【東京03×構成作家・オークラ×プロデューサー・石井玄 インタビュー】 どうなるかはわかんないけど、面白そう。
東京03と構成作家・オークラさんが多方面からのゲストを招いて展開するライブイベント「FROLIC A HOLIC」。2015年、2018年に続いて3回目となる2022年3月の日本武道館公演ではCreepy Nutsとのコラボが実現して、双方のファンを驚かせています。そもそも「FROLIC A HOLIC」とは?というところから今回の見どころまでを、東京03の皆さん、オークラさん、プロデューサーの石井玄さんにたっぷり語っていただきました!
「あくまで遊びだった『悪ふざけ公演』が大きくなって『FROLIC A HOLIC』に」(オークラ)
──「FROLIC A HOLIC」は前回2018年に上演されていますが、もともとは2013年に上演した「悪ふざけ公演」というものがきっかけになっているんですよね? そもそもどうやって始まったものなんですか?
飯塚悟志 「FROLIC A HOLIC」に関しては全部オークラなんですよ。
オークラ 東京03がキングオブコントを獲った2009年ぐらいから全国ツアーの動員がだんだん増えてきて、単独公演の型ができていったんですよ。そうなると、お客さんはその出来上がった型を求めてくるじゃないですか。だからそれと違ったことをやると、お客さんは「いや、03に求めてるのはそういうんじゃないんだよな……」となってしまう。
──たしかに。
オークラ でも、こっちとはしては今ある型と違うこともやってみたいんですよ。そんな折に、お笑いブームが少し落ち着いてきてあまりDVDが売れなくなってきたので、「東京03のお笑いDVDにもっと追加特典を作ってほしい」っていう要望があって、その中に「全国ツアーで訪れた街で食レポをする」っていう案があって、みんなで「そんなのやりたくねえ!」って話になって。
一同 あはははは!
オークラ だったら全然違うコンセプトのもの、あくまでも遊びというコンセプトで「悪ふざけ公演」っていうものを全国ツアーが終わったあとのおまけとしてやったんですよ。それがだんだん大きくなって、「だったらこれを独立させちゃおう」ってことで悪ふざけ公演をやったんですけど、それを「FROLIC A HOLIC」(はしゃぎ中毒)という名前にして今に至るって流れです。
──お三方はこの企画に対してどう感じていたんですか?
飯塚 東京03を組んでしばらくは日常を切り取ったコントをやっていたんですけど、たまにオークラがネタを提供してくれて、例えば宇宙人が出てくるような非日常の設定をたまに持ってくれたりして、そういうのをことごとく却下していったんですね。
──あはは!
飯塚 「面白いけど、うちらが今やるのはちょっと違うな」って。オークラの中ではそういうことに対する不満もあったっぽくて。
オークラ あはは!
飯塚 あとそれとは別で、オークラとはしょっちゅう飲んでて、そこでオークラはいつも、コントと音楽の融合みたいに別のジャンルと一緒にライブをやりたいってことをよく語ってたんですけど、俺はコントはコントとしてやりたい人だから正直ピンとこなくて。でも、キングオブコントで優勝させてもらったことで「東京03はコントをやる人たち」っていうイメージが徐々についていく中で、「コントだけじゃない別の何かがあればな……」と思い始めたときにちょうど10周年記念公演があって、そのときにやったのが「悪ふざけ公演」だったんですね。そうやってオークラがずっとやりたかったことと、僕が「そろそろそういうことをやったほうがいいのかな」と思った時期が合致したって感じです。
──角田さんは個人で音楽をやっていますけど、東京03の中では音楽のイメージってないですよね。
飯塚 これは俺とオークラが話した結果、「東京03のコントの中で角ちゃんを歌わせるのはやめよう」っていうルールがけっこう序盤からできてたんですよ。
オークラ 長渕風に弾き語りをするっていうのは角ちゃんの大きな特技のひとつなんですけど、これは飯塚さんの考えなんですけど、東京03で作り上げようとしている笑いは日常の中にある人間のズレなのに、それをやってしまうとちょっと違う笑いになってしまってせっかくの世界観が崩れるんじゃないかって。
飯塚 だから敢えてやらなかったんですよね。
──角田さんは初めてFROLIC A HOLICをやってみたときにどう感じたんですか?
角田晃広 ジャズバンドをバックにしたエンターテインメントっていうことは聞いてたんですけど、実現したときはちょっと興奮しましたよね、はい。音楽との融合も豪華で、楽しくやらせてもらいました。
──3人だけでやるのとは……。
角田 本当に別ですよね。もちろん、コントという点では一緒なんですけど、また別の味付けというか。
──豊本さんはいかがでしたか?
豊本明長 普段やってないようなコントができてただでさえ楽しかったんですけど、さらにオークラが演出をオシャレにしてくれて。ビッグバンドがセットが開いた中から出てきたり、当時は「最近よく聞くけど」くらいの存在だったプロジェクションマッピングもやったり、そういうのも楽しかったですね。
──オークラさんとしてはずっと頭にあったアイデアをここぞとばかりに具現化していったと。
オークラ そうですね。もともと、僕がお笑いの世界に入る前の時代にはお笑いと他カルチャーを融合させるという考え方はサブカルというジャンルではよくあったんですよ。でも、僕らの時代になってからは「お笑いがカッコつけるのはどうなんだ?」っていうイデオロギーが入ってきて、もちろん僕らもその思想にどっぷり浸かっていたんですよ。でも、今度は「カッコつけるのはどうなんだ?」というイデオロギーに対して僕がアンチになってきて。
──なるほど。
オークラ お笑いを軸にしながらいろんなカルチャーを融合するっていうのはほかではあまりやってなかったし、僕が好きなラジカル・ガジベリビンバ・システムはコピーライターをコントライブに入れたりしてたので面白いなとずっと思ってたんですよ。そういうことが今回できたというのはありますね。
「イメージはまだ全く湧かないです。武道館だし、Creepy Nutsだし」(飯塚)
──石井さんは過去の公演は観ていたんですか?
