【コエアバター】あなたの作品がオフィシャルになる!?佐伯伊織さんを起用した「蓮鬼ねむ」とは?
テキストを音声に変換し発話させる音声合成サービス「コエステーション(以下:コエステ)」については、以前にもご紹介しました(https://avexnet.jp/column/detail.php?id=1000380)が、その中の個人ユーザー向け合成音声コンテンツ作成・編集ツール「コエステーション エディター『CoeAvatar(コエアバター)』(以下:コエアバター)」において、声優の佐伯伊織さんを起用したコエステ初のオリジナルキャラクター「蓮鬼(はすき)ねむ」の制作プロジェクトが始動しました。その制作資金を集めるためのトークン発行型のクラウドファンディングがスタートしています。そう言っても多くの人が「???」であろうこのプロジェクトについて、佐伯さん、フィナンシェ 代表取締役 CEO / ファウンダーの國光宏尚さん(※リモート取材)、コエステ株式会社 アシスタント・アカウント・ディレクター 兼 CoeAvatarプロデューサー 三好啓太さんのお三方に、いろいろと解説していただきました!
ファンの反応の多くは「よく分からないけど、楽しみ!」
──まず、「コエアバター」というプロジェクト全体の概要についてご説明いただけますか?
三好 コエステ社では、音声合成という任意のテキストを音声で読み上げる技術を扱っており、カーナビやスマートスピーカーなどでだいぶおなじみになってきていると思います。
この技術を用いた「コエステーション」という音声合成サービスを主にビジネスユーザー向けにこれまで展開しているのですが、「コエアバター」は、コンシューマー向けに音声合成を活用いただくための企画として、コエステ社初のオリジナルキャラクター「蓮鬼ねむ」を誕生させようというプロジェクトです。
合成音声がキャラクター性を持ち、かつ誰でも簡単に作成・編集できて、さらにその音声を保存して、YouTubeなどの動画コンテンツにも使えるというのが特徴ですね。
──その制作資金を集める手段として、FiNANCiE(フィナンシェ)という「トークン発行型クラウドファンディング・サービス」が加わるわけですね。
三好 そうですね。今回、その音声の部分を作成するのに、制作資金が必要になります。この資金を集めるだけでなく、FiNANCiEの特徴であるコミュニティ機能だとかトークン発行機能を使って、キャラクターを今後も運用していき、かつ人気も向上させていけるような仕組みを作っていければと思っております。
──FiNANCiEの内容について、もう少し詳しく教えていただけますか?
國光 我々は3年ちょっと前からこのサービスを始めさせていただいているのですが、FiNANCiEは「次世代型クラウドファンディング」です。今までのクラウドファンディングだと、「こういうことをやりたい」「こういうことを実現したい」ということでファンから資金を募る時に、リターン、返礼品を付けて募集するという形でした。FiNANCiEはその返礼品の代わりにトークン(ある特定のブロックチェーン上で有効な独自通貨のようなもの)やNFT(非代替性トークン。ネット上で『唯一無二』であることが証明されたトークン)を発行して資金を集めるという形になっています。このトークンやNFTは二次流通マーケットというところで売買されて、需給に応じて価格が上がったり下がったりしていくんですね。
──それは株式市場みたいなイメージなんでしょうか?
國光 株式や有価証券のように配当等があるわけではないですし、値上がりを期待して購入するようなものではないので、株式市場というイメージとは異なるかもしれません。例えば今回の「蓮鬼ねむ」で言うと、初期から応援してくれた方たちがいて資金が集まり、「蓮鬼ねむ」のイラストや合成音声データが公開されます。そのイラストや声のデータをいろんな二次創作に利用したりしていくことで、「蓮鬼ねむ」の人気がどんどん上がっていくと、「自分も参加したい」という人が増えてきて、トークンがほしいという人も増えてきますよね。そうすると、応援したいという気持ちで入った人たちの保有するトークンが、“結果的”に値上がりしてハッピーになれる可能性はありますね
──現在、どのような事例があるんでしょうか?
