わーすたは止まらない! 5人で歌うラスト・ソングに懸けた想いとは
8月18日、わーすたのニューシングル「詠み人知らずの青春歌」が発売となります。今年6月、本年いっぱいでのわーすた卒業&芸能界引退を発表したメンバーの坂元葉月さんが参加する最後の楽曲で、6年間の5人の歴史を濃縮した、楽しいけれど切なさものぞかせる大人の青春ソング。しっとりとバラードを歌い上げた春から一転、わーすたらしい疾走感で、これまでのわーすたを振り返りながらも、これからも突き進んでいく意欲を感じさせてくれます。
そんな、やさしさと力強さが溢れるこの曲に込めた想いを、エモすぎるMVの撮影裏話や9月18日、20日に控える『わーすた LIVE TOUR 2021~君と僕の青春歌!~』の意気込みとともに、三品瑠香さん、小玉梨々華さん、松田美里さん、廣川奈々聖さん、坂元葉月さんの5人に聞きました。
「こんなにいい曲が最後って、幸せものだなって。本当に最高の締めくくり」(坂元)
──まず、「詠み人知らずの青春歌」は、5人体制での最後の曲になることを前提として出来た楽曲なのですよね?
一同 (頷く)
──そのことを含めて、メンバーの皆さんが最初にこの曲を受け取ったときの第一印象は?
坂元葉月(以下、坂元) まずこの曲を作るときに、スタッフさんから「どう言う曲がいい?」と歌いたい曲の案を聞いてもらえて、私は「疾走感のある、みんなで一緒に歌えるような曲」と伝えたのですが、自分が想像していた以上のすごいクオリティで。「こんなにいい曲が最後って、幸せものだな」って。本当に最高の締めくくりになると感じました。
廣川奈々聖(以下、廣川) メロディもめちゃくちゃいいなあって思いましたし、歌詞が「あれ? メンバーの誰かが書いたのかな?」って思うくらい、すごく自分たちの今の心境を語ってくれています。この歌詞に「感謝!」って思うくらい本当にすばらしいものをいただきました。
坂元 感謝! 歌詞ももちろん、インストで聞いているだけで「これ、ぜったい神曲じゃん!」て。懐かしい感じのある曲。レコーディングでみんなの声が入って完成したものを聴いて、もっと魅力たっぷりな楽曲になったので、これから大事にしていきたいと思っています。
三品瑠香(以下、三品) 「……いい曲きたなあ」って思いましたね……。毎回、まだ自分たちの声じゃない段階では「どういう風になるのかな」って思うけど実際入れてみるとやっぱりわーすたの曲になる。今回は歌い出しが葉月だったり、これまでのわーすたと雰囲気も違うし、(メンバーの)それぞれが、この曲に対しての思いをたくさん詰め込んで歌を録っているので、普段よりも気持ちが重たく詰まっていることが、もう、聴くだけでわかります。
廣川 レコーディングすることでわーすたの声の良さもすごく出ているし、いい色がついたよね。どこのパートを聞いていても、5人のベクトルとか、テンション感が同じ状態で歌えている。疾走感がある曲で、ラストサビもすごく勢いがあって、聴いていて気持ちいい。
松田美里(以下、松田) 私は個人的な好みで、わーすたが歌うエモーショナルな曲が大好きなんですけど、そういう曲って、結成当時はメンバー自身も子どもな部分があって、実際みんな学生だったので外見からして幼かったんですけど、どうしても「かわいい」っていう感じのほうが大きかったんです。それが歳を重ねるごとにそれぞれ違った良さのある顔が出来てきて、7年目にもなるとこんなにエモーショナルな表情をできるんだなって。歌い方も、ニュアンスを変えたり、声色を変えたり、葉月の今回のイントロの歌い方も、今までの葉月よりももっと、なんだろ……ワイパー……じゃなくて、
廣川 ウィスパーね(笑)
坂元 ワイパーっぽいか(笑)
松田 ウィスパー!(笑)。今回、葉月のウィスパーボイスっぽい感じはすごく新鮮で。エモーショナルな曲って、歌うたびに「こういう表現の仕方もできる!」みたいな発見があるから、そう言う意味でもすごく好みなんです。今回それが最大限に感じられて、うれしい。私としてはファンの方に対しても「そう言う曲、好きでしょ?」って思っているので(笑)。いっぱい聴いてどんどん好きになってほしいです。
小玉梨々華(以下、小玉) 私は初めて聴いたときに、やっぱりこう……、葉月のことや、わーすたのことっていうのがすごく浮かんで。ところどころ重なる歌詞だったりメロディの切なくてちょっと儚い感じが、曲として聴くというよりも、思い出に浸ってメンバーのことを想いながら聴くということに繋がりました。だから、“重なる” ということが一番最初の印象ですね。今のわーすたにすごく合っています。
──たしかに、わーすたの姿がそのままオーバーラップしてしまうような歌詞だと思うのですが、今回は園田健太郎(作詞)さんや岸田勇気(作曲・編曲)さんに、みなさんのアイデアを共有するような形で制作したのでしょうか?
