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TVアニメ「キングダム」EDテーマを歌う鈴木瑛美子が表現する、数々の世界観を探る! ―歌、演技、海、写真

2021.07.21
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高校1年生で「ゴスペル甲子園」に優勝して以来、「湖池屋」ポテトチップスのTVCMソングに映画『恋は雨上がりのように』(主演:小松菜奈/大泉洋)の主題歌「フロントメモリー」(カバー曲)歌唱、そしてメジャーデビューと、そのパッション溢れる歌唱力で新しい世界を見せてきた鈴木瑛美子がセカンドシングル『kIng』をリリース!
しかも今作は累計発行部数8000万部を誇る古代中華戦国大河ロマン「キングダム」のTVアニメ第2クールのエンディングテーマに決定。これは2021年の夏は鈴木瑛美子の歌声が世界に広がるきっかけになること間違いなし! あらためてその意気込みをうかがいました。


キングダムの世界を強さに加えて美しさ・儚さも表現したかった


──今日は鈴木さんのリクエストもあって海にやってきましたー! ……でも夏の快晴ではなく曇り空になってしまいましたが。

鈴木 わたし、もともと『曇り女』なんです! 晴れ女でも雨女でもなく曇りが多いんですよ。あんまり使えなさそうですけど、雨の日だと雨を止ませることもできるので実は便利なんですよ。カンカン照りが嫌だったら呼んでください(笑)。

──なるほど(笑)。今日はお台場なんで一面の海! という感じじゃないですけどね。

鈴木 でも海近いのいいですよね、鮪のステーキが超おいしそうで……。

──そういう「海が好き」なんですか!(笑) さてそろそろ本題の話にまいりたいですが、ニューシングル『kIng』発売おめでとうございます!

鈴木 ありがとうございます! 自分にとっても新しい関わり方をした曲でもありますし、初めてのアニメタイアップということで新鮮な自分を引き出せたなと思います。



──さっそく聴かせていただきましたが、人気アニメ『キングダム』エンディングテーマで、しかも同作の劇伴も手掛けている澤野弘之さんが今作の作詞作曲、プロデュースも手掛けたということで、作品のスケール感と鈴木さんの力強いボーカルがひとつに繋がってます。

鈴木 作品の力強さを表現するために私の歌声を選んでくださったと思うので、その想いにお応えできるようにどうやって歌うか、すごく考えました。自分の声は強めなのでそれも表現したかったんですけど、ただ激しくがなったりして強さを出すだけでなく、美しさや儚さも表現したいと思ったんです。その中間を出すためにどうやって歌ったらいいか、どうやってこの喉を使ったらいいかということはずっと考えていました。

──たしかに作品は荒々しいアクションもありつつ、中国古代ロマンも大きな要素ですからね。

鈴木 最後に『やってみて』って言われたフェイクも、考えて考えて、壮大なこの楽曲とマッチしつつプラスして伝えられるもの、『誰かを勇気づける、背中を押す』という思いを表現できたらいいな、と考えながら歌いました。

──作品の世界は中国ですけど、英語の詞が多いのがむしろハリウッド作品的ですよね。

鈴木 もともと英語の歌詞が多かったので表現しやすかったところはありますね。すごく歌いやすかったです。もしも中国語が入ってたら、イントネーションを調べるところからやらなきゃいけなかったかもしれない(笑)。

──ちなみにタイトルの「I」だけ大文字なのはどういう意味なんですか?

鈴木 これは澤野さんが付けられました。私の解釈では、おそらく『大きい愛』が籠もってるんだと思います!

──そういう意味が! 澤野さんとは話したりしました?

鈴木 レコーディングの時に初めてお会いしたのですが、その時は楽曲について深く喋ったというよりは、その時に私の父が同席していたので父娘の話とかしてましたね(笑)。フランクにお話いただけて明るくて素敵な方でした。

 

──今回鈴木さん初のアニメタイアップということで幅広く聴いてもらえそうですね。

鈴木 『キングダム』は世界中で大ヒットしてる作品ですし、いろんな方に届いたらいいなと思います。エンディングテーマなので、どんな映像がついて流れるのかなあ……。まだどういう映像が乗るか見てないんですよ。たぶん皆さんと同じ時間にテレビの前で見るのかな。

──それはめちゃめちゃ緊張しますね! 思わず正座で見そう。

鈴木 怖い!(笑) ぴったりな曲を書いていただいたのでアニメのストーリーにあった声で歌えてるといいな……これは実際見てみないとわからないですからね! いい場面で自分の曲がさーっと流れてくれると嬉しいです。アニメで自分の曲を聞くのは不思議な感じです。流れるのが最後の最後だから『みんな最後まで聴いて~』って願っていそう(笑)。


カップリングには自ら歌詞を書いた初の恋愛ソングも

──カップリング曲の話もうかがいたいですが、まず『PLAYERS』。最初はギターとボーカルのみのクールな始まりでシブめの曲かと思ったらBメロからガンガン高めていって、パーンと世界が拓けるようなサビとこれは盛り上がらざるを得ない曲ですね!

