2.5次元舞台を中心に活躍する俳優・牧島 輝がメジャーデビュー! 「俳優の歌手デビュー曲にしては、らしからぬぐらい爽やか“ではない”ところが気に入ってます(笑)」
MANKAI STAGE『A3!』の碓氷真澄役、ミュージカル『刀剣乱舞』の大倶利伽羅役など、2.5次元舞台を中心に俳優として活躍する牧島 輝が2月24日、シングル「かくれんぼっち」でメジャーデビューする。「かくれんぼっち」は新進気鋭の人気ユニット・ツユのリーダー、ぷすが作詞作曲した曲で、「人が持つ嫉妬心や劣等感といったネガティブな感情を歌にできたら」(牧島 輝)というように、人のダークサイドな感情にフォーカスした共感を呼ぶ歌詞が印象的。これまで役を演じることを職業としてきた俳優・牧島 輝が歌手としてデビューするにあたり、「かくれんぼっち」で表現したかったこととは? 役をまとわない等身大の牧島 輝についてもたっぷり語っていただきました。
歌の力を借りてネガティブな感情を発散できた
──2月24日にリリースされる「かくれんぼっち」でメジャーデビューすることが決定しました! 今のお気持ちは?
牧島 メジャーデビューするなんて夢にも思ってなかったので、自分で自分に驚いてる感じです。でも、もともと音楽が好きだったので、素直にうれしいです。
──難しい曲にもかかわらず軽やかに歌っていて、あまりのうまさにびっくりしました。
牧島 いやいや、軽やかにやってる風です(笑)。最初は歌いこなすのが大変でした。テンポも早いですし。でも、似たようなテンポの早い曲をたくさん歌って練習しました。あとは、自分の歌だから歌い方も自分で決めていいんだと気づいて、そこから少しは気楽になれましたね。
──もともと歌手になりたいという気持ちはあったんですか?
牧島 それが全然(笑)。もとは絵描きになりたかったんですよ。ただ、歌手になりたいと思ったことはないけど、バンドはかっこいいと思うので、生まれ変わったらバンドマンになりたいなとは思ってました(笑)。
──ツユのぷすさんが作詞作曲された曲ですが、レコーディングの時にぷすさんからこの曲を歌う上でのディレクションはありましたか?
牧島 僕の中でどう歌えばいいのかなって悩んでたところは相談してアドバイスをいただきました。「かくれんぼっち」はちょっとボカロちっくな曲なので、僕が歌う時も無機質な感じで歌った方がいいのかなと思ったんですけど、ぷすさんからは感情を込めて歌ってもらっても曲としていい感じになると言われて、ああいう感じになりました。
──ツユの曲はもともとご存知だったんですか?
牧島 ツユさんの曲は、もともとYoutubeで見ていて知ってました。なので今回、作詞作曲していただくことに関しては驚きましたし、曲も好きな感じだったのでうれしかったです。
──「かくれんぼっち」は後ろ向きな歌詞が印象的ですが、最初に歌詞を見た時、どう感じました?
牧島 ツユさんの楽曲ってすごくキャッチーだけど、嫉妬とか劣等感とか、人が持つネガティブな感情を歌ってることが多くて、そういうところにみんなが共感するし、僕もそこがいいと思っていたので、僕からも自分の価値観、それこそ劣等感とかちょっとネガティブな感情を歌にできたらいいなということはお話させていただきました。だから、初めて歌詞を見た時は驚いたというより、僕がお願いしたことがこういう形になるんだ、すごいなって思いましたね。「かくれんぼっち」という造語もキャッチーで耳に残るし、フレーズとしても強いですよね。
──今、おっしゃってた嫉妬とか劣等感っていうものをひとにさらけ出すのは勇気がいることだと思いますが、歌う時に気をつけたのはどんなところですか?
