FAKY×ボカロ!? 話題のホラー映画「牛首村」キャンペーンソング「ふたこ糸」とは?
昨年はシングルを6枚リリースして精力的に活動したFAKYが、2022年のスタートを告げるニューシングル「ふたこ糸」をリリースした。今回の楽曲は、モデルとして活躍するKōki,の女優デビュー&初主演作ということでも話題になっている2月18日(金)公開のホラー映画「牛首村」のキャンペーンソング。近年注目が高まる一方のボカロシーンで活躍する新進ボカロPのAqu3ra(アクエラ)が作詞作曲プロデュースを担当している。ボカロとダンスは一見ミスマッチのように思える組み合わせだが、FAKYの5人は新曲をどのように表現したのか。2月23日(水)に行われる5人体制になってから初めての有観客ワンマンライブへの思いや、5人それぞれの2022年の目標など、今のFAKYを語ってもらった。
「FAKY・ミーツ・ボカロP」の効果とは?
──まずは映画「牛首村」を観た感想から教えてください。
Hina 私はホラーが苦手なんですけど、今回は「村」シリーズの中でも人間ドラマが濃くて、複雑なストーリーが重なっていたので、ホラー以外の要素も非常に面白かったです。ただ、やっぱり怖いものは怖くて一人じゃ観られないから、今回も5人で超キャーキャー言いながら観ることが出来てよかったです。
──新曲「ふたこ糸」は、ボカロPのAqu3raが作詞作曲プロデュースを務めています。どのように制作が始まったんでしょうか。
Lil’ Fang 今回のお話を頂いたときに、前回の「樹海村」のときと同じアプローチをやっても新鮮味がないし、私たちの成長にもならないと考えて、ボカロPのAqu3raさんにプロデュースして頂く話になったんです。Aqu3raさんもガールズユニットのプロデュースはやったことがないということだったので、初めて同士で面白い化学反応になるんじゃないかって。
──Aqu3raの起用はメンバーからの発案ですか?
Lil’ Fang スタッフさんからの提案です。以前、GeGさんにプロデュースして頂いた「ダーリン」の時もそうでしたが、“プロデュースもの”は先方にお任せすることが正しいと思っているので、今回はAqu3raさんらしさを私達がどう表現できるか?っていうところに注力しました。
──「歌い手」のようなスタンス。
Lil’ Fang まさに。「歌ってみた」みたいな気持ちで純粋に楽しめる制作でした。
──ダンス&ボーカルグループとボカロPというコラボは、一見ミスマッチのように思えたんです。機械的な楽曲と感情的なダンスが合うのか?っていう。
Lil’ Fang ですよね?
──そこはどのように考えていましたか?
Lil’ Fang 私は元々ボカロのカルチャーも好きなので、ダンス&ボーカルとの整合性ってどこにあるんだろう?と思って。一瞬、「ほぉ」ってなりました。
──その「ほぉ」ってどんな感じ?(笑) クエスチョンマークが浮かぶ感じ? それとも納得がいく感じ?
Lil’ Fang ヒップホップもそうだと思うんですけど、当初はそのカルチャーが根付いてる人しかやっちゃいけない、みたいな閉じられた雰囲気があったじゃないですか。でも今は市民権を得てヒップホップがメインストリームに進出してる。私は今よりも閉じられていた頃からボカロ作品とか「歌ってみた」動画を見てたんです。でも、ボカロ作品も、ヒップホップと同じで、今は市民権を得てる。
──米津玄師さんをはじめ、ボカロで楽曲を作っていた人たちが音楽のメジャーシーンで活躍するようになってきましたからね。昨年もAdoがヒットしたり、「紅白歌合戦」にまふまふが出場したり。
Lil’ Fang それをFAKYに上手く採り入れられたら面白いなと思ったんです。それって自分たちだけではできないことだし、そっちのカルチャーを持つ方と一緒にやらないと全く意味がないことだと思ったから、「ほぉ」と思ったんです。
──今回の楽曲を初めて聴いたときの印象を教えてください。
Mikako 第一印象は「楽しみだな」でした。FAKYとしてどう表現できるんだろう、この5人で歌ったらどうなるんだろう?っていうワクワク感がありました。
Hina FAKYは作品毎に違う面を出してきましたけど、その中でもまた新しい顔が見せられそうだなって思いました。この角度だと本当に全然違うチャレンジができそうだなって。
Taki 私は、最初、「いつ英語が来るかな-?」と思いながら聞いてたんです。「いつ来るかなー?」「聴き逃さないようにしなきゃなー」と思ってたら、まったく出てこなくて、「あ、終わった」と思って(笑)。「今回は勉強が長くなるな」っていうのが本当の第一印象でした。
Hina 実際めっちゃ練習してましたから、Takiは。
──しかも、今回は難しい日本語だし。
Lil’ Fang そう。私達でも言わないような日本語。
Taki でも、キャッチーだから意外とそんなに大変じゃなかったですね。覚えやすかった。
──Akinaは、今回の楽曲をどう聞きましたか?