廣川 私たちは楽曲制作には関わっていないのですが、岸田さんは音楽プロデューサーとして長く携わっていただいているので、リハーサルで何度もお会いして本当にいろんな話をしてきました。そうやって、長い間わーすたを見てきてくれた岸田さんと園田さんがたくさん相談して書いてくださった。だから、ちょうどいいクサさっていうんですかね(笑)、ちょっとロマンティックで、でも等身大で。すごく絶妙なバランスだなと。
松田 きっともっと、決心! 決意! アツい!みたいな夏曲になるのかと思っていたら、想像していたほど葉月の卒業に関して直接的な歌詞じゃなくて、(卒業については)ふわっとシルエットが見えるくらいの、すごく爽やかで、オシャレな曲だった。だから私としては、“5人にとっての” 大切な曲としてまず身体に入れて、そして歌詞の要所要所から、葉月の香りがする部分を嗅ぎとって、噛みしめて歌うようにしていました。5人が一緒にいる時間や好きな姿を思い出して楽しい記憶を思い出すなかに、たまに卒業のことがついてくるような感じというか……、
三品 5人での最後の作品になるので、ひとりひとりが5人の作品として詰め込んだ気持ちはありながらも、やっぱり、葉月を送り出すという意味での力強さ、“この後も堂々と進んでいきたい” という意気込みが感じてもらえたらいいな、という想いをこめています。
「青春が過ぎるのは速いんだってわかった今だからこそ、『迷ってる場合じゃない』って思える」(三品)
──「歌詞に感謝!」という言葉が出ましたが、お気に入りのフレーズはありますか?
廣川 出だしの葉月のフレーズには緊張感があると何度聞いても思うんですけど、“寝息”という言葉の通り、本当に息つぎがちょっと聴こえたり、息つぎの後の呼吸まで聴こえそうなくらい繊細で、みんながまだ寝静まっているような早朝の様子をすごく想像できる。「なんて素晴らしいレコーディングをしたんだろう」と思います。好きですね、ここは。
坂元 “朝靄に濡れてる 坂道でいつも息切らしてる”って、学生時代を思わせますよね。この仕事って、もちろん朝の早い現場もあるけれど時間はバラバラだし、わーすた一本でやり始めてからは、学生が部活の朝練でみんなが寝ている時間に出かけるというような経験はなくなっていたから、すごく懐かしさを感じて。「ここから青春が始まるんだな」と、わくわくしました。
小玉 私はラストサビが全部好きなんですけど、特に一番最後の“君が 僕が 笑って 歩いたこと”。メンバーと今まで一緒にがんばってきたこととか、この曲のジャケット写真のような風景がいっぱい思い浮かぶ大好きな歌詞です。
松田 “季節が背中押してる まだ行かなくちゃ”。日本には四季があって、絶対に季節が来ては去っていくから……。“賑やかしい蝉”や、“伸びる飛行機雲”のような、当たり前のものだったり、季節を連想させる言葉によって、次から次へと変わる季節に背中を押されていく。物理的に誰かに押してもらうんじゃなくて、自然なものに押されるって、好きだなと。優しいけれどちょっと強引さもあって。そこから、“行かなくちゃ”ってなるのも、“行くぞ!”じゃないんですよね。そういう言い回しに人間味があって……、
三品 うん。全体的に綺麗さと人間臭さがうまく出ているよね。そういう中で私は落ちサビの“迷ってられないや” が一番気持ちをこめて歌える。青春が過ぎるのは速いんだって分かった今だからこそ、「迷ってる場合じゃない」って思えるから。だから、ここはすごく大事に歌いました。
──過ぎるのが速い、という点では、「遮二無二 生きる!」(19年リリース)はMVの物語性も含めて、やはりわーすたのドキュメンタリー的な要素に溢れた青春ソングでした。あの青春から1年半ほど経った今、卒業も踏まえてこの曲を歌うにあたって、青春感はどう変わっていますか?
三品 わーすたというアイドルとして生きる私たちの青春を歌っていたのが『遮二無二 生きる!』だとすると、今回はそんなグループとしての“自分たち”と、ひとりの人間としての“自分”の境い目をなんとかうまく混ぜ合わせながら過ぎていく日常のすべてを歌っているというか……、
廣川 そう。遮二無二は現在進行形の青春で……、
三品 それを後から見ている。
坂元 青春をわーすたに捧げていた私が、今それを懐かしく思い出している。楽しい思い出の青春が過ぎて、プラスな面もあればマイナスな面も、みんなで一緒にがんばって乗り越えてきたという重みが増したのかな、「(いいことも悪いことも)いろいろあったね」って振り返っています。
「私たちのことを考えて葉月自身が選んだ言葉で登場できるっていうのは『“メンバー感”があっていいな』って」(小玉)
──公開されたMVは誰もが坂元さんご自身のわーすたとしての生き様を投影して見てしまい、涙なくしては見られない物語になっていますが、アドリブや実体験が元になったシーンもありますか?
小玉 つい最近、葉月から聞いて知ったんですけど、MVのなかで、ひとりずつメンバーが出てくる(作文での)メンバー紹介は、葉月が考えたんだって。
三品 え? そうなの?
松田 へー!知らなかった。
小玉 監督はじめスタッフのみなさんが考えてくださる演出もいいけど、私たちのことを考えて葉月自身が選んだ言葉で登場できるっていうのは“メンバー感”があっていいなって。そのことを聞いてから、このシーンがお気に入りになりました
松田 嬉しいね
廣川 実は私は、葉月と(荒船泰廣)監督が、「ここ、どうしよう?」って話し合っているところをたまたま聞いてたんです(笑)。「楽しそうに決めてるなー」って思って見ていましたが、結果、私は「頼れるリーダー奈々聖」って言ってもらっていますね。うん、本当にその通り!(笑)
坂元 自画自賛(笑)
松田 私は……
小玉 天心爛漫ね(笑)
松田 そうね(笑)。よく楽屋でふざけていると葉月から「おちゃる!」って呼ばれたりするんですよ。お猿さんみたいって。そういう呼び名も実は気に入っていたりするので、“天心爛漫”って葉月が考えてくれた言葉っぽい。今すぐもう一回見たくなってきました。
──メンバーの印象はばっちり的確だったと
坂元 もう、親目線ですね(笑)。
廣川 私は冒頭でこの2人(松田・小玉)がパソコンをいじって、オーディションがあるらしいと話すシーンがお気に入りなんです。セリフは監督が全部決めてくださっているのですが、今までずっとお世話になっている方なので、言い回しとかがメンバーが本当にいいそうなことで。特に瑠香とか……
三品 「それは受かんないわ」
廣川 それそれ(笑)。「めっちゃ瑠香じゃん(笑)」って。だから台本見た時点で絶対おもしろいMVになるって確信していて、撮影もそのままできて楽しかった。
三品 あの言い回しを過去にしたことがあるかな? 聞いてたかな? って思うくらい(笑)、全部みんなにありそうな言い方で切り取ってくれて。
──制作に携わるすべてのひとがわーすたを知り尽くした、愛に溢れた現場だったわけですね
一同 うんうん!