石井玄 僕はオークラさんや東京03のみなさんがやっていることを追いかけてきた視聴者という感じです。なので、今ここにいること自体にドキドキしているんですけど(笑)、ニッポン放送はこれまで音楽が主流でお笑いのイベントがなかなか上手くできていなくて、そういうのはTBSラジオさんのほうが得意としていたんです。なので、オークラさんが企画の話をされたときに「これはやりたい!」って。そもそも、オークラさんが佐久間さんのオールナイトニッポン0でこの企画の構想をお話されていて、オークラさんがブースから出てきた瞬間に「オークラさん! ニッポン放送で武道館は押さえられるんでぜひ!」って(笑)。Creepy Nutsというオールナイトニッポンのパーソナリティがいて、お笑いと音楽が融合してってこんなにぴったりな企画はないし、本当にうれしいですね。
──そんなスピード感で話を持ちかけていたんですね。
石井 そうですね。話を聞きながら、「オファーしよう!」と思って。たまたまそこにいたからできたことなんですけど。
──そもそも今回の公演はオークラさんがCreepy Nutsの武道館公演に感動したことから始まったそうで。
オークラ そうですそうです。「FROLIC A HOLIC」は日本青年館でやったり、その当時やってたテレビ番組「漫画みたいにいかない。」でも2000人ぐらいの小屋でイベントをやってたんですけど、だんだんお笑いライブの限界を感じてきて、「こんなもんかな……」と思うようになってた時期があったんですよ。それに加えて、その頃ちょうど第7世代が出てきたりとかして、「この先、俺たちには何があるのかな……」って飯塚さんもちょっと燃え尽き症候群みたいな感じになってたんですよね。
──そうだったんですね。
オークラ それで、「だったら、もっとデカい無理な目標を立てたら面白くないかな?」って話を飯塚さんとしてて。冗談みたいな感じで「武道館とかさ」みたいな。そんな折にクリーピーのライブを武道館で観て、ここまで駆け上がってきたストーリーがいいなと思って、「これはある意味ドラマだし、03と一緒にやったら面白いんじゃないか」って。
──なるほど。
オークラ でも、「まだ現実的じゃねえな」と思ってたんですよ。でも、佐久間さんのラジオに出たときに「何かやりたいことは?」って聞かれたので、「あ! あれだ!」って。「ここで言ったら誰かが動いてくれんじゃねえか?」って。
──そうしたら秒で動いてくれたと(笑)。
オークラ あと、番組を通じてクリーピーにもこの思いを伝えたいと思って「言っちゃえ!」って。
──ヒップホップとかCreepy Nutsって03のみなさんは馴染みはあるんですか?
飯塚 申し訳ないですけど、あんまない。
一同 (爆笑)
──そうですよね(笑)。
オークラ 誤解のないように言っておきますけど、クリーピーだからないわけじゃなくて、飯塚さんはほぼ全部に対してないですから。
飯塚 わははは! 本当に申し訳ない。
オークラ ブルーノ・マーズを連れてきてもきっと同じ反応ですから。
──あはは! 角田さんは?
角田 普段聴くようなジャンルではないですけど、カッコいいとは思ってました。
豊本 僕もテレビで見る程度でしたね。でも、「フリースタイルダンジョン」は観てたので、「おわ~、R-指定すげえ!」とは思ってました。
──今回こんな話になってイメージは湧きましたか?
飯塚 申し訳ないですけど、全然湧かない。
一同 (爆笑)
飯塚 正直、今回は特に湧かないですよ。武道館だし、Creepy Nutsだし、「オークラ、どうするつもりだ!?」と僕は思ってます。
──どうするつもりなんですか?
オークラ 核の部分はまだぼやけてる状態なんですけど、あくまでも今の段階でいうと、自分自身でも「どうなるんだろう?」って。
一同 あはははは!
