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グラミー賞受賞シンガーソングライター Daya 緊急来日インタビュー!!

2023.01.20
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2015年のデビュー時から、ヒットチャートの順位やMVの再生回数でも早くから大きな反応を得ているアメリカ人シンガーソングライター、Daya(デイヤ)。2016年にはフィーチャリング/ヴォーカルとして参加したザ・チェインスモーカーズの楽曲が大ヒットし、グラミー賞 「Best Dance Recording」部門を受賞したことでも一躍脚光を浴びました。昨年10月には4曲入りEP『In Between Dreams』をリリースした彼女に、大好きだという日本への思い、これまでのキャリアのこと、そしてEPのことなどについてお聞きしました!
 

FAKYのTakiとは仲良し! FAKYとの共演もあるかも?



──来日は3度目と伺いました。サマソニでも来られていますが、冬の日本は初めてですか?
 
Daya そうですね、前回は9月か10月だったと思うので、冬に来るのは初めてだと思います。日本は夏も冬もどちらもいいですね。私はピッツバーグ(アメリカ東部)で生まれ育ったので、寒さには慣れているんですが、冬の日本はイルミネーションや紅葉がすごくキレイですよね。
 
──日本の文化が大好きだそうですね。特にどんなものが?
 
Daya まず食べ物ですね。お寿司も大好きだし、居酒屋にも行きます。ファッションも好きだし、本当に美しい文化だと思います。どれか一つとは言えないぐらい、いろんなものが好きです。それからアニメですね。スタジオジブリ作品、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』や『もののけ姫』などは本当に好きです。すごく細かいディテールにこだわっていて、色合いも美しいですよね。背景は色鉛筆っぽくて、手前ではキャラクターがアニメで動いている様子などは、アーティストとして感銘を受けています。
 
──そのインスピレーションが曲作りに影響している部分もあるんですか?
 
Daya それは本当に思います。10月にリリースしたEPにも「New Romantics」という曲があるんですが、その制作の際には『千と千尋の神隠し』のスチールをスタジオの壁に貼って、ムードの参考になるようにしていました。どの作品もストーリーがすごく深いし、キャラクターも1人1人が際立っているので、影響を受ける部分が多いですね。
 
──これから日本でやりたいこと、行きたいところなどは?
 
Daya 箱根には行ってみたいです。温泉があるところですよね? あとは……都心ばかりにいるので、田園風景を見てみたいです。ネットで見ていると、すごく美しい風景みたいなので。
 
──日本ではFAKYのTakiさんと仲がいいそうですね。
 

Daya そうなんです。昨日もあるメディアのインタビューで彼女たちと一緒になったんですが、本当にかわいいし、特にTakiとは音楽の話をして気が合ったんです。地球の裏側に住む彼女と共感できたのがうれしかったですね。彼女たちはグループで私は1人だったり、音楽のジャンルや形態は違うんですけど、共有できる経験があるのが面白いと思います。
 
──この先、彼女たちと共作や共演をしてみたいという気持ちは?
 
Daya ぜひやってみたいし、実は昨日、そういう話も少ししたんです。1回、ガールズ・グループのメンバーになりたいなと思っていたので(笑)、1曲なのかワンステージなのかは分からないですけど、実現したいですね。
 
──FAKYといえば歌だけでなくダンスも評判ですが、一緒に踊ったりも?
 
Daya それはどうかな(笑)。もしかしたら踊ることもあるかも(笑)。
 
──期待してます(笑)。さて、Dayaさん自身のことも少しお聞きしたいんですが、「Daya」というユニークなアーティストネームの由来は?
 
