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Elle Teresa

【Elle Teresa】自分のペイン(痛み)がないと音楽自体も強くならない。

2022.07.15
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音楽
インタビュー
7月15日、メジャー移籍後初のアルバム『Sweet My Life』をリリースしたElle Teresaさん。世界中でレコーディングを行い、人気ラッパーや大物プロデューサーも参加した豪華な内容は、本人も自信の一作と言います。待望のリリースにあたり、その制作過程やアルバムに込めた思いなどを伺いました!
 
 
メジャーじゃないとできなかった豪華な内容!
 
 


──待望のメジャーデビューアルバム、おめでとうございます。メジャーデビュー曲「bby girlll」のリリースからちょうど一年位が経過していて、Elle Teresaさんにとってもファンの皆さんにとっても、“待望のアルバム!”という感じでは?
 
Elle Teresa ありがとうございます。
 
──インディ時代も、『KAWAII BUBBLY LOVELY』シリーズなど、インパクトの強いアルバムをリリースしてきましたが、今回の『Sweet My Life』はまた違った仕上がりだなと感じますか?
 
Elle Teresa メジャーだからって、制作に対する姿勢とかプロセスはあまり変わってないと思います。むしろ、「メジャー行きます!」みたいな感じで変わっちゃったらキモくないですか? ただ、進化はしていると思う。ほぼ全て海外で録った音源だし、どの曲もビートの勢いがすごい。こんな豪華な内容は、メジャーじゃないと無理だったなと思っています。
 
──アトランタやロサンゼルス、ニューヨーク、パリ…と世界中でレコーディングをしたと伺いました。
 
Elle Teresa 最初にアトランタのスタジオに行ったのはすでに3年くらい前で、コロナで大変になっちゃう直前に、パリでもセッションしたんです。アトランタで一緒に制作したPooh Beatzは、Jack Harlow「What’s Poppin」やDaBaby「SUGE」といった曲に関わっているプロデューサー。他にもニッキー・ミナージュやケラーニの曲にも携わっていて、今回のアルバムにもたくさん参加してくれました。他にも、Lattoの「BIG ENERGY」を手掛けたソングライター、London Jaeや、NLE Choppa「Shotta Flow」を作ったプロデューサーのMidas 800たちも参加してくれて、めちゃくちゃ豪華な内容になったと思います。
 
──短期間でワーっと作ったというよりも、海外でじっくり制作したという感じ?
 
Elle Teresa そうですね。海外で録って、日本に持ち帰って仕上げた曲もあります。メジャーレーベルで制作ということもあって、インディ時代とスピード感の時差を感じることもあったんです。特にヒップホップのスピードは速いから、正直、世界から置いて行かれていた気分にもなることもありました。でも、改めて聴いてみるとビートやサウンドの部分に関しては全然古さを感じないんですよね。だから、ビートを選ぶ自分のセンスは間違いないなって思いました。


──海外といえば、先行配信された「Wifey」にはアトランタ出身の人気ラッパー、Lil Keedが参加しています。
 
Elle Teresa この曲をアトランタで作った時に、“男性ラッパーをフィーチャーするなら、誰がいいかな?”って話になって、エルから“Lil Keedがいい!”ってリクエストしたんです。そうしたらプロデューサーが繋いでくれて、共演が実現しました。
 
──そして、その共演が実現した直後、Lil Keedは2022年5月に24歳の若さで他界してしまうという…。私も、ニュースを知った時にとってもびっくりしました。
 
Elle Teresa 普通にネットのニュースで知って、言葉が出なかったです。Lil Keedと一緒に「Wifey」のMVを撮影して、その後、エルが帰国してから二週間後くらいの出来事でした。実際、まだ信じられなくて、一緒に曲を作ってMVを撮ったことも全部夢なんじゃないかなって思っちゃう。それくらい、私の人生においては大きな出来事でした。Lil Keedが亡くなったことを受けて、「Wifey」のリリックも少し修正したんです。「気にしすぎじゃない?」と言われることもあったけど、やっぱり自分が納得いかなくて。
 
──逆にいうと、そこまで自分の思いが反映された曲になったということですよね。『Sweet My Life』というアルバムのタイトルはどうやって思いついたもの?
 
Elle Teresa アルバムに収録されている楽曲の全てに、「これはこの人のことを歌ってるな」って自分のリアルな思い出が重なるんです。でも、楽しいっていうか辛い思い出の方が多い時期でもあった。それも含めて、結局はいい思い出なのかなと思って『Sweet My Life』にしたんです。
 
──ピンナップ・ガールみたいなアートワークもとっても印象的で、惹き込まれちゃいました。
 
Elle Teresa スタイリングは「bby girlll」のMVなどにも参加してもらったTommy( @ _tommythebest)に担当してもらいました。赤いサンローランのジャンプスーツを着ていて、ツアー用のビジュアルの方がもっと雰囲気が分かりやすいかも。基本的には、おまかせしています。ネイルは、ともにゃん( @tomonyan55 )って方で、他にもSaweetieとかLil Nas Xとかのネイルも担当してる方なんです。
 

自分はアイコンになれる。マジでポテンシャルしかない。
 


 
──仕上がったアルバムを、どんな風に聴いてほしい、という思いはありますか?
 
Elle Teresa エルの曲って、漫画じゃないけど、一対一で聴く感じだと思うんです。みんなで聴くっていうよりかは、一人の時にいる音楽って感じがする。だから、そういう風に聴いてもらうのがいいのかも。
 
──それは、Elle Teresaさん自身のリリックの世界観が、リスナーのみんなのと近いからこそなのでしょうか。
 
Elle Teresa きっとそうだし、エルも一人でいることの方が多いから、知らないうちにそういう曲になっているのかも。
 
──「自分の楽曲がこんなに広まってるんだ!」と実感することはありますか?
 