飯塚 マジでー? マジかー。
オークラ でも、「FROLIC A HOLIC」を立ち上げた当初も似たような感じだったんで。
飯塚 まあねえ。
──「どうなるんだろう?」の積み重ねでここまできたんですね。
オークラ そうですね。そうすることで結果的に新しいものができていくので。
──そんな状態のものに対して石井さんはよく手を挙げましたね。
石井 いやあ、だからプレッシャーがすごくて。武道館って大きいし、ステージも組まないといけないので、オークラさんの中にあるおぼろげなイメージを少しずつ拾っていってるところです(笑)。なので、どうなっていくのはまだ誰もわかっていない状況ですね。ただ、今までニッポン放送でやってたのは番組イベントばかりでしたし、こういう新しいことにチャレンジしていかないと先が続いていかないというのはわかっていたので、そこは一緒にトライしてみたいという気持ちが強いですね。
──じゃあ、気持ちとしては三者ともに同じなんですね。
石井 そうですね。
オークラ みんなが見えてない中、「何かあるだろう」っていう方向に突き進んでいかないと。
飯塚 どうなるかはわかんないけど、面白そう。
──たしかに。
石井 今、チケットもたくさん応募いただいてますけど、まだ何も情報が出てないですから(笑)。
──「面白そう」の一点で応募がたくさんあるってすごいですよね。
飯塚 ありがたいことですよねえ。
──しかも、武道館なんて1日だけでも相当なことなのに2デイズって。
石井 そうですよね。うっかり、2デイズって言っちゃったんですよ(笑)。これは僕が悪いんですけど、「やるなら2日間のほうがよくないですか?」って。
「Creepy Nutsに無理をさせようという気はさらさらないです」(オークラ)
──2018年に上演された「何が格好いいのか、まだ分からない。」は3時間に及ぶ超大作でしたけど、緻密に進みながらも最後のザキヤマさんの登場で一気に崩されるという。
飯塚 たしかに、最後のザキヤマのあそこの記憶しか残ってない。そこまでのが全部フリみたいになってたからなあ。あと、今、3時間っておっしゃいましたけど、ザキヤマが最初に出た回は4時間やってましたから。どうしても延びるんですよねえ。
オークラ 前半はああいう作りにして、後半ザキヤマが出てくることによって、なんとなくいい話だったものが少し壊れるじゃないですか。それが僕が思う<FROLIC A HOLIC感>だったりして、そういう<何が起こるかわからない感じ>には今回もしておきたいなと思うんですよね。でも、そうするとあれだけの尺になってしまうっていう。
──でも、クリーピーのお二人は演技経験はそれほど多くはないですよね。
オークラ でも、彼らにはヒップホップに特化した武器がひとつあるので、それはコントのフリにもなるし、オチにもなるんですよ。上手すぎる、すごすぎるって目線を変えると笑いになるじゃないですか。だから、「クリーピーがコントに挑戦!」っていうんじゃなくて、あくまでもクリーピーにはCreepy Nutsをやってもらって、それがコントの座組の中でうまい具合に作用したらいいなと思ってます。
──ああ、そこはずっと気になっているところでした。
オークラ 各々が無理なことを頑張るんじゃなくて、得意なことをコントの中で表現するとどうなるのか、という考え方なので、クリーピーに無理をさせようという気はさらさらないです。
──では、大枠としてはこれまでの形を踏襲したものになるんでしょうか?
オークラ そうだと思いますけどね。
飯塚 そうなんだ、へぇぇぇぇ~。
──「そうなんだ」って(笑)。
オークラ 今はまだ断片的なコントしかできてないんですけど。
飯塚 え、断片的にはできてるんだ?
オークラ イメージはある。本には全然できてないけど。
飯塚 あ、マジで!? どこまでできてるの? 不安だからいま詰めちゃおうかと思って。
オークラ (笑)コント案が5つぐらいある。
飯塚 あんの!?
オークラ あと、オープニングはこんな感じにしよう、とか。「これをやりたいけどどうやって笑いにしたらいいかわからない」っていうのもある。
飯塚 じゃあ、だいぶアイデアが出てきてるんだ?
オークラ 明後日から本格的にやる。
飯塚 明後日? せめて明日だろ!
一同 (爆笑)
オークラ 明日はすごく大きい仕事のプロットあげなきゃいけないから……。
飯塚 知らない知らない! ……まあ、いろんな都合があんのね。いろいろ抱えてるからね。
オークラ ちょうど新しく作業場を借りたところで、昨日鍵が届いて。
飯塚 おお! それはテンション上がるねえ!
オークラ そう。だからまずは部屋のインテリアを凝らないと……。
飯塚 そんなのいいんだよ!
一同 (爆笑)
「もし期待外れでも、絶対意味のあるライブになるから来たほうがいい」(飯塚)
──そんなに何も見えていない状態で、ただ武道館に2日間立つことだけは決まってるっていうのはどういう心境なんですか?
飯塚 まあ、うちらは相当鍛えられてるんで、めちゃめちゃ慣れっこですよ。
オークラ でも、最初にFROLIC A HOLICをやったときは僕らもプレッシャーだったんですよ。アクトシアターでやったんですけど、チケット代を1万2千円にしようって言われたときにすごいビビって、俺も飯塚さんもストレスがすごくて。そのときの僕らは肩に力が入りすぎてたんでしょうね、とにかくすごいことをやらなきゃいけないって思い込んでたので、03の一人ひとりに課題を課すことにしたんですよ。特に角ちゃんと豊本に。
飯塚 ああ、あの話ね。
オークラ そう、伝説の。で、角ちゃんはとにかくすっごい長台詞を覚えようってことになって、「じゃあ、豊本は何ができるか」って話になったときに、「コントの中で突然バク転したら面白いんじゃない?」ってことになって、「じゃあ、バク転するよ!」って本番の半年前ぐらいに決まったんですけど、その後、待てど暮せど豊本からバク転ができるようになったって話が出ない。でも、こっちは豊本のバク転ありきのネタを作っちゃってて、「それがないと困るんだよな……」っていうところまで追い詰められてたら、本番2週間前ぐらいになって豊本が右足の不調を訴えだして。
──あはははは!