國光 現在はスポーツチームの導入例が増えてきています。サッカーの湘南ベルマーレさんとかアビスパ福岡さんをはじめとして、野球、アイスホッケー、卓球、ラグビーなど45チームがすでにトークンやNFTを発行しています。またエンターテインメントの分野では、堤幸彦さん、本広克行さん、佐藤祐市さんという3人の映画監督が指揮を執って、新たなエンターテインメントを創造しようというプロジェクトが動き出しています。今後はより多くのファンを巻き込みながら、ただ資金を集めるだけではなくて、コミュニティを作ってみんなで盛り上げていく、そして成功した暁には応援したみんながハッピーになれる、そんな形を志しているプラットフォームになります。
──そうしたプロジェクトの中で、今回は「蓮鬼ねむ」というキャラクターが誕生し、佐伯さんがその声を担当されるわけですよね。佐伯さんは声を使ったいろんなお仕事をされていますが、もちろんこういうオファーは……。
佐伯 初めてです!(笑) アニメとかゲームとかとはまた違ったジャンルで、自分の声がどういう形になっていくのかというのが、最初はよく分からなかったんですよ(笑)
──ですよね(笑)。このプロジェクトが発表された1月21日に、佐伯さんのツイッターでもお知らせが出ましたが、多くの人が「よく分からないけど、楽しみ」という感じでしたよね。実際、皆さんは「蓮鬼ねむ」の姿もまだシルエットでしか見ていなかったわけで。
佐伯 そうでしたね(笑)。あの状態でも「楽しみ」と言ってくれる方が多かったので、もっと詳細な情報が出たら、みんなもっと楽しめるだろうなと思いました。
──最初に「蓮鬼ねむ」のデザインを見た時にはどう思われましたか?
佐伯 最初に、ねむちゃんの衣装違いという感じのキャラクター案を6つぐらい見させていただいたんですね。デザイナーさんもすごくたくさんの衣装案を出されていたみたいで、制作自体がすごく力が入ってるなと思って(笑)。で、実は私は白髪で赤目というのがもともとすごく大好きで、しかもねむちゃんは片目が隠れてるんですよ! その全てが私の心をくすぐってくれました(笑)。
──刺さりましたか(笑)。
佐伯 ホントに刺さりました(笑)。すごく好きなビジュアルで、最初から大好きです(笑)。
──このキャラクターが完成するまでには、どのようなイメージの過程があったんでしょう?
三好 いろんなプランがあったんですよ。具体的に言うと「幼女系キャラクター」とか「エルフ系」「メイド系」なんかも候補にあったんですけど、その中で佐伯さんの声を聴いた時に、「これは鬼系キャラクターだな」というのがパッと頭に浮かびまして(笑)。
佐伯 すごい!(笑)
三好 そこから鬼系で固まって、デザイナーさんにもそれを伝えて出してもらっていったという感じですね。
佐伯 そんなに私のボイサン(ボイスサンプル)、気迫がありました? 「鬼や!」みたいな(笑)。
蓮鬼ねむの「声」ができる過程とは?
──そうやってキャラデザインが固まって、今度は声の方向性や肉付けを打ち合わせで決めていくわけですね。アニメの登場人物などではなく、単独のキャラクターという点で難しさはありましたか?
佐伯 確かにそこは違いますね。、最初にそこをしっかりとしておかないと、音声合成した時に余計にどっちつかずのキャラクターになっちゃいそうだなと思ったんです。だから、方向性の摺り合わせを色々しましたね。
──その方向性というのは?
佐伯 私がこの子をパッと見た時に思ったのは、声がわりと高めで、年齢だけいってて「~なのじゃ」とか言うタイプなのかなと思ったんですけど、実際はそういう感じでもなくて(笑)、最終的には快活で元気でよくしゃべる明るい感じにということで落ち着きました。普段、私たちがしゃべっている時に、不快感がないような年齢感というか、しゃべってて違和感を感じないような年齢感でいこうということになっています。
──國光さんは、そもそもコエアバターにはどのような印象をお持ちでしたか?