牧島 気をつけたことというか、言葉にするのは難しいけど、歌の力を借りたらさらっと言えることってありますよね。たとえば、日本語で「愛してる」って言うのはちょっと恥ずかしいけど、曲の中だったら言えちゃう、みたいな。だから今回は歌の力を借りてそういう劣等感的な感情を発散できたっていうのがありますね。僕の中にもこの歌詞みたいな感情があるんだろうなと思うし。自分で言うのもなんですけど、そんなにネアカな人間じゃないから(笑)。この曲は合ってるんじゃないかなと思います。
もともと自分の中にある気持ちを歌に乗せられたらいいなと思ってリクエストしたので、そういうネガティブな部分、暗い部分をぷすさんもきっと持ってて、それを曲の中で共有できたは楽しかったし、面白かったです。こういう感情を持ってないと出てこない部分ってありますから。
──MVも、最初にビルから落ちるようなヒヤッとしたシーンがあったり、暗い夜のスクラップ場だったり、スリルがあったと思いますが、撮影していてどうでした?
牧島 スクラップ場にはすごく大きなクレーンがあって、そこに大きい磁石がついてて、持ち上げたものをドカンと落とすんですけど、それが僕の真後ろにあったので、カメラが回っている時はビビらないようにするので必死でした。無表情をキープしようと思って死ぬほどがんばりました(笑)。
「かくれんぼっち」は聴いてくれる人それぞれに抱いてるものがある分、人によって解釈がだいぶ変わってくると思うんですよ。MVにも、ちょっと意味深な部分があったりするし。そういうところを自分で見つけて、自分なりに解釈して、また曲を聴いてもらえたら面白いんじゃないかなと思います。
カップリングは大好きなビジュアル系っぽい曲!
──歌詞とご本人との対比が気になりますが、歌詞に出てくる私と君のどちら側だと思いますか?
牧島 僕、人から羨まれたりしてるのかな?(笑) 自分ではわからないですよね。でも、誰かにとって羨ましいと思う存在は絶対いると思うし、そういう意味では僕自身も“私”側に近いのかなってい思います。
──たとえば1番の歌詞で「世渡り上手の君」と「ドジを踏んでばかりの私」が出てきますが、ご本人はどっちのタイプだと思いますか?
牧島 えーっ、僕、ドジ踏んでばっかりなのかなあ(笑)。自分ではそう思ってないけど、あいつドジっ子だなと思われてたらいやですよね。(スタッフに確認して)ドジっ子ではないらしいです(笑)。でも、だからといって世渡り上手というわけでもないです。世渡り上手になろうとは思ってないけど(笑)。でもやっぱりどこかにそういう人に憧れてる気持ちはあるのかなあ。
──周りの人にはどう言われることが多いですか?
牧島 「変」って言われますね…。
──ご本人的にはそれを聞いてどう思われたんですか?
牧島 「変なんだあ」って(笑)。納得してなくはないけど…、自分で自分のことってあんまりわからないですよね。でもおかしなヤツ扱いされて、面白がられてる立場ですね、わりと(笑)。
──歌詞には「賭け事上手」という言葉も出てきますが、賭け事はさておき、運はいいほうですか?
牧島 運はいいほうだと思いますね。今回メジャーデビューさせてもらえるっていうことも、そもそも運がいいことだと思いますし。以前、『イケメンヴァンパイア◇偉人たちと恋の誘惑』というゲームのタイアップソング「Only one more rendezvous」を歌ったことがきっかけになったと思うんですけど、この曲が今回のシングルのカップリングソングになってるんですよ。
──「Only one more rendezvous」は「かくれんぼっち」とは違った曲調ですが、こちらもまた別の種類の難しさがある曲ですよね。
牧島 ちょっとヴィジュアル系っぽい曲調と歌詞の曲ですよね。もともとゲームの世界観がヴァンパイアだし。僕、もともとヴィジュアル系バンドがすごい好きで、the GazettEさんとムックさんが好きなんですけど、もしかしたらそういう世界観に沿うことが、自分の中ではそんなに難しくはないのかもしれないですね。ライブにもよく行ってたし、自分のベースにそういうところがあるのかなっていう気はします。カラオケでもムックさんの曲はよく歌うんですよ。
──じゃあいつかバンドの方に曲をお願いしたいという気持ちはありますか?