オークラ でも、豊本は「あと1週間あればできる!」って言うんですよ。それで豊本はその1週間、稽古場には来るんですけど、ずっと小首をかしげてる。そうしたら、1週間を過ぎたぐらいに豊本が突然ヌンチャクを持ってきて、「バク転は厳しいけど、これならできる」って。
豊本 あはははは。
オークラ 豊本がヌンチャクできるのは知ってたけど「だからなんだ?」っていう感じなんですよ。とにかく、バク転ができないってことはそのネタが丸々なくなる、大トリのネタなのに。それでムカついちゃってずっとイライラしてたら、矢作さんが「お前、いい加減にしろ!」ってブチギレて、「できねえもんはできねえんだから、そこから考えるのがお前の仕事だろ!」ってめっちゃ怒られたんですよ。なんで俺が怒られなきゃいけないんだ!?
一同 (爆笑)
──豊本さん、みんなと同じテンションで笑ってる場合じゃないです(笑)。
豊本 だからCreepy Nutsに無理させないんですかねえ。
飯塚 その一件で反省してね。
オークラ それ以降、豊本には無理をさせないようにして、今ではそのしわ寄せが全部角ちゃんにいっちゃってます(笑)。
飯塚 あれは面白かったなあ。最終的にどこまでバク転ができるようになったのか動画で見せてもらったんですよ。
──おお。
飯塚 で、俺と角ちゃんでムービー見たら、ただの1人バックドロップ。
一同 (爆笑)
飯塚 よくあれを見せたな! しかも、見せられたのは上演初日の前日ですよ!? 信じらんなかった。
豊本 ちゃんと教わってはいたんですけどね。
飯塚 最初はバク宙まで約束してたのに。しかも、ヌンチャクも矢作さんのほうが上手かったんですよ。
──あはははは!
豊本 そうそう(笑)。
──話を戻しますが、今回は「なんと括っていいか、まだ分からない」というサブタイトルだけは決まっていますね。
オークラ クリーピーのラジオでも話したんですけど、FROLIC A HOLIC自体をどう括っていいのかわからないっていうのがあるんですよ。日本ってジャンルが決まってないものに対する評価ってなかなかしないじゃないですか。でも、そこを突き進んだらそれはそれで面白いんじゃないかって思ってきて。
──なるほど。
オークラ それに、自分たちがこれからやろうとしていることについて「なんて言っていいかわからない」って言ってしまえば、観てる側にもちゃんとそういう目線が生まれるじゃないですか。
──たしかにそうですね。
オークラ あと、僕らの時代って、ライブでウケました、テレビに出ました、バラエティ番組で成功しました、冠番組を持ちましたっていう流れが芸人の王道としてあったじゃないですか。でも、東京03ぐらいからそれがちょっと崩れ始めたんですよ。今の若手からすると東京03は新しいタイプの芸人のモデルケースみたいになってるという事実もあって、そういうところも「括れないもの」として見てもらうことでまた新しい評価がされるんじゃないかなと思って。Creepy Nutsみたいなラッパーの世界も「売れたらダメ」みたいなところがあるじゃないですか。そんな中でこの人たちも括りというものに対して悩んでるのかなって勝手にシンパシーを感じたので、それもこのタイトルにつながってます。
──まだネタが書き上がっていない状態でお聞きするのもアレですが、お客さんは何を期待して会場に足を運んだらいいですか?
石井 Creepy Nutsのお二人にも、東京03のみなさんにも、オークラさんにも、ニッポン放送にもそれぞれの歴史がある上で武道館に立つっていう、そこにはいろんな文脈が込められたものになると思うので、それを観に来ていただければなと思います。
オークラ それぞれ面白い部分や見るべきものを持ってる人たちで、それを見世物として上手くやれるかどうかが一番の課題だと思ってるので、初めて観る人でも「面白かったな」と思えるものを作りたいなと思ってます。
角田 このメンバーが集まったらどうなるのかってワクワクしながら来ていただけたらと思いますね。いま、自分がその状態なので。
──今、みなさんはお客さんとほぼ同じ状態っていう。
角田 一緒一緒。
豊本 どういうジャンルでどういう括りかはわからないけど、観終わったときに「楽しかった」って思ってもらえればいいですね。あと、バク転は期待しないでほしいですね。
飯塚 そのフリがあって今回できたら超面白いけどね! で、あんまウケなかったりして。
──あはは!
飯塚 僕はずっとオークラと一緒にライブをやらせていただいてますけど、何をするのか、どうなるのかここまでまったく想像できないっていうのは初めてなので、これはもしかしたら相当面白いものができるんじゃないかって思ってます。だから、お客さんにもそれを期待していただきたいですけど、違ったらごめんなさい(笑)でも、絶対意味のあるライブになるはずだから来たほうがいいと思います。
「東京03 FROLIC A HOLIC feat. Creepy Nuts in 日本武道館 なんと括っていいか、まだ分からない」
2023.3.4 (土) 16:00開場 / 17:30開演
2023.3.5 (日) 14:30開場 / 16:00開演
指定席
S席11,000円(税込)
A席8,800円(税込)
B席7,500円(税込)
■2次先行(抽選)
発売期間:2022年12月10日(土)10:00~12月18日(日)23:59
発売URL:
https://w.pia.jp/t/03cn-frolicaholic/
公演に関するお問い合わせ
キョードー東京 0570-550-799(平日11時~18時/土日・祝10時~18時)
【東京03 FROLIC A HOLIC feat. Creepy Nuts in 日本武道館 WEBSITE】
https://event.1242.com/events/frolicaholic/
「あくまで遊びだった『悪ふざけ公演』が大きくなって『FROLIC A HOLIC』に」(オークラ)
──「FROLIC A HOLIC」は前回2018年に上演されていますが、もともとは2013年に上演した「悪ふざけ公演」というものがきっかけになっているんですよね? そもそもどうやって始まったものなんですか?