國光 僕らはgumiという会社でモバイルゲームを作る中で声優さんとお仕事させていただいたり、キズナアイさんなどのバーチャルユーチューバーとも関わりがあったので、こういう2次元のキャラクターがしゃべってコミュニケーションを取っていくというところに多くの人が熱狂する様子はすごく見てきました。しかも、ボカロみたいにファンの方たちが自分で作れるとなると、さらに熱狂が広がるだろうなと、最初にお聞きした時には思いましたね。
──では、NFTやFiNANCiEとの親和性は高いと思われたんでしょうか。
國光 そうですね。特にFiNANCiEの特徴として「ファンとの共創」というのを大きく掲げてるんですね。今までのクラウドファンディングでは、応援してもらって終わりという感じなんですが、FiNANCiEの仕組みだと、面白い動画を作った時に「いいね」を集めることができて、その際にトークンを使うことで、「いいコンテンツを作れば大きなリターンがある」という形にできるわけです。そうなると、ファン・エコノミーみたいなものがより大きく回っていくんじゃないかと考えています。
──これから、佐伯さんが「蓮鬼ねむ」の声のために作業されるのは、アニメのアフレコなどとは違って、「合成音声の材料を作る」という作業ですよね。それはサンプルの文章を読み上げるというものなのでしょうか?
三好 そうです。文章数としてはだいたい300~400ワードぐらいを読み上げていただくんですけど、他のサービスではこの数倍ぐらい必要だったりするんです。そこはコエステの技術が生かされているところかなと思います。
コエアバターが公開されたら、アプリ内で声の高さや抑揚、声色といった細かいパラメータを調整することができるんですよ。だからユーザーさんは自分なりの蓮鬼ねむの声を作れますし、いろんな使い方ができると思います。
佐伯 逆にそれができるから、こちらとしてはすごく悩みました。ユーザーさんがいくらでも自分の好きなように調整できてしまうので、最初からすごく個性的にすると、自由度が下がっちゃうのかなと思ったりもして。収録時にはそういうことも考える必要がありますね。
──必要なのは「素材」としての声なんだけど、個性もなければならない……なかなか難しそうですね。
三好 声優さんには難しいお願いだとは思います。
佐伯 難しいところはありますね・・・。、最終的には「自分に近いキャラクターで作っちゃえばいいか」と思いながら読んでしまいそうです(笑)。
三好 でも、おかげさまで非常にいい出来になりそうなので。ありがとうございます。
佐伯 それならよかったです(笑)。
──先ほど、ユーザーが好きなように調整できるという話がありましたが、声の主としてはそこはいかがですか?
佐伯 そのうち、私の声が出なくなったら代わりにやってもらおうかなって(笑)。それができるってことですもんね(笑)。
──それは、いろんな意味であってはいけない事態かと……(笑)。それにしても画期的ですよね。
三好 キャラクターもプラットフォームも、過去にないものになったと思っています。
蓮鬼ねむをいっぱい使ってほしいし、愛してほしい!
──蓮鬼ねむやコエアバターのこれからの展開については、何かプランはあるんでしょうか?
三好 僕の頭の中では、「Live2D」みたいに動かしていくとか、3Dモデルを作っていくみたいなところとか、歌声もやりたいとかは考えているんですが、その部分でFiNANCiEさんの共創コミュニティを一番活用できるかなと考えていまして、コミュニティで、トークンを持っているサポーターの方に「次はどんな展開がいいか」を議論してもらったり、意見を吸い上げることができるんですよ。サポーターの方々が次に何を望んでいるかというところでリアルな意見を聞いたりできるので、そこで一緒にキャラクターを作り上げていけたらと思っています。
國光 スポーツの方の事例では、トークンを使って投票ができたりするんですよ。「次のTシャツはどんなのがいいか」とか「来シーズンのユニフォームのデザインはどんな感じがいいか」とか、「ファン感謝祭のイベントで何をするか」とか、いろんなことをファンの投票で決めていこうという感じでやっているんです。誰かが「ファン感謝祭の時に社長に迎えに来てほしい」という要望を出して、それを社長がOKして実現したりとか、ワイワイと楽しく決まってる感じがありますね。
──ファンが集まるコミュニティならではですね。
國光 はい。運営側もいろんなアイデアがありますが、ファンの目線で「こんなことができたら」というのはたくさんあると思うので。そういうアイデアをフラットにどんどん出してもらって、さらにその中から投票で決めていくという、まさに共創ですよね。「蓮鬼ねむ」もそういうコミュニティに持っていけたらと考えています。
──先ほど「歌」という話がチラッと出ていましたが、それはボカロとはまた違うんですよね?
