kolme
1st ALBUM「Who is callme?」オフィシャルライナーノーツ公開
2015.10.27
2014年12月に結成されたガールズユニットcallme。
メンバーは、英語とダンスが得意なKOUMI、作詞作曲担当のMIMORI、2人を引っ張るしっかり者のリーダーRUUNA、の3人。
この三様の個性を活かし、楽曲の作詞作曲を手がけるなどセルフプロデュース力に長けた彼女たちは、翌2015年にはデビューシングル『To shine』をリリースする。
その高いクオリティーと、新たな可能性を感じさせる楽曲に驚きつつ、歓喜したのも記憶に新しい。それから2枚のEPのリリースを経て、彼女たちの努力と才能の結晶となる1st フルアルバムが到着した。
4ヶ月という歳月を注いだ作品のタイトルは『Who is callme?』
「callmeって誰?」と自ら問いかける形となったこの表題について、リーダーRUUNAがこう話してくれた。
「メンバー全員、スタッフも含め妥協しないで一生懸命作った作品だったから、先入感なく始めに音楽を聴いてもらって、聴いた人にこう言ってもらいたくて。いくつか候補があった中で一番しっくり来たのが、このタイトルだったんです。」そう話す通り、アイドル・ミュージシャン・アーティストなど既存の枠にとらわれることなく、「良い音楽を届けたい!」という純粋な想いの詰まったアルバムだということがすぐに実感出来る。
そこで、彼女たちの新しいチャプターの幕開けを彩る、この“我が子”のような楽曲についてインタビューを行った。それではcallmeメンバー全員による、アルバム全曲解説スタート!
01. Intro
02. step by step
———シンセの音の中でラジオDJが曲紹介をするようなかっこいいイントロから、勢いのあるstep by stepに突入するわけですが、情報番組のエンディングやCMのタイアップにもなっているこのキャッチーなナンバーは、どうやって完成したんですか?
MIMORI 元々はたまたま遊びにきた共作者のRyotaさん(アレンジャーRumbさんの後輩にあたるシンガーソングライター)が作っていた未完成の音源があって、聴かせてもらった時にとても気に入ったので、一緒に完成までやれせていただくという流れになったんです。
そこで、一緒にブースに入ってコードをギターやピアノで鳴らしてもらいながら、メロディーを作っていきました。
KOUMI Ryotaさんに色々アドバイスをもらって、言葉とリズムがマッチするような工夫や、韻を踏んだり、初めて聴く方の耳にも飛び込みやすい詞を目指して書いていきました。
———本当にこの歌詞とリズムのマッチングが素晴らしくて、すっかり脳内ループしています。
詞の内容も、「これから新しい景色を見に行くんだ!」という決意表明のようで、1曲目に相応しいですよね。
RUUNA ありがとうございます!この曲は、夏フェスに向けてアップテンポで覚えやすい曲を作ろうってことで出来たんですけど、各地のフェスで披露してこの夏のキーポイントになったのでアルバムのオープニングにしたんです。
03. My affection
———シンセのフレーズが印象的で、サビが気持ちいい曲ですよね。後半に出てくる無機質なキック音と低音のビートで抑えたところに、ボーカルが入ってくる展開もより高揚感を生んでいると思います。これも作曲の段階からライブでの盛り上がりを考えていましたか?
MIMORI 確かにライブを意識して作っていましたね。これもコードから決めてメロディーを付けていったんですが、アレンジャーさん(アレンジ及びレコーディングエンジニアもRumbさん)の中にもライブでアガる曲!という共通のイメージがあって、そこを強調したシンセのアレンジになりました。
私の中では楽しくて、可愛さもある曲にしようと思っていました。
———その可愛らしさのイメージは、RUUNAさんの書いた恋心が溢れる瞬間のストレートな詞にも反映されていますね。
RUUNA 実はこれが初めて作詞に挑戦した曲だったんです。みんなに、分かりやすいくらい甘い恋愛の詞がいいって言われていたので、少女漫画の世界を想像しつつ時系列を大事にして書きました。
作詞についてまだ知識もなかったので、あまり考えすぎないで自然に出てきたものをそのまま書くようにしました。
———歌い方もエモーショナルですよね。
RUUNA そうですね。キーも高かったので、歌い上げるイメージの方が良いと思って。
KOUMI その中でも丁寧に歌うように心掛けて、言葉ひとつひとつを大事にしました。
04. Oh yeah!
———タイトル通りのアッパーな曲でアルバム全体をリードしている曲だと感じました。これは作曲も作詞もMIMORIさんと一人二役ですが、どんな作り方をしたんですか?