Akina イントロはダークなんですけど、Aメロが始まって「明るくなった」と思ったら、サビに入って「お、さらにめっちゃ明るいじゃん」って。どんどん上がっていく感じの曲だなって思いました。聴いてて全然飽きないなって。
Lil’ Fang 私は、マジで、みんなの声をどう録ろうか悩みました。どのアプローチでレコーディングしようかなっていうのが最初に浮かんだこと。というのも、ボカロ曲として成立してたから、これをどうFAKYに落とし込もうって。
5人がチャレンジした歌い方とは?
──デモのボーカルは人間の声ではなく、ボカロだったんですか?
Lil’ Fang そうです。(初音)ミクさんでした。
──じゃあ、なおさらボカロ曲として聞いちゃいますね。
Lil’ Fang そうなんです。だから、まず私が最初から最後まで歌ってガイドを録るところから始めて。メンバー全員、技術的にいろんなアプローチができるし、誰がどこに来ても歌えるんですよ。で、今回の曲は、歌う人間をちょっと変えるだけで曲の印象がガラッと変わるんですよ。これはどうしたものか?と思って。
──ボカロ曲は機械的なぶん、歌い手によってイメージがガラッと変わりますしね。結局、どのようにレコーディングを進めたんですか?
Lil’ Fang 結局、それぞれが歌いやすい歌い方で歌ってもらうのが正解だなと思って、歌い分けのバランスはあまり考えずにバーッとハメていきました。そしたら、たとえばフックはMikako・Hina・Takiの3人と、私・Akinaの2人のヴァイブスがちょうど合ってたんで、それを前後半に分けようと。
──前半チームの3人は、持ち前の声と相性が良いというか、良い意味で無機質な感じがあって曲調にマッチしてると思いました。
Lil’ Fang うんうん。
──逆にLilとAkinaはエモーショナルなボーカルを得意としているから、こういうメロディーや曲調は手こずったんじゃないかと思ったんです。
Lil’ Fang 実際難しかったですね。
Akina 私もメロディーが細かくて、めちゃくちゃチャレンジでした。
Lil’ Fang その点に関しては、言い方が難しいけど、正しい歌い方をするというか。R&Bなどは自分的アレンジの連続だったりするわけじゃないですか。正しいことがないというか。けど、ボカロは正しいことをすることが正解に近づく早道というか。
──“正しい歌い方”というのは、自分的な味付けをしないということ?
Lil’ Fang そんなこともないんですよね。MikakoとHinaとTakiは、ひとりずつ聞くと、声質はまったく違っていたり、歌い方も結構違うんです。だけど、しっかりメロディーを覚えているから、3人一緒にするとぴたっと合う。タイミングがばっちりハマるんです。
──規則性が生まれるというか。
Lil’ Fang 3人のタイミングは機械で揃えたりしてないんですよ。だけど、合わせて聴いた時に「こんなに揃うんだ」って思ったくらいピタッと合う。そこにウチら2人が入ると邪魔というか(笑)。だから、私とAkinaは、あえて思い切り合わせない方向に舵を切ったんです。3人がばっちり合ってるぶん、こっち2人は好き勝手にやるっていう。
──結果、LilとAkinaのボーカルが楽曲に人間味を付加してますよね。特にブリッジの部分とか。
Lil’ Fang そう。そういうふうにしてバランスが取れればいいなって。けど、今回の曲は特にTakiがハマってると思いました。日本語のつたない感じが超かわいい。
タイトル「ふたこ糸」の意味とは……
──今回の歌詞は映画の内容に沿って書かれたそうですが、どんな印象を持ちましたか?