三好 そうですね。今後の展開としては、まさにボカロ的なことも実現できたらとは思ってるんですよ。佐伯さん自身も歌を楽しく歌うのが得意なので、そこを生かさない手はないなと思っていまして。
──そこも見据えての、佐伯さんというキャスティングだったり……。
三好 まあ、そこもちょっと(笑)。
佐伯 ちょっとあるんですか?(笑)。
三好 将来的にはそこも重要になってくるかなと思いますので。
もしかしたら、そのために佐伯さんに何十曲も歌ってもらわないといけないかもしれないですけどね。
佐伯 そうなるんですね……(笑)。でも、楽しそうですね。せっかくなら、合成音声が歌うという形で作ってほしいですね。できる限りはやらせていただきます(笑)。
──これからも、いろいろと広がってきそうですね。
國光 ファンを巻き込んで一緒に作っていくというのが、日本的なエンターテインメントの形によく合うと思うんですよ。海外だと、ただ見て好きという人が多いのですが、そこから二次創作につなげていくというのは日本人的な楽しみ方なのかなと。これまでは、「そのコンテンツが好きだから」というだけでやっていたのが、トークンなどを絡めて、コンテンツを応援していくことが自分たちのメリットにもなるかもということになってくると、共創コミュニティというのがより盛り上がってくるかなと思っていまして。今回のプロジェクトではその部分を広げていきたいなと考えています。
──コミュニティが活発化して、利用者も増えてくると、キャラクターが活用される範囲も広がってくるということですね。
三好 まさしくそうですね。ファンの方が参加されて、コミュニティでの声が増えてくると、今後の展開もいろいろ出てくるかと思います。
──では佐伯さんは、この「蓮鬼ねむ」のキャラクターと声をどういう風に使ってもらいたいですか?
佐伯 私としては、「蓮鬼ねむ」を皆様に親しみやすいキャラクターとして作らせていただきました。誰にとっても使いやすいような土台を作らせていただいたのが私で、それを自分の好きなようにいじってもらって、そこからまたお好みの子にしていただくのはユーザーさんであって。そういったことをバンバンしてほしいというか、自分の好きなキャラクターに仕上げてほしいというのもありますね。それから、とにかくユーザーさん同士でたくさん盛り上がってほしいんですよね。ぜひともみんな仲良く楽しく「蓮鬼ねむ」ちゃんをいっぱい使ってほしいし、愛してほしいですね。この先、いろんな媒体で見られる機会があると思うので、ぜひとも皆様、たくさんこの子を使って、愛してあげてください! よろしくお願いします!
【「蓮鬼ねむ」 CoeAvatar(コエアバター)制作プロジェクト 概要】
・プロジェクトページURL:https://financie.jp/users/hasukinemu/cards
・実施期間:2022年2月14日(月)10:00~2022年3月14日(月)20:00 予定
【佐伯伊織 WEBSITE】
http://swallow-p.com/actor/va_saeki.html
【佐伯伊織 Twitter】
https://twitter.com/iori_saeki
國光宏尚
gumi
ファウンダー
Thirdverse
代表取締役 CEO / ファウンダー
フィナンシェ
代表取締役 CEO / ファウンダー
gumi cryptos capital Managing Partner
1974年生まれ。米国Santa Monica College卒業。 2004年5月 株式会社アットムービーに入社。同年に取締役に就任し、映画・テレビドラマ のプロデュース及び新規事業の立ち上げを担当。2007年6月 株式会社 gumiを設立し、代表取締役社長に就任。
2021年7月に同社を退任。2021年8月より株式会社 Thirdverse代表取締役 CEOおよび株式会社フィナンシェ代表取締役 CEOに就任。
【FiNANCiE】
https://financie.jp/
【コエステ株式会社】
https://coestation.jp/
【CoeAvatar(コエアバター)Twitter】
https://twitter.com/coeavatar_info
ファンの反応の多くは「よく分からないけど、楽しみ!」
──まず、「コエアバター」というプロジェクト全体の概要についてご説明いただけますか?
