【ビッケブランカ】全曲タイアップのEP『United』 熱意を感じてスタートできるので、タイアップにはいいことしかない
8月24日、全曲タイアップ曲からなる4曲入りEP『United』をリリースしたビッケブランカさん。これは27日からスタートする、自身最大規模となるメジャーデビュー5周年全国ツアー、THE TOUR「Vicke Blanka」に向けたもの。この収録曲、ツアー、そして10月30日に初開催されるイベント「RAINBOW ROAD」についてもお聞きしました!
ストレートに、素直に楽しい曲が作れた「This Kiss」
──8月24日にリリースされるEP『United』ですが、まずこのタイトルの意味というのは?
ビッケブランカ 「連合」「団結」っていう意味の言葉ですが、今回収録される楽曲がバラバラの存在なので、それぞれが団結してるっていうことと、10月30日に新しく始める「RAINBOW ROAD」というイベントに向けて、5年間走ってきて一緒に支えてくれたファンの人ともう一度団結をしようという意味でもあります。
──ジャケットで持っているのは、フランス国旗ですか?
ビッケ フランス国旗の色を変えて、オリジナルの旗にしています。架空の国の国旗の元に団結しようと。
──このタイミングでこのEPをリリースするというのは?
ビッケ タイアップの話をいっぱいもらって、監督とかプロデューサーとかと話をしてそれぞれの曲を生んでいったんですけど、それをツアー前の、このタイミングで出そうという感じですね。
──この4曲というのはそれぞれにタイアップで作られたものなので、EPとしてはコンセプチュアルに製作されたものではないですよね。だとすると、この4曲がまとまってEPになっている意味とは?
ビッケ リリース時期も近くて、どれも自分の最新の感覚で歌ったり歌詞を書いたりしたものなので、並べても同じレベルでまとまるはずなんですよ。それを、団結してツアーに一緒に出て行こうというタイミングで聴いていただけるっていうことですかね。
──1曲目は「This Kiss」(BS-TBS 木曜ドラマ 23『あなたはだんだん欲しくなる』主題歌)ですね。「ゴージャスなポップ」という印象を受けたんですが。
ビッケ 素直に作った感覚がありますけどね。メロディーも弾きたいように弾いたし、そこに当てたいコードを当てたし、という感じで。素直に楽しい曲を作れたなあという感じですね。
──歌詞もストレートですよね。
ビッケ そうですね。最近は全体的に、ストレートに寄ってきている気はするんですけどね。この「This Kiss」に関しても、「キスをしよう」ってちゃんと言ってるんですけど、でもその前の歌詞がたとえ話で、その塩梅を自分の中で見ようとしているのかなというか。あんまりストレートに言われすぎても恥ずかしいっていう自分がいるんだろうなというところで、フワッと濁すところと、ハッキリ言いたいことを言うところの塩梅を見ようというメンタリティーが自分の中にあるのかなっていう気がしました。
──行き着くところがストレートだから、そこまではフワッとさせようと?
ビッケ させようとしたわけではないんですけど、無意識の中で塩梅を見ようとしたのかなという感じですね。狙って塩梅をコントロールしようとしてる歌なんて、誰も聴きたくないじゃないですか。無意識に何となく、「ここまで言うと照れ臭い」とか、「ここまではできた」とか、そういう塩梅が働いたのかなと。
──意識して調整することはない?
ビッケ 今言った通り、それを意識してる歌なんて誰も聴きたくないじゃないですか。「ここの言葉を届けたいんで、ここはわざとぼやかしてるんですけど」なんて歌、誰も感動できないでしょう(笑)。
──了解です(笑)。MVがまたいいですね。
ビッケ MVはメチャクチャ急ピッチで作りました。公開される3日前ぐらいに撮影してましたから。千葉の海で撮ったんですけど、前日が別のドラマ撮影で1日拘束されてて、朝からMV撮影して、その翌日がまた大阪でフェスに出て、そのまた翌日が東京と横浜でライブという異常な時期で。どこの海か調べる余裕もなかったですね。
──海で楽しんでいる雰囲気のMVとはかけ離れたスケジュールですね。
ビッケ 大変でした。ちょっと曇ってたんですけど、予報は雨だったので、降らなかっただけ奇跡的で。
──MVの内容もストレートな表現ですよね。
ビッケ そうですね。本当は炎天下で水を浴びてるようにしたかったところ、雨が降ってるみたいになっちゃったんですけど、まあそれもいいかなと(笑)。
アメリカでの作業でスケール感を増した「Changes」
──2曲目は「魔法のアト」(東海テレビ・フジテレビ系 土ドラ『個人差あります』挿入歌)。バラードで、これもストレートと言っていいですよね?