飯塚悟志 「FROLIC A HOLIC」に関しては全部オークラなんですよ。
オークラ 東京03がキングオブコントを獲った2009年ぐらいから全国ツアーの動員がだんだん増えてきて、単独公演の型ができていったんですよ。そうなると、お客さんはその出来上がった型を求めてくるじゃないですか。だからそれと違ったことをやると、お客さんは「いや、03に求めてるのはそういうんじゃないんだよな……」となってしまう。
──たしかに。
オークラ でも、こっちとはしては今ある型と違うこともやってみたいんですよ。そんな折に、お笑いブームが少し落ち着いてきてあまりDVDが売れなくなってきたので、「東京03のお笑いDVDにもっと追加特典を作ってほしい」っていう要望があって、その中に「全国ツアーで訪れた街で食レポをする」っていう案があって、みんなで「そんなのやりたくねえ!」って話になって。
一同 あはははは!
オークラ だったら全然違うコンセプトのもの、あくまでも遊びというコンセプトで「悪ふざけ公演」っていうものを全国ツアーが終わったあとのおまけとしてやったんですよ。それがだんだん大きくなって、「だったらこれを独立させちゃおう」ってことで悪ふざけ公演をやったんですけど、それを「FROLIC A HOLIC」(はしゃぎ中毒)という名前にして今に至るって流れです。
──お三方はこの企画に対してどう感じていたんですか?
飯塚 東京03を組んでしばらくは日常を切り取ったコントをやっていたんですけど、たまにオークラがネタを提供してくれて、例えば宇宙人が出てくるような非日常の設定をたまに持ってくれたりして、そういうのをことごとく却下していったんですね。
──あはは!
飯塚 「面白いけど、うちらが今やるのはちょっと違うな」って。オークラの中ではそういうことに対する不満もあったっぽくて。
オークラ あはは!
飯塚 あとそれとは別で、オークラとはしょっちゅう飲んでて、そこでオークラはいつも、コントと音楽の融合みたいに別のジャンルと一緒にライブをやりたいってことをよく語ってたんですけど、俺はコントはコントとしてやりたい人だから正直ピンとこなくて。でも、キングオブコントで優勝させてもらったことで「東京03はコントをやる人たち」っていうイメージが徐々についていく中で、「コントだけじゃない別の何かがあればな……」と思い始めたときにちょうど10周年記念公演があって、そのときにやったのが「悪ふざけ公演」だったんですね。そうやってオークラがずっとやりたかったことと、僕が「そろそろそういうことをやったほうがいいのかな」と思った時期が合致したって感じです。
──角田さんは個人で音楽をやっていますけど、東京03の中では音楽のイメージってないですよね。
飯塚 これは俺とオークラが話した結果、「東京03のコントの中で角ちゃんを歌わせるのはやめよう」っていうルールがけっこう序盤からできてたんですよ。
オークラ 長渕風に弾き語りをするっていうのは角ちゃんの大きな特技のひとつなんですけど、これは飯塚さんの考えなんですけど、東京03で作り上げようとしている笑いは日常の中にある人間のズレなのに、それをやってしまうとちょっと違う笑いになってしまってせっかくの世界観が崩れるんじゃないかって。
飯塚 だから敢えてやらなかったんですよね。
──角田さんは初めてFROLIC A HOLICをやってみたときにどう感じたんですか?
角田晃広 ジャズバンドをバックにしたエンターテインメントっていうことは聞いてたんですけど、実現したときはちょっと興奮しましたよね、はい。音楽との融合も豪華で、楽しくやらせてもらいました。
──3人だけでやるのとは……。
角田 本当に別ですよね。もちろん、コントという点では一緒なんですけど、また別の味付けというか。
──豊本さんはいかがでしたか?
豊本明長 普段やってないようなコントができてただでさえ楽しかったんですけど、さらにオークラが演出をオシャレにしてくれて。ビッグバンドがセットが開いた中から出てきたり、当時は「最近よく聞くけど」くらいの存在だったプロジェクションマッピングもやったり、そういうのも楽しかったですね。
──オークラさんとしてはずっと頭にあったアイデアをここぞとばかりに具現化していったと。
オークラ そうですね。もともと、僕がお笑いの世界に入る前の時代にはお笑いと他カルチャーを融合させるという考え方はサブカルというジャンルではよくあったんですよ。でも、僕らの時代になってからは「お笑いがカッコつけるのはどうなんだ?」っていうイデオロギーが入ってきて、もちろん僕らもその思想にどっぷり浸かっていたんですよ。でも、今度は「カッコつけるのはどうなんだ?」というイデオロギーに対して僕がアンチになってきて。
──なるほど。
オークラ お笑いを軸にしながらいろんなカルチャーを融合するっていうのはほかではあまりやってなかったし、僕が好きなラジカル・ガジベリビンバ・システムはコピーライターをコントライブに入れたりしてたので面白いなとずっと思ってたんですよ。そういうことが今回できたというのはありますね。
「イメージはまだ全く湧かないです。武道館だし、Creepy Nutsだし」(飯塚)
──石井さんは過去の公演は観ていたんですか?
