルで再生回数が一番多くて、アニメのシーンと一緒に流れるというのがすごく象徴的な曲ですよね。あのシーンを思い浮かべながら聴いてる方も多いと思うので、自分もあのシーンを何度も見ながら練習しました。炭治郎の心情というか、「覚悟した強さ」みたいなものが現れている曲ですよね。抑揚が激しい曲なんですけど、そこに炭治郎の人生というか、彼の経験してきたことが乗っている曲だと思うので、炭治郎の優しくて強い人格を表現できるように抑揚をつけて弾きました。自分も「鬼滅の刃」にはハマってます(笑)。
──次は「天城越え」ですね。ここまでで、イントロに個性のある曲がお得意なのかなと感じたんですが……。
ハラミちゃん ああ、意識はしてなかったけど、そうかもしれないですね(笑)。この曲は確かにイントロが象徴的ですよね。自分の中で、「演歌×ピアノ」って思ったよりも相性がいいとすごく思ってるんですね。原曲のタメとか微妙なテンポのズレとかが好きで、微妙な「揺れ」とか「ズレ」が演歌の美しい部分なので、ピアノでそれをいかに出せるか。テンポ通りにサラッと弾くよりも、ちょっとタメたり走ったりするっていう加速・減速の部分を、石川さゆりさんの素敵な歌声になりきって弾きました。
──次は「M」ですね。これはもともと、原曲がピアノで始まる曲ですが。
ハラミちゃん 確かにピアノで始まって、バラードの名曲というイメージが大きいと思うんですけど、自分の中では「バラード」というよりはあくまで「ロックの曲」なんですね。この曲はバラード・バラードした感じにアレンジしてカバーされる方が多いんですけど、ギターの歪みとか歌唱の感じとかを聴くと、やっぱりロックなリズムとかリフとかが入ってるのが、よりエモーショナルだと思うんですよね。だからバラードらしくゆっくりと弾くよりも、ロックの強さもありつつメロディーがすごく切ないというのを表現したくて、両方の兼ね合いを出せるようにアレンジしました。
──7曲目は「366日」。
ハラミちゃん 追加で収録した「竈門炭治郎のうた」を除くと、この曲が最後のレコーディングだったんです。なぜ最後にしたかというと、めちゃくちゃカロリーが高いというか、すごく感情がえぐられる曲で。歌詞の内容も大失恋がテーマで、「彼が忘れられない」という曲なので、自分の過去の恋愛を思い出したりもして。「あの人が忘れられない」という気持ちって、本当に大きなエネルギーというか、強い力が働いてると思うので、大きなスケールで聴けるように意識しましたね。大きな波動が生まれるような。ポロポロ泣いてるというよりは、大号泣というか。「忘れられなくても、前に進むよ」というのではなくて、別れたばっかりで号泣してるようなイメージで弾いた曲です。
──続いては「ロマンスの神様」ですね。ここで一気に元気になる感じですが。
ハラミちゃん バラードが続いたので、ここからは自分の中で第2部というか、新しい世界が始まるようなイメージで選ばせていただきました。これは広瀬香美さんとコラボさせていただいたときに弾いた曲でもあるんですよ。コラボが決まってから当日まで「あと何日」ってカウントダウンしながら練習していた記憶が強く残っていて(笑)、それを思い出しながら、再度アレンジさせていただきました。香美さん自身が作詞・作曲されてて、リズム感がメチャクチャ必要とされる曲なんですよね。さっきの演歌でいう「タメ」とかが入ると崩れてしまうような。だから逆にタイトにリズムが進むように意識しながらアレンジしました。あとレコーディング当日は、香美さんとのハッピーな思い出を呼び起こしながら弾いたほうがいい曲に仕上がると思ったので、コラボのときに撮らせていただいた2ショット写真を譜面台に置いて、当時のことを思い出しながら弾きました(笑)。
──次は「千本桜」です。