牧島 いやいやいや、もしそうなったらうれしいですけど、そんな!
──「かくれんぼっち」の歌詞、歌唱、タイトル、MVすべて含めて一番気に入ってるポイントはどこですか?
牧島 全部気に入ってますね。MVもすごくカッコよく撮ってもらったし、曲もすごく好きな感じだし。俳優をやっている人のデビューシングルにしては、らしからぬぐらい爽やか“ではない”ところが、特にすごくいいなと思ってます(笑)。それが自分に似合ってるって自分でも思うし。MVでの歌い出しの僕の顔が、本当に”らしからぬ”顔をして歌ってるなっていう感じがあって、けっこう好きです。
自分がやりたいことが、作り手側の人たちにきちんと伝わって、僕がやろうとしてることに合わせてくれたっていうのがありがたかったですね。僕がやろうとしたこともたくさんあったけど、やらせてもらえたこともたくさんあったので。
──俳優という職業上、普段は役をまとっている姿を見ているわけですが、今回の曲ではご本人のやりたいことがたくさん入っていて、ファンの方にとっては素の牧島さんに触れられる機会にもなりますね。
牧島 たしかに、そういう部分もありますよね。でも、ヤバいな。めちゃくちゃ根暗なヤツだと思われるかも(笑)。でもけっこう明るいところもあるんですよ。基本的には前向きです、8割は前向き。それに、何者かを羨んだり、誰かが輝いて見えたりするのって、そうなりたいという気持ちでもあるわけで、そこにはきっと前向きな部分もあるはずだから、全部が全部ネガティブな歌ではないと思うんですよね。曲の捉え方、解釈はそれぞれですけど。でもたしかに、「かくれんぼっち」では僕の中の残りの2割の部分が大きく出たような感じはします(笑)。
──8割は前向きだという牧島さんですが、後ろ向きな気持ちになった時はどうしますか?
牧島 カーテンを開けて、日の光に当たりながら、観葉植物に水をあげます。日の光の力ってすごいですよね。
──周りの人が落ち込んでる時はどうします?
牧島 できるだけ関わりたくないですけど(笑)、一緒に焼き肉にでも行って、ご馳走してあげます。それで元気にならないヤツはもうダメです!(笑) 太陽と肉さえあれば、なんとかなるはず。
──じゃあ逆に、牧島さんは落ち込んでいる時は焼き肉をおごってほしいですか?
牧島 あわよくば!(笑)
「ライブもやってみたい! 照れ屋だけど(笑)」
──YouTubeではMVがすでに公開されていることもあって、反応を目にする機会が多いと思うのですが、手応えはどうですか?
牧島 ファンの方のリアクションがすごくよかったですね。もともとミュージカルで歌を歌ったり、イベントでカバー曲を歌ったこともあったので、いつか歌手デビューしてくれたらうれしいと言ってくださる方もたくさんいたんですよ。だから、念願が叶ったと言ってくれた方もいました。あと、めちゃくちゃ「らしい」とは言われましたね(笑)。
身近な人からの反応もかなりよくて、俳優仲間からは死ぬほどLINEが来ました(笑)。ツイッターのリプライでもかなり反応してくれて、すごくうれしかったです。ちょっと恥ずかしかったけど。MVを身内に見られるのって恥ずかしいんですよ。みんなすごく褒めてくれたけど、中には僕の曲を歌っている動画を送ってくれたヤツもいました。有澤樟太郎くんですけど(笑)。こないだまで一緒に舞台をやっていたのもあって時々会ってるんですが、もうずっと「かくれんぼっち」を口ずさんでるんですよ。俺に聴かせようというふうでもなく、ただ歌って「いいわあ」って言ってます(笑)。半ばいじられてるんでしょうけど(笑)。
──歌のうまい人にとっては挑戦しがいのある曲ですよね。
牧島 ファンの方には音楽が好きな人も多いと思うし、歌ってみたいと言っている方もいるようなので、ぜひ歌ってほしいなと思いますね。
──牧島さんとしては今回の出来には満足ですか?