Mikako レコーディングの前日に歌詞をずっと読んでたんですけど。そのときに私と遠く離れている誰かとの心の距離を歌いたいと思ったんです。歌詞には「シンパシー」という言葉が出てきますけど、今近くにいて言葉を交わして思いやるんじゃなく、見えない誰かだけど、私はその人のことを思ってる。相手も私のことを思ってる。その心の繋がりを大事にして歌おうと思いました。
Hina 今回の歌詞は、普段使わない言葉がたくさん出てくるから新鮮でした。曲がとてもキャッチーだからホラー映画とうまく繋がるかなと思ってたんですけど、歌詞に出てくる言葉がホラー映画っぽいというか。「契り」とか「罪と輪廻」とか「昔日」とか。そういう言葉が深みになってるなと思って。
──そもそも、今回のタイトルになっている「ふたこ糸」というのは、どのような意味なんですか?
Lil’ Fang 私も歌詞を頂いた時に何だろう?と思って調べたら、2本の糸を撚った糸のことを“ふたこ糸”というそうです。だから、2つで1つなんだけど、2本が複雑に絡み合いつつ、別々のモノとして成立してる。お互いの強さがないと、撚ったとしても意味がないっていう。その「ふたこ糸」の意味を知ったら、この歌詞の内容にもっと「なるほどね」ってなったんです。で、映画を観てからこの曲を聴くと、さらに「ほぉーーー!なるほどね!」ってなると思う。
──タイトルの意味も「なるほど!」っとなる?
Lil’ Fang なります、なります。そうだったんかー!って。
Hina ムチャクチャなります。
Lil’ Fang 私たちは曲を先に作っていたから、映画を観たときに「ほぉー」ってなりましたもん(笑)。歌詞と映画とタイトルのリンクっぷりがすごいので、そこも楽しみにして映画を観てみてください。
──今回の衣装はMikakoがスタイリングに関わっているそうですが、どんなところがポイントですか?
Mikako 映画がホラーというのもあったし、曲を聴いたときに明るくも暗くもない絶妙な曲調だったので、トーンは黒に揃えようっていうところから考えました。でも、黒だけだとFAKYらしさがなくなっちゃうし、どこかにポップな感じを入れたかったので、今回は色というより柄で攻めることにしたんです。それから今回はPROTOTYPE VIDEOを作るんですけど、そのVJ映像とのバランスを考えて、今までよりはちょっと控えめな感じにしつつ、私たちが主役っていうところを考えてスタイリングしました。
──2月23日(水)に行う有観客ワンマンライブ「FAKY LIVE 2022 #nofilter」の開催が迫ってきました。今、どんな気持ちですか?
Taki 私にとっては、お客さんがいるワンマンライブが初めてだから、相変わらず緊張しています。でも、不安もありますがとても楽しみです。
Hina 私はDef Willのときもワンマンをやったことがないので、アーティスト人生で初めての有観客ワンマンなんです。昼公演と夜公演の1日2回公演というのも初めてだから、終わった時にどんな気持ちになるかなって今から楽しみです。
Akina 今ちょうどセットリストを決めてるところなんですけど、思ってる以上に見どころになる場面があって、めちゃくちゃ緊張してるけど、楽しみです。サプライズもたくさんあるし、今までとは全く違うショーを見せられると思います。
──Mikakoはどうですか?
Mikako うれしいですっ!
Lil’ Fang あはは! なんだ、そのザブングルさんみたいな言い方(笑)。
Mikako でも、本当に幸せです。5人になって、やっとファンのみなさんの前でできるライブなので。私たちのことを知ってくれてる、応援してくれている方たちが来てくれる安心感もあるし、ファンのみなさんと同じ空間を直接感じられるんだなって想像するだけで幸せだなって。まだまだ大変な世の中だけど、こうやってライブができるのもありがたいことですし。今回は、もちろん今のFAKYを見せたいんですけど、これまでのFAKYというか、「ここまで来たよ」っていうFAKYをやっと見せられるなって思ってます。
Lil’ Fang 緊張あり、楽しみあり、嬉しさあり、ワクワクありっていうのはみんなと同じなんですけど、いろいろ中身が具体的に決まってきている中で、案外落ち着いてやれてる実感があります。去年、5人で初めてオンラインワンマンをやったときは、アレやらなきゃ!コレやらなきゃ!って気持ち的にバタバタしてたんです。だけど、今回はわりと頭が整理できてる。
──コロナ禍の2年間に行ったオンラインライブ「#WeAreAllHereTogether」「#FAKYWORLD」が糧となっているのでは?