Daya 私は本名が「Grace」で、graceという言葉は「優雅さ、品位、思いやり」という意味なんですが、それをサンスクリット語に訳したのが「Daya」なんです。祖父と家族の一部がニューデリーに住んでいて、この名前を通してインドにオマージュを捧げたいと思ってつけました。
 
──その名前によって、ある種の無国籍感も出ているのではないかと思うんですが。
 
Daya そうかもしれないですね。アメリカだけとか、そういう風に自分を限定したくないと思っているので。子供の頃から家族旅行で世界のいろんな国を旅していて、それぞれの国の文化を知ってクールだと思っていましたし、今アーティストになって世界中の国の人が私の作った歌を歌ってくれているということにも非常に感銘を受けています。この名前にしたことによってそういう雰囲気も出ていると思うし、ある意味、ミステリアスな感じも出ていて、いいなと思います。
 
──音楽との出会いや、影響を受けたアーティストについて教えてください。
 
Daya 3歳の頃からピアノを弾いていて、そこから他の楽器にも興味が出て、それから演劇をやって、歌うようにもなりました。子供の頃から多く聴いていましたのは、R&Bやフォークの女性シンガーソングライターの曲ですね。特にエイミー・ワインハウス、アラニス・モリセット、ダイドなど、歌詞に荒々しいところもあるアーティストに惹かれました。幼少期から音楽が人生の大きな部分を占めていて、それがなかったら全く違った人生になっていたと思います。
 
──そこからデビューして、早くから高い評価を得て急激に環境が変わったのではないかと思います。そういう部分に戸惑いを感じたりしましたか?
 


Daya 最初は大変でした。というのも、私には経験が全くなかったので。それまでは家の近くのコーヒーショップでライブをする程度だったのが、いきなりトップ40のラジオ局を回るようになり、行く先々でパフォーマンスするということになったので。曲はすでにラジオでかかって勢いづいていたので、その勢いを自分が追いかけていかないといけないというのがあって、それに慣れるのは大変でした。まだ当時は16歳でハイスクールに通っていて、衣装も自分で選び、メイクも自分でやって、生楽器もなくトラックに合わせて歌っていました。それは大変ではあったんですが、その経験があったからこそ、今の自分がいるのも事実です。
 
──ザ・チェインスモーカーズとの共演で、より広く名前が知られるようになりました。そこで感じたこと、得たものというのは?
 
Daya 得たものはものすごく大きかったですね。それまでは、私の曲はアメリカのラジオではかかっていましたが、インターナショナルではまだこれからという状態でした。彼らとコラボすることによって、世界的に知名度が上がったなと感じています。また彼らと一緒にパフォーマンスする機会が増えて、彼らの観客というのはクレイジーで素晴らしい人たちばかりだったので、そこで自分ひとりでは得られなかった経験を勝ち取ることができたし、自分のキャリアの中でも素晴らしい瞬間で、今もすごく感謝しています。
 
──ちょうど日本のサマソニでも、Dayaさんが初めて出た2017年の2年後、ザ・チェインスモーカーズがヘッドライナーで出演していました。確かにジャンルとしては大きく違いますが、それだけに刺激を受けたわけですね。
 
Daya もちろん、刺激は大きかったですね。彼らが私をその世界に招き入れてくれたことによって、私の世界が広がったように思います。それ以後、他のDJやプロデューサーたちと仕事をする機会も増えて、グリフィンやRL グライムとも共演できました。私自身、ハイスクール時代からダンスミュージックを聴くのが好きで、彼らの独特なダンストラックに女性のソウルフルなボーカルが乗るスタイルもすごく好きだったので、いいものが生み出せたと思っています。
 
──先ほどダイドの名前を出されていましたが、彼女がエミネムに取り上げられて世界的に有名になったのと似ていますね。
 
Daya ああ、確かにそうかもしれません。彼女の「Thank you」と、それを使ったエミネムの「Stan」はいい曲でしたね。
 
 
また日本のファンの前でパフォーマンスしたい!
 

 
──さて、10月にリリースされたEP『In Between Dreams』ですが、これまでの反響をどう感じていますか?
 
Daya すごくいいですね。自分の作品を通して人々がつながるところも見えてきて、そこには喜びを感じています。以前はメジャーレーベルから出していましたが、ここ2枚のEPはインディーレーベルからのリリースなので環境が変わったんですね。だから同じ仕事でも、プロモーションに関わるスタッフの人数は以前より減っているので、大変は大変なんですが、学ぶこともたくさんあるし、その分自分がもっと頑張ればいいとも思っています。今まで自分が辿ってきた道のりには誇りも持っているし、ここ1年エモーショナルな面での自分の成長も誇りに思っていて、そういう点では今まで出してきた中でも一番好きな作品になりました。
 
──4曲収録されていますが、その中には元恋人との関係を歌った曲だったり、過去の思い出を題材にした曲もありますよね。やはり個人的な経験から曲を作ることが多いですか?
 