坂元 なんで知ってるの?ってことばっかりでした。
廣川 楽屋を撮られてたみたい(笑)。
──とくに冒頭は、ほとんどアドリブなのかとすら思えますね
坂元 基本的に台本通りに演じているのですが、オーディションに応募してるシーンだったり、そのための自己紹介動画をとっているシーンなどは、私もオーディションを受けてこの仕事を始めたことを思い出して懐かしい気持ちになりましたし、撮影中も「こうやって始まったんだなあ」って、振り返ることが多かった。なので言葉に出していなくても表情に、そういう想いが出ているんじゃないかな、と。途中で、メンバーそれぞれが携帯でオフショット的に撮りあった映像が入っていたりもして。
──みなさんの素顔が見られるのですね
坂元 はい。個人的には、瑠香がラムネを飲んでるシーン。ちょっとこぼすんですけど、その表情が「これは、わーすたの三品瑠香じゃなくて、ひとりのときの三品瑠香の表情だ!」と思ったんです。「これ、よく見るやつだ!」って。
三品 ハハハ
坂元 もちろんわーすたとしてキメてる表情も好きなんですけど、私が普段見ている素の表情がすごく好きなので、完成したMVでちゃんと使われてて嬉しいですね!あそこは是非ともみんなに見てほしい(笑)
「葉月は自分の得意なところを伸ばす努力もできるし、苦手なところを克服しようとする努力もできるひと。他人が見てないところでがんばっている背中をよく見てた」(松田)
──ずっと横に並んで頑張ってきたメンバーを、初めて後ろから引いた距離から見るシーンでは、みんなの背中は坂元さんの瞳にどんな風に映っていたでしょうか
坂元 先にひとりで撮影していて、ちょうどあのシーンからメンバーと一緒の撮影だったんです。あの瞬間「あ。私、卒業するんだ」ってすごい実感して。ちょっと寂しい気持ちがよぎったけど、まずあのシーンを撮ったことで「行ける」ってすごく思って。メンバーの良さがわかっているからこそ、みんなの後ろ姿を見て自信がもてたというか「大丈夫」と感じられた。撮っているときから気持ちの乗っていたシーンでもあります。
廣川 あのシーンて、私たち、葉月以外の4人はめっちゃ楽しんでただけなんだよね(笑)。MVだから声も使われないし、ずっと4人でケラケラ笑ってワーワーふざけて。場面としては振り向いて葉月を呼ぶというだけなので(笑)。だから私としてはあそこで卒業の実感を沸くというのはあんまりなくって。ただただ、撮っている時間は楽しかった。
松田 何テイクかあったから歌詞を歌ってみたりもしたし、楽しく歩いたね(笑)。メンバーの背中を見るという意味では、夜、家の外で葉月がひとりでダンスの練習しているところを4人で見ているのが私のMVの好きなシーンなんですけど、あれは今までの葉月そのもの。ひとりでダンスの練習を端っこでしていて、葉月は自分の得意なところ伸ばす努力もできるし、苦手なところを克服しようとする努力もできるひとなので、そういう、他人が見てないところでがんばっている背中をよく見ていたなって。ああいう私からみて“葉月らしい”姿を、MVを通じてファンの方にも見てもらえることに感動しますね。自分のなかの身近な葉月って、あれだから。じーんときました
廣川 MVの撮影は卒業を発表した数日後だったんですけど、それが自分のなかではよかったなって。ファンの方に隠しごともなくなって、すっきりした気持ちで臨めたことでちゃんとこれからの自分たちと向き合えるキッカケにもなりました
──ちょっと横道にそれますが、“青春歌”と書いて“ラブソング”と読ませる表題にちなんで、みなさんには、青春(と書いてラブ)なエピソードはありますか?
一同 (動揺して)えええッ!
松田 私には生まれたときから一緒っていう親友たちがいて。ネクラな小学生時代から中学デビューしてっていう、ちょっとした黒歴史(笑)も、全部見た上で今でも仲良くしてくれて、人生救われてるなって思うくらい。その"いつメン"たちと連絡を取り合ったり、就職などで上京してきた子と会うたびに愛情が芽生えるんですよ。それは青春を捧げたと言っているわーすたとしての今までに対しても同じで、青春時代を一緒に過ごしてる人ってめちゃくちゃ尊い。だから、そういう時代を共に過ごしてきたすべての人に対して最大のラブですね
──わーすたに捧げたことでできなかった青春像に対するあこがれも?
小玉 いっぱいある……(笑)
三品 夏、外でキャッキャしてる学生見ると、「いいなぁ……」って思いますよね
松田 制服着てアイス食べて、「暑っちー!」って言いたいなあ
廣川 友だちと夏休みの宿題とかしたい
坂元 あー、みんなで宿題、やりたい!