Lil’ Fang なってますね。もっと言うと、4年前の2018年12月にやった4人体制最後のライブ以降は、スタッフさんに助けてもらいながら、自分たちで演出やセットリストを決めてずっとライブをやってたんです。で、去年から新しい演出スタッフさんが加わったんですけど、自分たちだけで走ってきた年月があるからこそ、演出がついても対応できる能力というか、自分たちのこととしてしっかりパフォーマンスできる力がついた。だから、今回もワンマンだからと言って格段に力まなくても、しっかり良いライブができる自信がある。その藻掻いた2年があって良かったなって思います。
──気合いはあるけど、気負いがない。
Lil’ Fang そうです。それは積み重ねがあってこそだなって。もちろん今回のライブはその時点でのベストなものを出すんですけど、終えたらもっとやりたいことが出てきて、もっと良いライブができるようになるんだろうなってことは想像に難くない。そう思ってます。
メンバー5人の2022年の目標は?
──今回の「ふたこ糸」は2022年1発目のシングルです。ということで、最後に、5人それぞれ、今年はどんな1年にしたいか、教えてください。
Taki 2022年は、今まで怖がってやってこなかったこともやっていきたいです。きっとそれは自分の力になってくれるから。もともと自分に自信がなくて、不安がるタイプだから、今年はそれを乗り越えられるように頑張りたいと思ってます。
Akina 私はギターと日本語。その2つに集中して頑張りたいです。
ギターはライブで弾けるくらいまで頑張りたい。日本語はひらがな、カタカナは読んで書けるようになりたいんです。本当にイチから始めようと思って、そのためにドリルをやっていく予定です(笑)。
Lil’ Fang ドリルなんてすぐ買ってあげるよ。今日の帰りに(笑)。
Hina 私も買ってあげる(笑)。
Lil’ Fang けど、最近、カタカナはちょっと読めるようになったもんね。「゜(マル)」と「゛(テンテン)」の違いを覚えてきてる。
Akina そう。今まで仕事に必要なのは会話だけだと勝手に思ってたんですよ。でも台本とか読めるようになりたいし。みんなと同じレベルにはなれないと思うけど、雰囲気を摑むくらいまではいけたらなって。
Lil’ Fang ローマ字で読むと、ちょっとニュアンスが違ったりするからね。
──Hinaの今年の目標は?
Hina 私は、2020年、2021年と与えて頂いたお仕事をこなすことが圧倒的に多かったんですけど、振り返ると、自分で頑張って何かを得るっていうことが足りなかったなと思って。今まではYouTubeの個人チャンネルをスタッフの方と一緒にやってたんですが、今年は撮影・編集も全部自分でやって自分で動かそうと思っています。あとはヨガの資格を今年中に取ろうと。自己発信をするための土台をこの1年、頑張って作ろうと思ってます。
Mikako 私は、いろんな人になるっていう目標があります。ライブでもっといろんな表現の仕方をしたいし、いろんな人を演じたいっていう思いがあって。そういう意味でいろんな人になる。あと1つは、人見知りをなくす。去年の夏くらいから、お仕事で出会った人で「この人すごいな、いいな」と思ったときに、頑張ってなるべく自分から声を掛け始めたら楽しかったんです。それがプライベートの充実に繋がってもいるので、人見知りをなくして、交友関係を広げていくっていうのが目標です。
Lil’ Fang 私は、自分のことでもあるし、FAKYのことでもあるんですけど、去年より良い曲を作りたい。あと単純に曲数を増やしたいですね。みんなでセッションする時間を作って、カタチになったものをもっとたくさん出していきたいです。それから、FAKYというものの中での自分を、より表に出せるようにならないといけないなって思ってます。
「ふたこ糸」2022.02.02 デジタルリリース
映画『牛首村』キャンペーンソング
「FAKY LIVE 2022 #nofilter」
日程:2022年2月23日(水・祝)
会場:KANDA SQUARE HALL
<昼公演>開場/開演:14:00/14:30
<夜公演>開場/開演:17:30/18:00
【チケット販売スケジュール】
オフィシャル先着受付 受付期間:11月29日(月)18:00 ~ 12月5日(日)23:59
受付URL:http://r.y-tickets.jp/faky2201_hp2
※受付対象席種は、一般チケット(指定席)のみとなります。
※先着順のため規定数に達し次第受付は終了となります、お早めにお申し込みください。
【チケット代】
一般チケット(指定席) 5,800円(税込)
※入場時にドリンク代500円必要
※4枚/1名まで
※未就学児未満は無料(膝上鑑賞)。未就学児以上有料。
■一般チケット(指定席)について
<内容> ・お見送り付き
【FAKY 公式サイト】
https://faky.jp/sp/
【FAKY 公式Instagram】
https://www.instagram.com/fakyjp/
【FAKY 公式Twitter】
https://twitter.com/FAKYjp
【FAKY 公式Facebook】
https://www.facebook.com/FAKYjp/
【FAKY モバイルファンクラブ情報】
https://fanicon.net/fancommunities/1942
「FAKY・ミーツ・ボカロP」の効果とは?