ビッケ 久々のバラードですね。これは書き下ろしだから、ドラマの設定を盛り込んだ部分もあって。ドラマにはチェルキーっていうシンガーソングライター役で自分も出させてもらって、そのチェルキーの葛藤とかも監督から聞いた上で、自分の中でもそれを見つけて自分の言葉で歌ったという感じですね。ビッケブランカとも近いんですけど、最終的にドラマとも一致してくれたという、偶然の一致があった感じの曲でした。
──ドラマと言えば前回のインタビューが公開された直後あたりに、『ミステリと言う勿れ』に出演されてましたよね。
ビッケ 好きが高じてってヤツですね。あれを見ていろんなドラマのお話をいただくようになって、何事もチャレンジはしてみるものだなと。
──バラエティー番組にはそれまでも出演されてましたが、ドラマとなるとまた全然違いますよね。
ビッケ 全然違いますね(笑)。頑張りたいと思ってるところです。今はまだ、恥ずかしくて自分で見てられないですけど。
──「魔法のアト」の話に戻りますが、音もバラードらしい作りというか。
ビッケ 余計なものを入れないようにというところの極致なのかなと思いますね。ピアノとコーラスと、うっすらとしたハモりだけで。本当に主旋律の歌、声、メロディー、歌詞、この部分だけが存在するだけで曲が成立するんだっていうような音でレコーディングもしたしアレンジもしたしミックスもしたという感じです。
──それがそのまま形になったと。
ビッケ そうです。最後までビッケブランカの声しか聞こえなかったという印象でいいというか。それぐらい言いたいことがあるから、いちいちオブラートに包む必要がない、邪魔なものは全部取っ払ったという感じです。一つチャレンジですよね。ここまで削ぎ落とすって日本ではあり得なくて、アデルぐらいしかやってないから。他は全部後ろに引っ込めて、という感じでやってみました。
──今までどちらかというと、音を重ねたいという感じでしたよね。そことは正反対で。
ビッケ その跳ね返りじゃないですか。重ねて作り込んでいくのも楽しくて好きなんですけど、「バラード」っていう枠組みのオーダーをもらったときに、より極致の、楽器すら歌を邪魔しないというものを作ってみようと思いました。
──3曲目は「Changes」(フランス映画『シャイニー・シュリンプス!世界に羽ばたけ』全世界共通エンディング曲)。ご自身の中では、これもバラードですか?
ビッケ これはバラードとかっていう次元じゃないかな。クリスチャン・フォークというか、また別のジャンルにある曲という気がするというか、意味合いとしては。だからこれはちょっと特殊な歌ですね。
──すごく内省的な歌詞ですよね。
ビッケ こういう歌詞も久々ですね。映画の監督との話とかもあった上で、自分の中で探すというところに最終的に向いたんですけど。それが言葉になって、救いを求めるというのが降りてきて、自然と教会とかクリスチャンという方向にどんどん曲が変わっていって。アメリカでミックスしたことによって、よりそれが強くなった感じですね。
──アメリカで仕上がったものを聴いて、どういう印象を受けましたか?
ビッケ よかったですよね。出来上がるまでのセッションを全て見せてほしいぐらいでした。何を経たらこうなるのか。それぐらい、全然違いますよね。日本では、島国では絶対にできないようなスケール感がやっぱり出るのがいいなと思いました。いつもやっているチームなので信頼もしていますし。
「Treasure」の“あの声”の理由とは?
──4曲目の「Treasure」(BS 松竹東急 土曜ドラマ『家電侍』主題歌)は、何と言っても声が印象に残りますよね。これって、上の世代だとザ・フォーク・クルセダーズの「帰って来たヨッパライ」を思い出すと思うんですが。
ビッケ 確かに上の世代の人からは、みんなにそう言われます。僕はその曲は全然知らなかったんですけど。
──なるほど(笑)。そう言われて「帰って来たヨッパライ」は聴いてみました?
ビッケ 昔の世代にはもう1曲、同じアイデアの曲があるんだなと思って、聴いてはいないですね。
──実際、あの声にしようという発想はどこから?