石井玄 僕はオークラさんや東京03のみなさんがやっていることを追いかけてきた視聴者という感じです。なので、今ここにいること自体にドキドキしているんですけど(笑)、ニッポン放送はこれまで音楽が主流でお笑いのイベントがなかなか上手くできていなくて、そういうのはTBSラジオさんのほうが得意としていたんです。なので、オークラさんが企画の話をされたときに「これはやりたい!」って。そもそも、オークラさんが佐久間さんのオールナイトニッポン0でこの企画の構想をお話されていて、オークラさんがブースから出てきた瞬間に「オークラさん! ニッポン放送で武道館は押さえられるんでぜひ!」って(笑)。Creepy Nutsというオールナイトニッポンのパーソナリティがいて、お笑いと音楽が融合してってこんなにぴったりな企画はないし、本当にうれしいですね。
──そんなスピード感で話を持ちかけていたんですね。
石井 そうですね。話を聞きながら、「オファーしよう!」と思って。たまたまそこにいたからできたことなんですけど。
──そもそも今回の公演はオークラさんがCreepy Nutsの武道館公演に感動したことから始まったそうで。
オークラ そうですそうです。「FROLIC A HOLIC」は日本青年館でやったり、その当時やってたテレビ番組「漫画みたいにいかない。」でも2000人ぐらいの小屋でイベントをやってたんですけど、だんだんお笑いライブの限界を感じてきて、「こんなもんかな……」と思うようになってた時期があったんですよ。それに加えて、その頃ちょうど第7世代が出てきたりとかして、「この先、俺たちには何があるのかな……」って飯塚さんもちょっと燃え尽き症候群みたいな感じになってたんですよね。
──そうだったんですね。
オークラ それで、「だったら、もっとデカい無理な目標を立てたら面白くないかな?」って話を飯塚さんとしてて。冗談みたいな感じで「武道館とかさ」みたいな。そんな折にクリーピーのライブを武道館で観て、ここまで駆け上がってきたストーリーがいいなと思って、「これはある意味ドラマだし、03と一緒にやったら面白いんじゃないか」って。
──なるほど。
オークラ でも、「まだ現実的じゃねえな」と思ってたんですよ。でも、佐久間さんのラジオに出たときに「何かやりたいことは?」って聞かれたので、「あ! あれだ!」って。「ここで言ったら誰かが動いてくれんじゃねえか?」って。
──そうしたら秒で動いてくれたと(笑)。
オークラ あと、番組を通じてクリーピーにもこの思いを伝えたいと思って「言っちゃえ!」って。
──ヒップホップとかCreepy Nutsって03のみなさんは馴染みはあるんですか?
飯塚 申し訳ないですけど、あんまない。
一同 (爆笑)
──そうですよね(笑)。
オークラ 誤解のないように言っておきますけど、クリーピーだからないわけじゃなくて、飯塚さんはほぼ全部に対してないですから。
飯塚 わははは! 本当に申し訳ない。
オークラ ブルーノ・マーズを連れてきてもきっと同じ反応ですから。
──あはは! 角田さんは?
角田 普段聴くようなジャンルではないですけど、カッコいいとは思ってました。
豊本 僕もテレビで見る程度でしたね。でも、「フリースタイルダンジョン」は観てたので、「おわ~、R-指定すげえ!」とは思ってました。
──今回こんな話になってイメージは湧きましたか?
飯塚 申し訳ないですけど、全然湧かない。
一同 (爆笑)
飯塚 正直、今回は特に湧かないですよ。武道館だし、Creepy Nutsだし、「オークラ、どうするつもりだ!?」と僕は思ってます。
──どうするつもりなんですか?
オークラ 核の部分はまだぼやけてる状態なんですけど、あくまでも今の段階でいうと、自分自身でも「どうなるんだろう?」って。
一同 あはははは!