──まずは映画「牛首村」を観た感想から教えてください。
Hina 私はホラーが苦手なんですけど、今回は「村」シリーズの中でも人間ドラマが濃くて、複雑なストーリーが重なっていたので、ホラー以外の要素も非常に面白かったです。ただ、やっぱり怖いものは怖くて一人じゃ観られないから、今回も5人で超キャーキャー言いながら観ることが出来てよかったです。
──新曲「ふたこ糸」は、ボカロPのAqu3raが作詞作曲プロデュースを務めています。どのように制作が始まったんでしょうか。
Lil’ Fang 今回のお話を頂いたときに、前回の「樹海村」のときと同じアプローチをやっても新鮮味がないし、私たちの成長にもならないと考えて、ボカロPのAqu3raさんにプロデュースして頂く話になったんです。Aqu3raさんもガールズユニットのプロデュースはやったことがないということだったので、初めて同士で面白い化学反応になるんじゃないかって。
──Aqu3raの起用はメンバーからの発案ですか?
Lil’ Fang スタッフさんからの提案です。以前、GeGさんにプロデュースして頂いた「ダーリン」の時もそうでしたが、“プロデュースもの”は先方にお任せすることが正しいと思っているので、今回はAqu3raさんらしさを私達がどう表現できるか?っていうところに注力しました。
──「歌い手」のようなスタンス。
Lil’ Fang まさに。「歌ってみた」みたいな気持ちで純粋に楽しめる制作でした。
──ダンス&ボーカルグループとボカロPというコラボは、一見ミスマッチのように思えたんです。機械的な楽曲と感情的なダンスが合うのか?っていう。
Lil’ Fang ですよね?
──そこはどのように考えていましたか?
Lil’ Fang 私は元々ボカロのカルチャーも好きなので、ダンス&ボーカルとの整合性ってどこにあるんだろう?と思って。一瞬、「ほぉ」ってなりました。
──その「ほぉ」ってどんな感じ?(笑) クエスチョンマークが浮かぶ感じ? それとも納得がいく感じ?
Lil’ Fang ヒップホップもそうだと思うんですけど、当初はそのカルチャーが根付いてる人しかやっちゃいけない、みたいな閉じられた雰囲気があったじゃないですか。でも今は市民権を得てヒップホップがメインストリームに進出してる。私は今よりも閉じられていた頃からボカロ作品とか「歌ってみた」動画を見てたんです。でも、ボカロ作品も、ヒップホップと同じで、今は市民権を得てる。
──米津玄師さんをはじめ、ボカロで楽曲を作っていた人たちが音楽のメジャーシーンで活躍するようになってきましたからね。昨年もAdoがヒットしたり、「紅白歌合戦」にまふまふが出場したり。
Lil’ Fang それをFAKYに上手く採り入れられたら面白いなと思ったんです。それって自分たちだけではできないことだし、そっちのカルチャーを持つ方と一緒にやらないと全く意味がないことだと思ったから、「ほぉ」と思ったんです。
──今回の楽曲を初めて聴いたときの印象を教えてください。
Mikako 第一印象は「楽しみだな」でした。FAKYとしてどう表現できるんだろう、この5人で歌ったらどうなるんだろう?っていうワクワク感がありました。
Hina FAKYは作品毎に違う面を出してきましたけど、その中でもまた新しい顔が見せられそうだなって思いました。この角度だと本当に全然違うチャレンジができそうだなって。
Taki 私は、最初、「いつ英語が来るかな-?」と思いながら聞いてたんです。「いつ来るかなー?」「聴き逃さないようにしなきゃなー」と思ってたら、まったく出てこなくて、「あ、終わった」と思って(笑)。「今回は勉強が長くなるな」っていうのが本当の第一印象でした。
Hina 実際めっちゃ練習してましたから、Takiは。
──しかも、今回は難しい日本語だし。
Lil’ Fang そう。私達でも言わないような日本語。
Taki でも、キャッチーだから意外とそんなに大変じゃなかったですね。覚えやすかった。
──Akinaは、今回の楽曲をどう聞きましたか?