廣川 MVを撮影したのが民家だったので、こういうところで勉強するのに憧れます。田舎もいいなって。あと自転車に二人乗りしたい(笑)。
松田 実は何も青春ぽいことはやってないよね(笑)。私は少女漫画を読みすぎて、いっぱいあるんですけど、片思いのひとを花火大会に誘う、とかしてみたかったんですよねー!
廣川 花火大会いいね!
小玉 学校の中から花火見る、みたいな……
一同 わぁぁ!
三品 後夜祭を、教室から見てるとか
松田 わかるわかる! 後夜祭めっちゃイイ!
三品 もう少女漫画の話題でしかないね(笑)
廣川 キャンプファイヤーを囲んで踊る、とかあるよね?
三品 それを教室から見るのよ!
廣川 あ、それを見るんだ(笑)
松田 そしたら、もう一人来るのよ!
坂元・小玉 ああ(笑)
廣川 え?どういうこと?(笑)一人でいたら二人になるってこと?
三品 そう、それで二人で見るんだよね。……好きなシチュエーション大会だな(笑)
松田 うん。そこにジンクスがあったりすると、尚良い!……そういうのに触れてこなかったので、憧ればかりが募ってて(笑)
──得られなかった青春へ馳せる想いも楽曲やMVのなかにこもっているわけですね
廣川 はい、その分きらきらしちゃってます!(笑)
──わーすたは今年すでに大きな有観客ライブも成功させていますが、リリースイベントとなると2020年3月の『わーすたBEST』以来となります。やはり久しぶりのリリイベは違う新鮮さがありますか?
松田 緊張しちゃう。1年以上ずっと(できていなかったこと)だから
三品 “リリースしてる感” が出るよね。
小玉 うん
三品 (コロナ禍でライブができない間は)オンライン特典会とかはやっていたんですけど、それまではリリースといえば怒涛のリリースイベントだったので、なかなかリリースしても歌えなかった状況が多かったから、また久しぶりにみんなの前で新曲を披露する機会が増えるのは嬉しいですね。
松田 ワンマンライブを大きい会場でやらせていただいたり、オンラインライブも多くなっていた分、近い距離のライブでは緊張して、レスの回数が減ったり、耐性がなくなっていないかと自分に対して思っていて。久々に新曲を目の前で披露するので、ファンのみんなによろこんでもらえることを、レスや目線が合うことを感じられたらなと。
廣川 今回、MVを先行公開して、「すごくいいね」って言ってもらえていて、もうすでにみんなのなかにイメージが出来上がっていると思うので、そのいいイメージのままライブできるかのプレッシャーはすごくあります。世界観がしっかりある曲ですし、振り入れしてからも結構時間が経っているので、いい形で届けられるようにしっかりパフォーマンスしたいと思います
──そんな久しぶりの場で披露する新曲の歌い出しは初めて坂元さんが務めます
坂元 今まで歌い出しを歌うことがなかったので、それを人前で披露するって、すごく緊張してて……。でもMVをみんながいいって言ってくれているからこそ、この曲に改めて自信がもてたので、精一杯頑張りたいと思います。今回のMVがドラマ仕立てでダンスシーンがたくさん入っているわけじゃないので、ライブで初めて全編の振付けをみてもらえるのも楽しみにしています
──アルバムをめくりながら思い出を拾い集めるようであったり、秒針のように刻々と時間が流れるような楽曲の内容とシンクロしたとても印象的な振付でした。
坂元 はい!最初から最後まで素敵な振付がめちゃくちゃ詰まっています。フォーメーションもすごい綺麗なので、それを生で見てもらえるっていうのはすごくうれしいです。
──ところで、ライブでの表現方法やその手ごたえはコロナ禍で変化しましたか?
廣川 無観客ライブなどを後から映像で見ても、やっぱりお客さんがいるときのほうがテンション感が上を行っているな、とは正直思いますね。無観客でも自分たち自身としてはクオリティを保てていると思うんですけど。
──まだまだ有観客のイベントは開催も流動的。開催できてもお客さんは感染拡大防止のための制限が多い状況です
三品 そうですね。以前は“ライブ感”を大事にしていたからこそ、近い距離で声ありきのライブづくりをしていたけれど、今は声が出せなかったり、みんなの表情がはっきり見えなかったりしてしまう。ただ、やってみるとそれでも会場の一体感みたいなものは意外と感じられるんだなと思ったんです。以前のように声を出すことだけが盛り上がるってことではないんだなって。だから、そのための見せ方を慎重に考えるようになったというか、つくり方がちょっと変わっている感じですね。
小玉 もともと毎回のセットリストは対バンであっても私たちメンバー5人だけで決めてきているので、基本的にどういう曲を見せたいかや、どういうお客さんがいるかも色々考えてきています。もちろんワンマンライブになるとそこにかける思いや見せたいもので、よりいっそう、曲選びや、その幅に対しては慎重になるんですけど。だからこういう状況になってからの構成についても毎回メンバーの意見がライブにしっかり反映されています。
廣川 うん。その上で、お客さんの感想を参考にしていますので、反応がよければ自信につながりますね。あと写真OKにしているので、それを見ながら一緒に添えてある感想を読むことで「いいライブができてよかった!」と思えますね。
「現状維持より『まだまだこの5人で上にいくぞ!』って気持ちで頑張りたい」(廣川)
──今後、9月18日、20日にツアー(『わーすた LIVE TOUR 2021~君と僕の青春歌!~』)も控えていますが、「季節は背中を押す」という歌詞にメンバーのみなさんも言及されている通り、坂元さんの卒業が決まってからそれをメンバー全員で受け止め、発表し、ついに5人体制での最後の曲をリリースしました。これから迎えるラストスパートに向けて、今の想いは?
