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【Kis-My-Ft2】Special Single「ともに」リリース!これまでのグループの足跡を振り返る

2023.08.02
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Kis-My-Ft2がSpecial Single「ともに」をリリースする。同作は6月7日、メンバーの北山宏光が8月末日をもってグループを卒業することが発表された際、「歌詞と楽曲に今の僕たちの想いを込めて、皆様への感謝の気持ちを届けられたら嬉しい」との言葉とともに、新曲「ともに」を準備中であるとアナウンスされていた楽曲だ。この楽曲の周辺とその内容について、またここまでのグループの足跡についてまとめてみた。


楽曲・告知・番組での演出……全てにこだわり抜かれた「ともに」


「これまでキスマイを支え、応援してくださっている皆さんのために制作した」とメンバー全員で作詞を担当したことを6月20日に発表。その時に公式Twitterで公開された写真は、おそらくピンときた人も多いだろう、東京ドームホテルの屋上に7人が並んだものだった。2020年、9thアルバム『To-y2』を引っ提げて4月から開催する予定だった5大ツアーがコロナ禍で中止に。ファンになんとかパフォーマンスを届けたいというメンバーの願いが、10月3、4日に東京ドーム初の生配信ライブを実現させ、そのアンコールを行ったのが、東京ドームホテルの屋上だったのだ。
 
そこから、テレビ、ラジオ、そして公式SNSなどのメディアで、「ともに」についてさまざまな情報が届けられた。21日深夜の「Kis-My-Ft2キスマイRadio」には、現在はソロで順番に出演しているところ、特別に7人全員で出演し、思い出の場所をめぐってMVを撮影したことや、歌割り・歌詞も細部までこだわって制作したことなど制作裏話をトーク。初オンエアもされた。22日に公式SNSで公開されたMVのショートムービーには、7人で会議をしている様子や、東京ドームホテルのほか、デビューイベントを行った恵比寿ガーデンプレイスを訪れたり、7人で焼肉を楽しんだりする様子などが映し出されていた。
 
「拝啓 未来の僕らへ 今の気持ちを覚えてる?」で始まる歌詞は、7人で歩んできた大切な過去を振り返りながら、旅立つ友への思い、そして今後のグループについての決意がストレートにつづられたものだ。すべてにリアリティがあるのはもちろん、優しさやすがすがしさ、そしてぬくもりをも感じられるのは、自分たちで作ったからこそ。そんな思いがこもった歌詞を、どこか切なくもあたたかいメロディーが心にしみるミディアムバラードに載せて届けている。
 
ふと、思い出した曲がある。2016年にリリースされた5thアルバム「I SCREAM」に収録されている「Re:」だ。“ファンレターへの返事”というテーマで7人が初めて作詞に挑戦した楽曲で、ファンへの切実な思いがギュッと凝縮された、心温まる歌詞が印象的だった。大切な思いは歌にして届けるという姿はアーティストとしてとても真摯だ。その時に抱いた思いを今、また感じている。
 
「テレ東音楽祭2023夏」(テレビ東京)を皮切りに、「THE MUSIC DAY 2023」(日本テレビ)、「音楽の日 2023」(TBS)と、音楽特別番組ではパフォーマンスも披露。振り付けを担当したのは千賀健永だ。7人で円になり内側を向く冒頭や、歌割りに合わせて藤ヶ谷太輔と横尾渉、千賀と玉森裕太、北山と二階堂高嗣が順に向き合うように歌い、宮田俊哉がまとめるという流れなど、フォーメーションが心憎い。出色はクライマックスだ。二階堂と玉森が最初に歌い、藤ヶ谷と横尾、宮田と千賀が加わっていき、誰かを待つような6人のところへ手前からフレームインしてくる北山がカメラに背を向けて6人のほうを向いて歌い、途中からカメラのほうへ振り向くのだ。その時、北山がどんな表情で歌っているのか。それは6人にしか見えないという粋な演出は、エモーショナルであり、ドラマチックでもある。





Kis-My-Ft2のこれまでの足跡とは……


Kis-My-Ft2は前身ユニットKis-My-Ftを経て、2005年7月26日に現在の7人で結成された。グループ名は7人の頭文字をつなげたものであり、タップダンサーのグレゴリー・ハインズが尊敬するサミー・デイビス・ジュニアの靴にキスをしたという逸話をもとに、“そんな尊敬されるグループに育ってほしい”という思いが込められている。先輩のバックにつきながら人気と実力を高めていった彼らは、結成当時から取り入れていたローラースケートでのパフォーマンスをグループの軸として据えるようになる。そして結成から約6年の2011年2月12日、国立代々木競技場第一体育館で開催されていたライブイベント「Kis-My-Ftに逢えるde Show vol.3」にて、サプライズでデビュー発表が行われた。後輩から渡された茶封筒を開け、CDデビュー決定を知らせる紙を見た7人の歓喜と感慨に満ちた表情は何度見ても胸が熱くなる。満を持して2011年の8月10日に「Everybody Go」でCDデビューをはたしたKis-My-Ft2。グループで最年長の北山は当時のジャニーズJr.として最年長の25歳で、一番入所が早かった藤ヶ谷は約13年という当時では最長の下積み期間を経験してのデビューとなった。
 