Daya 確かに基本的には実体験から曲を作ることが多いかなとは思います。自分が経験したことの一部を広げたり、その時に感じたことを追って曲を綴ることによって、「どうしてそう感じたのか」とか、「その思いはどこから来たのか」ということを探る、セラピー的な要素があるように思います。他の形態のアートからインスピレーションを受けて、そこから曲作りに反映されることも多いですが、基本的には実体験からのものが多いですね。
 
──特に自分で気に入っているフレーズやパートはどこでしょう?
 
Daya 「Love You When You’re Gone」のコーラスの最初の2行、「I only love you when you're gone/Lonely hearts just don't belong」(いないときのあなたが好き/孤独な心たちは結ばれない)が特に気に入っています。「LOVE」という形に熱中しすぎていて、その人への愛なのか、愛という形に没頭しているのか、その境目が分からなくなっていた時の思いをうまく表せているんじゃないかと思っていて、恋愛関係においては境目が分からなくなることが多いと思うんですが、この曲の、特にこの2行で当時の関係を振り返ることによって、もしかしたら「相手に対する愛」だと思っていたのが、「その関係が自分にもたらす安心感」に過ぎないのではないかと、今は感じています。
 

──4曲を通じて、Dayaさんのナチュラルな歌声に対して、サウンドはエレクトロポップな感じで仕上げられていて、その対比が面白いと感じました。

Daya このEPの制作期間に聴いていたのは、80年代のシンセポップが多かったんです。ポストパンク、ニューミュージック的な、80sのドラマチックなプロダクションですね。また個人的な好みとして、悲しげな、憂鬱な歌詞をドラマチックな楽曲に合わせるというのがすごく好きで、それが今回の音作りにも顕著に出たかなと思います。これまでも、内省的に自己を見つめるような歌詞をハッピーなサウンドに乗せるということはやってきました。
 
──MVでギターを弾いている場面がありましたが、作曲はギターで?
 
Daya 最近はギターで曲を作ることも多くなりました。ギターは子供の頃から弾いていたんですが、以前はキャンプファイヤーを囲んで4コードだけで弾くような(笑)シンプルなもので、最近はより上達するために努力しているんです。新しい楽器を学ぶ時はワクワクするし、できないことが多くて制限があるので、その制限があるからこそ、より自由に曲作りができると感じるんですね。
 
──というと?
 
Daya 実際、ピアノの方が上手に弾けるんです。でも、弾けるからこそオプションが増えすぎて、逆に曲作りには向かないように感じて。それに、ギターの方がよりロックやフォークっぽい、ピアノでは表現しにくい方向性に合っているかなと思います。今回のEPに入れた4曲はシンセで作ったものが中心なんですが、それ以降はギターでの作曲が多くなっているので、次にリリースする作品はより実験的な要素が増えてくると思います。
 
──それも含めて、これからのキャリアで挑戦したいことは?
 
Daya たくさんありすぎて(笑)。まずは自分自身のツアーで全世界を回りたいと思っています。これまではオープニングアクトなどが多いので。挑戦したいことはたくさんあるので、やりたいことがなくなるなんてことはなさそうです。それこそが私にとってはエキサイティングなことです。
 
──日本でもまたパフォーマンスが見られることを期待しています。
 
Daya 本当に!(笑) 実現できるといいですし、個人的にもぜひまた日本でやりたいです。
 
──では最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。
 


Daya 応援してくださって、本当にありがとうございます。2016年に自分がデビューして以来、日本からの応援の声も伝わってきています。特にSNSで発信した時に、「日本から書いてるよ」というリプライを見るととてもうれしいですし、またぜひ日本に戻ってきて皆さんの前でパフォーマンスしたいと思っています。
 
──その時が楽しみですね。ありがとうございました!
 
撮影 沼田 学



『In Between Dreams』
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高崎計三
WRITTEN BY高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。

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