小玉 (発表前を振り返って)卒業についての葉月の気持ちを聞いた時、すぐにその場で話し合うようなことはせず、みんながいったん持ち帰ったんです。その間に気持ちに整理をつけたり、それぞれがスタッフさんと話したりして、メンバーとも自分とも向き合う時間はあったので、今後のやりたいこと、グループとしてどうしていきたいかまで、ちゃんと発表するまでの期間までに考えられたのは私的にはすごく大きくて。不安な状態とか、「この先どうしよう」という気持ちのままの卒業発表じゃなく、ちゃんと「来年以降は4人でがんばっていこう」という意志も固まった上で発表できたので、卒業に対しても、その先についても気持ちを整理して言えたのがよかった。
廣川 うん。それから、私たちメンバーの思いとして、なるべく早く5人での活動が年内いっぱいになることを伝えたいよね、と。それをできたことがまず第一に「よかった」と思っています。「これからの5人もずっと応援するね!」とファンの方が声をかけてくれているのに葉月は卒業するという事実があって、発表するまでに秘密を隠して活動しているような時期が少しあったんです。私はその時期が苦しかったので、逆に発表したことでファンに何も嘘をつくこともなくなった。自分のなかですごくスッキリした。今はまだ気持ちの整理ができていなかったり、前をむけていないファンの方がいっぱいいるのもすごくわかっているので、こういう楽曲をリリースすることで、あんまり5人の活動でのカウントダウンを示しすぎるのも、「つらい気持ちになっちゃうのかも?」とも思うんですけど……。
三品 準備できてないのは、私たちもまだ拭いきれないので(笑)。
一同 (笑)
三品 そういう部分はあるけど、その先もしっかり私たちは自分たちの足で進んでいきたいと決意しながら、今こうして進めていっている。だからちゃんと4人になっても見てみていたいと思ってもらえるように、5人でできるうちに、しっかりとひとりひとりパワーもつけて、ちゃんと葉月にも安心して見ていてもらえるようにしたい。
廣川 私たちが進んできた歩みを止めることなく、わーすたらしく、これから残された時間や、ライブなど、全部、1回1回を大切にして進んでいきたい。葉月も思ってくれてると思うけど現状維持っていうより、まだまだこの5人で上にいくぞ!っていう気持ちで頑張りたい!
坂元 うん。5人だから出せるパワーもあるし、そこが好きって言ってくださるファンの方がたくさんいるから、奈々聖が言ってくれたように、最後までみんな100%の力で1個1個がんばっていきたいです。「爪痕を残したい」というか(笑)。結果を残したい!この5人が好きで、このまま続いてほしいって思ってくださっている方もいると思うんですけど、このままじゃなくてギリギリまで全力でがんばって、そこに私も貢献したい。5人で行ける最大限の上まで行きたいなっていう気持ちがすごくある。ファンのみんなはまだ気持ちの整理とかついてないと思うけど、最後まで全力疾走で駆け抜けて、私たちについてきてもらえたら嬉しいです。
廣川 この「詠み人知らずの青春歌」が気持ちを代弁してくれるから心が軽くなっている部分もあるかなって思いますし、私たちだけの問題っていうよりも、ファンの皆さんが支えていてくれたおかげで今の私たちがいるから、寂しさとかも全部、みんなで分かちあっていけるからこそ軽くできる。だから「もう楽しむしかないよね!」っていう気持ちでいます。
──では、最後に坂元さんが悔いなく5人での最大の高みを目指すために、メンバー4人にもっとがんばってもらいたいことがあればこの機会に伝えてください!
坂元 えええっ!何かあるかな……、私が言えることがあるかわからないですけど……
廣川 そこは厳しく(笑)。
坂元 ……うん。早め早めの行動を心がけてください(笑)。
三品・松田 すみません!
廣川 本当にすみません!
三品 葉月は“15分前行動”ができるんですけど、私たちは、ぴったりを目標に……、ぴったりできればいいほうで(笑)
廣川 そうだね、4人になった時に、梨々華ぐらいしか余裕をもった行動ができるひとがいなくなっちゃうから……。
小玉 (真顔で)1対3はきついです。
坂元 待ち時間長めになっちゃうからね……。
廣川 (この言葉は)重く響きました!
詠み人知らずの青春歌
2021.8.18 ON SALE
『わーすた LIVE TOUR 2021~君と僕の青春歌!~』
■東京公演
9月18日(土) 1部 開場11:30 / 開演12:30 2部 開場15:30 / 開演16:30 会場:東京・Zepp DiverCity TOKYO
お問い合わせ:キョードー東京 0570-550-799(平日11:00~18:00 / 土日祝10:00~18:00)
■大阪公演
9月20日(月祝) 1部 開場13:30 / 開演14:30 2部 開場17:30 / 開演18:30 会場:大阪・Zepp Namba お問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(平日・土曜 11:00~16:00)
■チケット料金 全席指定 7,800(税込)
【全席指定 詳細】・枚数制限:お一人様2枚まで・別途ドリンク代必要
【わーすた オフィシャルウェブサイト】
https://wa-suta.world/
【わーすた Twitter】
https://twitter.com/tws_staff
【わーすた Instagram】
https://www.instagram.com/wasuta.world/
【わーすた Facebook】
https://www.facebook.com/tws.wasuta/
【わーすた YouTubeChannel】
https://www.youtube.com/channel/UCpz1sUYoIaAwRU5iPJtlHeg
そんな、やさしさと力強さが溢れるこの曲に込めた想いを、エモすぎるMVの撮影裏話や9月18日、20日に控える『わーすた LIVE TOUR 2021~君と僕の青春歌!~』の意気込みとともに、三品瑠香さん、小玉梨々華さん、松田美里さん、廣川奈々聖さん、坂元葉月さんの5人に聞きました。
「こんなにいい曲が最後って、幸せものだなって。本当に最高の締めくくり」(坂元)
──まず、「詠み人知らずの青春歌」は、5人体制での最後の曲になることを前提として出来た楽曲なのですよね?