Elle Teresa 本当に色んな人が聴いてくれてるんだなって思います。この間、逗子でやってたVIGORMANのライブに行って、その帰りに普通のラーメン屋でご飯を食べてたんです。そしたら、家族で話しかけてくれたの。小さいお菓子をくれて「エルちゃんですよね?」って言われて、すっごくびっくりしました。めっちゃ嬉しかったですね。

──本当に、フィールドが広がっている。
 
Elle Teresa そういう感じがあります。今まではあまり考えてなかったけど、相手のことも考えて曲を作っていかなきゃいけないのかなって思っていますね。
 
──それは、制作の仕方を変えたりとか、もっとキャッチーな曲を作ったりということ?
 
Elle Teresa エルが本当に好きな音と、みんなが気に入ってくれる音は違うのかなって思うし、ジレンマに感じることもある。でも、音楽で成功したいから、その辺を気にするマインドも変わってきましたね。じゃないと、たくさんの人に聴いてもらえないから。そこをちゃんと保ちつつ、自分がやりたいこともやる。そこを両立させて行きたいと思っています。
 


──今後、Elle Teresaとして目指すのはどんな場所ですか?
 
Elle Teresa いつもRolling Loud(マイアミやNYで開催されるヒップホップ・フェス)って言ってるんですけど、どうなるかな?『XXL』の“10 Freshmen”(アメリカのヒップホップ・メディア『XXL』が、その年の旬な若手ラッパーを選出する名物企画)とか、載ってみたいですね。今までこの企画にアジア人の女の子で選ばれた子はいないと思うし、このまま頑張れば叶いそうって思っています。てか、エルがここでちゃんと背中を見せないと、誰もついてこないじゃんって思います。
 
──ラッパーとして、次の世代のことを考えることはある?
 
Elle Teresa 今の時代って、「ラップスタア誕生」(AbemaTVで放送されているラッパーのオーディション番組。これまでに¥ellow Bucksやralphらを輩出した)とかに出れば、ある程度有名になれるんですよ。エルも、本当はそうやって有名になりたかった。
 
──大きな後ろ盾があって、バーンとデビューするということ?
 
Elle Teresa というか、もっと早く有名になりたかった。「なんでエルは、今もここなんだろう?」って考えちゃうこともあるんです。でも、ヒップホップは自分のバックグラウンドが一番大事で、そこに音楽が乗っかっていくカルチャーなんですよね。そういう、自分のペイン(痛み)がないと音楽自体も強くならないし、その過程が一番大事だと思ってる。近道をするより、遠回りしてもどうやってそこに行くか、みたいな。じゃないと、本当に誰もその人の曲なんて聴かないんですよ。ただ、いい音楽を作っているだけだと誰も聴かない。「女の子だから」って言われることもあるけど、女の子にだってそういう部分はあるじゃないですか。今までは私自身も若くてキラキラして、ってイメージだけだったかもしれないですけど、これからはそういう部分も出していきたいなって思っているんです。だから、このアルバムが出た後の作品では、そういった部分も楽しんでくれたら嬉しいです。
 


──『Sweet My Life』のリリースに合わせて、ツアーも開始されます。意気込みは?
 
Elle Teresa 久々に全国を回るので本当に楽しみです。ファンの子たちともしばらくコミュニケーションがないままだったから、どんな感じなんだろう?みんな来てくれるかな?
 
──もともとティーンの頃からラップを初めて、2022年の今、メジャーデビューを迎えるにあたりどんな心境ですか?

Elle Teresa もっと有名になってるかなと思ってたから、今のエルにはまだまだ伸び代しかないって感じです。とりあえず、今は音楽でもっと結果を出したい。多分、そこで頑張った先に、もっと自分ができることがあると思うんです。キム・カーダシアンは41歳で弁護士の試験にパスしたし、希望しかないって感じですね。マジでポテンシャルはあるし、アイコンになれると思っています。

 
撮影 長谷 英史
 
 


『Sweet My Life』
2022.07.15 デジタルリリース


 
「Wifey  (Feat. Lil Keed)」MV
https://youtu.be/Gtjatrrt9l8

 
Elle Teresa“Sweet My Life Japan Tour”
 
■7/15 札幌@Utage
■7/17 岡山@VESTI
■7/29 広島@HERBIE
■7/30 沼津@RoopSounds
■8/7 熊本@SPACE
■8/14 大阪@MadamWoo
■8/26 名古屋@ORCA
■9/3 神戸@ANCHOR
■9/4 京都@KITSUNE
■9/17 岩手@SICKth
■9/19 茨城@GOLD
■9/30 仙台@ART NIGHT CLUB
■10/15 福岡@Voodoo
 
 
【Elle Teresa Web Site】
https://avex.jp/elleteresa/
 
【Elle Teresa Instagram】
https://www.instagram.com/elleteresa_/
 
【Elle Teresa Twitter】
https://twitter.com/elleteresa
 
【Elle Teresa TikTok】
https://vt.tiktok.com/ZSJQ9AoPd/


 
渡辺志保
WRITTEN BY渡辺志保
広島市出身。音楽ライター。主にヒップホップ関連の文筆や歌詞対訳などに携わる。これまでにケンドリック・ラマー、A$AP・ロッキー、ニッキー・ミナージュ、ジェイデン・スミスらへのインタビュー経験も。共著に『ライムスター宇多丸の「ラップ史」入門』(NHK出版)などがある。block.fm『INSIDE OUT』、bayfm『MUSIC GARAGE:ROOM101』などをはじめ、ラジオMCとしても活動中。
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