ビッケ 「インパクトのある曲でも、僕らは構いませんよ」って、プロデューサーさんが言ってくれたんですよ。「ホントにいいんすか? じゃあやってみますよ」ってやり始めました。例えば「魔法のアト」で言うと「お前のバラードは好きだ」っていうところで話をもらえたし、この『家電侍』については「お前のアイデアが好きだ」というところで話をもらえたので、それが成立するというか。アンバランスなものを成立させて、そこでメッセージを送れるかと。
──最初に聴いた時、この声はもしかして照れ隠しのためなのではと思ったんですが。
ビッケ 要素として、なきにしもあらずですね。それが明確な理由というわけではないけど、その役割も果たしてくれてよかったなという感じです。家族愛を歌っていて、あまりにも自分の家族愛が深いことは自分でも知ってるし。監督からのテーマとしても家族愛はあったから、そのまま歌っているし、メロディーも全く手を抜かず、一番伝わるメロディーとか構成、コード感とか全部こだわってるんですけど、最後に声をああすることによって、愛情の深さとかほっこり感とかをよりブーストできるんだったらいいなみたいな。
──最後なんですね。
ビッケ でもまあ、同時進行ですかね。1回歌ってみてすぐにピッチを上げてチェックはしてたので。最後に付け加えたというわけではなくて、はじめからイメージはしてました。
──自分でピッチを上げた時に、まずどう思いました?
ビッケ 笑えた。笑えたし、笑えていいと思いました。その効果が一番ほしかったところだし、ちゃんと聴いてくれる人は聴いてくれるから、歌詞やメロディーに妥協がないことは、ファンはちゃんと分かってくれると思ってたんで。しかもその加工によってよりキャッチーになるから、いいことしかないなと思いましたね。
──ライブでもこの声で歌うんですか?
ビッケ まだ分かんないです、どうするかは。「地声で聴いてみたい」という声が多いのは事実だけど、それに応えるか応えないかはまだ分かんない。メッチャ弾き語りするかもしれないし。それだけいろんなアイデアが生かせる、伸びしろのある曲だなと思います。
──4曲とは言え、全曲タイアップのEPというのもなかなかないと思います。改めてですが、タイアップとそうでない曲では、作り方は全然違いますよね?
ビッケ 違いますね。監督とかプロデューサーさんが制約を設けてくれて、彼らからの熱意を感じてスタートできるので、タイアップにはいいことしかないんですよ。自分で作る時はやっぱり広大なアイデアの中で、自分でアイデアを選定する感じになるじゃないですか。それが正解かどうかも分からないし。だからタイアップで作るのは、僕は好きですね。
──オンエアなどで改めて見た時に、自分が作った意図と違った印象を受けるようなことはあるんですか?
ビッケ 基本的に監督とかとやりとりしながら作っているので、その使い方を監督が間違えるわけがないと思って見てますから。ただ過去に、音楽配信サービスのCMタイアップで「Ca Va?」という曲を作ったんですけど、サビで「Ca Va?」って言うキャッチーな曲なわけですよ。そこに行く前の20秒ぐらいは、フランス語でシャンソンみたいなバラードを歌ってて、そこから急にバーッと展開が変わるんですね。CMの監督が、一番キャッチーなところじゃなくて、そのはじめの20秒のタル~い部分を使おうとしてたんですよ。今だから言っちゃいますけど。
──そこじゃねえだろと。
ビッケ 「イントロのところを使ったら面白いと思うんですよね」って言われて、「イヤイヤイヤイヤ!」と。それはハッキリ言いました。「絶対サビから使ってください。絶対それじゃなきゃイヤだ」って言って、結局サビが使われて、結果いいCMになったという。
──そんなこともあるんですね。
ビッケ ありましたね。まあ今回収録の4曲については、しっかりと打ち合わせもして、「間違いなく返さなきゃ」という責任感のもとで提出できて、それを皆さんが理解していいように使ってくれてます。
ツアー「Vicke Blanka」、イベント「RAINBOW ROAD」はどんなものに?
──で、リリース直後の8月27日からツアーが始まりますね。
ビッケ 今までアルバム・ツアーしかやったことないんですけど、今回は「Vicke Blanka」っていうセルフネームのツアーなので、デビュー5周年をちゃんと締めくくれるものにしたいし、最終的に10月30日、東京ガーデンシアターでの初のアリーナ公演は「RAINBOW ROAD」という新しいイベントとしてスタートするので。5周年の終わりに主催イベントがスタートするということで、記念すべき日になるだろうから、たくさんの人に来てほしいと思ってます。
──では、ツアーの選曲は5年間の集大成ということになるわけですね。その中で、今回のEPの曲の位置付けは他より重いわけですか?
ビッケ もちろん新しい曲だから聴いてほしいと思っていますし、当然セットリストの中でもポイントにはなってくると思います。
──「RAINBOW ROAD」はツアーのファイナルでもあり、新しいイベントの始まりでもある?
ビッケ ツアーファイナルではないですね。今回のツアーにファイナルはないんです。終わらないツアーという感じで。
──なるほど。ではツアーのセットリストともまた変わるわけですね。特別な仕掛けも?
ビッケ あるんじゃないですか。今回は特に1回目なんで派手にやりたいなと思ってますし、今は何となくアイデアもでき始めているところです。
──年1回なんですか?