一同 (頷く)
──そのことを含めて、メンバーの皆さんが最初にこの曲を受け取ったときの第一印象は?
坂元葉月(以下、坂元) まずこの曲を作るときに、スタッフさんから「どう言う曲がいい?」と歌いたい曲の案を聞いてもらえて、私は「疾走感のある、みんなで一緒に歌えるような曲」と伝えたのですが、自分が想像していた以上のすごいクオリティで。「こんなにいい曲が最後って、幸せものだな」って。本当に最高の締めくくりになると感じました。
廣川奈々聖(以下、廣川) メロディもめちゃくちゃいいなあって思いましたし、歌詞が「あれ? メンバーの誰かが書いたのかな?」って思うくらい、すごく自分たちの今の心境を語ってくれています。この歌詞に「感謝!」って思うくらい本当にすばらしいものをいただきました。
坂元 感謝! 歌詞ももちろん、インストで聞いているだけで「これ、ぜったい神曲じゃん!」て。懐かしい感じのある曲。レコーディングでみんなの声が入って完成したものを聴いて、もっと魅力たっぷりな楽曲になったので、これから大事にしていきたいと思っています。
三品瑠香(以下、三品) 「……いい曲きたなあ」って思いましたね……。毎回、まだ自分たちの声じゃない段階では「どういう風になるのかな」って思うけど実際入れてみるとやっぱりわーすたの曲になる。今回は歌い出しが葉月だったり、これまでのわーすたと雰囲気も違うし、(メンバーの)それぞれが、この曲に対しての思いをたくさん詰め込んで歌を録っているので、普段よりも気持ちが重たく詰まっていることが、もう、聴くだけでわかります。
廣川 レコーディングすることでわーすたの声の良さもすごく出ているし、いい色がついたよね。どこのパートを聞いていても、5人のベクトルとか、テンション感が同じ状態で歌えている。疾走感がある曲で、ラストサビもすごく勢いがあって、聴いていて気持ちいい。
松田美里(以下、松田) 私は個人的な好みで、わーすたが歌うエモーショナルな曲が大好きなんですけど、そういう曲って、結成当時はメンバー自身も子どもな部分があって、実際みんな学生だったので外見からして幼かったんですけど、どうしても「かわいい」っていう感じのほうが大きかったんです。それが歳を重ねるごとにそれぞれ違った良さのある顔が出来てきて、7年目にもなるとこんなにエモーショナルな表情をできるんだなって。歌い方も、ニュアンスを変えたり、声色を変えたり、葉月の今回のイントロの歌い方も、今までの葉月よりももっと、なんだろ……ワイパー……じゃなくて、
廣川 ウィスパーね(笑)
坂元 ワイパーっぽいか(笑)
松田 ウィスパー!(笑)。今回、葉月のウィスパーボイスっぽい感じはすごく新鮮で。エモーショナルな曲って、歌うたびに「こういう表現の仕方もできる!」みたいな発見があるから、そう言う意味でもすごく好みなんです。今回それが最大限に感じられて、うれしい。私としてはファンの方に対しても「そう言う曲、好きでしょ?」って思っているので(笑)。いっぱい聴いてどんどん好きになってほしいです。
小玉梨々華(以下、小玉) 私は初めて聴いたときに、やっぱりこう……、葉月のことや、わーすたのことっていうのがすごく浮かんで。ところどころ重なる歌詞だったりメロディの切なくてちょっと儚い感じが、曲として聴くというよりも、思い出に浸ってメンバーのことを想いながら聴くということに繋がりました。だから、“重なる” ということが一番最初の印象ですね。今のわーすたにすごく合っています。
──たしかに、わーすたの姿がそのままオーバーラップしてしまうような歌詞だと思うのですが、今回は園田健太郎(作詞)さんや岸田勇気(作曲・編曲)さんに、みなさんのアイデアを共有するような形で制作したのでしょうか?
廣川 私たちは楽曲制作には関わっていないのですが、岸田さんは音楽プロデューサーとして長く携わっていただいているので、リハーサルで何度もお会いして本当にいろんな話をしてきました。そうやって、長い間わーすたを見てきてくれた岸田さんと園田さんがたくさん相談して書いてくださった。だから、ちょうどいいクサさっていうんですかね(笑)、ちょっとロマンティックで、でも等身大で。すごく絶妙なバランスだなと。
松田 きっともっと、決心! 決意! アツい!みたいな夏曲になるのかと思っていたら、想像していたほど葉月の卒業に関して直接的な歌詞じゃなくて、(卒業については)ふわっとシルエットが見えるくらいの、すごく爽やかで、オシャレな曲だった。だから私としては、“5人にとっての” 大切な曲としてまず身体に入れて、そして歌詞の要所要所から、葉月の香りがする部分を嗅ぎとって、噛みしめて歌うようにしていました。5人が一緒にいる時間や好きな姿を思い出して楽しい記憶を思い出すなかに、たまに卒業のことがついてくるような感じというか……、
三品 5人での最後の作品になるので、ひとりひとりが5人の作品として詰め込んだ気持ちはありながらも、やっぱり、葉月を送り出すという意味での力強さ、“この後も堂々と進んでいきたい” という意気込みが感じてもらえたらいいな、という想いをこめています。
「青春が過ぎるのは速いんだってわかった今だからこそ、『迷ってる場合じゃない』って思える」(三品)
──「歌詞に感謝!」という言葉が出ましたが、お気に入りのフレーズはありますか?