牧島 僕が曲を出すと言った時、でもまだどういう曲なのか発表されてない段階で、みんな楽しみだとは言ってくれてたけど、不安もあったんですよ。初めて俳優としてではなく歌手としての姿を見せて、「ちょっと思ってたのとは違う」とか、「ふーん、そういう感じね」みたいに思われたら嫌だなと思ってたので、ファンのみなさんのリアクションがよかったのにはほっとしました。
公開されたのが朗読劇の帰りの新幹線の中だったんですけど、死ぬほど緊張しました。ファンの方も緊張してたと思うけど、僕にはきっと勝てないと思う(笑)。最初は、ファンの方の反応もできるだけ見ないようにしてましたもん。舞台とはまた違う緊張ですよね。舞台では役の力を借りて出るものじゃないですか。だけど、自分が表に出るっていうのはイベントなんかではありましたけど、こういう風にひとつの作品として世に出るというのは初めてだったので、緊張はありましたね。
──これだけ反応がよければ当然次は?という話にもなってくると思うのですが、考えてることはありますか?
牧島 どうなんですかね。次なんてないだろうという気持ちで今回がんばったので…。今回の「かくれんぼっち」ではみんなが隠してる気持ちを代弁できたと思うので、もし次があるなら今回伝えきれなかった人には言えない気持ちを代弁していけるような曲を作っていきたいです。いつかバラードも歌ってみたいですし、ライブもしてみたいです。でも僕、役を演じている時は平気なんですけど、すごく照れ屋なんですよ。だからライブでパフォーマンスはできないかもしれないです。もともと音楽好きで、ライブに行ったりライブの映像を観るのが好きなんですけど、みなさんすごいじゃないですか。MCも面白くて、曲中のパフォーマンスも素晴らしくて。だから、僕がライブをやるとしたら、淡々と歌うだけのライブでみなさんに楽しんでもらえるようにがんばります(笑)。
──歌手としての活動は俳優としての表現の幅も広がると思うのですが、今後やりたいことはありますか?
牧島 俳優としてもそうだし、歌手としてもそうだけど、今回、MVの撮影で役の力を借りずに出たことで、もっと表現力を鍛えていかないといけないなと思いましたね。普段から絵を描くのが好きで、美術館に行くのも好きなんですけど、ただ絵を見てインプットするだけじゃなく、自分で絵を描いてアウトプットすることも大事なんですよ。絵を描くのも自分の表現のひとつだから。自分で作品を作るのって、たとえそれがたった1個の作品を作るだけだとしても、大きく成長できたりするんですよね。だから、そういうアウトプットの時間は大事にしたいです。
──今はなかなかライブや舞台も以前のようにはできない状況ですが、このコロナ禍の間にやってみたことはありますか?
牧島 料理をけっこうやりましたね、すぐ飽きちゃいましたけど(笑)。でも、もともと料理はうまいんですよ。得意料理は特にないけど、何でも作れます。個人的に好きなのはグリーンカレー。すっごい簡単なんですよ。もともとあるペーストにココナツミルクと好きな香辛料を付け足して、自分の好きなように作ります。これがおいしいんですよ、自分好みなので(笑)。
──最後に、ファンの方にメッセージをお願いします。
牧島 役者としてやっていくと思っていたから、まさか歌手としてメジャーデビューすることになるとは思ってなくて、自分でも驚いてます。でもこれもひとつの表現の仕方だと思ってます。これがきっと役者に繋がることもあるし、役者の仕事が歌手の仕事に繋がることもたくさんあると思うし。それってすごく楽しいことだなと思うんですよね。今回の曲は爽やかで明るい曲ではないかもしれないけど、きっとみんなが抱いている気持ちだったり、共感できる部分があると思うんです。だからこの曲を聴いて、暗くなるんじゃなくて、歌詞に共感したり、自分のそういう気持ちを発散して、楽しんでもらえたらいいなと思っています。何回でも聴いてください!