Akina イントロはダークなんですけど、Aメロが始まって「明るくなった」と思ったら、サビに入って「お、さらにめっちゃ明るいじゃん」って。どんどん上がっていく感じの曲だなって思いました。聴いてて全然飽きないなって。
Lil’ Fang 私は、マジで、みんなの声をどう録ろうか悩みました。どのアプローチでレコーディングしようかなっていうのが最初に浮かんだこと。というのも、ボカロ曲として成立してたから、これをどうFAKYに落とし込もうって。
5人がチャレンジした歌い方とは?
──デモのボーカルは人間の声ではなく、ボカロだったんですか?
Lil’ Fang そうです。(初音)ミクさんでした。
──じゃあ、なおさらボカロ曲として聞いちゃいますね。
Lil’ Fang そうなんです。だから、まず私が最初から最後まで歌ってガイドを録るところから始めて。メンバー全員、技術的にいろんなアプローチができるし、誰がどこに来ても歌えるんですよ。で、今回の曲は、歌う人間をちょっと変えるだけで曲の印象がガラッと変わるんですよ。これはどうしたものか?と思って。
──ボカロ曲は機械的なぶん、歌い手によってイメージがガラッと変わりますしね。結局、どのようにレコーディングを進めたんですか?
Lil’ Fang 結局、それぞれが歌いやすい歌い方で歌ってもらうのが正解だなと思って、歌い分けのバランスはあまり考えずにバーッとハメていきました。そしたら、たとえばフックはMikako・Hina・Takiの3人と、私・Akinaの2人のヴァイブスがちょうど合ってたんで、それを前後半に分けようと。
──前半チームの3人は、持ち前の声と相性が良いというか、良い意味で無機質な感じがあって曲調にマッチしてると思いました。
Lil’ Fang うんうん。
──逆にLilとAkinaはエモーショナルなボーカルを得意としているから、こういうメロディーや曲調は手こずったんじゃないかと思ったんです。
Lil’ Fang 実際難しかったですね。
Akina 私もメロディーが細かくて、めちゃくちゃチャレンジでした。
Lil’ Fang その点に関しては、言い方が難しいけど、正しい歌い方をするというか。R&Bなどは自分的アレンジの連続だったりするわけじゃないですか。正しいことがないというか。けど、ボカロは正しいことをすることが正解に近づく早道というか。
──“正しい歌い方”というのは、自分的な味付けをしないということ?
Lil’ Fang そんなこともないんですよね。MikakoとHinaとTakiは、ひとりずつ聞くと、声質はまったく違っていたり、歌い方も結構違うんです。だけど、しっかりメロディーを覚えているから、3人一緒にするとぴたっと合う。タイミングがばっちりハマるんです。
──規則性が生まれるというか。
Lil’ Fang 3人のタイミングは機械で揃えたりしてないんですよ。だけど、合わせて聴いた時に「こんなに揃うんだ」って思ったくらいピタッと合う。そこにウチら2人が入ると邪魔というか(笑)。だから、私とAkinaは、あえて思い切り合わせない方向に舵を切ったんです。3人がばっちり合ってるぶん、こっち2人は好き勝手にやるっていう。
──結果、LilとAkinaのボーカルが楽曲に人間味を付加してますよね。特にブリッジの部分とか。
Lil’ Fang そう。そういうふうにしてバランスが取れればいいなって。けど、今回の曲は特にTakiがハマってると思いました。日本語のつたない感じが超かわいい。
タイトル「ふたこ糸」の意味とは……
──今回の歌詞は映画の内容に沿って書かれたそうですが、どんな印象を持ちましたか?
Mikako レコーディングの前日に歌詞をずっと読んでたんですけど。そのときに私と遠く離れている誰かとの心の距離を歌いたいと思ったんです。歌詞には「シンパシー」という言葉が出てきますけど、今近くにいて言葉を交わして思いやるんじゃなく、見えない誰かだけど、私はその人のことを思ってる。相手も私のことを思ってる。その心の繋がりを大事にして歌おうと思いました。
Hina 今回の歌詞は、普段使わない言葉がたくさん出てくるから新鮮でした。曲がとてもキャッチーだからホラー映画とうまく繋がるかなと思ってたんですけど、歌詞に出てくる言葉がホラー映画っぽいというか。「契り」とか「罪と輪廻」とか「昔日」とか。そういう言葉が深みになってるなと思って。
──そもそも、今回のタイトルになっている「ふたこ糸」というのは、どのような意味なんですか?
