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エイベックスが「FC町田ゼルビア」とトップパートナー契約!! FC町田ゼルビアってどんなチーム!?

2024.02.16
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サッカー
Jリーグ
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エイベックスが「FC町田ゼルビア」とトップパートナー契約を結んだ。町田市はエイベックス創業の地でもあるということなどの理由はさておき、サッカーチームとしてFC町田ゼルビアとはどんなチームなのか、まとめました。



“少年サッカーの街”から生まれたチームがついにJ1へ!
 
 
「J1町田! J1町田!」
 
昨年の2023シーズン。FC町田ゼルビアのJ2優勝を称える表彰式の後、ホームスタジアムである町田GIONスタジアムにゼルビアサポーターの大きな声援がこだました。
 
2012年のJリーグ参入から11年あまり。もっと遡れば、クラブのルーツは1977年に発足した少年サッカーチーム 、FC町田トレーニングセンター発足に起因するため、当時から数えると46年あまりの月日が経った。少年サッカーのカテゴリーから裾野を広げてきたサッカークラブが、2024年から日本サッカー最高峰のリーグカテゴリー=J1を戦う権利を手にしたことへの喜びは、何物にも代え難かった。

ゼルビアは“少年サッカーの街”として名高い東京都町田市をホームタウンに構えるJリーグクラブ。ちなみに町田市出身のJリーガーは、サッカー解説者としても著名な北澤豪氏を筆頭に枚挙に暇がない。まさに町田は、日本有数のサッカーどころである。
 
そんな町田をホームタウンとするゼルビアがJ1にたどり着くまでの道のりは、決して平坦ではなかった。
 
Jリーグ参入初年度にあたる2012シーズンのゼルビアは、初のJ2リーグ参戦に苦しみ、最下位でシーズンを終えると、翌シーズンからJFLという下部リーグへの降格を余儀なくされた。
 
残酷な現実を突きつけられたゼルビアが再びJ2のステージに復帰するまでは3年の時を要した。2015年のJ3を2位で終えたゼルビアは、大分トリニータとのJ2・J3入れ替え戦を制し、16年からのJ2復帰を決めた。
 
ところがJ2に復帰した当時のゼルビアは、J1昇格要件であるJ1ライセンスを所有しておらず、同ライセンス取得に必要なハード面を整備しない限り、J1への挑戦権すら得られない状況だった。例えば復帰初年度の16年から2年後の18年には最終節まで優勝争いを展開。最終的にJ2リーグ4位でフィニッシュしたものの、J1ライセンスを持っていなかった当時のゼルビアは、翌シーズンからのJ1リーグ参入を争うプレーオフに出場資格がないという“挫折”も味わった。
 
そんなクラブに大きな転換期が訪れる。2018年10月、IT企業のサイバーエージェント(CA)がゼルビアの運営会社の経営に参画。ゼルビアがCAグループの一員になると、J1ライセンス取得に向けて最大のハードルとなっていた天然芝の練習場とクラブハウス建設に光が差し込んだ。CAからの第三者割り当て増資による資金を元手に練習場を併設したクラブハウス建設の話が進むと、2022年2月に完成予定という“ロードマップ”が認められる形でゼルビアは19年にJ1ライセンスを取得した。こうしてJ1に昇格するハード面の要件を満たしたため、あとはピッチ上での成績が伴えば、トップリーグに挑戦できる道筋が整った。



今季から鹿島アントラーズで監督を務めるランコ・ポポヴィッチ氏が2年目の指揮を執った2021年は5位でJ2リーグをフィニッシュ。しかし、コロナ禍でのリーグ開催により、6位から3位チームに資格が与えられてきたJ1参入プレーオフ自体が実施されなかったため、町田のJ1挑戦は泡と消えた。
 
ポポヴィッチ体制3年目の集大成として臨んだ2022年はJ2リーグ15位。「3年以内でJ1を目指すチーム作り」(唐井直GM)を旗印に掲げたポポヴィッチ前体制に終止符が打たれた。


ダイナミックさを増した新チームで、今季J1に挑む!


「投資額も膨れ上がり、自ら責任を取らなければならない段階まで来た」。背中が霞んで見えなかったトップリーグに舞台を移すため、18年10月にゼルビアのクラブ経営に参画した藤田晋オーナーが自ら立ち上がった。2022年12月、クラブの代表取締役社長兼CEOに立場を変えた藤田社長は、早速就任1年目から勝負に出た。
 
トップチームの選手編成を司る立場の強化部トップには、原靖フットボールダイレクターが就任。「最優先事項は勝てるチームを作ることに置いている」という藤田社長が掲げた旗印の下、クラブ史上最高額の人件費を投資し、カタールW杯でゴールを決めたオーストラリア代表ストライカーのミッチェル・デュークや、スピードスターのエリキらを筆頭に、19人もの新戦力をチームに加えた
 
