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仲野温、中村ゆりか

 YouTubeのギリギリ!? 短編ドラマ「晒し愛、こんな夜は誰のせい?」  中村ゆりか、仲野温インタビュー

2023.03.07
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すでに第1話の配信が開始されているYouTubeドラマ「晒し愛、こんな夜は誰のせい?」。港区女子、暴露配信、パパ活、美容手術……と、“今”のリアルなキーワードが詰め込まれた刺激的なストーリーを、衣装や美術までこだわり抜いた演出で送る、斬新な作品になっています。このドラマについて、主人公・林リナ役の中村ゆりかさん、美容外科・陸雅也役の仲野温さんのお二人に、たっぷりお聞きしました!




「私とは生きる世界が違うリナの役に刺激をもらって、楽しんで演技できました」(中村)


──あれっ、仲野さん、印象が……。
 
仲野 はい、つい最近、役作りで坊主にしないといけなくて。一応これでも、陸先生をやらせていただきました(笑)。
 
中村 本読み(初期の段階でキャストが集まって、台本を読み合わせすること)の時にはじめましてだったんですけど、その時は髪がストレートでしたね。初対面でご挨拶した時に、私はその時に年上だと思っていたのですが、撮影に入ったら「いや、僕24歳です」って言われて「えっ、1個下?」ってなりました(笑)。
 
仲野 ホントに最初は全然話しかけてくれなくて、性格的に僕からも話しかけに行けなくて。だから最初はちょっと変な空気があったよね。
 
中村 クランクインの日に陸先生の手術を受けるシーンがありまして、2人とも演じる時はウィッグを着けていたので、お互い余計に違和感があったんですけど、「意外と大丈夫ですね」みたいな会話をしましたね(笑)。
 
仲野 そこぐらいから話せるようになってきたよね。
 
──さて今回の「晒し愛、こんな夜は誰のせい?」ですが、最初にこのストーリーとご自分の役柄に接した時って、どういう印象でしたか?
 


中村 私は正直、「港区女子」ってどういう存在なのかをあまり知らなくて、「港区にいる女子なのかな?」って単純に思ってたんですよ(笑)。でも調べてみたらけっこう深くて、港区界隈でキラキラした生活を送ってる女子のことだったり、職業も掛け持ちしてたりとか、いろんな特徴があることが分かりました。でもこのお話の場合、港区女子と表面上はキラキラしていても、内面に抱えているものがあったり、取り繕ってるというのがあって・・・。

──エピソードごとに、登場人物はいろんなものを抱えてますね。
 
中村 はい。その中で林リナという私の役柄は暴露配信者で、彼女の行為って「復讐」と捉えられがちですけど、実はそうじゃなくて、その裏側を晒すことで、どこか救われる部分もあるんじゃないか、そういうところで正当化している部分もある思います。自分の過去、本当の顔を見せたくないからこそ、そういうことをしているというか・・・。

仲野 僕も、僕自身と陸先生はけっこう真逆で。陸先生は知性があって、男として完成されているんですけど、完璧だからこそまた違うものを求めて、人とは違った趣味に走ってしまうというか。そういう部分が僕とは真逆なんですけど、それを演じられるのが俳優の醍醐味なので、演じさせてもらえるのはすごく楽しみでした。
 
──知性、ありますよね?
 
仲野 いや、僕はないっす!(笑) マジでないんですよ。パワープレイばっかりなんで。
 
中村 趣味とかがTHE「男の子!」って感じで、今どきっぽくないですよね。ビンテージとかバイクが好きだったり、私のお父さんみたい(笑)。
 
──渋好みなんですね。
 
仲野 いやいや、そう言ってもらえたらうれしいですけど、単純に好きなものを集めてたらそっちに寄っちゃっただけで。
 
中村 だから、シルエットとか醸し出す雰囲気も含めて、年上に見えたんですよね。いい意味でですよ。それがひとつ下って分かった時には、「じゃあ!」って感じでした(笑)。
 
仲野 「じゃあいけるね!」って感じだったよね(笑)。

──中村さんは「港区女子」については改めて調べないといけなかったぐらい、もともとのご自分の世界とはかけ離れていたわけですよね。その中でリナに共感する部分というのはありましたか?
 
中村 本来の自分をさらけ出せずにしまい込むことは、もちろん私もありますし、私に限らず他の方も持ってる感情だと思うんですけど、そこは共感できるのかなと思います。
 
──けっこう特殊な役柄なので、今までの作品ではやったことのなかった表情だったり演技だったりというのがあったのでは?
 