Lil’ Fang 私も歌詞を頂いた時に何だろう?と思って調べたら、2本の糸を撚った糸のことを“ふたこ糸”というそうです。だから、2つで1つなんだけど、2本が複雑に絡み合いつつ、別々のモノとして成立してる。お互いの強さがないと、撚ったとしても意味がないっていう。その「ふたこ糸」の意味を知ったら、この歌詞の内容にもっと「なるほどね」ってなったんです。で、映画を観てからこの曲を聴くと、さらに「ほぉーーー!なるほどね!」ってなると思う。
──タイトルの意味も「なるほど!」っとなる?
Lil’ Fang なります、なります。そうだったんかー!って。
Hina ムチャクチャなります。
Lil’ Fang 私たちは曲を先に作っていたから、映画を観たときに「ほぉー」ってなりましたもん(笑)。歌詞と映画とタイトルのリンクっぷりがすごいので、そこも楽しみにして映画を観てみてください。
──今回の衣装はMikakoがスタイリングに関わっているそうですが、どんなところがポイントですか?
Mikako 映画がホラーというのもあったし、曲を聴いたときに明るくも暗くもない絶妙な曲調だったので、トーンは黒に揃えようっていうところから考えました。でも、黒だけだとFAKYらしさがなくなっちゃうし、どこかにポップな感じを入れたかったので、今回は色というより柄で攻めることにしたんです。それから今回はPROTOTYPE VIDEOを作るんですけど、そのVJ映像とのバランスを考えて、今までよりはちょっと控えめな感じにしつつ、私たちが主役っていうところを考えてスタイリングしました。
──2月23日(水)に行う有観客ワンマンライブ「FAKY LIVE 2022 #nofilter」の開催が迫ってきました。今、どんな気持ちですか?
Taki 私にとっては、お客さんがいるワンマンライブが初めてだから、相変わらず緊張しています。でも、不安もありますがとても楽しみです。
Hina 私はDef Willのときもワンマンをやったことがないので、アーティスト人生で初めての有観客ワンマンなんです。昼公演と夜公演の1日2回公演というのも初めてだから、終わった時にどんな気持ちになるかなって今から楽しみです。
Akina 今ちょうどセットリストを決めてるところなんですけど、思ってる以上に見どころになる場面があって、めちゃくちゃ緊張してるけど、楽しみです。サプライズもたくさんあるし、今までとは全く違うショーを見せられると思います。
──Mikakoはどうですか?
Mikako うれしいですっ!
Lil’ Fang あはは! なんだ、そのザブングルさんみたいな言い方(笑)。
Mikako でも、本当に幸せです。5人になって、やっとファンのみなさんの前でできるライブなので。私たちのことを知ってくれてる、応援してくれている方たちが来てくれる安心感もあるし、ファンのみなさんと同じ空間を直接感じられるんだなって想像するだけで幸せだなって。まだまだ大変な世の中だけど、こうやってライブができるのもありがたいことですし。今回は、もちろん今のFAKYを見せたいんですけど、これまでのFAKYというか、「ここまで来たよ」っていうFAKYをやっと見せられるなって思ってます。
Lil’ Fang 緊張あり、楽しみあり、嬉しさあり、ワクワクありっていうのはみんなと同じなんですけど、いろいろ中身が具体的に決まってきている中で、案外落ち着いてやれてる実感があります。去年、5人で初めてオンラインワンマンをやったときは、アレやらなきゃ!コレやらなきゃ!って気持ち的にバタバタしてたんです。だけど、今回はわりと頭が整理できてる。
──コロナ禍の2年間に行ったオンラインライブ「#WeAreAllHereTogether」「#FAKYWORLD」が糧となっているのでは?
Lil’ Fang なってますね。もっと言うと、4年前の2018年12月にやった4人体制最後のライブ以降は、スタッフさんに助けてもらいながら、自分たちで演出やセットリストを決めてずっとライブをやってたんです。で、去年から新しい演出スタッフさんが加わったんですけど、自分たちだけで走ってきた年月があるからこそ、演出がついても対応できる能力というか、自分たちのこととしてしっかりパフォーマンスできる力がついた。だから、今回もワンマンだからと言って格段に力まなくても、しっかり良いライブができる自信がある。その藻掻いた2年があって良かったなって思います。
──気合いはあるけど、気負いがない。
Lil’ Fang そうです。それは積み重ねがあってこそだなって。もちろん今回のライブはその時点でのベストなものを出すんですけど、終えたらもっとやりたいことが出てきて、もっと良いライブができるようになるんだろうなってことは想像に難くない。そう思ってます。
メンバー5人の2022年の目標は?