三好 コエステ社では、音声合成という任意のテキストを音声で読み上げる技術を扱っており、カーナビやスマートスピーカーなどでだいぶおなじみになってきていると思います。
この技術を用いた「コエステーション」という音声合成サービスを主にビジネスユーザー向けにこれまで展開しているのですが、「コエアバター」は、コンシューマー向けに音声合成を活用いただくための企画として、コエステ社初のオリジナルキャラクター「蓮鬼ねむ」を誕生させようというプロジェクトです。
合成音声がキャラクター性を持ち、かつ誰でも簡単に作成・編集できて、さらにその音声を保存して、YouTubeなどの動画コンテンツにも使えるというのが特徴ですね。
──その制作資金を集める手段として、FiNANCiE(フィナンシェ)という「トークン発行型クラウドファンディング・サービス」が加わるわけですね。
三好 そうですね。今回、その音声の部分を作成するのに、制作資金が必要になります。この資金を集めるだけでなく、FiNANCiEの特徴であるコミュニティ機能だとかトークン発行機能を使って、キャラクターを今後も運用していき、かつ人気も向上させていけるような仕組みを作っていければと思っております。
──FiNANCiEの内容について、もう少し詳しく教えていただけますか?
國光 我々は3年ちょっと前からこのサービスを始めさせていただいているのですが、FiNANCiEは「次世代型クラウドファンディング」です。今までのクラウドファンディングだと、「こういうことをやりたい」「こういうことを実現したい」ということでファンから資金を募る時に、リターン、返礼品を付けて募集するという形でした。FiNANCiEはその返礼品の代わりにトークン(ある特定のブロックチェーン上で有効な独自通貨のようなもの)やNFT(非代替性トークン。ネット上で『唯一無二』であることが証明されたトークン)を発行して資金を集めるという形になっています。このトークンやNFTは二次流通マーケットというところで売買されて、需給に応じて価格が上がったり下がったりしていくんですね。
──それは株式市場みたいなイメージなんでしょうか?
國光 株式や有価証券のように配当等があるわけではないですし、値上がりを期待して購入するようなものではないので、株式市場というイメージとは異なるかもしれません。例えば今回の「蓮鬼ねむ」で言うと、初期から応援してくれた方たちがいて資金が集まり、「蓮鬼ねむ」のイラストや合成音声データが公開されます。そのイラストや声のデータをいろんな二次創作に利用したりしていくことで、「蓮鬼ねむ」の人気がどんどん上がっていくと、「自分も参加したい」という人が増えてきて、トークンがほしいという人も増えてきますよね。そうすると、応援したいという気持ちで入った人たちの保有するトークンが、“結果的”に値上がりしてハッピーになれる可能性はありますね
──現在、どのような事例があるんでしょうか?