鈴木 もともとデモ段階で英語歌詞が入っていた曲なのでノリは洋楽なのですが、それをトオミヨウさんのアレンジで多くの方々に幅広く受け入れてもらえるように仕上げていただきました。ジャジーな感じのグルーヴ感もありつつ、ロックっぽさもあって、いろんな音楽がミックスされた曲になりました。

──しかもこれは歌詞で鈴木さんも共作。

鈴木 こうやって表に出すのは初めての恋愛ソングですね。

──恋に落ちてコントロールが効かなくなった自分を描いてますけど、鈴木さんってこんなに熱情的なんでしょうか!

鈴木 あはは(笑)、わたしも普段曲書く時は自分の経験から書いたりもしますが、これはけっこう想像して書いた歌詞で。ただ、想像して書いたわりには恋をすると盲目になっちゃうし、すごく好きで好きで溢れ出す思いってわかるな~って思って書きましたね。普段は出さないけど、自分の中で持ってる部分なんだろうなって思います。




──恋愛に限らず好きなものに出会ってかきみだされることってありますからね。音楽とか映画とかでも。

鈴木 そうですよね。いろんなものに共通する曲なんじゃないかな。あとタイトルの『PLAYERS』とは、歌詞に出てくる『誰にも話せない独り占めのラブゲームを/You’re the trophy for only the winners』から来てるんですけど、『ラブゲーム』はテニス用語ともかけていて、自分はプレイヤーであなたは優勝トロフィーで、他の女たちと争いながら“ダントツでわたしが手にするんだ”ってことを込めたんです。

──鈴木さんの気持ちというか人間性が出てるんですね(笑)。

鈴木 あはは、わたしはそんなに強くはいけないタイプです(笑)。告白とかも『そっちからして!』って思うタイプなので。でも共感する部分はあるので、いろんな人にわかってもらえるんじゃないかな。

──そして3曲目がこれは鈴木さんが作詞作曲両方を手掛けた『Dalalife』。前半2曲とは打って変わってフォーキーなサウンド。

鈴木 これはわたしの休日です! 日々忙しかったりとか何か考えてたりしてる中、予定は本当に何もないけど家事とかやらなきゃいけないことは溜まってる……『でもオフだ!』って気持ちを切り替えてそんな時間をめちゃめちゃ感じてたら、急にギターを弾き始めて、見えたものを曲にしました(笑)。

──まさに実体験というか鈴木さんの内から生まれた曲。

鈴木 これはすぐできましたね。これはもうこのまんまです。でもこういうのってみんなあると思うんですよ。歌詞のように『目覚めたら夕暮れ』で、夕方の4時に起きて『もうオレンジの空差しこんでんじゃん!』って思うけど、『まあいっか』って。でも別にこの曲を聴くのは夕方じゃなくてもいいし、コーヒータイムとか通勤時間とか、ちょっとリセットしたいときに聴いてくれたらいいな。

──今日はこういうモードになるぞ! っていう朝でもいいですよね。

鈴木 そんな自分を受け入れていい曲です。『こういう日もあっていいじゃん』っていう。

──曲はギターで作ることが多いんですか?

鈴木 最近はギターで作ることが増えました。もともとはピアノもギターも中途半端だったので、頭の中で作ってたんですけど、ちょっとだけコード習ったりして。どちらかというと歌詞が先か、歌詞とメロディーを同時に作ることが多いですけどね。

──タイプの違う3曲で、これ一枚で鈴木さんの歌の世界を知れるまさしく名刺代わりのシングルですね。

鈴木 疲れが溜まってる人が『Dalalife』を聴いて、そのあとで『kIng』聴いて『よっしゃいくぞ!』ってなってくれればいいな(笑)。ずっとループで聴いてほしい!


海にはトラウマも? でも今は好きになった理由は……

──あとあらためて海の話もしておきたいんですが、出身は千葉ですよね。距離的にも近いでしょうし、子供の頃から好きなんですか?

鈴木 実家は千葉県の木更津で海は近いんですけど、もともと海に入るのとか苦手なんです。子供のころに海に呑まれたことがあって……。

──そんな嫌な思い出が!

鈴木 小学3年生くらいの時なんですけど、海水浴に行って波打ち際でずっと砂遊びしてたんです。それでいざ海に入ろうとしたら波にのまれてしまって両親が見た時は足しか見えなかった、つまり逆さまになってたっていう……。

──それは怖い!