牧島 輝
Official Site:https://makishima-hikaru.net/
Twitter:https://twitter.com/maximum083
Instagram:https://www.instagram.com/maximumhikaru/
牧島 輝1st single
「かくれんぼっち」
2021.2.17 配信リリース!
2021.2.24 on sale
歌の力を借りてネガティブな感情を発散できた
──2月24日にリリースされる「かくれんぼっち」でメジャーデビューすることが決定しました! 今のお気持ちは?
牧島 メジャーデビューするなんて夢にも思ってなかったので、自分で自分に驚いてる感じです。でも、もともと音楽が好きだったので、素直にうれしいです。
──難しい曲にもかかわらず軽やかに歌っていて、あまりのうまさにびっくりしました。
牧島 いやいや、軽やかにやってる風です(笑)。最初は歌いこなすのが大変でした。テンポも早いですし。でも、似たようなテンポの早い曲をたくさん歌って練習しました。あとは、自分の歌だから歌い方も自分で決めていいんだと気づいて、そこから少しは気楽になれましたね。
──もともと歌手になりたいという気持ちはあったんですか?
牧島 それが全然(笑)。もとは絵描きになりたかったんですよ。ただ、歌手になりたいと思ったことはないけど、バンドはかっこいいと思うので、生まれ変わったらバンドマンになりたいなとは思ってました(笑)。
──ツユのぷすさんが作詞作曲された曲ですが、レコーディングの時にぷすさんからこの曲を歌う上でのディレクションはありましたか?
牧島 僕の中でどう歌えばいいのかなって悩んでたところは相談してアドバイスをいただきました。「かくれんぼっち」はちょっとボカロちっくな曲なので、僕が歌う時も無機質な感じで歌った方がいいのかなと思ったんですけど、ぷすさんからは感情を込めて歌ってもらっても曲としていい感じになると言われて、ああいう感じになりました。
──ツユの曲はもともとご存知だったんですか?
牧島 ツユさんの曲は、もともとYoutubeで見ていて知ってました。なので今回、作詞作曲していただくことに関しては驚きましたし、曲も好きな感じだったのでうれしかったです。
──「かくれんぼっち」は後ろ向きな歌詞が印象的ですが、最初に歌詞を見た時、どう感じました?
牧島 ツユさんの楽曲ってすごくキャッチーだけど、嫉妬とか劣等感とか、人が持つネガティブな感情を歌ってることが多くて、そういうところにみんなが共感するし、僕もそこがいいと思っていたので、僕からも自分の価値観、それこそ劣等感とかちょっとネガティブな感情を歌にできたらいいなということはお話させていただきました。だから、初めて歌詞を見た時は驚いたというより、僕がお願いしたことがこういう形になるんだ、すごいなって思いましたね。「かくれんぼっち」という造語もキャッチーで耳に残るし、フレーズとしても強いですよね。
──今、おっしゃってた嫉妬とか劣等感っていうものをひとにさらけ出すのは勇気がいることだと思いますが、歌う時に気をつけたのはどんなところですか?
牧島 気をつけたことというか、言葉にするのは難しいけど、歌の力を借りたらさらっと言えることってありますよね。たとえば、日本語で「愛してる」って言うのはちょっと恥ずかしいけど、曲の中だったら言えちゃう、みたいな。だから今回は歌の力を借りてそういう劣等感的な感情を発散できたっていうのがありますね。僕の中にもこの歌詞みたいな感情があるんだろうなと思うし。自分で言うのもなんですけど、そんなにネアカな人間じゃないから(笑)。この曲は合ってるんじゃないかなと思います。
もともと自分の中にある気持ちを歌に乗せられたらいいなと思ってリクエストしたので、そういうネガティブな部分、暗い部分をぷすさんもきっと持ってて、それを曲の中で共有できたは楽しかったし、面白かったです。こういう感情を持ってないと出てこない部分ってありますから。
──MVも、最初にビルから落ちるようなヒヤッとしたシーンがあったり、暗い夜のスクラップ場だったり、スリルがあったと思いますが、撮影していてどうでした?