ハラミちゃん この曲はハラミちゃんの活動の中で、ライブ配信とかストリートピアノなどで一番回数を弾いてる曲なんですね。だから指は慣れてるんですけど、ストリートピアノでは尺を短くして弾くことが多くて、間奏の速弾きだったりっていう見せ場の部分をあえて削らなきゃいけなかったりしたんですよ。でも今回はCDだからフルで入れられるので、間奏の速弾きの部分も再アレンジさせていただきました。やっぱり疾走感というか、桜吹雪が舞ってる情景のスピード感が大事な曲だと思うので、桜とともに風が巻き起こってるようなイメージで。ここは原曲通りというよりも、自分のイメージをちょっと混ぜて、指の速さとか魅力が伝わるようなアレンジにしました。
──10曲目、「シングルベッド」。
ハラミちゃん これも失恋というか、男の未練の曲ですね。Bメロからサビに行く前に、実は楽器だけのキメのフレーズがあるんですよ。そこに失恋の全てが詰まってるというか、あえて歌詞が乗ってない部分、歌がない部分にすごく素敵な、メロディアスで心に訴えるようなフレーズがあるんですよ。つんく♂さんのボーカルのクセとかを入れ込むのはもちろん、声以外の楽器隊やギターソロ部分も切なくなるように心がけてアレンジしました。
──次が「PIANO MAN」。唯一の洋楽カバーであり、これはタイトル通りピアノそのものの曲ですよね。
ハラミちゃん 私がよく弾いている東京都庁って、外国人の方が多くて、洋楽をリクエストされて弾く機会も多かったんですね。だから今回も1曲は洋楽から選びたいなと思ってて、悩んだんですけど、ピアノと抜群に相性がいいということもあって選ばせていただきました。でも原曲がピアノなだけに、より難しくて(笑)。ごまかしがきかないというか、いくらでも原曲に忠実にできるし、逆にアレンジしようと思えばいくらでもできちゃうので、どの案配でいくか、このアルバムで一番悩んだ曲だし、時間も一番かかりました。あと洋楽って、けっこう繰り返しが多いんですよ。邦楽だと展開していくところを、洋楽だとずっと同じようなフレーズが繰り返されるんですね。もちろんそこにビリー・ジョエルさんの歌声が乗るんですけど、それをピアノだけで再現すると、けっこう退屈な曲になっちゃうなと思って。だから原曲よりも抑揚をより強調しましたね。同じフレーズの繰り返しでも、一番目は普通に弾いて、次はちょっと落として……とか。そうやって原曲よりも自分の中で展開を作って、表現した感じですね。
──アルバムのラスト2曲、「Forever Love」と「紅」は唯一、同じアーティストの曲が並びますね。
ハラミちゃん 私のYouTubeチャンネルがバズった一番のきっかけが「紅」で、その次が「Forever Love」なんですね。それぐらいX JAPANの人気が根強いので、激しい曲と不朽のバラードの2曲は絶対に入れたいなと思ってたんですね。入れるならバラバラよりも続けて聴いていただいたほうが、より没頭していただけるかなと思って、あえて最後に連続で入れさせていただきました。
──どちらもやはりドラマチックな流れの曲ですよね。特に「紅」などは荘厳なイントロに始まって劇的に速くなるという。
ハラミちゃん 自分の中でも、感情を込めやすいので自然とこういう曲を選んでいるのかもしれないですね。どんなに速弾きの曲でも、その曲の情景とか感情というのは必ずあって、その曲がたまたま速いだけというとらえ方をしていて。だから速い中にも感情を入れるということを大切にしていて、特に「紅」はメタルというかトゲトゲしたイメージがあると思うんですけど、実はXJAPANさんの歌って歌詞もメロディーもすごく繊細なんですよ。そこはもしかしたら「前前前世」と似てるのかもしれないんですけど。だから、ただただ激しくパワーで押し切るのではなく、激しい中にもメロディアスな部分とか、TOSHIさんの歌声の特徴的な部分だったりビブラートだったりを込められるように気をつけて弾きました。そして今回はフル尺だったので、HIDEさんのギターソロにも初チャレンジさせていただいてるんですね。ピアノに落とし込める限りの音を詰め込んだので、そこにもぜひ注目していただきたいです。
初のホールコンサート、そしてこれからの目標とは?