鈴木 なので海は“見るのが好き”です(笑)。

──トラウマになってそうですね。

鈴木 でも最近は何もない広い浜辺にいくと心が洗われますね。波の音も好きだし。特に暗い海ってめちゃめちゃ怖いイメージなんですけど、それが神秘的でもあり。日常的に東京の中にまみれていると、海の“何もなさ”に憧れます。

 

──都会とのギャップもありますしね。

鈴木 地元に帰った時は必ず海に行きます。それほど綺麗な海って感じでもないんですけど(笑)。

──綺麗な海に行きたいなー、って思います? 南の島とか海外とか。

鈴木 一回しか行ったことないですけど沖縄の海は綺麗でしたね。そこで住んでる人からすると当たり前なんだろうけど、透き通り具合とか砂浜の感じが地元とは違うなって。私はきれいな海というより広さが好きなので、海外の海とかも行ってみたいですね。無人島とかもいいなあ。人がいっぱいいるよりはひとりで見たい。波の音が聞こえるときが好きです。

──自然の力を感じることで心も体も安らぎそうです。

鈴木 そういう島とも違うんですけど、日本の島だと猿島に行きたいなあと思ってるんですよね。横須賀の無人島で、戦争の跡地が多くあるらしくて、そういうところも行ってみたいです。

──今日は沖縄とも猿島とも違って、人がいっぱいいるお台場ですが(苦笑)。

鈴木 ビルが見える海って、地元とか自分の知ってる海と違うから、自分は東京の人なんだなって思っちゃいますね。まだ2年くらいですけど。こういう風景を見慣れてきたり、前に比べて速歩きになったり、いろいろ変わってきたなって思いますね。たまに地元に帰るとマインドがぱーんと切り替わってリラックスモードになるので、やっぱり千葉の海好きなんだろなあ(笑)。



──今日はあと趣味のカメラも持ってきてますね。

鈴木 最近はなかなか撮れてないんですけど、今日はいい風景が撮れるかなと思って。高校生の頃にお金貯めて最初にニコンを買って、これが二代目です。普段はポートレートよりも風景写真が好きで、公園とかでよく花とか撮ったりしてるんですよ。夏は特に外に行きたくなるので、これからもっと撮りに行きたいですね。


▽実際に普段撮影しているお写真をいくつか見せてもらいました。











撮影:鈴木瑛美子


2つのミュージカル経験で演技にハマりました!

──このavex portalでは2年前に鈴木さんにインタビューしてるんですけど、結構髪型とか変えてますよね。

鈴木 もともとはデビュー前の鈴木瑛美子のイメージとして黒髪ぱっつんというスタイルだったんですけど、だいたい髪を大きく変えるのはミュージカル出演がきっかけなんです。デビュー後はじめて短くしたのもウィッグつけるのに長すぎたため、バッサリ切ってヘアドネーションしました。その次にピンク色にしたのも役に合わせてで。今はけっこう自分好みな感じですね。真っ黒よりはハイトーンの方が落ち着くんです。

──去年『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド~汚れなき瞳~』『RENT』とミュージカル2本に挑戦したのは経験としては大きかったんじゃないですか。

鈴木 はい、いままで知らなかった世界を見せてもらいました。新しくて全部いいな! って思いました。アーティスト活動とはまた違った表現も生まれたりとか、人間関係も気づきが多くありました。あと守らなきゃいけないものもいろいろあって。わたしがミュージカルに出演し始めた時期がコロナの拡大期だったこともあり、新しいルールを大事にしなきゃいけない環境がもどかしくはあったんですけど、それでも見に来てくださる方々が多くいるので頑張っていかなきゃなって。

──ミュージカルだと、それまでのアーティストとして歌うことと、役者として歌うことの違いも当然ありますよね。

鈴木 普段の自分にプラスして役が加わることって、演じながら歌っててもまったく他人ではないんですよね。別人格になったわけではなくって。自分の持ってる部分と役を合せた時に出てくる共通点を広げていくんです。それが楽しくて演技にハマっちゃいました。

 


──アーティストとミュージカル、2つの鈴木さんが見れるのは楽しみですね。

鈴木 ありがとうございます!ただ大変なのは、最近ミュージカルの稽古中なのですが、稽古ではマスクしながら声を出してるので、本当はどうなのかわからないんですよね。マスクをつけたままで100%で歌おうとしたら過呼吸になっちゃうんで。本番はもちろんマスク外しますけど、その練習もしたいし。

──我々には見えないコロナ対策しながらの稽古の苦労もあるんですね。

鈴木 自分は生歌が強みなので、やっぱり人を前にしての歌声を聞かせたい。アーティストとしての声を直接届けたい! 画面越しはもどかしい! ずっと溜まってます!

──子供の頃から歌い続けてきた鈴木さんにとって、歌に対する気持ちも変わった一年なんでしょうね。

鈴木 自分は歌手だし、一番の武器が声だし、ということを見失いかけたときもあって……時々迷うこともあるんですけど、今は耐えるしかないなって。他のアーティストさんも徐々にライブやりはじめてるので、自分も生のライブを早くやりたいです。今回の『kIng』で新しい世界を開いて、みなさんの前で聴いてもらえるようになりたいと心底思います!


撮影 長谷英史


鈴木瑛美子 2nd Single
『kIng』

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大坪 ケムタ(オオツボ ケムタ)
WRITTEN BY大坪 ケムタ(オオツボ ケムタ)
アイドル・プロレス・B級グルメから大人方面と一見幅広いようで狭いジャンルを手がけるフリーライター。著作にゆるめるモ!田家大知Pとの共著「ゼロからでも始められるアイドル運営」(コア新書)、「SKE48裏ヒストリーファン公式教本」(白夜書房)など。
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