牧島 スクラップ場にはすごく大きなクレーンがあって、そこに大きい磁石がついてて、持ち上げたものをドカンと落とすんですけど、それが僕の真後ろにあったので、カメラが回っている時はビビらないようにするので必死でした。無表情をキープしようと思って死ぬほどがんばりました(笑)。
「かくれんぼっち」は聴いてくれる人それぞれに抱いてるものがある分、人によって解釈がだいぶ変わってくると思うんですよ。MVにも、ちょっと意味深な部分があったりするし。そういうところを自分で見つけて、自分なりに解釈して、また曲を聴いてもらえたら面白いんじゃないかなと思います。
カップリングは大好きなビジュアル系っぽい曲!
──歌詞とご本人との対比が気になりますが、歌詞に出てくる私と君のどちら側だと思いますか?
牧島 僕、人から羨まれたりしてるのかな?(笑) 自分ではわからないですよね。でも、誰かにとって羨ましいと思う存在は絶対いると思うし、そういう意味では僕自身も“私”側に近いのかなってい思います。
──たとえば1番の歌詞で「世渡り上手の君」と「ドジを踏んでばかりの私」が出てきますが、ご本人はどっちのタイプだと思いますか?
牧島 えーっ、僕、ドジ踏んでばっかりなのかなあ(笑)。自分ではそう思ってないけど、あいつドジっ子だなと思われてたらいやですよね。(スタッフに確認して)ドジっ子ではないらしいです(笑)。でも、だからといって世渡り上手というわけでもないです。世渡り上手になろうとは思ってないけど(笑)。でもやっぱりどこかにそういう人に憧れてる気持ちはあるのかなあ。
──周りの人にはどう言われることが多いですか?
牧島 「変」って言われますね…。
──ご本人的にはそれを聞いてどう思われたんですか?
牧島 「変なんだあ」って(笑)。納得してなくはないけど…、自分で自分のことってあんまりわからないですよね。でもおかしなヤツ扱いされて、面白がられてる立場ですね、わりと(笑)。
──歌詞には「賭け事上手」という言葉も出てきますが、賭け事はさておき、運はいいほうですか?
牧島 運はいいほうだと思いますね。今回メジャーデビューさせてもらえるっていうことも、そもそも運がいいことだと思いますし。以前、『イケメンヴァンパイア◇偉人たちと恋の誘惑』というゲームのタイアップソング「Only one more rendezvous」を歌ったことがきっかけになったと思うんですけど、この曲が今回のシングルのカップリングソングになってるんですよ。
──「Only one more rendezvous」は「かくれんぼっち」とは違った曲調ですが、こちらもまた別の種類の難しさがある曲ですよね。
牧島 ちょっとヴィジュアル系っぽい曲調と歌詞の曲ですよね。もともとゲームの世界観がヴァンパイアだし。僕、もともとヴィジュアル系バンドがすごい好きで、the GazettEさんとムックさんが好きなんですけど、もしかしたらそういう世界観に沿うことが、自分の中ではそんなに難しくはないのかもしれないですね。ライブにもよく行ってたし、自分のベースにそういうところがあるのかなっていう気はします。カラオケでもムックさんの曲はよく歌うんですよ。
──じゃあいつかバンドの方に曲をお願いしたいという気持ちはありますか?
牧島 いやいやいや、もしそうなったらうれしいですけど、そんな!
──「かくれんぼっち」の歌詞、歌唱、タイトル、MVすべて含めて一番気に入ってるポイントはどこですか?