ビッケ 1回、ないしは2回ってところですね。今回は最初の「軌の章」ということで、ここから始まって続いていくと。少なくとも年に1回は「RAINBOW ROAD」っていうイベントが開催されて、そこに行けば現在のビッケブランカに会えるし、1年前を思い出すこともできるし、全国から人が集まるという、記念すべき場所がほしいなというところからスタートしてるんで。
──最後に、何だか恒例みたいになってる「マイブーム」についてなんですが……。
ビッケ 今は何も流行ってないなあ。
──前回のインタビューの時に話していた「マイブーム」って、何だったか覚えてます?
ビッケ 覚えてない。何だっけ? 釣り? カフェラテ? あ、寿司?
──お寿司は2回前です(笑)。前回はお寿司にもう飽きて、今はこれっていうのが一つあったんですよ。
ビッケ 何ですか?
──アメフトです。
ビッケ ああ、アメフトか! タッチフットボール(少人数でやれるようにルールが作られたフットボール)もやりたいんですけど、コートの予約が埋まっちゃってて、取れないんですよ。それに僕自身も時間がないし。地獄です。もう無理かもしれないですね。次にやれるのは冬かも。
──冬にやりたくなるものでもなさそうですね(笑)。
ビッケ ですね。まあどっちにしても、今はスケジュールが地獄なんで。
──潤いがほしいところですね。
ビッケ ほしい。温泉行きたい。バカみたいにものを食べたい。バカみたいにシェイク飲みたいし、バカみたいにポテトも食べたい。
──夢が膨らんでますね(笑)。しかし、それこそ「RAINBOW ROAD」が終わるまでは息つく暇もないのでは?
ビッケ そう! だから「11月は時間ちょうだい」って言ってあります。
──でも、制作とかいろんな仕事も、基本的に楽しんでそうじゃないですか?
ビッケ そうなんですけど、たまに「楽しい」の次元を越える忙しさの時があるんですよ。今がそんな時期で。でもいずれ終わるし、やらないと終わんないから。戦わないといけないのは自分なんで、やるっきゃないんですけどね。
──では今回の締めは「やるっきゃない」ということで(笑)。ありがとうございました!
EP『United』
2022.8.24 ON SALE
『Vicke Blanka presents RAINBOW ROAD -軌-』
日程:2022年10月30日(日)
会場:東京・東京ガーデンシアター
開場/開演:16:30/17:30
問い合わせ:ディスクガレージ(050-5533-0888(平日12:00~15:00))
※こちらの公演はTHE TOUR Vicke Blaka東京公演のチケットにてご入場頂けます。
既にチケットをお持ちのお客様は間違えて購入されないよう、ご注意ください。
チケット料金:座席指定 前売 ¥7,000(税込)
申込枚数制限:4枚
年齢制限:3歳以上よりチケット必要 3歳未満は⼊場不可
スペシャル先着先行
[受付期間] 7月20日(水) 20:00~8月25日(木) 23:00
[受付URL] https://l-tike.com/vickeblanka/
※受付は先着順となります。
※予定枚数に達し次第、販売終了となります。
THE TOUR『Vicke Blanka』
8月27日(土) 愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
OPEN 16:30/START 17:30
Info:サンデーフォークプロモーション(052-320-9100)
9月9日(金) 大阪・フェスティバルホール
OPEN 17:30/START 18:30
Info:キョードーインフォメーション(0570-200-888)
9月16日(金) 石川・金沢市文化ホール
OPEN 17:30/START 18:30
Info:FOB金沢(076-232-2424)
9月18日(日) 福岡・ 福岡国際会議場メインホール
OPEN 16:30/START 17:30
Info:キョードー西日本(0570-09-2424(平日・土曜 11:00-17:00))
9月23日(金・祝) 宮城・トークネットホール仙台 小ホール
OPEN 16:30/START 17:30
Info:GIP(https://www.gip-web.co.jp/t/info)
10月10日(月・祝) 北海道・札幌市教育文化会館
OPEN 16:30/START 17:30
Info:ウエス(011-614-9999)
チケット料金:前売 ¥6,500(税込)
チケット一般発売中!