中村 今までになかった役柄ではありますね。リナはバーに座ってシーシャ吸って、私生活は謎でちょっと世間を見下してるみたいなキャラクターですけど、私としてはすごくワクワクして、役に刺激をもらいながら楽しんで演技させていただきました。

──陸先生は、1話の最初に患者の写真を見ているシーンで、「ちょっと妙な感じがするぞ」という空気が出てますよね。
 


仲野 そうですね。ドラマの中でも本当に冒頭で、陸先生の第一印象を与えるシーンなので、やり過ぎて匂わせすぎるのもダメだなと思って。相関図的にもちょっと怪しい位置にいる人物だからこそ、そこではあまり見せすぎないようにしようと思って、監督ともそこはけっこう話し合いました。監督としては「陸先生のダークな部分というか、裏の顔がありそうな雰囲気もそこで少し見せたい」ということで、監督と一緒に作ったシーンでしたね。
 
──リナは確かに自分だけ安全圏にいて、ちょっと上からのように見えて、実は……という展開もあるんですよね?
 
中村 そうですね。3話までは他の登場人物たちを暴いて陥れていくんですけど、4話ではリナ自身が……という話になっています。
 
──先ほど手術シーンの話がありましたが、手術室のビジュアルなどいろんなところでお2人のテーマカラーが演出されているとか?
 
仲野 はい。僕が青で、リナが赤なんです。だから僕の手術台は青くて、リナの自宅は赤い照明だったり。その手術のシーンでは2人のイメージカラーが交わる演出もあったりして、そういうところで間接的に伝えるところにも、制作に対するこだわりをすごく感じましたね。
 
中村 こささりょうま監督がとても画にもこだわられていて、その時ふと「この画がほしい」というのが頭に浮かんだら「これを撮りたいです」という感じでした。監督の中で思い描いている世界があったので、私も身を委ねていました。


「キレイにまとめず、ちゃんとリアルなどん底を見せている作品」(仲野)



──個人的に刺さったセリフとか、強く印象に残った場面というのはありましたか?
 
中村 私はいっぱいあって絞れないですね(笑)。セリフというか、1話の「いっそ堕ちてしまえば」とか2話の「全部、令和のせいだ」というサブタイトルがけっこう大事だと思っていて、それぞれの回で違ったメッセージがあって、それをよく表していると思います。
4話のラストに、「この街は足元掬われたら、それで、おしまい」というグッピーさんの台詞がありまして、この登場人物が東京とういう煌びやかな街に憧れを抱き飛び込んだけど、一歩間違えれば人生を狂わしてしまうストーリー展開が、私にとってとても印象的でした。
 
仲野 陸先生はかなりキザなんですけど、僕はそういうのがうまく言えない方なんですよね。そこですごく苦労したんですけど、最後の方で「リナは正義なのかもね」っていうセリフがあるんです。それはかなり核心を突いているなと思ってて。正義って、見方によって変わるじゃないですか。正義の味方が立場を変えれば悪者になったりもして。リナは暴露配信をしてますけど、リナ自身が正義だと思ってやってたら、それは彼女にとっての正義ということなので、そこが作品のテーマにつながるのかなと。この作品って、一人ひとりの正義、自分の求めたものがすごく分かりやすく表現されているからこそ、そのセリフがすごく印象に残りました。
 
──前半を少し見させていただいた中で、「かが屋」の賀屋壮也さん演じるバーのマスター「グッピー」がけっこうカギを握っていそうだなと感じたんですが。
 
中村 どうですかね・・・。ただ、私はグッピーさんが一番怖いなと思ってます(笑)

──撮影の現場はどんな雰囲気だったんですか?

中村 すごくほのぼのとした雰囲気で、ドラマは重いお話ですけど、それとは真逆でした。スタッフさんも穏やかで、いい環境でした。「池山由乃」役の田辺桃子ちゃんは以前から親しかったので、久しぶりに現場で一緒になってテンションも上がって、すごく楽しくやれました。
 
──和やかな現場の空気から深刻なドラマを演じる切り替えは大丈夫だったんですか?



仲野 陸先生の場合はテンションの上がり下がりがあまりなくて、一定な感じなんですよ。それが彼の圧倒的な自信から来てるんですけど。ただ、3話でリナに話しかけるシーンでは自分の中で陸先生の変化を表現したつもりなので、3話が配信されたらそこも確認してもらえればと思いますね。
 
中村 私は割と切り替えができる方だと思ってるので、個人的に難しいことはなかったです。

仲野 僕の中では中村さんってけっこうミステリアスなイメージで、あまりプライベートが分からないような方だと思ってたんです。だから読み合わせの時とかも、自分からは中村さんに質問しなかったんですよ。でも少しして慣れてきたら、すごく現場を盛り上げてくれて。
 
中村 えー、うれしい。褒めてくれた(笑)。
 
仲野 いやいや、マジで。けっこう監督のこだわりが強い作品だったので、押してしまうこととかもあったんですけど、その監督の熱意が伝わっていたので、僕らも「やらせてください」という感じで気持ちよく進んでて。そういう現場の中でも、中村さんはかなり盛り上げてくれてたから、メチャクチャいい座長だなと思いました。
 


中村 励まされました(笑)。でもホントに楽しかったですね。希望を言えば、長編で続きがやれたらいいなと思ってます。まずは今回の全4話を見てほしいんですけど、私は「それ以降」の物語がとても気になるんです。

仲野 ああ、分かる!
 