牧島 全部気に入ってますね。MVもすごくカッコよく撮ってもらったし、曲もすごく好きな感じだし。俳優をやっている人のデビューシングルにしては、らしからぬぐらい爽やか“ではない”ところが、特にすごくいいなと思ってます(笑)。それが自分に似合ってるって自分でも思うし。MVでの歌い出しの僕の顔が、本当に”らしからぬ”顔をして歌ってるなっていう感じがあって、けっこう好きです。
自分がやりたいことが、作り手側の人たちにきちんと伝わって、僕がやろうとしてることに合わせてくれたっていうのがありがたかったですね。僕がやろうとしたこともたくさんあったけど、やらせてもらえたこともたくさんあったので。
──俳優という職業上、普段は役をまとっている姿を見ているわけですが、今回の曲ではご本人のやりたいことがたくさん入っていて、ファンの方にとっては素の牧島さんに触れられる機会にもなりますね。
牧島 たしかに、そういう部分もありますよね。でも、ヤバいな。めちゃくちゃ根暗なヤツだと思われるかも(笑)。でもけっこう明るいところもあるんですよ。基本的には前向きです、8割は前向き。それに、何者かを羨んだり、誰かが輝いて見えたりするのって、そうなりたいという気持ちでもあるわけで、そこにはきっと前向きな部分もあるはずだから、全部が全部ネガティブな歌ではないと思うんですよね。曲の捉え方、解釈はそれぞれですけど。でもたしかに、「かくれんぼっち」では僕の中の残りの2割の部分が大きく出たような感じはします(笑)。
──8割は前向きだという牧島さんですが、後ろ向きな気持ちになった時はどうしますか?
牧島 カーテンを開けて、日の光に当たりながら、観葉植物に水をあげます。日の光の力ってすごいですよね。
──周りの人が落ち込んでる時はどうします?
牧島 できるだけ関わりたくないですけど(笑)、一緒に焼き肉にでも行って、ご馳走してあげます。それで元気にならないヤツはもうダメです!(笑) 太陽と肉さえあれば、なんとかなるはず。
──じゃあ逆に、牧島さんは落ち込んでいる時は焼き肉をおごってほしいですか?
牧島 あわよくば!(笑)
「ライブもやってみたい! 照れ屋だけど(笑)」
──YouTubeではMVがすでに公開されていることもあって、反応を目にする機会が多いと思うのですが、手応えはどうですか?
牧島 ファンの方のリアクションがすごくよかったですね。もともとミュージカルで歌を歌ったり、イベントでカバー曲を歌ったこともあったので、いつか歌手デビューしてくれたらうれしいと言ってくださる方もたくさんいたんですよ。だから、念願が叶ったと言ってくれた方もいました。あと、めちゃくちゃ「らしい」とは言われましたね(笑)。
身近な人からの反応もかなりよくて、俳優仲間からは死ぬほどLINEが来ました(笑)。ツイッターのリプライでもかなり反応してくれて、すごくうれしかったです。ちょっと恥ずかしかったけど。MVを身内に見られるのって恥ずかしいんですよ。みんなすごく褒めてくれたけど、中には僕の曲を歌っている動画を送ってくれたヤツもいました。有澤樟太郎くんですけど(笑)。こないだまで一緒に舞台をやっていたのもあって時々会ってるんですが、もうずっと「かくれんぼっち」を口ずさんでるんですよ。俺に聴かせようというふうでもなく、ただ歌って「いいわあ」って言ってます(笑)。半ばいじられてるんでしょうけど(笑)。
──歌のうまい人にとっては挑戦しがいのある曲ですよね。
牧島 ファンの方には音楽が好きな人も多いと思うし、歌ってみたいと言っている方もいるようなので、ぜひ歌ってほしいなと思いますね。
──牧島さんとしては今回の出来には満足ですか?