MIMORI 意外に思うかもしれませんが、これが最後に出来た曲だったんです。
アルバム全体が見えてきたタイミングでアップテンポの曲をもう1曲入れようということになって、ライブで一体感を生み出せる曲をと思い作りました。
実は、ギリギリになって作ろうという話になったので、制作期間が3日間しかなくて…結構追い込まれていましたね。
でもこの経験は、やれば出来るんだ!と自信にも繋がりますね。追い込まれた方が出来るタイプなのかも(笑)
珍しく詞から先に出来たパートもあって、Aメロがそうだったんですけど、詞が先行してノリを掴んでいったような感じでした。
サビはRyotaさんにも助けていただいて、歌詞も3人で言葉を出し合いましたね。
05. Precious
———個人的にこの曲がとても好きで…90年代の青春時代を過ごした頃に聴いたR&Bを彷彿とさせて、胸がキュンとしてたまらない気持ちになります。アルバムを締める役割をする1曲でもあると思うんですが、これはKOUMIさんの得意分野が炸裂していますよね!
KOUMI これは2人のカップルのかなりラブラブな会話を英詞で書いたので、恥ずかしいからあんまり日本語に直してほしくないですね(笑)
———これは先に日本語で書いたものを英語に訳したんですよね?
KOUMI そうです。
———日本語と英語だと、1つの音符に乗せる言葉の数が変わってくるので難しくなかったですか?
KOUMI アレンジャーさんから「リズムやメロディーは、乗せやすいように自由に考えていいよ」って言っていただいた上に、私が得意なささやくような歌い方にしようということだったので、自分で歌いやすいように作りました。
———ノリノリなOh yeah!の後で、雰囲気もガラッと変わりますよね。
RUUNA アップテンポが続いたので、耳休めのような感じでここに入れてみました。
———3人の声のハーモニーも美しかったです。
MIMORI 私たちは英語の発音も歌い方も、こうみんが先に録ったものを聴いてそこに合わせました。
RUUNA どの曲もそうなんですが、声の特性に合わせて3人のマイクを替えていただいていて、この曲は柔らかいベールが1枚かかるようなマイクで録りました。
06. Falling for you
———この曲はデビューシングルの中から唯一ラインナップされていますね。アルバムの他の曲と比較しても、少し大人っぽい詞でドキドキしました。
MIMORI そうですよね(笑)デビューの時に初めて作詞作曲を1人でやらせてもらったんですけど、自然と大人っぽいメロディーになって、それに合わせてアレンジも色っぽい感じにしてもらったので、じゃあ歌詞もとことん大人っぽくしていこうかなって。普段自分が使っている言葉よりも、年上の人が使う言葉を意識して書きました。
実は書いている段階では2人にも見せるのが恥ずかしくて,完成してからやっと披露しました。
RUUNA 見た時、衝撃的だったよね。溺れてく…落ちてく…って(笑)
KOUMI ね(笑)言葉のチョイスが独特だよね。英語の詞の部分は私が訳しました。
RUUNA でもやっぱり始めからある曲なので、この曲がアルバムの軸になっていて、ここからイメージを膨らませて内容を広げていったんです。大人っぽさと、それをやり過ぎないバランスはこの曲が一番うまく取れていると思います。
07. game is mine
———引き続き、大人の雰囲気が漂いますね。ピアノのアレンジもコード進行もかっこ良くて、ちょっと意地悪な感じが詞とマッチしていますよね。
MIMORI これはFalling for youがあったから出来た曲なんです。あの曲のようなメロディーとかファンクっぽいサウンドが、私に合うんじゃないかってことで、更にジャジーでスリリングなものを作ろうと思い、生まれたのがgame is mineです。
そのテーマで作ったので、せっかくなら詞も対になるものを書きたくて。
Falling for youは『恋愛に落ちていく女性』、game is mineは逆で、恋愛をゲームみたいに考えて『相手を落としていく女性』をイメージしました。
———10代でその駆け引きをリアルに描けることに、正直びっくりしました(笑)
MIMORI 私、ゲームやアニメが好きなんですけど、この曲はアニメに助けられましたね。
———英語が入ったり、大人っぽい楽曲になっても、背伸びして無理をしている感じがなく等身大な部分がちゃんとあるし、キャッチーさもある。そのバランスはどうやって取っていたんですか?