國光 現在はスポーツチームの導入例が増えてきています。サッカーの湘南ベルマーレさんとかアビスパ福岡さんをはじめとして、野球、アイスホッケー、卓球、ラグビーなど45チームがすでにトークンやNFTを発行しています。またエンターテインメントの分野では、堤幸彦さん、本広克行さん、佐藤祐市さんという3人の映画監督が指揮を執って、新たなエンターテインメントを創造しようというプロジェクトが動き出しています。今後はより多くのファンを巻き込みながら、ただ資金を集めるだけではなくて、コミュニティを作ってみんなで盛り上げていく、そして成功した暁には応援したみんながハッピーになれる、そんな形を志しているプラットフォームになります。
──そうしたプロジェクトの中で、今回は「蓮鬼ねむ」というキャラクターが誕生し、佐伯さんがその声を担当されるわけですよね。佐伯さんは声を使ったいろんなお仕事をされていますが、もちろんこういうオファーは……。
佐伯 初めてです!(笑) アニメとかゲームとかとはまた違ったジャンルで、自分の声がどういう形になっていくのかというのが、最初はよく分からなかったんですよ(笑)
──ですよね(笑)。このプロジェクトが発表された1月21日に、佐伯さんのツイッターでもお知らせが出ましたが、多くの人が「よく分からないけど、楽しみ」という感じでしたよね。実際、皆さんは「蓮鬼ねむ」の姿もまだシルエットでしか見ていなかったわけで。
佐伯 そうでしたね(笑)。あの状態でも「楽しみ」と言ってくれる方が多かったので、もっと詳細な情報が出たら、みんなもっと楽しめるだろうなと思いました。
──最初に「蓮鬼ねむ」のデザインを見た時にはどう思われましたか?
佐伯 最初に、ねむちゃんの衣装違いという感じのキャラクター案を6つぐらい見させていただいたんですね。デザイナーさんもすごくたくさんの衣装案を出されていたみたいで、制作自体がすごく力が入ってるなと思って(笑)。で、実は私は白髪で赤目というのがもともとすごく大好きで、しかもねむちゃんは片目が隠れてるんですよ! その全てが私の心をくすぐってくれました(笑)。
──刺さりましたか(笑)。
佐伯 ホントに刺さりました(笑)。すごく好きなビジュアルで、最初から大好きです(笑)。
──このキャラクターが完成するまでには、どのようなイメージの過程があったんでしょう?
三好 いろんなプランがあったんですよ。具体的に言うと「幼女系キャラクター」とか「エルフ系」「メイド系」なんかも候補にあったんですけど、その中で佐伯さんの声を聴いた時に、「これは鬼系キャラクターだな」というのがパッと頭に浮かびまして(笑)。
佐伯 すごい!(笑)
三好 そこから鬼系で固まって、デザイナーさんにもそれを伝えて出してもらっていったという感じですね。
佐伯 そんなに私のボイサン(ボイスサンプル)、気迫がありました? 「鬼や!」みたいな(笑)。
蓮鬼ねむの「声」ができる過程とは?
──そうやってキャラデザインが固まって、今度は声の方向性や肉付けを打ち合わせで決めていくわけですね。アニメの登場人物などではなく、単独のキャラクターという点で難しさはありましたか?
佐伯 確かにそこは違いますね。、最初にそこをしっかりとしておかないと、音声合成した時に余計にどっちつかずのキャラクターになっちゃいそうだなと思ったんです。だから、方向性の摺り合わせを色々しましたね。
──その方向性というのは?
佐伯 私がこの子をパッと見た時に思ったのは、声がわりと高めで、年齢だけいってて「~なのじゃ」とか言うタイプなのかなと思ったんですけど、実際はそういう感じでもなくて(笑)、最終的には快活で元気でよくしゃべる明るい感じにということで落ち着きました。普段、私たちがしゃべっている時に、不快感がないような年齢感というか、しゃべってて違和感を感じないような年齢感でいこうということになっています。
──國光さんは、そもそもコエアバターにはどのような印象をお持ちでしたか?