──今回の「ふたこ糸」は2022年1発目のシングルです。ということで、最後に、5人それぞれ、今年はどんな1年にしたいか、教えてください。
Taki 2022年は、今まで怖がってやってこなかったこともやっていきたいです。きっとそれは自分の力になってくれるから。もともと自分に自信がなくて、不安がるタイプだから、今年はそれを乗り越えられるように頑張りたいと思ってます。
Akina 私はギターと日本語。その2つに集中して頑張りたいです。
ギターはライブで弾けるくらいまで頑張りたい。日本語はひらがな、カタカナは読んで書けるようになりたいんです。本当にイチから始めようと思って、そのためにドリルをやっていく予定です(笑)。
Lil’ Fang ドリルなんてすぐ買ってあげるよ。今日の帰りに(笑)。
Hina 私も買ってあげる(笑)。
Lil’ Fang けど、最近、カタカナはちょっと読めるようになったもんね。「゜(マル)」と「゛(テンテン)」の違いを覚えてきてる。
Akina そう。今まで仕事に必要なのは会話だけだと勝手に思ってたんですよ。でも台本とか読めるようになりたいし。みんなと同じレベルにはなれないと思うけど、雰囲気を摑むくらいまではいけたらなって。
Lil’ Fang ローマ字で読むと、ちょっとニュアンスが違ったりするからね。
──Hinaの今年の目標は?
Hina 私は、2020年、2021年と与えて頂いたお仕事をこなすことが圧倒的に多かったんですけど、振り返ると、自分で頑張って何かを得るっていうことが足りなかったなと思って。今まではYouTubeの個人チャンネルをスタッフの方と一緒にやってたんですが、今年は撮影・編集も全部自分でやって自分で動かそうと思っています。あとはヨガの資格を今年中に取ろうと。自己発信をするための土台をこの1年、頑張って作ろうと思ってます。
Mikako 私は、いろんな人になるっていう目標があります。ライブでもっといろんな表現の仕方をしたいし、いろんな人を演じたいっていう思いがあって。そういう意味でいろんな人になる。あと1つは、人見知りをなくす。去年の夏くらいから、お仕事で出会った人で「この人すごいな、いいな」と思ったときに、頑張ってなるべく自分から声を掛け始めたら楽しかったんです。それがプライベートの充実に繋がってもいるので、人見知りをなくして、交友関係を広げていくっていうのが目標です。
Lil’ Fang 私は、自分のことでもあるし、FAKYのことでもあるんですけど、去年より良い曲を作りたい。あと単純に曲数を増やしたいですね。みんなでセッションする時間を作って、カタチになったものをもっとたくさん出していきたいです。それから、FAKYというものの中での自分を、より表に出せるようにならないといけないなって思ってます。
撮影 長谷英史
「ふたこ糸」2022.02.02 デジタルリリース
映画『牛首村』キャンペーンソング
「FAKY LIVE 2022 #nofilter」
日程:2022年2月23日(水・祝)
会場:KANDA SQUARE HALL
<昼公演>開場/開演:14:00/14:30
<夜公演>開場/開演:17:30/18:00
【チケット販売スケジュール】
オフィシャル先着受付 受付期間:11月29日(月)18:00 ~ 12月5日(日)23:59
受付URL:http://r.y-tickets.jp/faky2201_hp2
※受付対象席種は、一般チケット(指定席)のみとなります。
※先着順のため規定数に達し次第受付は終了となります、お早めにお申し込みください。
【チケット代】
一般チケット(指定席) 5,800円(税込)
※入場時にドリンク代500円必要
※4枚/1名まで
※未就学児未満は無料(膝上鑑賞)。未就学児以上有料。
■一般チケット(指定席)について
<内容> ・お見送り付き
【FAKY 公式サイト】
https://faky.jp/sp/
【FAKY 公式Instagram】
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【FAKY 公式Twitter】
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【FAKY モバイルファンクラブ情報】
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- WRITTEN BY猪又 孝
- 1970年、新潟生まれ。音楽ライターとして国産のR&B/
HIP-HOP/歌モノを中心に執筆。 24時間HIPHOP専門ラジオ局「WREP」に放送作家/ ディレクターとして参加中。 共著に15人の著名ラッパーが歌詞の書き方を語る「 ラップのことば」「同2」(SPACE SHOWER BOOKs)。