ローソンチケット:https://l-tike.com/vickeblanka/
イープラス:https://eplus.jp/vickeblanka/
チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/vickeblanka/
mu-mo TICKET:http://r.y-tickets.jp/vickeblanka2201
※受付は先着順となります。
※予定枚数が終了次第、販売終了となります。
※受付対象公演は各プレイガイドにてご確認ください。
【ビッケブランカ5周年特設サイト】
https://vickeblanka.com/5th_year/
【ビッケブランカ ファンクラブ French Link】
https://vickeblanka.fc.avex.jp/
【ビッケブランカ Twitter】
https://twitter.com/VickeBlanka
【ビッケブランカ YouTube】
https://www.youtube.com/c/VickeblankaTV
【ビッケブランカ TikTok】
http://www.tiktok.com/@vicke_blanka
【ビッケブランカ Instagram】
https://www.instagram.com/vickeblanka/
【ビッケブランカ WEBSITE】
https://vickeblanka.com/
ストレートに、素直に楽しい曲が作れた「This Kiss」
──8月24日にリリースされるEP『United』ですが、まずこのタイトルの意味というのは?
ビッケブランカ 「連合」「団結」っていう意味の言葉ですが、今回収録される楽曲がバラバラの存在なので、それぞれが団結してるっていうことと、10月30日に新しく始める「RAINBOW ROAD」というイベントに向けて、5年間走ってきて一緒に支えてくれたファンの人ともう一度団結をしようという意味でもあります。
──ジャケットで持っているのは、フランス国旗ですか?
ビッケ フランス国旗の色を変えて、オリジナルの旗にしています。架空の国の国旗の元に団結しようと。
──このタイミングでこのEPをリリースするというのは?
ビッケ タイアップの話をいっぱいもらって、監督とかプロデューサーとかと話をしてそれぞれの曲を生んでいったんですけど、それをツアー前の、このタイミングで出そうという感じですね。
──この4曲というのはそれぞれにタイアップで作られたものなので、EPとしてはコンセプチュアルに製作されたものではないですよね。だとすると、この4曲がまとまってEPになっている意味とは?
ビッケ リリース時期も近くて、どれも自分の最新の感覚で歌ったり歌詞を書いたりしたものなので、並べても同じレベルでまとまるはずなんですよ。それを、団結してツアーに一緒に出て行こうというタイミングで聴いていただけるっていうことですかね。
──1曲目は「This Kiss」(BS-TBS 木曜ドラマ 23『あなたはだんだん欲しくなる』主題歌)ですね。「ゴージャスなポップ」という印象を受けたんですが。
ビッケ 素直に作った感覚がありますけどね。メロディーも弾きたいように弾いたし、そこに当てたいコードを当てたし、という感じで。素直に楽しい曲を作れたなあという感じですね。
──歌詞もストレートですよね。
ビッケ そうですね。最近は全体的に、ストレートに寄ってきている気はするんですけどね。この「This Kiss」に関しても、「キスをしよう」ってちゃんと言ってるんですけど、でもその前の歌詞がたとえ話で、その塩梅を自分の中で見ようとしているのかなというか。あんまりストレートに言われすぎても恥ずかしいっていう自分がいるんだろうなというところで、フワッと濁すところと、ハッキリ言いたいことを言うところの塩梅を見ようというメンタリティーが自分の中にあるのかなっていう気がしました。
──行き着くところがストレートだから、そこまではフワッとさせようと?
ビッケ させようとしたわけではないんですけど、無意識の中で塩梅を見ようとしたのかなという感じですね。狙って塩梅をコントロールしようとしてる歌なんて、誰も聴きたくないじゃないですか。無意識に何となく、「ここまで言うと照れ臭い」とか、「ここまではできた」とか、そういう塩梅が働いたのかなと。
──意識して調整することはない?
ビッケ 今言った通り、それを意識してる歌なんて誰も聴きたくないじゃないですか。「ここの言葉を届けたいんで、ここはわざとぼやかしてるんですけど」なんて歌、誰も感動できないでしょう(笑)。
──了解です(笑)。MVがまたいいですね。
ビッケ MVはメチャクチャ急ピッチで作りました。公開される3日前ぐらいに撮影してましたから。千葉の海で撮ったんですけど、前日が別のドラマ撮影で1日拘束されてて、朝からMV撮影して、その翌日がまた大阪でフェスに出て、そのまた翌日が東京と横浜でライブという異常な時期で。どこの海か調べる余裕もなかったですね。
──海で楽しんでいる雰囲気のMVとはかけ離れたスケジュールですね。
ビッケ 大変でした。ちょっと曇ってたんですけど、予報は雨だったので、降らなかっただけ奇跡的で。
──MVの内容もストレートな表現ですよね。
ビッケ そうですね。本当は炎天下で水を浴びてるようにしたかったところ、雨が降ってるみたいになっちゃったんですけど、まあそれもいいかなと(笑)。
アメリカでの作業でスケール感を増した「Changes」
──2曲目は「魔法のアト」(東海テレビ・フジテレビ系 土ドラ『個人差あります』挿入歌)。バラードで、これもストレートと言っていいですよね?