RUUNA アレンジャーさんやスタッフさんに相談して、というのもありますね。あとは私たち3人の好きな音楽が違って、こうみんは洋楽好きで、みもりんはボーカロイドとかニコニコの歌い手さんが好き。私はJ-POPが好きで、書く歌詞も日本語だけ。コアなところに行き過ぎないように引っ張り合って、バランスが取れているんだと思います。
08. For you
———この曲はEDMの要素が入っていますよね。ダンスミュージックということで、中盤から声よりもサウンドの音量が大きめになっていて、バランスが他の曲と少し変わっているように感じました。
RUUNA そうなんです。最初は歌声重視なんですが、盛り上がっていくと音楽が先行していって、爽やかな詞に合った疾走感をアレンジャーさんが作り出してくれました。
実はこれ、スタジオでサーフィンの動画を見ながら作ったんですよ。イベントやアルバム制作で、この夏はどこにも行けなかったので、ちょっとでも夏気分を味わおうと思って。海外の人のサーフィンの映像でテンションを上げて書いたのがこの曲です。(笑)
09. Interlude 1
———このインタールードはどなたの発案だったんですか?
RUUNA 1曲1曲しっかり聴いてもらうための耳休めのような感じで、インタールードを入れたいねとみんなで相談していたんですけど、そしたらアレンジャーさんが「これだけは任せてほしい!」ということで、全てお任せしました。
KOUMI アレンジャーさんに「これ歌ってみて」と突然言われて私がブースで歌ったコーラスが、このインタールード1になりました。
録る段階では何も知らなくて、あとで出来上がりを聴かせてもらいびっくりしました。サプライズプレゼントのようで嬉しかった!
10. change my life
———この曲はキックのインパクトがありますが、比較的シンプルで、みんなの歌声が強調されていますね。
MIMORI これはFor youと同じくらいの頃、夏の始まりに出来たんですが、夏に向かって盛り上がっていこうという3人共通の明るいテンションで、楽しんで作りました。スタジオ作業が多くて、飛び出したい気持ちもあったかな(笑)
———作詞はこうみんですね。メッセージが明確で、言葉1つ1つがしっかり伝わってきました。
KOUMI 出来上がった曲を最初に聴いた時に、これは背中を押してくれる曲になるんじゃないかなと思ったので、私が19年間生きてきたなりの経験を踏まえて、同じことのくり返しで退屈さを感じてしまう日常から、一歩踏み出してみると変わることもあるんだよ、その一歩が大切なんだよという前向きなメッセージを込めて書きました。
11. I’m alone
———これはかなり切ない曲ですね。ジャジーなピアノのイントロからスーッと世界感が広がって、グッと引き込まれました。
MIMORI これはアルバムの核になる曲を作ろうというところから始まって、まずアレンジャーさんとやり取りしながら、あの特徴のあるピアノのイントロが出来たんです。そこから失恋、藍色…とイメージが膨らんで、哀愁漂う失恋ソングにしようと決めたんですが、経験がないとそのテーマは難しくて…歌詞を書くのに一番頭を捻ったし時間がかかりました。
RUUNA みんなで失恋のシチュエーションを実演しながら、悲しい気持ちを作る手助けをしていました。(笑)
MIMORI 人生経験として、失恋はしてみたいと思うようになりましたね。
12. Like a breeze
———手拍子と爪弾くギターのフレーズで爽やかにスタートする曲ですが、少しラテンのフレーバーも感じます。そこに寄り添う詞も、まさにタイトルの通り常夏に吹く涼風を感じさせる軽やかさがありますね。
RUUNA この曲は初め歌詞もみもが書いていたんですけど、途中で書けなくなって…
MIMORI イメージは浮かぶのに、どう言葉にしたらいいのか分からなくなっちゃって。同じ頃にgame is mineをRUUNAさんが書いてたんですけど、それも上手くいってなくて、「じゃあ交換しよう!」って取り替えて書いてみたらスムーズだったんです。
書きたかったストーリーを文章でRUUNAさんに伝えて…
RUUNA それを読んで、旅をテーマに書きました。曲の1番と2番で訪れている国を変えたり、楽しみながらスラスラ書けました。
KOUMI こういうラテンっぽい曲も作れるんだって、自分達でも驚いてました。
13. Interlude 2
———クールなインタールード1とは変わって、素の3人のやり取りが見られたようで親近感が湧きました。これは歌詞の相談をしているんですか?実際の会話?
RUUNA そうです。実際の控え室での会話が使われていて、歌詞の打ち合わせをしているのがそのまんま…(笑)「こうみん、うるさいー」とか、本当に素ですよね。そこからアレンジャーさんがリズム遊びにアレンジしてくれていました。
14. Be myself
———これは3人で共作なんですね!どんな流れで完成したのですか?