廣川 出だしの葉月のフレーズには緊張感があると何度聞いても思うんですけど、“寝息”という言葉の通り、本当に息つぎがちょっと聴こえたり、息つぎの後の呼吸まで聴こえそうなくらい繊細で、みんながまだ寝静まっているような早朝の様子をすごく想像できる。「なんて素晴らしいレコーディングをしたんだろう」と思います。好きですね、ここは。
坂元 “朝靄に濡れてる 坂道でいつも息切らしてる”って、学生時代を思わせますよね。この仕事って、もちろん朝の早い現場もあるけれど時間はバラバラだし、わーすた一本でやり始めてからは、学生が部活の朝練でみんなが寝ている時間に出かけるというような経験はなくなっていたから、すごく懐かしさを感じて。「ここから青春が始まるんだな」と、わくわくしました。
小玉 私はラストサビが全部好きなんですけど、特に一番最後の“君が 僕が 笑って 歩いたこと”。メンバーと今まで一緒にがんばってきたこととか、この曲のジャケット写真のような風景がいっぱい思い浮かぶ大好きな歌詞です。
松田 “季節が背中押してる まだ行かなくちゃ”。日本には四季があって、絶対に季節が来ては去っていくから……。“賑やかしい蝉”や、“伸びる飛行機雲”のような、当たり前のものだったり、季節を連想させる言葉によって、次から次へと変わる季節に背中を押されていく。物理的に誰かに押してもらうんじゃなくて、自然なものに押されるって、好きだなと。優しいけれどちょっと強引さもあって。そこから、“行かなくちゃ”ってなるのも、“行くぞ!”じゃないんですよね。そういう言い回しに人間味があって……、
三品 うん。全体的に綺麗さと人間臭さがうまく出ているよね。そういう中で私は落ちサビの“迷ってられないや” が一番気持ちをこめて歌える。青春が過ぎるのは速いんだって分かった今だからこそ、「迷ってる場合じゃない」って思えるから。だから、ここはすごく大事に歌いました。
──過ぎるのが速い、という点では、「遮二無二 生きる!」(19年リリース)はMVの物語性も含めて、やはりわーすたのドキュメンタリー的な要素に溢れた青春ソングでした。あの青春から1年半ほど経った今、卒業も踏まえてこの曲を歌うにあたって、青春感はどう変わっていますか?
三品 わーすたというアイドルとして生きる私たちの青春を歌っていたのが『遮二無二 生きる!』だとすると、今回はそんなグループとしての“自分たち”と、ひとりの人間としての“自分”の境い目をなんとかうまく混ぜ合わせながら過ぎていく日常のすべてを歌っているというか……、
廣川 そう。遮二無二は現在進行形の青春で……、
三品 それを後から見ている。
坂元 青春をわーすたに捧げていた私が、今それを懐かしく思い出している。楽しい思い出の青春が過ぎて、プラスな面もあればマイナスな面も、みんなで一緒にがんばって乗り越えてきたという重みが増したのかな、「(いいことも悪いことも)いろいろあったね」って振り返っています。
「私たちのことを考えて葉月自身が選んだ言葉で登場できるっていうのは『“メンバー感”があっていいな』って」(小玉)
──公開されたMVは誰もが坂元さんご自身のわーすたとしての生き様を投影して見てしまい、涙なくしては見られない物語になっていますが、アドリブや実体験が元になったシーンもありますか?
小玉 つい最近、葉月から聞いて知ったんですけど、MVのなかで、ひとりずつメンバーが出てくる(作文での)メンバー紹介は、葉月が考えたんだって。
三品 え? そうなの?
松田 へー!知らなかった。
小玉 監督はじめスタッフのみなさんが考えてくださる演出もいいけど、私たちのことを考えて葉月自身が選んだ言葉で登場できるっていうのは“メンバー感”があっていいなって。そのことを聞いてから、このシーンがお気に入りになりました
松田 嬉しいね
廣川 実は私は、葉月と(荒船泰廣)監督が、「ここ、どうしよう?」って話し合っているところをたまたま聞いてたんです(笑)。「楽しそうに決めてるなー」って思って見ていましたが、結果、私は「頼れるリーダー奈々聖」って言ってもらっていますね。うん、本当にその通り!(笑)
坂元 自画自賛(笑)
松田 私は……
小玉 天心爛漫ね(笑)
松田 そうね(笑)。よく楽屋でふざけていると葉月から「おちゃる!」って呼ばれたりするんですよ。お猿さんみたいって。そういう呼び名も実は気に入っていたりするので、“天心爛漫”って葉月が考えてくれた言葉っぽい。今すぐもう一回見たくなってきました。
──メンバーの印象はばっちり的確だったと
坂元 もう、親目線ですね(笑)。
廣川 私は冒頭でこの2人(松田・小玉)がパソコンをいじって、オーディションがあるらしいと話すシーンがお気に入りなんです。セリフは監督が全部決めてくださっているのですが、今までずっとお世話になっている方なので、言い回しとかがメンバーが本当にいいそうなことで。特に瑠香とか……
三品 「それは受かんないわ」
廣川 それそれ(笑)。「めっちゃ瑠香じゃん(笑)」って。だから台本見た時点で絶対おもしろいMVになるって確信していて、撮影もそのままできて楽しかった。
三品 あの言い回しを過去にしたことがあるかな? 聞いてたかな? って思うくらい(笑)、全部みんなにありそうな言い方で切り取ってくれて。
──制作に携わるすべてのひとがわーすたを知り尽くした、愛に溢れた現場だったわけですね
一同 うんうん!