國光 僕らはgumiという会社でモバイルゲームを作る中で声優さんとお仕事させていただいたり、キズナアイさんなどのバーチャルユーチューバーとも関わりがあったので、こういう2次元のキャラクターがしゃべってコミュニケーションを取っていくというところに多くの人が熱狂する様子はすごく見てきました。しかも、ボカロみたいにファンの方たちが自分で作れるとなると、さらに熱狂が広がるだろうなと、最初にお聞きした時には思いましたね。
──では、NFTやFiNANCiEとの親和性は高いと思われたんでしょうか。
國光 そうですね。特にFiNANCiEの特徴として「ファンとの共創」というのを大きく掲げてるんですね。今までのクラウドファンディングでは、応援してもらって終わりという感じなんですが、FiNANCiEの仕組みだと、面白い動画を作った時に「いいね」を集めることができて、その際にトークンを使うことで、「いいコンテンツを作れば大きなリターンがある」という形にできるわけです。そうなると、ファン・エコノミーみたいなものがより大きく回っていくんじゃないかと考えています。
──これから、佐伯さんが「蓮鬼ねむ」の声のために作業されるのは、アニメのアフレコなどとは違って、「合成音声の材料を作る」という作業ですよね。それはサンプルの文章を読み上げるというものなのでしょうか?
三好 そうです。文章数としてはだいたい300~400ワードぐらいを読み上げていただくんですけど、他のサービスではこの数倍ぐらい必要だったりするんです。そこはコエステの技術が生かされているところかなと思います。
コエアバターが公開されたら、アプリ内で声の高さや抑揚、声色といった細かいパラメータを調整することができるんですよ。だからユーザーさんは自分なりの蓮鬼ねむの声を作れますし、いろんな使い方ができると思います。
佐伯 逆にそれができるから、こちらとしてはすごく悩みました。ユーザーさんがいくらでも自分の好きなように調整できてしまうので、最初からすごく個性的にすると、自由度が下がっちゃうのかなと思ったりもして。収録時にはそういうことも考える必要がありますね。
──必要なのは「素材」としての声なんだけど、個性もなければならない……なかなか難しそうですね。
三好 声優さんには難しいお願いだとは思います。
佐伯 難しいところはありますね・・・。、最終的には「自分に近いキャラクターで作っちゃえばいいか」と思いながら読んでしまいそうです(笑)。
三好 でも、おかげさまで非常にいい出来になりそうなので。ありがとうございます。
佐伯 それならよかったです(笑)。
──先ほど、ユーザーが好きなように調整できるという話がありましたが、声の主としてはそこはいかがですか?
佐伯 そのうち、私の声が出なくなったら代わりにやってもらおうかなって(笑)。それができるってことですもんね(笑)。
──それは、いろんな意味であってはいけない事態かと……(笑)。それにしても画期的ですよね。
三好 キャラクターもプラットフォームも、過去にないものになったと思っています。
蓮鬼ねむをいっぱい使ってほしいし、愛してほしい!
──蓮鬼ねむやコエアバターのこれからの展開については、何かプランはあるんでしょうか?
三好 僕の頭の中では、「Live2D」みたいに動かしていくとか、3Dモデルを作っていくみたいなところとか、歌声もやりたいとかは考えているんですが、その部分でFiNANCiEさんの共創コミュニティを一番活用できるかなと考えていまして、コミュニティで、トークンを持っているサポーターの方に「次はどんな展開がいいか」を議論してもらったり、意見を吸い上げることができるんですよ。サポーターの方々が次に何を望んでいるかというところでリアルな意見を聞いたりできるので、そこで一緒にキャラクターを作り上げていけたらと思っています。
國光 スポーツの方の事例では、トークンを使って投票ができたりするんですよ。「次のTシャツはどんなのがいいか」とか「来シーズンのユニフォームのデザインはどんな感じがいいか」とか、「ファン感謝祭のイベントで何をするか」とか、いろんなことをファンの投票で決めていこうという感じでやっているんです。誰かが「ファン感謝祭の時に社長に迎えに来てほしい」という要望を出して、それを社長がOKして実現したりとか、ワイワイと楽しく決まってる感じがありますね。
──ファンが集まるコミュニティならではですね。
國光 はい。運営側もいろんなアイデアがありますが、ファンの目線で「こんなことができたら」というのはたくさんあると思うので。そういうアイデアをフラットにどんどん出してもらって、さらにその中から投票で決めていくという、まさに共創ですよね。「蓮鬼ねむ」もそういうコミュニティに持っていけたらと考えています。
──先ほど「歌」という話がチラッと出ていましたが、それはボカロとはまた違うんですよね?