RUUNA この曲はデビューシングル以来3人で詞を書いたんです。
それぞれ曲作りに慣れてきた頃だったので、まず共通のテーマを決めて始めました。それが『人生』というかなり大きなテーマだったんですけど、書き上げて「せーの!」で出してみたら内容が全然違ってしまって…
MIMORI Aメロが私で、
KOUMI Bメロが私です。
RUUNA サビが私で。でも出し合った時に繋がらなかったので、これからどうやって生きていきたいか…とか人生について3人で話し合いながら、Bメロに言葉遊びをちょっと入れたりして、最終的には私たちらしくなったんじゃないかなと思います。
———サウンドは、ハモンドオルガンの音が入っていたり、ギターのフレーズが効いていたり、全体が有機的で温かみがあるアレンジだと感じました。
RUUNA 実はこの曲のアレンジには、スタッフさん達も一番悩んで時間がかかりました。本当はもっとロック寄りにしたかったんですが、このアルバムの中に入ると浮いてしまったんです。馴染ませるためにアレンジを戻したり、なかなか決まらなかったです。
———ロック的なアプローチも今後やってみたいんですね?
RUUNA はい!やっぱり楽曲の幅は広げていきたいと思っているので、次は挑戦してみたいですね。
15. My Style
MIMORI これは4月18日のワンマンに向けて作った曲だったんですが、私が出すメロディーがファンキーなアレンジと合うんじゃないかということで作ってもらいました。
———ファンク・ディスコのサウンドは今また海外でトレンドになっていて、日本だとまだ馴染みが薄いかもしれませんが、J-POPとの相性の良さを見い出した点でも有意義な1曲ですよね。
ライブでクールに踊る姿も目に浮かびますが“ダンス”というのもキーワードに作曲しましたか?
MIMORI 始めにこの曲のBPMを決める時に「どれくらいが踊りやすい?」ってところからスタートしたので、確かにライブの時の踊りやすさは想定して作っていましたね。実際にドラムマシーンでテンポを掴んだりして。
———ギターのカッティングもファンキーでかっこいいですし、この曲も“生音感”が魅力的ですよね。
KOUMI このアルバム全体に言えることなんですけど、ライブの時バンドでちゃんと再現出来るということをどの曲でも考えていました。
なので、楽器の音をたくさん重ねるのを控えてもらったり、あとは歌い方をエモーショナルにしたり。生っぽさをちょうど良く入れることは意識していました。
16. just trust
———さて、いよいよラストソングです。本当に、最後に相応しい壮大な世界感で「前に進もう」というメッセージも強く伝わってきます。
MIMORI これはアップテンポな曲を書くことが続いた時に、気分転換のつもりで作り始めました。
callmeの曲はピアノを中心に作ってきていたので、この曲も始めにピアノから考えていったんですが、全体的にRPGのゲームのエンディングをイメージして書きました。
RUUNA 力強いピアノとドラムが特徴的な間奏の部分も、長いのと短いバージョンの2つの案があったんですが、ストーリーが見えたので満場一致で長い方を採用しました。
KOUMI アルバムの余韻に浸ってほしいです。
———浸るで思い出しましたが、今作のアルバムジャケットって水の中で撮ってますよね?