飯塚 マジでー? マジかー。
オークラ でも、「FROLIC A HOLIC」を立ち上げた当初も似たような感じだったんで。
飯塚 まあねえ。
──「どうなるんだろう?」の積み重ねでここまできたんですね。
オークラ そうですね。そうすることで結果的に新しいものができていくので。
──そんな状態のものに対して石井さんはよく手を挙げましたね。
石井 いやあ、だからプレッシャーがすごくて。武道館って大きいし、ステージも組まないといけないので、オークラさんの中にあるおぼろげなイメージを少しずつ拾っていってるところです(笑)。なので、どうなっていくのはまだ誰もわかっていない状況ですね。ただ、今までニッポン放送でやってたのは番組イベントばかりでしたし、こういう新しいことにチャレンジしていかないと先が続いていかないというのはわかっていたので、そこは一緒にトライしてみたいという気持ちが強いですね。
──じゃあ、気持ちとしては三者ともに同じなんですね。
石井 そうですね。
オークラ みんなが見えてない中、「何かあるだろう」っていう方向に突き進んでいかないと。
飯塚 どうなるかはわかんないけど、面白そう。
──たしかに。
石井 今、チケットもたくさん応募いただいてますけど、まだ何も情報が出てないですから(笑)。
──「面白そう」の一点で応募がたくさんあるってすごいですよね。
飯塚 ありがたいことですよねえ。
──しかも、武道館なんて1日だけでも相当なことなのに2デイズって。
石井 そうですよね。うっかり、2デイズって言っちゃったんですよ(笑)。これは僕が悪いんですけど、「やるなら2日間のほうがよくないですか?」って。
「Creepy Nutsに無理をさせようという気はさらさらないです」(オークラ)
──2018年に上演された「何が格好いいのか、まだ分からない。」は3時間に及ぶ超大作でしたけど、緻密に進みながらも最後のザキヤマさんの登場で一気に崩されるという。
飯塚 たしかに、最後のザキヤマのあそこの記憶しか残ってない。そこまでのが全部フリみたいになってたからなあ。あと、今、3時間っておっしゃいましたけど、ザキヤマが最初に出た回は4時間やってましたから。どうしても延びるんですよねえ。
オークラ 前半はああいう作りにして、後半ザキヤマが出てくることによって、なんとなくいい話だったものが少し壊れるじゃないですか。それが僕が思う<FROLIC A HOLIC感>だったりして、そういう<何が起こるかわからない感じ>には今回もしておきたいなと思うんですよね。でも、そうするとあれだけの尺になってしまうっていう。
──でも、クリーピーのお二人は演技経験はそれほど多くはないですよね。
オークラ でも、彼らにはヒップホップに特化した武器がひとつあるので、それはコントのフリにもなるし、オチにもなるんですよ。上手すぎる、すごすぎるって目線を変えると笑いになるじゃないですか。だから、「クリーピーがコントに挑戦!」っていうんじゃなくて、あくまでもクリーピーにはCreepy Nutsをやってもらって、それがコントの座組の中でうまい具合に作用したらいいなと思ってます。
──ああ、そこはずっと気になっているところでした。
オークラ 各々が無理なことを頑張るんじゃなくて、得意なことをコントの中で表現するとどうなるのか、という考え方なので、クリーピーに無理をさせようという気はさらさらないです。
──では、大枠としてはこれまでの形を踏襲したものになるんでしょうか?
オークラ そうだと思いますけどね。
飯塚 そうなんだ、へぇぇぇぇ~。
──「そうなんだ」って(笑)。
オークラ 今はまだ断片的なコントしかできてないんですけど。
飯塚 え、断片的にはできてるんだ?
オークラ イメージはある。本には全然できてないけど。
飯塚 あ、マジで!? どこまでできてるの? 不安だからいま詰めちゃおうかと思って。
オークラ (笑)コント案が5つぐらいある。
飯塚 あんの!?
オークラ あと、オープニングはこんな感じにしよう、とか。「これをやりたいけどどうやって笑いにしたらいいかわからない」っていうのもある。
飯塚 じゃあ、だいぶアイデアが出てきてるんだ?
オークラ 明後日から本格的にやる。
飯塚 明後日? せめて明日だろ!
一同 (爆笑)
オークラ 明日はすごく大きい仕事のプロットあげなきゃいけないから……。
飯塚 知らない知らない! ……まあ、いろんな都合があんのね。いろいろ抱えてるからね。
オークラ ちょうど新しく作業場を借りたところで、昨日鍵が届いて。
飯塚 おお! それはテンション上がるねえ!
オークラ そう。だからまずは部屋のインテリアを凝らないと……。
飯塚 そんなのいいんだよ!
一同 (爆笑)
「もし期待外れでも、絶対意味のあるライブになるから来たほうがいい」(飯塚)
──そんなに何も見えていない状態で、ただ武道館に2日間立つことだけは決まってるっていうのはどういう心境なんですか?
飯塚 まあ、うちらは相当鍛えられてるんで、めちゃめちゃ慣れっこですよ。
オークラ でも、最初にFROLIC A HOLICをやったときは僕らもプレッシャーだったんですよ。アクトシアターでやったんですけど、チケット代を1万2千円にしようって言われたときにすごいビビって、俺も飯塚さんもストレスがすごくて。そのときの僕らは肩に力が入りすぎてたんでしょうね、とにかくすごいことをやらなきゃいけないって思い込んでたので、03の一人ひとりに課題を課すことにしたんですよ。特に角ちゃんと豊本に。
飯塚 ああ、あの話ね。
オークラ そう、伝説の。で、角ちゃんはとにかくすっごい長台詞を覚えようってことになって、「じゃあ、豊本は何ができるか」って話になったときに、「コントの中で突然バク転したら面白いんじゃない?」ってことになって、「じゃあ、バク転するよ!」って本番の半年前ぐらいに決まったんですけど、その後、待てど暮せど豊本からバク転ができるようになったって話が出ない。でも、こっちは豊本のバク転ありきのネタを作っちゃってて、「それがないと困るんだよな……」っていうところまで追い詰められてたら、本番2週間前ぐらいになって豊本が右足の不調を訴えだして。
──あはははは!
オークラ でも、豊本は「あと1週間あればできる!」って言うんですよ。それで豊本はその1週間、稽古場には来るんですけど、ずっと小首をかしげてる。そうしたら、1週間を過ぎたぐらいに豊本が突然ヌンチャクを持ってきて、「バク転は厳しいけど、これならできる」って。
豊本 あはははは。
オークラ 豊本がヌンチャクできるのは知ってたけど「だからなんだ?」っていう感じなんですよ。とにかく、バク転ができないってことはそのネタが丸々なくなる、大トリのネタなのに。それでムカついちゃってずっとイライラしてたら、矢作さんが「お前、いい加減にしろ!」ってブチギレて、「できねえもんはできねえんだから、そこから考えるのがお前の仕事だろ!」ってめっちゃ怒られたんですよ。なんで俺が怒られなきゃいけないんだ!?