ビッケ 久々のバラードですね。これは書き下ろしだから、ドラマの設定を盛り込んだ部分もあって。ドラマにはチェルキーっていうシンガーソングライター役で自分も出させてもらって、そのチェルキーの葛藤とかも監督から聞いた上で、自分の中でもそれを見つけて自分の言葉で歌ったという感じですね。ビッケブランカとも近いんですけど、最終的にドラマとも一致してくれたという、偶然の一致があった感じの曲でした。
──ドラマと言えば前回のインタビューが公開された直後あたりに、『ミステリと言う勿れ』に出演されてましたよね。
ビッケ 好きが高じてってヤツですね。あれを見ていろんなドラマのお話をいただくようになって、何事もチャレンジはしてみるものだなと。
──バラエティー番組にはそれまでも出演されてましたが、ドラマとなるとまた全然違いますよね。
ビッケ 全然違いますね(笑)。頑張りたいと思ってるところです。今はまだ、恥ずかしくて自分で見てられないですけど。
──「魔法のアト」の話に戻りますが、音もバラードらしい作りというか。
ビッケ 余計なものを入れないようにというところの極致なのかなと思いますね。ピアノとコーラスと、うっすらとしたハモりだけで。本当に主旋律の歌、声、メロディー、歌詞、この部分だけが存在するだけで曲が成立するんだっていうような音でレコーディングもしたしアレンジもしたしミックスもしたという感じです。
──それがそのまま形になったと。
ビッケ そうです。最後までビッケブランカの声しか聞こえなかったという印象でいいというか。それぐらい言いたいことがあるから、いちいちオブラートに包む必要がない、邪魔なものは全部取っ払ったという感じです。一つチャレンジですよね。ここまで削ぎ落とすって日本ではあり得なくて、アデルぐらいしかやってないから。他は全部後ろに引っ込めて、という感じでやってみました。
──今までどちらかというと、音を重ねたいという感じでしたよね。そことは正反対で。
ビッケ その跳ね返りじゃないですか。重ねて作り込んでいくのも楽しくて好きなんですけど、「バラード」っていう枠組みのオーダーをもらったときに、より極致の、楽器すら歌を邪魔しないというものを作ってみようと思いました。
──3曲目は「Changes」(フランス映画『シャイニー・シュリンプス!世界に羽ばたけ』全世界共通エンディング曲)。ご自身の中では、これもバラードですか?
ビッケ これはバラードとかっていう次元じゃないかな。クリスチャン・フォークというか、また別のジャンルにある曲という気がするというか、意味合いとしては。だからこれはちょっと特殊な歌ですね。
──すごく内省的な歌詞ですよね。
ビッケ こういう歌詞も久々ですね。映画の監督との話とかもあった上で、自分の中で探すというところに最終的に向いたんですけど。それが言葉になって、救いを求めるというのが降りてきて、自然と教会とかクリスチャンという方向にどんどん曲が変わっていって。アメリカでミックスしたことによって、よりそれが強くなった感じですね。
──アメリカで仕上がったものを聴いて、どういう印象を受けましたか?
ビッケ よかったですよね。出来上がるまでのセッションを全て見せてほしいぐらいでした。何を経たらこうなるのか。それぐらい、全然違いますよね。日本では、島国では絶対にできないようなスケール感がやっぱり出るのがいいなと思いました。いつもやっているチームなので信頼もしていますし。
「Treasure」の“あの声”の理由とは?
──4曲目の「Treasure」(BS 松竹東急 土曜ドラマ『家電侍』主題歌)は、何と言っても声が印象に残りますよね。これって、上の世代だとザ・フォーク・クルセダーズの「帰って来たヨッパライ」を思い出すと思うんですが。
ビッケ 確かに上の世代の人からは、みんなにそう言われます。僕はその曲は全然知らなかったんですけど。
──なるほど(笑)。そう言われて「帰って来たヨッパライ」は聴いてみました?
ビッケ 昔の世代にはもう1曲、同じアイデアの曲があるんだなと思って、聴いてはいないですね。
──実際、あの声にしようという発想はどこから?
ビッケ 「インパクトのある曲でも、僕らは構いませんよ」って、プロデューサーさんが言ってくれたんですよ。「ホントにいいんすか? じゃあやってみますよ」ってやり始めました。例えば「魔法のアト」で言うと「お前のバラードは好きだ」っていうところで話をもらえたし、この『家電侍』については「お前のアイデアが好きだ」というところで話をもらえたので、それが成立するというか。アンバランスなものを成立させて、そこでメッセージを送れるかと。
──最初に聴いた時、この声はもしかして照れ隠しのためなのではと思ったんですが。
ビッケ 要素として、なきにしもあらずですね。それが明確な理由というわけではないけど、その役割も果たしてくれてよかったなという感じです。家族愛を歌っていて、あまりにも自分の家族愛が深いことは自分でも知ってるし。監督からのテーマとしても家族愛はあったから、そのまま歌っているし、メロディーも全く手を抜かず、一番伝わるメロディーとか構成、コード感とか全部こだわってるんですけど、最後に声をああすることによって、愛情の深さとかほっこり感とかをよりブーストできるんだったらいいなみたいな。
──最後なんですね。
ビッケ でもまあ、同時進行ですかね。1回歌ってみてすぐにピッチを上げてチェックはしてたので。最後に付け加えたというわけではなくて、はじめからイメージはしてました。
──自分でピッチを上げた時に、まずどう思いました?