KOUMI そうです!デビューアルバムは“生まれる”というイメージがあったので、生命の源=水の中で撮ろうと言うことになったんです。
6メートルのダイビング用のプールに衣装のまま入って撮影しました。
私たちの新しいスタートを、写真からも感じてもらえると嬉しいです。
————————————
4ヶ月に及んだレコーディングの日々を思い起こしながら、1曲ずつ大切そうにしっかりと語ってくれたメンバーの3人。
4月に会った時よりも、アルバムを完成させたことによる自信と自覚が見え、更なる強い意志も垣間見えた。
EDMやファンク、ジャズなど枠にとらわれず作られた、音楽ファンを唸らせるクオリティーの高い楽曲。
作詞作曲も手がける新しいガールズグループ像を体現してみせたこのチャレンジは、現在の日本の音楽シーンの中でも実に意義深いことだと感じる。
「純粋に良い音楽を届けて、みんなに楽しんでもらいたい」
彼女たちの想いは、たくさんの熱心な音楽リスナーに届くだろう。
最後はあなた自身がその想いを受け取り、パズルの最後のピースを収めてほしい。
(Interview&Text by Layla Okuhama)
2015年10月28日発売「Who is callme?」
Discography http://pre.avex.jp/callme/discography/
メンバーは、英語とダンスが得意なKOUMI、作詞作曲担当のMIMORI、2人を引っ張るしっかり者のリーダーRUUNA、の3人。
この三様の個性を活かし、楽曲の作詞作曲を手がけるなどセルフプロデュース力に長けた彼女たちは、翌2015年にはデビューシングル『To shine』をリリースする。
その高いクオリティーと、新たな可能性を感じさせる楽曲に驚きつつ、歓喜したのも記憶に新しい。それから2枚のEPのリリースを経て、彼女たちの努力と才能の結晶となる1st フルアルバムが到着した。
4ヶ月という歳月を注いだ作品のタイトルは『Who is callme?』
「callmeって誰?」と自ら問いかける形となったこの表題について、リーダーRUUNAがこう話してくれた。
「メンバー全員、スタッフも含め妥協しないで一生懸命作った作品だったから、先入感なく始めに音楽を聴いてもらって、聴いた人にこう言ってもらいたくて。いくつか候補があった中で一番しっくり来たのが、このタイトルだったんです。」そう話す通り、アイドル・ミュージシャン・アーティストなど既存の枠にとらわれることなく、「良い音楽を届けたい!」という純粋な想いの詰まったアルバムだということがすぐに実感出来る。
そこで、彼女たちの新しいチャプターの幕開けを彩る、この“我が子”のような楽曲についてインタビューを行った。それではcallmeメンバー全員による、アルバム全曲解説スタート!
01. Intro
02. step by step
———シンセの音の中でラジオDJが曲紹介をするようなかっこいいイントロから、勢いのあるstep by stepに突入するわけですが、情報番組のエンディングやCMのタイアップにもなっているこのキャッチーなナンバーは、どうやって完成したんですか?
MIMORI 元々はたまたま遊びにきた共作者のRyotaさん(アレンジャーRumbさんの後輩にあたるシンガーソングライター)が作っていた未完成の音源があって、聴かせてもらった時にとても気に入ったので、一緒に完成までやれせていただくという流れになったんです。
そこで、一緒にブースに入ってコードをギターやピアノで鳴らしてもらいながら、メロディーを作っていきました。
KOUMI Ryotaさんに色々アドバイスをもらって、言葉とリズムがマッチするような工夫や、韻を踏んだり、初めて聴く方の耳にも飛び込みやすい詞を目指して書いていきました。
———本当にこの歌詞とリズムのマッチングが素晴らしくて、すっかり脳内ループしています。
詞の内容も、「これから新しい景色を見に行くんだ!」という決意表明のようで、1曲目に相応しいですよね。
RUUNA ありがとうございます!この曲は、夏フェスに向けてアップテンポで覚えやすい曲を作ろうってことで出来たんですけど、各地のフェスで披露してこの夏のキーポイントになったのでアルバムのオープニングにしたんです。
03. My affection
———シンセのフレーズが印象的で、サビが気持ちいい曲ですよね。後半に出てくる無機質なキック音と低音のビートで抑えたところに、ボーカルが入ってくる展開もより高揚感を生んでいると思います。これも作曲の段階からライブでの盛り上がりを考えていましたか?
MIMORI 確かにライブを意識して作っていましたね。これもコードから決めてメロディーを付けていったんですが、アレンジャーさん(アレンジ及びレコーディングエンジニアもRumbさん)の中にもライブでアガる曲!という共通のイメージがあって、そこを強調したシンセのアレンジになりました。
私の中では楽しくて、可愛さもある曲にしようと思っていました。
———その可愛らしさのイメージは、RUUNAさんの書いた恋心が溢れる瞬間のストレートな詞にも反映されていますね。
RUUNA 実はこれが初めて作詞に挑戦した曲だったんです。みんなに、分かりやすいくらい甘い恋愛の詞がいいって言われていたので、少女漫画の世界を想像しつつ時系列を大事にして書きました。
作詞についてまだ知識もなかったので、あまり考えすぎないで自然に出てきたものをそのまま書くようにしました。
———歌い方もエモーショナルですよね。
RUUNA そうですね。キーも高かったので、歌い上げるイメージの方が良いと思って。
KOUMI その中でも丁寧に歌うように心掛けて、言葉ひとつひとつを大事にしました。
04. Oh yeah!
———タイトル通りのアッパーな曲でアルバム全体をリードしている曲だと感じました。これは作曲も作詞もMIMORIさんと一人二役ですが、どんな作り方をしたんですか?