──さて先日、8月13日に中野サンプラザで初のホールコンサートが開催されることが発表されました。昨年12月に初のワンマンライブを経験されて、その後はコロナウイルスの影響でライブが中止になったりもしていたので、意気込みもかなりなものではないかと思いますが。
ハラミちゃん そうですね。コロナが流行り始めて、ストリートピアノすらできない状況が続いていたので、このライブの準備を進めていくにあたっては、やれるのか、やれないのか、本当に不安な日々が続いていました。スタッフの方々とは、どうやったら実現できるのかを何度も話し合って、今回は50%ライブということで密にならない状態で開催が決定して。お米さんの前で弾けるのは2月以来なので半年ぶりなんですよね。その喜びは本当にメチャクチャ大きいです。しかも中野サンプラザっていう、有名なホールでできるという部分が信じられないです。その喜びを噛み締めながら、半年ぶりという喜びも噛み締めながら……という感じですね。
──ホールとなると、ストリートピアノとはまた違いますよね?
ハラミちゃん 「しっかり聴かせる」という部分では本当に違いますね。ストリートピアノって、「1人5分」って決まってたり、次の人が待ってるっていう状況があったりして……それはそれで楽しいんですけど……ホールだと自分だけの空間で、自分のためだけの時間で、自分の音を、聴いてほしい人にちゃんと聴かせるという部分では、精神状況も、自分のとらえ方も違います。あと、音も音響もいいですからね。ストリートピアノって、音も音響もすごくいいというわけではないですからね。そういう意味ではYouTubeともストリートピアノとも違う、一つ一つクリアーな音を伝えられるので、伝えたいものがより濃く届けられると思います。
──アルバム、コンサートと大きな話題が続きますが、ここからやっていきたいことというのは?
ハラミちゃん 自分は2つのことを同時にやっていこうと思ってるんですね。一つは認知度を上げること。それはYouTubeはもちろん、他のイベントとかメディアとかでも、ハラミちゃんという人物を通してピアノの楽しさを広く伝えていきたいという思いが強いですね。もう一つは、身近であり続けることを大切にしたいなと。「YouTubeとかストリートピアノをやってたけど、最近のハラミちゃんはすごく遠くなっちゃったよね」って言われるんじゃなくて(笑)、もっと知られるようになってもストリートピアノはやり続けていきたいんですよね。「フラッと来てフラッと帰る」っていうスタンスは変えたくないというか。そうすることによって、ピアノをより身近に感じてもらえると思うので。「認知度を上げること」と「身近であり続けること」の2つは続けていきたいですね。
──立ちたい舞台などはありますか?
ハラミちゃん ありがちですけど、日本武道館とかはやっぱり憧れますね。インスト業界って、日本ではもっともっと盛り上がっていいと思っていて。自分が思うインストの一番素晴らしいところって、メロディーの素晴らしさだとか音の素晴らしさだとかが直に人の心に入ってくるところだと思うんですよね。ピアノのシンプルな音色が、ときには歌声よりも心の核に響く部分があると思っていて、それこそ音楽療法にはピアノの音が使われていたりしますよね。ピアノの、シンプルで核を突いてくるような部分が素敵だと思ってるんですけど、そこはまだまだ広められると思っているし、ハラミちゃんを通してそういう魅力に気づいてもらえるような存在になれたらなと思ってます。ピアノを身近にする存在であるということと、ピアノの楽しさ、素晴らしさをもっと伝えていきたいというのが目標ですね。
──では最後に、読者の皆さんへのメッセージをいただけますか?
ハラミちゃん 今回のアルバムは13曲あって、1曲も知らないという方はたぶん誰もいないだろうというぐらい、有名だったり皆さんにとって思い出になってるような曲が1曲ぐらいは入ってる確率が高いと思うので、ピアノでアレンジした曲を通して、ピアノの音色の素晴らしさが伝わったらうれしいですね。原曲とは違ったよさがあると思うので、原曲が好きという方も、「ピアノの音色ってどういう響きなんだろう」ということに興味を持ってもらえたら、とてもうれしいです。そしてお米さんに対しては、自分がこのアルバムを出せたのは、お米さんのおかげだと思ってます。もちろんスタッフさんとか関係者の方にもお世話になってるんですが、「ハラミちゃんの音が聴きたい」という皆さんの後押しが、自分がピアニストになれたきっかけでもあるし、このアルバムを出せた理由でもあると思うので、「出せた」という感謝の気持ちを音に込めました。なので、それを受け取っていただけたらと思います。
──ありがとうございました!
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- WRITTEN BY高崎計三
- 1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。