ビッケ 笑えた。笑えたし、笑えていいと思いました。その効果が一番ほしかったところだし、ちゃんと聴いてくれる人は聴いてくれるから、歌詞やメロディーに妥協がないことは、ファンはちゃんと分かってくれると思ってたんで。しかもその加工によってよりキャッチーになるから、いいことしかないなと思いましたね。
──ライブでもこの声で歌うんですか?
ビッケ まだ分かんないです、どうするかは。「地声で聴いてみたい」という声が多いのは事実だけど、それに応えるか応えないかはまだ分かんない。メッチャ弾き語りするかもしれないし。それだけいろんなアイデアが生かせる、伸びしろのある曲だなと思います。
──4曲とは言え、全曲タイアップのEPというのもなかなかないと思います。改めてですが、タイアップとそうでない曲では、作り方は全然違いますよね?
ビッケ 違いますね。監督とかプロデューサーさんが制約を設けてくれて、彼らからの熱意を感じてスタートできるので、タイアップにはいいことしかないんですよ。自分で作る時はやっぱり広大なアイデアの中で、自分でアイデアを選定する感じになるじゃないですか。それが正解かどうかも分からないし。だからタイアップで作るのは、僕は好きですね。
──オンエアなどで改めて見た時に、自分が作った意図と違った印象を受けるようなことはあるんですか?
ビッケ 基本的に監督とかとやりとりしながら作っているので、その使い方を監督が間違えるわけがないと思って見てますから。ただ過去に、音楽配信サービスのCMタイアップで「Ca Va?」という曲を作ったんですけど、サビで「Ca Va?」って言うキャッチーな曲なわけですよ。そこに行く前の20秒ぐらいは、フランス語でシャンソンみたいなバラードを歌ってて、そこから急にバーッと展開が変わるんですね。CMの監督が、一番キャッチーなところじゃなくて、そのはじめの20秒のタル~い部分を使おうとしてたんですよ。今だから言っちゃいますけど。
──そこじゃねえだろと。
ビッケ 「イントロのところを使ったら面白いと思うんですよね」って言われて、「イヤイヤイヤイヤ!」と。それはハッキリ言いました。「絶対サビから使ってください。絶対それじゃなきゃイヤだ」って言って、結局サビが使われて、結果いいCMになったという。
──そんなこともあるんですね。
ビッケ ありましたね。まあ今回収録の4曲については、しっかりと打ち合わせもして、「間違いなく返さなきゃ」という責任感のもとで提出できて、それを皆さんが理解していいように使ってくれてます。
ツアー「Vicke Blanka」、イベント「RAINBOW ROAD」はどんなものに?
──で、リリース直後の8月27日からツアーが始まりますね。
ビッケ 今までアルバム・ツアーしかやったことないんですけど、今回は「Vicke Blanka」っていうセルフネームのツアーなので、デビュー5周年をちゃんと締めくくれるものにしたいし、最終的に10月30日、東京ガーデンシアターでの初のアリーナ公演は「RAINBOW ROAD」という新しいイベントとしてスタートするので。5周年の終わりに主催イベントがスタートするということで、記念すべき日になるだろうから、たくさんの人に来てほしいと思ってます。
──では、ツアーの選曲は5年間の集大成ということになるわけですね。その中で、今回のEPの曲の位置付けは他より重いわけですか?
ビッケ もちろん新しい曲だから聴いてほしいと思っていますし、当然セットリストの中でもポイントにはなってくると思います。
──「RAINBOW ROAD」はツアーのファイナルでもあり、新しいイベントの始まりでもある?
ビッケ ツアーファイナルではないですね。今回のツアーにファイナルはないんです。終わらないツアーという感じで。
──なるほど。ではツアーのセットリストともまた変わるわけですね。特別な仕掛けも?
ビッケ あるんじゃないですか。今回は特に1回目なんで派手にやりたいなと思ってますし、今は何となくアイデアもでき始めているところです。
──年1回なんですか?