MIMORI 意外に思うかもしれませんが、これが最後に出来た曲だったんです。
アルバム全体が見えてきたタイミングでアップテンポの曲をもう1曲入れようということになって、ライブで一体感を生み出せる曲をと思い作りました。
実は、ギリギリになって作ろうという話になったので、制作期間が3日間しかなくて…結構追い込まれていましたね。
でもこの経験は、やれば出来るんだ!と自信にも繋がりますね。追い込まれた方が出来るタイプなのかも(笑)
珍しく詞から先に出来たパートもあって、Aメロがそうだったんですけど、詞が先行してノリを掴んでいったような感じでした。
サビはRyotaさんにも助けていただいて、歌詞も3人で言葉を出し合いましたね。
05. Precious
———個人的にこの曲がとても好きで…90年代の青春時代を過ごした頃に聴いたR&Bを彷彿とさせて、胸がキュンとしてたまらない気持ちになります。アルバムを締める役割をする1曲でもあると思うんですが、これはKOUMIさんの得意分野が炸裂していますよね!
KOUMI これは2人のカップルのかなりラブラブな会話を英詞で書いたので、恥ずかしいからあんまり日本語に直してほしくないですね(笑)
———これは先に日本語で書いたものを英語に訳したんですよね?
KOUMI そうです。
———日本語と英語だと、1つの音符に乗せる言葉の数が変わってくるので難しくなかったですか?
KOUMI アレンジャーさんから「リズムやメロディーは、乗せやすいように自由に考えていいよ」って言っていただいた上に、私が得意なささやくような歌い方にしようということだったので、自分で歌いやすいように作りました。
———ノリノリなOh yeah!の後で、雰囲気もガラッと変わりますよね。
RUUNA アップテンポが続いたので、耳休めのような感じでここに入れてみました。
———3人の声のハーモニーも美しかったです。
MIMORI 私たちは英語の発音も歌い方も、こうみんが先に録ったものを聴いてそこに合わせました。
RUUNA どの曲もそうなんですが、声の特性に合わせて3人のマイクを替えていただいていて、この曲は柔らかいベールが1枚かかるようなマイクで録りました。
06. Falling for you
———この曲はデビューシングルの中から唯一ラインナップされていますね。アルバムの他の曲と比較しても、少し大人っぽい詞でドキドキしました。
MIMORI そうですよね(笑)デビューの時に初めて作詞作曲を1人でやらせてもらったんですけど、自然と大人っぽいメロディーになって、それに合わせてアレンジも色っぽい感じにしてもらったので、じゃあ歌詞もとことん大人っぽくしていこうかなって。普段自分が使っている言葉よりも、年上の人が使う言葉を意識して書きました。
実は書いている段階では2人にも見せるのが恥ずかしくて,完成してからやっと披露しました。
RUUNA 見た時、衝撃的だったよね。溺れてく…落ちてく…って(笑)
KOUMI ね(笑)言葉のチョイスが独特だよね。英語の詞の部分は私が訳しました。
RUUNA でもやっぱり始めからある曲なので、この曲がアルバムの軸になっていて、ここからイメージを膨らませて内容を広げていったんです。大人っぽさと、それをやり過ぎないバランスはこの曲が一番うまく取れていると思います。
07. game is mine
———引き続き、大人の雰囲気が漂いますね。ピアノのアレンジもコード進行もかっこ良くて、ちょっと意地悪な感じが詞とマッチしていますよね。
MIMORI これはFalling for youがあったから出来た曲なんです。あの曲のようなメロディーとかファンクっぽいサウンドが、私に合うんじゃないかってことで、更にジャジーでスリリングなものを作ろうと思い、生まれたのがgame is mineです。
そのテーマで作ったので、せっかくなら詞も対になるものを書きたくて。
Falling for youは『恋愛に落ちていく女性』、game is mineは逆で、恋愛をゲームみたいに考えて『相手を落としていく女性』をイメージしました。
———10代でその駆け引きをリアルに描けることに、正直びっくりしました(笑)
MIMORI 私、ゲームやアニメが好きなんですけど、この曲はアニメに助けられましたね。
———英語が入ったり、大人っぽい楽曲になっても、背伸びして無理をしている感じがなく等身大な部分がちゃんとあるし、キャッチーさもある。そのバランスはどうやって取っていたんですか?