デビュー当日に「SMAP×SMAP」(フジテレビ)の収録に挑んだのを皮切りに、当初からバラエティー番組での活躍が際立っていた。2012年にはグループ初のレギュラー番組「濱キス」(テレビ朝日)、翌2013年には初の冠番組「キスマイBUSAIKU⁉」(フジテレビ)がスタートした。「濱キス」は体を張った過酷なロケ企画も多く、素をさらけ出しながらも泥臭く奮闘。「キスマイBUSAIKU⁉」は、“カッコよくなるために”というテーマでさまざまな恋愛シチュエーションに挑み、ランキング形式で発表されるというユニークな内容。どちらもジャニーズのイメージをいい意味で覆すような斬新さで大きな話題に。特に「キスマイBUSAIKU⁉」については、かつてメンバーも「毎週ランキングでフルネームが画面に出るから名前を覚えてもらえるようになった」と話していた通り、知名度アップにもつながったと言えるだろう。
 
グループでの活動が充実する中、個人としてもそれぞれ自分の強みを模索し、道を切り拓いていく7人。北山は、リーダーを置いていないKis-My-Ft2において、デビュー前から率先して発言をしたり、まとめたりする、フロントマン的な役割を担っており、その話術を武器にMCやバラエティー番組での活躍の幅を広げていった。千賀はアートや美容など感性とセンスを生かした分野へ斬り込み、宮田はおそらくジャニーズで初めて“ガチ”のアニメオタクを公言し、新たな立ち位置を確立。横尾は料理、俳句、ペット介護士など、器用さを生かして意外なジャンルをいくつも開拓した。藤ヶ谷と玉森は、デビュー直前から放送が開始されたドラマ「イケメンですね」(TBS)で主演を務めたのをはじめ、さまざまな作品に出演し、役者として経験を重ねていく。そして二階堂はバラエティー番組への意欲が強く、ちょっぴりおバカなキャラとコメント力で次第に存在感を見せるように。まさに“七人七様”の個性でメディアを賑わせていった。
 
アーティストとしては、デビュー前から多くのオリジナル楽曲を持っており、ライブでも自分たちの色を早くから追求してきた。デビュー後は、シングル「SHE!HER!HER!」、「キ・ス・ウ・マ・イ ~KISS YOUR MIND~」「Thankyouじゃん!」などキャッチーなタイトル、歌詞、振り付けと、インパクトの強い楽曲が主流に。カッコよくもあり、ポップでもあり、当時の若手ジャニーズグループではめずらしいと言えるバラエティー番組を中心に活躍するKis-My-Ft2ならではの雰囲気をイメージづけていった。デビュー10周年を迎えた頃には大人っぽさも打ち出し、「Luv Bias」や「Two as One」といったミディアムバラードにも挑戦。新しい魅力が開花したように感じた。
 
また、アルバムにはユニット曲やソロ曲なども収録されているが、4thオリジナルアルバム『KIS-MY-WORLD』からは、それまで多かった北山と藤ヶ谷というメインボーカル的存在の2人のユニット曲だけではなく、さまざまな組み合わせでのユニット曲や全員のソロ曲などが盛り込まれるようになり、アーティストとしての魅力も多彩になった。千賀、宮田、横尾、二階堂の4人は「キスマイBUSAIKU⁉」をきっかけに、中居正広プロデュースのユニット「舞祭組」としてもCDをリリースし、ライブも開催。「舞祭組」に対して北山、藤ヶ谷、玉森の3人も期間限定で「まえあしfrom Kis-My-Ft2」というユニットを組むなどワクワクする展開も。7人という人数を最大限に使って変幻自在にパフォーマンスを見せ、層の厚さを感じさせた。
 
ライブとしては、キーポイントになるのがドームだ。「ともに」のMVでも象徴的な場所として登場しているように、デビューからわずか18日後に初めての東京ドーム公演を開催したKis-My-Ft2にとっては、かけがえのない会場に違いない。デビュー当初から大きな会場で“魅せる”ことに向き合い、そのやりがいも難しさもたくさん感じてきた彼らのライブ演出はポップでありながらもダイナミックでエッヂが効いており、大量の炎や水などを使ったド派手な特効は“キスマイ名物”とも言われているほどだ。なかでも、2016年のツアー「I SCREAM」の「I scream night」でお披露目された北山考案の回転式巨大ウォーターマシン“キスマイジェット”や、無観客生配信となった「LIVE TOUR 2021 HOME」の「Luv Bias」にて、会場を美しく彩った二階堂考案の噴水の演出は後世に語り継がれるようなものになったのではないだろうか。


 
こうして自分たちだけの唯一無二の輝きを探し求め、そしてつかみ取ってきたKis-My-Ft2。デビュー13年目を迎える8月10日を前にリリースされる新曲「ともに」は、7人体制としては最後の楽曲となる。先に公開された映像にて、「ともに」というタイトルは、“友に”と“共に”というダブルミーニングだと明かされている。
「離れても 迷ったら 待っているよ/帰る場所は此処だから」
「なりたい自分 やりたい事 歩む僕ら/隣の君の明日に希望を持って/ボロボロの靴や服も 心(ここ)に纏って 走り出そうか」
グループを卒業する北山、Kis-My-Ft2を継続して新たな一歩を踏み出す6人。
彼らの思いをしっかりと胸に刻みながら、7人がこれから歩んでいく光差す未来に思いを馳せたい。




Special Single
「ともに」
2023.8.3 ON SALE

 
 


【Kis-My-Ft2 OFFICIAL SITE】
https://mentrecording.jp/kismyft2/

【Kis-My-Ft2 Twitter】
https://twitter.com/KMF2_0810MENT

【Kis-My-Ft2 YouTube】
https://www.youtube.com/@KisMyFt2


四戸咲子
WRITTEN BY四戸咲子
フリーランスライター。週刊誌にて編集兼ライターとして勤務後、現在は主に雑誌にて、映画・ドラマ・演劇・音楽・本などエンタメ&カルチャーに関するインタビュー、執筆をしています。
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