ビッケ 1回、ないしは2回ってところですね。今回は最初の「軌の章」ということで、ここから始まって続いていくと。少なくとも年に1回は「RAINBOW ROAD」っていうイベントが開催されて、そこに行けば現在のビッケブランカに会えるし、1年前を思い出すこともできるし、全国から人が集まるという、記念すべき場所がほしいなというところからスタートしてるんで。
──最後に、何だか恒例みたいになってる「マイブーム」についてなんですが……。
ビッケ 今は何も流行ってないなあ。
──前回のインタビューの時に話していた「マイブーム」って、何だったか覚えてます?
ビッケ 覚えてない。何だっけ? 釣り? カフェラテ? あ、寿司?
──お寿司は2回前です(笑)。前回はお寿司にもう飽きて、今はこれっていうのが一つあったんですよ。
ビッケ 何ですか?
──アメフトです。
ビッケ ああ、アメフトか! タッチフットボール(少人数でやれるようにルールが作られたフットボール)もやりたいんですけど、コートの予約が埋まっちゃってて、取れないんですよ。それに僕自身も時間がないし。地獄です。もう無理かもしれないですね。次にやれるのは冬かも。
──冬にやりたくなるものでもなさそうですね(笑)。
ビッケ ですね。まあどっちにしても、今はスケジュールが地獄なんで。
──潤いがほしいところですね。
ビッケ ほしい。温泉行きたい。バカみたいにものを食べたい。バカみたいにシェイク飲みたいし、バカみたいにポテトも食べたい。
──夢が膨らんでますね(笑)。しかし、それこそ「RAINBOW ROAD」が終わるまでは息つく暇もないのでは?
ビッケ そう! だから「11月は時間ちょうだい」って言ってあります。
──でも、制作とかいろんな仕事も、基本的に楽しんでそうじゃないですか?
ビッケ そうなんですけど、たまに「楽しい」の次元を越える忙しさの時があるんですよ。今がそんな時期で。でもいずれ終わるし、やらないと終わんないから。戦わないといけないのは自分なんで、やるっきゃないんですけどね。
──では今回の締めは「やるっきゃない」ということで(笑)。ありがとうございました!
撮影 長谷英史
EP『United』
2022.8.24 ON SALE
『Vicke Blanka presents RAINBOW ROAD -軌-』
日程:2022年10月30日(日)
会場:東京・東京ガーデンシアター
開場/開演:16:30/17:30
問い合わせ:ディスクガレージ(050-5533-0888(平日12:00~15:00))
※こちらの公演はTHE TOUR Vicke Blaka東京公演のチケットにてご入場頂けます。
既にチケットをお持ちのお客様は間違えて購入されないよう、ご注意ください。
チケット料金:座席指定 前売 ¥7,000(税込)
申込枚数制限:4枚
年齢制限:3歳以上よりチケット必要 3歳未満は⼊場不可
スペシャル先着先行
[受付期間] 7月20日(水) 20:00~8月25日(木) 23:00
[受付URL] https://l-tike.com/vickeblanka/
※受付は先着順となります。
※予定枚数に達し次第、販売終了となります。
THE TOUR『Vicke Blanka』
8月27日(土) 愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
OPEN 16:30/START 17:30
Info:サンデーフォークプロモーション(052-320-9100)
9月9日(金) 大阪・フェスティバルホール
OPEN 17:30/START 18:30
Info:キョードーインフォメーション(0570-200-888)
9月16日(金) 石川・金沢市文化ホール
OPEN 17:30/START 18:30
Info:FOB金沢(076-232-2424)
9月18日(日) 福岡・ 福岡国際会議場メインホール
OPEN 16:30/START 17:30
Info:キョードー西日本(0570-09-2424(平日・土曜 11:00-17:00))
9月23日(金・祝) 宮城・トークネットホール仙台 小ホール
OPEN 16:30/START 17:30
Info:GIP(https://www.gip-web.co.jp/t/info)
10月10日(月・祝) 北海道・札幌市教育文化会館
OPEN 16:30/START 17:30
Info:ウエス(011-614-9999)
チケット料金:前売 ¥6,500(税込)
チケット一般発売中!
ローソンチケット:https://l-tike.com/vickeblanka/
イープラス:https://eplus.jp/vickeblanka/
チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/vickeblanka/
mu-mo TICKET:http://r.y-tickets.jp/vickeblanka2201
※受付は先着順となります。
※予定枚数が終了次第、販売終了となります。
※受付対象公演は各プレイガイドにてご確認ください。
【ビッケブランカ5周年特設サイト】
https://vickeblanka.com/5th_year/
【ビッケブランカ ファンクラブ French Link】
https://vickeblanka.fc.avex.jp/
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- WRITTEN BY高崎計三
- 1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。