RUUNA アレンジャーさんやスタッフさんに相談して、というのもありますね。あとは私たち3人の好きな音楽が違って、こうみんは洋楽好きで、みもりんはボーカロイドとかニコニコの歌い手さんが好き。私はJ-POPが好きで、書く歌詞も日本語だけ。コアなところに行き過ぎないように引っ張り合って、バランスが取れているんだと思います。
08. For you
———この曲はEDMの要素が入っていますよね。ダンスミュージックということで、中盤から声よりもサウンドの音量が大きめになっていて、バランスが他の曲と少し変わっているように感じました。
RUUNA そうなんです。最初は歌声重視なんですが、盛り上がっていくと音楽が先行していって、爽やかな詞に合った疾走感をアレンジャーさんが作り出してくれました。
実はこれ、スタジオでサーフィンの動画を見ながら作ったんですよ。イベントやアルバム制作で、この夏はどこにも行けなかったので、ちょっとでも夏気分を味わおうと思って。海外の人のサーフィンの映像でテンションを上げて書いたのがこの曲です。(笑)
09. Interlude 1
———このインタールードはどなたの発案だったんですか?
RUUNA 1曲1曲しっかり聴いてもらうための耳休めのような感じで、インタールードを入れたいねとみんなで相談していたんですけど、そしたらアレンジャーさんが「これだけは任せてほしい!」ということで、全てお任せしました。
KOUMI アレンジャーさんに「これ歌ってみて」と突然言われて私がブースで歌ったコーラスが、このインタールード1になりました。
録る段階では何も知らなくて、あとで出来上がりを聴かせてもらいびっくりしました。サプライズプレゼントのようで嬉しかった!
10. change my life
———この曲はキックのインパクトがありますが、比較的シンプルで、みんなの歌声が強調されていますね。
MIMORI これはFor youと同じくらいの頃、夏の始まりに出来たんですが、夏に向かって盛り上がっていこうという3人共通の明るいテンションで、楽しんで作りました。スタジオ作業が多くて、飛び出したい気持ちもあったかな(笑)
———作詞はこうみんですね。メッセージが明確で、言葉1つ1つがしっかり伝わってきました。
KOUMI 出来上がった曲を最初に聴いた時に、これは背中を押してくれる曲になるんじゃないかなと思ったので、私が19年間生きてきたなりの経験を踏まえて、同じことのくり返しで退屈さを感じてしまう日常から、一歩踏み出してみると変わることもあるんだよ、その一歩が大切なんだよという前向きなメッセージを込めて書きました。
11. I’m alone
———これはかなり切ない曲ですね。ジャジーなピアノのイントロからスーッと世界感が広がって、グッと引き込まれました。
MIMORI これはアルバムの核になる曲を作ろうというところから始まって、まずアレンジャーさんとやり取りしながら、あの特徴のあるピアノのイントロが出来たんです。そこから失恋、藍色…とイメージが膨らんで、哀愁漂う失恋ソングにしようと決めたんですが、経験がないとそのテーマは難しくて…歌詞を書くのに一番頭を捻ったし時間がかかりました。
RUUNA みんなで失恋のシチュエーションを実演しながら、悲しい気持ちを作る手助けをしていました。(笑)
MIMORI 人生経験として、失恋はしてみたいと思うようになりましたね。
12. Like a breeze
———手拍子と爪弾くギターのフレーズで爽やかにスタートする曲ですが、少しラテンのフレーバーも感じます。そこに寄り添う詞も、まさにタイトルの通り常夏に吹く涼風を感じさせる軽やかさがありますね。
RUUNA この曲は初め歌詞もみもが書いていたんですけど、途中で書けなくなって…
MIMORI イメージは浮かぶのに、どう言葉にしたらいいのか分からなくなっちゃって。同じ頃にgame is mineをRUUNAさんが書いてたんですけど、それも上手くいってなくて、「じゃあ交換しよう!」って取り替えて書いてみたらスムーズだったんです。
書きたかったストーリーを文章でRUUNAさんに伝えて…
RUUNA それを読んで、旅をテーマに書きました。曲の1番と2番で訪れている国を変えたり、楽しみながらスラスラ書けました。
KOUMI こういうラテンっぽい曲も作れるんだって、自分達でも驚いてました。
13. Interlude 2
———クールなインタールード1とは変わって、素の3人のやり取りが見られたようで親近感が湧きました。これは歌詞の相談をしているんですか?実際の会話?
RUUNA そうです。実際の控え室での会話が使われていて、歌詞の打ち合わせをしているのがそのまんま…(笑)「こうみん、うるさいー」とか、本当に素ですよね。そこからアレンジャーさんがリズム遊びにアレンジしてくれていました。
14. Be myself
———これは3人で共作なんですね!どんな流れで完成したのですか?