牧島 僕が曲を出すと言った時、でもまだどういう曲なのか発表されてない段階で、みんな楽しみだとは言ってくれてたけど、不安もあったんですよ。初めて俳優としてではなく歌手としての姿を見せて、「ちょっと思ってたのとは違う」とか、「ふーん、そういう感じね」みたいに思われたら嫌だなと思ってたので、ファンのみなさんのリアクションがよかったのにはほっとしました。
公開されたのが朗読劇の帰りの新幹線の中だったんですけど、死ぬほど緊張しました。ファンの方も緊張してたと思うけど、僕にはきっと勝てないと思う(笑)。最初は、ファンの方の反応もできるだけ見ないようにしてましたもん。舞台とはまた違う緊張ですよね。舞台では役の力を借りて出るものじゃないですか。だけど、自分が表に出るっていうのはイベントなんかではありましたけど、こういう風にひとつの作品として世に出るというのは初めてだったので、緊張はありましたね。
──これだけ反応がよければ当然次は?という話にもなってくると思うのですが、考えてることはありますか?
牧島 どうなんですかね。次なんてないだろうという気持ちで今回がんばったので…。今回の「かくれんぼっち」ではみんなが隠してる気持ちを代弁できたと思うので、もし次があるなら今回伝えきれなかった人には言えない気持ちを代弁していけるような曲を作っていきたいです。いつかバラードも歌ってみたいですし、ライブもしてみたいです。でも僕、役を演じている時は平気なんですけど、すごく照れ屋なんですよ。だからライブでパフォーマンスはできないかもしれないです。もともと音楽好きで、ライブに行ったりライブの映像を観るのが好きなんですけど、みなさんすごいじゃないですか。MCも面白くて、曲中のパフォーマンスも素晴らしくて。だから、僕がライブをやるとしたら、淡々と歌うだけのライブでみなさんに楽しんでもらえるようにがんばります(笑)。
──歌手としての活動は俳優としての表現の幅も広がると思うのですが、今後やりたいことはありますか?
牧島 俳優としてもそうだし、歌手としてもそうだけど、今回、MVの撮影で役の力を借りずに出たことで、もっと表現力を鍛えていかないといけないなと思いましたね。普段から絵を描くのが好きで、美術館に行くのも好きなんですけど、ただ絵を見てインプットするだけじゃなく、自分で絵を描いてアウトプットすることも大事なんですよ。絵を描くのも自分の表現のひとつだから。自分で作品を作るのって、たとえそれがたった1個の作品を作るだけだとしても、大きく成長できたりするんですよね。だから、そういうアウトプットの時間は大事にしたいです。
──今はなかなかライブや舞台も以前のようにはできない状況ですが、このコロナ禍の間にやってみたことはありますか?
牧島 料理をけっこうやりましたね、すぐ飽きちゃいましたけど(笑)。でも、もともと料理はうまいんですよ。得意料理は特にないけど、何でも作れます。個人的に好きなのはグリーンカレー。すっごい簡単なんですよ。もともとあるペーストにココナツミルクと好きな香辛料を付け足して、自分の好きなように作ります。これがおいしいんですよ、自分好みなので(笑)。
──最後に、ファンの方にメッセージをお願いします。
牧島 役者としてやっていくと思っていたから、まさか歌手としてメジャーデビューすることになるとは思ってなくて、自分でも驚いてます。でもこれもひとつの表現の仕方だと思ってます。これがきっと役者に繋がることもあるし、役者の仕事が歌手の仕事に繋がることもたくさんあると思うし。それってすごく楽しいことだなと思うんですよね。今回の曲は爽やかで明るい曲ではないかもしれないけど、きっとみんなが抱いている気持ちだったり、共感できる部分があると思うんです。だからこの曲を聴いて、暗くなるんじゃなくて、歌詞に共感したり、自分のそういう気持ちを発散して、楽しんでもらえたらいいなと思っています。何回でも聴いてください!
撮影 長谷英史
牧島 輝
Official Site:https://makishima-hikaru.net/
Twitter:https://twitter.com/maximum083
Instagram:https://www.instagram.com/maximumhikaru/
牧島 輝1st single
「かくれんぼっち」
2021.2.17 配信リリース!
2021.2.24 on sale
- WRITTEN BY尹秀姫(ゆんすひ)
- 出版社勤務を経て、現在はフリーの編集・ライター。
たまに韓国語の通訳・翻訳も。K- POPを中心にさまざまなアーティスト・ 俳優にインタビューしています。