また新監督には高校サッカー界で青森山田高校を“常勝軍団”に引き上げた黒田剛監督を招聘。J2を勝ち抜ける巨大戦力をベースに、黒田監督の手腕に期待する形でゼルビアは“クラブ改革元年”に挑んだ。



黒田監督のチーム作りの方針は「勝つイコール守れるチーム」。強固な守備をベースに失点を極力抑え、ゴールを奪うための攻撃力は、前述のデュークやエリキといったJ2では規格外の個性をシンプルに活かす形に割り切った。
 
その結果、昨季の“黒田ゼルビア”は“スタートダッシュ”に成功。序盤戦はクラブレコードを更新する6連勝を記録し、J2リーグの首位戦線をリードするチームに躍り出た。
 
第10節には当時2位だった大分との“首位攻防戦”に勝利。リーグトップに返り咲くと、シーズン終了まで一度も首位の座を渡すことはなかった。高校サッカー界からプロ監督に転身した黒田監督に導かれしチームは、積年の悲願であるJ1昇格をJ2優勝と共に勝ち取った。

J1初挑戦の2024シーズンに向けて、ゼルビアを昇格に導いた功労者の黒田監督は続投。自身にとっても初めてのチャレンジとなるJ1でのシーズンに向けて、指揮官は「J1定着と5位以内の上位進出」を目標に掲げた。昇格したばかりのチームは現実的にJ1残留に目標を定めることがセオリー。それでも強気な黒田監督は「あわよくば優勝」も見据えている。
 
指揮官が定めた目標達成のために、クラブは昨季以上の選手人件費を投資。冬のストーブリーグではJ1での経験値も豊富な選手を積極的に補強した。
 
中でも補強の目玉選手は、鹿島からの完全移籍で獲得した昌子源。2018年のロシアW杯で日本代表のレギュラーを務めていたセンターバックに対して、原FDは「君の力が必要だ」と口説き落とした。
 
そのほかの新戦力として、2021年夏開催の東京五輪で正GKを務めた谷晃生らを補強。失点を最後の最後で食い止める守護神として、元日本代表GKを獲得できたことは、チームのベースである堅守がブラッシュアップされることにつながるだろう。
 
ビッグネームが加入した守備陣に対して、攻撃陣の注目は以前から在籍する既存選手たち。特に今年の夏に開催されるパリ五輪世代にあたるU-22日本代表メンバーの常連、平河悠と藤尾翔太の“パリ代表コンビ”は必見だ。前者の平河はスピードで相手を翻弄するアタッカーとして、黒田監督の信頼も厚い。また後者の藤尾は、屈強なフィジカルで相手DFをなぎ倒し、ゴール前ではしなやかな身のこなしでゴールを決めるストライカーだ。チームの攻撃陣を引っ張る“パリ五輪代表コンビ”は、スタジアムで見る者の心を踊らせるプレーを見せてくれるに違いない。
 
またGKの新戦力である山口瑠伊や、DFのチャン・ミンギュは、“個サポ”(選手個人につくサポーターのこと)を多く抱える町田の“ビジュアル担当”。渋めのルックスがお好みの方は、今年で40歳を迎える中島裕希がオススメだ。このように、町田には“顔面偏差値”の高いプレーヤーも数多く在籍している。チームだけではなく、特定の個人選手を応援するという意味でも、ゼルビアはきっと興味深い対象であるはずだ。


山口瑠伊


チャン・ミンギュ


中島裕希

「初のJ1に対して繊細な気持ちで挑むような陣容ではない」。そう話す黒田監督は、今季の新たなチームカラーについてこう話した。
「昌子や(新外国籍選手の)ドレシェヴィッチが入ったことでロングフィード(長いパス)の質が上がっているため、足の速い選手(平河)や高さのある選手(デューク、オ・セフン)たちの怖さがより出てきている印象を受ける」
 
指揮官いわく、新チームは攻撃のダイナミックさが増しているとのこと。リーグ最多の79得点を記録した昨季よりも、迫力が増した攻撃を見ることができそうだ。
 
Jリーグ全体を見渡しても、今季の町田のようなJ1初挑戦のクラブが誕生するシーズンは、2018年のV・ファーレン長崎まで遡る。それだけトップリーグに昇格することは困難を極めるが、ゼルビアはCAグループ入りから6年目のシーズンにJ1初挑戦の権利を手にした。初めてJ1に挑む旅路を、ぜひスタジアムで堪能してはどうだろうか。
 



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郡司 聡
WRITTEN BY郡司 聡
千葉県生まれ。編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクション、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』編集部を経て独立。Webマガジン『ゼルビアTimes』の編集長も務める。著書に『不屈のゼルビア』(スクワッド)。
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