中村 「えっ、この後どうするの?」って感じで、早く次に進みたいぐらい好奇心をかき立てられますね、特に4話の展開は。もし続編ができるなら、今すぐにでも進めていただきたいです(笑)。
 
仲野 ホントですよ! 僕はいつでもお願いしますという感じで。
 
中村 いやでも、陸先生ってズルいな~とずっと思ってましたよ。
 
仲野 えっ、どういうこと?
 
中村 演技中の間の取り方を、すごく気にしてると思うんですけど、あの絶妙な間とテンポがいいんですよね。あの間って、誰もが作れるものじゃなくて。温君にしか出せないモノがあるから、みんな陸先生の虜になるんじゃないかって思います。
 
仲野 そう言ってもらえるのはすごくうれしいです。
 
──そもそも、陸先生の「美容外科医」という職業が、「欲望に駆られる女たちとたくさん出会える」という点で絶妙な設定ですよね。

仲野 そうですよね。僕は役作りをするのにバックボーンの部分をすごく大切にしてるんですけど、陸先生の場合は一つに絞るのが難しくて、すごく悩みました。いろんなストーリーが想像できるなと思って。ただ、僕の友達ですごく変なヤツが一人いるんですよ。作曲家なんですけど、感性がバグってて。メチャクチャ考え方が気持ち悪いヤツなんですけど、それもソイツからしたら褒め言葉っていう。僕の想像する陸先生が彼にすごく似ていて、役作りをするのにかなり参考にさせてもらいました(笑)。
 
──すでに第1話の配信は始まっていますが、反響はもちろん気になりますよね。
 


仲野 気になりますね! この作品はけっこうYouTubeのギリギリを攻めていると思うし、社会風刺というか、現代の空気をギュッと詰め込んでいるので、僕らも軽い気持ちではやれない作品だったんですよね。責任のある作品だと思うので。それもあって反応がすごく楽しみです。
 
中村 これから作品が世に出て見てくださった人たちの反応はすごく気になります。
 
──リアルにこういう時代を生きている、若い世代の反応も気になりますよね。
 
仲野 確かに。
 
中村 脚本を担当された妹尾ユウカさんは恋愛コラムなども書かれていて、どこまでが実体験なのかは分からないですけど、こういう世界もあるんだなあって思いました。1話から4話までの間で、そういう生々しさのある物語を書いてくださってると思います。もっと広がって、沢山の方々に見てほしいなと思います。

仲野 僕が口下手なので、バッチリまとめてくれてありがとうございます(笑)。
 
──いやいや、仲野さんからも見どころをお聞きしたいです!
 
仲野 マジすか(笑)。全部言ってもらったんですけど……でも本当に、ここまでリアルな部分を見せてくれるドラマってあんまりないと思うし、その中でも何がすごいかって、救いの手が差し伸べられないんですよ。そこがガチにリアルで、現実は普通のドラマみたいに白馬の王子様が助けに来るなんて、あり得ないじゃないですか。この作品は最後キレイにまとめるんじゃなくて、ちゃんとリアルなどん底を見せている作品なんです。そこが(妹尾)ユウカちゃんらしいなと思うし、監督の求めていた空気と相まって、見入ってしまうところがたくさんあると思うので、ぜひたくさんの人に楽しんでもらえたらと思います。
 
──お2人合わせてバッチリです。ありがとうございました!
 
仲野 おし! やったー!(笑)
 
 
撮影 長谷英史

 

「晒し愛、こんな夜は誰のせい?」

初回放送:2023年3月1日20:00~
第二話放送:2023年3月8日20:00~
毎週水曜日20:00~ (全4話)

主題歌:「美しく、憐れ。」「紅い純情」/弓ライカ
作詞:弓ライカ 作曲/編曲:MARIA
https://bio.to/yumiraika_dokujyou
https://youtu.be/fkq8QYh13g4

キャスト:
中村ゆりか
田辺桃子
村上穂乃佳
向里祐香
清水尚弥
樫尾篤紀
宇佐卓真
森下愛里沙
大原梓
つじかりん

結城貴史

仲野温
賀屋壮也(かが屋)


配信ドラマ『晒し愛、こんな夜は誰のせい?』公式サイト
https://dokujyou.com/sarashiai/

『晒し愛、こんな夜は誰のせい?』公式チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC3EgcGChthrrqa7PBkhju1A

『晒し愛、こんな夜は誰のせい?』Twitter
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高崎計三
WRITTEN BY高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。

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