一同 (爆笑)
──豊本さん、みんなと同じテンションで笑ってる場合じゃないです(笑)。
豊本 だからCreepy Nutsに無理させないんですかねえ。
飯塚 その一件で反省してね。
オークラ それ以降、豊本には無理をさせないようにして、今ではそのしわ寄せが全部角ちゃんにいっちゃってます(笑)。
飯塚 あれは面白かったなあ。最終的にどこまでバク転ができるようになったのか動画で見せてもらったんですよ。
──おお。
飯塚 で、俺と角ちゃんでムービー見たら、ただの1人バックドロップ。
一同 (爆笑)
飯塚 よくあれを見せたな! しかも、見せられたのは上演初日の前日ですよ!? 信じらんなかった。
豊本 ちゃんと教わってはいたんですけどね。
飯塚 最初はバク宙まで約束してたのに。しかも、ヌンチャクも矢作さんのほうが上手かったんですよ。
──あはははは!
豊本 そうそう(笑)。
──話を戻しますが、今回は「なんと括っていいか、まだ分からない」というサブタイトルだけは決まっていますね。
オークラ クリーピーのラジオでも話したんですけど、FROLIC A HOLIC自体をどう括っていいのかわからないっていうのがあるんですよ。日本ってジャンルが決まってないものに対する評価ってなかなかしないじゃないですか。でも、そこを突き進んだらそれはそれで面白いんじゃないかって思ってきて。
──なるほど。
オークラ それに、自分たちがこれからやろうとしていることについて「なんて言っていいかわからない」って言ってしまえば、観てる側にもちゃんとそういう目線が生まれるじゃないですか。
──たしかにそうですね。
オークラ あと、僕らの時代って、ライブでウケました、テレビに出ました、バラエティ番組で成功しました、冠番組を持ちましたっていう流れが芸人の王道としてあったじゃないですか。でも、東京03ぐらいからそれがちょっと崩れ始めたんですよ。今の若手からすると東京03は新しいタイプの芸人のモデルケースみたいになってるという事実もあって、そういうところも「括れないもの」として見てもらうことでまた新しい評価がされるんじゃないかなと思って。Creepy Nutsみたいなラッパーの世界も「売れたらダメ」みたいなところがあるじゃないですか。そんな中でこの人たちも括りというものに対して悩んでるのかなって勝手にシンパシーを感じたので、それもこのタイトルにつながってます。
──まだネタが書き上がっていない状態でお聞きするのもアレですが、お客さんは何を期待して会場に足を運んだらいいですか?
石井 Creepy Nutsのお二人にも、東京03のみなさんにも、オークラさんにも、ニッポン放送にもそれぞれの歴史がある上で武道館に立つっていう、そこにはいろんな文脈が込められたものになると思うので、それを観に来ていただければなと思います。
オークラ それぞれ面白い部分や見るべきものを持ってる人たちで、それを見世物として上手くやれるかどうかが一番の課題だと思ってるので、初めて観る人でも「面白かったな」と思えるものを作りたいなと思ってます。
角田 このメンバーが集まったらどうなるのかってワクワクしながら来ていただけたらと思いますね。いま、自分がその状態なので。
──今、みなさんはお客さんとほぼ同じ状態っていう。
角田 一緒一緒。
豊本 どういうジャンルでどういう括りかはわからないけど、観終わったときに「楽しかった」って思ってもらえればいいですね。あと、バク転は期待しないでほしいですね。
飯塚 そのフリがあって今回できたら超面白いけどね! で、あんまウケなかったりして。
──あはは!
飯塚 僕はずっとオークラと一緒にライブをやらせていただいてますけど、何をするのか、どうなるのかここまでまったく想像できないっていうのは初めてなので、これはもしかしたら相当面白いものができるんじゃないかって思ってます。だから、お客さんにもそれを期待していただきたいですけど、違ったらごめんなさい(笑)でも、絶対意味のあるライブになるはずだから来たほうがいいと思います。
撮影 沼田 学
「東京03 FROLIC A HOLIC feat. Creepy Nuts in 日本武道館 なんと括っていいか、まだ分からない」
2023.3.4 (土) 16:00開場 / 17:30開演
2023.3.5 (日) 14:30開場 / 16:00開演
指定席
S席11,000円(税込)
A席8,800円(税込)
B席7,500円(税込)
■2次先行(抽選)
発売期間:2022年12月10日(土)10:00~12月18日(日)23:59
発売URL:
https://w.pia.jp/t/03cn-frolicaholic/
公演に関するお問い合わせ
キョードー東京 0570-550-799(平日11時~18時/土日・祝10時~18時)
【東京03 FROLIC A HOLIC feat. Creepy Nuts in 日本武道館 WEBSITE】
https://event.1242.com/events/frolicaholic/
- WRITTEN BY阿刀“DA”大志
- 1975年東京都生まれ。学生時代、アメリカ留学中にHi-STANDARDのメンバーと出会ったことが縁で1999年にPIZZA OF DEATH RECORDSに入社。現在は、フリーランスとしてBRAHMAN/OAU/the LOW-ATUSのPRや音楽ライターなど雑多に活動中。
Twitter:@DA_chang