RUUNA この曲はデビューシングル以来3人で詞を書いたんです。
それぞれ曲作りに慣れてきた頃だったので、まず共通のテーマを決めて始めました。それが『人生』というかなり大きなテーマだったんですけど、書き上げて「せーの!」で出してみたら内容が全然違ってしまって…
MIMORI Aメロが私で、
KOUMI Bメロが私です。
RUUNA サビが私で。でも出し合った時に繋がらなかったので、これからどうやって生きていきたいか…とか人生について3人で話し合いながら、Bメロに言葉遊びをちょっと入れたりして、最終的には私たちらしくなったんじゃないかなと思います。
———サウンドは、ハモンドオルガンの音が入っていたり、ギターのフレーズが効いていたり、全体が有機的で温かみがあるアレンジだと感じました。
RUUNA 実はこの曲のアレンジには、スタッフさん達も一番悩んで時間がかかりました。本当はもっとロック寄りにしたかったんですが、このアルバムの中に入ると浮いてしまったんです。馴染ませるためにアレンジを戻したり、なかなか決まらなかったです。
———ロック的なアプローチも今後やってみたいんですね?
RUUNA はい!やっぱり楽曲の幅は広げていきたいと思っているので、次は挑戦してみたいですね。
15. My Style
MIMORI これは4月18日のワンマンに向けて作った曲だったんですが、私が出すメロディーがファンキーなアレンジと合うんじゃないかということで作ってもらいました。
———ファンク・ディスコのサウンドは今また海外でトレンドになっていて、日本だとまだ馴染みが薄いかもしれませんが、J-POPとの相性の良さを見い出した点でも有意義な1曲ですよね。
ライブでクールに踊る姿も目に浮かびますが“ダンス”というのもキーワードに作曲しましたか?
MIMORI 始めにこの曲のBPMを決める時に「どれくらいが踊りやすい?」ってところからスタートしたので、確かにライブの時の踊りやすさは想定して作っていましたね。実際にドラムマシーンでテンポを掴んだりして。
———ギターのカッティングもファンキーでかっこいいですし、この曲も“生音感”が魅力的ですよね。
KOUMI このアルバム全体に言えることなんですけど、ライブの時バンドでちゃんと再現出来るということをどの曲でも考えていました。
なので、楽器の音をたくさん重ねるのを控えてもらったり、あとは歌い方をエモーショナルにしたり。生っぽさをちょうど良く入れることは意識していました。
16. just trust
———さて、いよいよラストソングです。本当に、最後に相応しい壮大な世界感で「前に進もう」というメッセージも強く伝わってきます。
MIMORI これはアップテンポな曲を書くことが続いた時に、気分転換のつもりで作り始めました。
callmeの曲はピアノを中心に作ってきていたので、この曲も始めにピアノから考えていったんですが、全体的にRPGのゲームのエンディングをイメージして書きました。
RUUNA 力強いピアノとドラムが特徴的な間奏の部分も、長いのと短いバージョンの2つの案があったんですが、ストーリーが見えたので満場一致で長い方を採用しました。
KOUMI アルバムの余韻に浸ってほしいです。
———浸るで思い出しましたが、今作のアルバムジャケットって水の中で撮ってますよね?
KOUMI そうです!デビューアルバムは“生まれる”というイメージがあったので、生命の源=水の中で撮ろうと言うことになったんです。
6メートルのダイビング用のプールに衣装のまま入って撮影しました。
私たちの新しいスタートを、写真からも感じてもらえると嬉しいです。
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4ヶ月に及んだレコーディングの日々を思い起こしながら、1曲ずつ大切そうにしっかりと語ってくれたメンバーの3人。
4月に会った時よりも、アルバムを完成させたことによる自信と自覚が見え、更なる強い意志も垣間見えた。
EDMやファンク、ジャズなど枠にとらわれず作られた、音楽ファンを唸らせるクオリティーの高い楽曲。
作詞作曲も手がける新しいガールズグループ像を体現してみせたこのチャレンジは、現在の日本の音楽シーンの中でも実に意義深いことだと感じる。
「純粋に良い音楽を届けて、みんなに楽しんでもらいたい」
彼女たちの想いは、たくさんの熱心な音楽リスナーに届くだろう。
最後はあなた自身がその想いを受け取り、パズルの最後のピースを収めてほしい。
(Interview&Text by Layla Okuhama)
2015年10月28日発売「Who is callme?」
Discography http://pre.avex.jp/callme/discography/