三好 そうですね。今後の展開としては、まさにボカロ的なことも実現できたらとは思ってるんですよ。佐伯さん自身も歌を楽しく歌うのが得意なので、そこを生かさない手はないなと思っていまして。
──そこも見据えての、佐伯さんというキャスティングだったり……。
三好 まあ、そこもちょっと(笑)。
佐伯 ちょっとあるんですか?(笑)。
三好 将来的にはそこも重要になってくるかなと思いますので。
もしかしたら、そのために佐伯さんに何十曲も歌ってもらわないといけないかもしれないですけどね。
佐伯 そうなるんですね……(笑)。でも、楽しそうですね。せっかくなら、合成音声が歌うという形で作ってほしいですね。できる限りはやらせていただきます(笑)。
──これからも、いろいろと広がってきそうですね。
國光 ファンを巻き込んで一緒に作っていくというのが、日本的なエンターテインメントの形によく合うと思うんですよ。海外だと、ただ見て好きという人が多いのですが、そこから二次創作につなげていくというのは日本人的な楽しみ方なのかなと。これまでは、「そのコンテンツが好きだから」というだけでやっていたのが、トークンなどを絡めて、コンテンツを応援していくことが自分たちのメリットにもなるかもということになってくると、共創コミュニティというのがより盛り上がってくるかなと思っていまして。今回のプロジェクトではその部分を広げていきたいなと考えています。
──コミュニティが活発化して、利用者も増えてくると、キャラクターが活用される範囲も広がってくるということですね。
三好 まさしくそうですね。ファンの方が参加されて、コミュニティでの声が増えてくると、今後の展開もいろいろ出てくるかと思います。
──では佐伯さんは、この「蓮鬼ねむ」のキャラクターと声をどういう風に使ってもらいたいですか?
佐伯 私としては、「蓮鬼ねむ」を皆様に親しみやすいキャラクターとして作らせていただきました。誰にとっても使いやすいような土台を作らせていただいたのが私で、それを自分の好きなようにいじってもらって、そこからまたお好みの子にしていただくのはユーザーさんであって。そういったことをバンバンしてほしいというか、自分の好きなキャラクターに仕上げてほしいというのもありますね。それから、とにかくユーザーさん同士でたくさん盛り上がってほしいんですよね。ぜひともみんな仲良く楽しく「蓮鬼ねむ」ちゃんをいっぱい使ってほしいし、愛してほしいですね。この先、いろんな媒体で見られる機会があると思うので、ぜひとも皆様、たくさんこの子を使って、愛してあげてください! よろしくお願いします!
【「蓮鬼ねむ」 CoeAvatar(コエアバター)制作プロジェクト 概要】
・プロジェクトページURL:https://financie.jp/users/hasukinemu/cards
・実施期間:2022年2月14日(月)10:00~2022年3月14日(月)20:00 予定
撮影 長谷英史
【佐伯伊織 WEBSITE】
http://swallow-p.com/actor/va_saeki.html
【佐伯伊織 Twitter】
https://twitter.com/iori_saeki
國光宏尚
gumi
ファウンダー
Thirdverse
代表取締役 CEO / ファウンダー
フィナンシェ
代表取締役 CEO / ファウンダー
gumi cryptos capital Managing Partner
1974年生まれ。米国Santa Monica College卒業。 2004年5月 株式会社アットムービーに入社。同年に取締役に就任し、映画・テレビドラマ のプロデュース及び新規事業の立ち上げを担当。2007年6月 株式会社 gumiを設立し、代表取締役社長に就任。
2021年7月に同社を退任。2021年8月より株式会社 Thirdverse代表取締役 CEOおよび株式会社フィナンシェ代表取締役 CEOに就任。
【FiNANCiE】
https://financie.jp/
【コエステ株式会社】
https://coestation.jp/
【CoeAvatar(コエアバター)Twitter】
https://twitter.com/coeavatar_info
- WRITTEN BY高崎計三
- 1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。