坂元 なんで知ってるの?ってことばっかりでした。
廣川 楽屋を撮られてたみたい(笑)。
──とくに冒頭は、ほとんどアドリブなのかとすら思えますね
坂元 基本的に台本通りに演じているのですが、オーディションに応募してるシーンだったり、そのための自己紹介動画をとっているシーンなどは、私もオーディションを受けてこの仕事を始めたことを思い出して懐かしい気持ちになりましたし、撮影中も「こうやって始まったんだなあ」って、振り返ることが多かった。なので言葉に出していなくても表情に、そういう想いが出ているんじゃないかな、と。途中で、メンバーそれぞれが携帯でオフショット的に撮りあった映像が入っていたりもして。
──みなさんの素顔が見られるのですね
坂元 はい。個人的には、瑠香がラムネを飲んでるシーン。ちょっとこぼすんですけど、その表情が「これは、わーすたの三品瑠香じゃなくて、ひとりのときの三品瑠香の表情だ!」と思ったんです。「これ、よく見るやつだ!」って。
三品 ハハハ
坂元 もちろんわーすたとしてキメてる表情も好きなんですけど、私が普段見ている素の表情がすごく好きなので、完成したMVでちゃんと使われてて嬉しいですね!あそこは是非ともみんなに見てほしい(笑)
「葉月は自分の得意なところを伸ばす努力もできるし、苦手なところを克服しようとする努力もできるひと。他人が見てないところでがんばっている背中をよく見てた」(松田)
──ずっと横に並んで頑張ってきたメンバーを、初めて後ろから引いた距離から見るシーンでは、みんなの背中は坂元さんの瞳にどんな風に映っていたでしょうか
坂元 先にひとりで撮影していて、ちょうどあのシーンからメンバーと一緒の撮影だったんです。あの瞬間「あ。私、卒業するんだ」ってすごい実感して。ちょっと寂しい気持ちがよぎったけど、まずあのシーンを撮ったことで「行ける」ってすごく思って。メンバーの良さがわかっているからこそ、みんなの後ろ姿を見て自信がもてたというか「大丈夫」と感じられた。撮っているときから気持ちの乗っていたシーンでもあります。
廣川 あのシーンて、私たち、葉月以外の4人はめっちゃ楽しんでただけなんだよね(笑)。MVだから声も使われないし、ずっと4人でケラケラ笑ってワーワーふざけて。場面としては振り向いて葉月を呼ぶというだけなので(笑)。だから私としてはあそこで卒業の実感を沸くというのはあんまりなくって。ただただ、撮っている時間は楽しかった。
松田 何テイクかあったから歌詞を歌ってみたりもしたし、楽しく歩いたね(笑)。メンバーの背中を見るという意味では、夜、家の外で葉月がひとりでダンスの練習しているところを4人で見ているのが私のMVの好きなシーンなんですけど、あれは今までの葉月そのもの。ひとりでダンスの練習を端っこでしていて、葉月は自分の得意なところ伸ばす努力もできるし、苦手なところを克服しようとする努力もできるひとなので、そういう、他人が見てないところでがんばっている背中をよく見ていたなって。ああいう私からみて“葉月らしい”姿を、MVを通じてファンの方にも見てもらえることに感動しますね。自分のなかの身近な葉月って、あれだから。じーんときました
廣川 MVの撮影は卒業を発表した数日後だったんですけど、それが自分のなかではよかったなって。ファンの方に隠しごともなくなって、すっきりした気持ちで臨めたことでちゃんとこれからの自分たちと向き合えるキッカケにもなりました
──ちょっと横道にそれますが、“青春歌”と書いて“ラブソング”と読ませる表題にちなんで、みなさんには、青春(と書いてラブ)なエピソードはありますか?
一同 (動揺して)えええッ!
松田 私には生まれたときから一緒っていう親友たちがいて。ネクラな小学生時代から中学デビューしてっていう、ちょっとした黒歴史(笑)も、全部見た上で今でも仲良くしてくれて、人生救われてるなって思うくらい。その"いつメン"たちと連絡を取り合ったり、就職などで上京してきた子と会うたびに愛情が芽生えるんですよ。それは青春を捧げたと言っているわーすたとしての今までに対しても同じで、青春時代を一緒に過ごしてる人ってめちゃくちゃ尊い。だから、そういう時代を共に過ごしてきたすべての人に対して最大のラブですね
──わーすたに捧げたことでできなかった青春像に対するあこがれも?
小玉 いっぱいある……(笑)
三品 夏、外でキャッキャしてる学生見ると、「いいなぁ……」って思いますよね
松田 制服着てアイス食べて、「暑っちー!」って言いたいなあ
廣川 友だちと夏休みの宿題とかしたい
坂元 あー、みんなで宿題、やりたい!
廣川 MVを撮影したのが民家だったので、こういうところで勉強するのに憧れます。田舎もいいなって。あと自転車に二人乗りしたい(笑)。
松田 実は何も青春ぽいことはやってないよね(笑)。私は少女漫画を読みすぎて、いっぱいあるんですけど、片思いのひとを花火大会に誘う、とかしてみたかったんですよねー!
廣川 花火大会いいね!
小玉 学校の中から花火見る、みたいな……
一同 わぁぁ!
三品 後夜祭を、教室から見てるとか
松田 わかるわかる! 後夜祭めっちゃイイ!
三品 もう少女漫画の話題でしかないね(笑)
廣川 キャンプファイヤーを囲んで踊る、とかあるよね?
三品 それを教室から見るのよ!
廣川 あ、それを見るんだ(笑)
松田 そしたら、もう一人来るのよ!
坂元・小玉 ああ(笑)
廣川 え?どういうこと?(笑)一人でいたら二人になるってこと?
三品 そう、それで二人で見るんだよね。……好きなシチュエーション大会だな(笑)
松田 うん。そこにジンクスがあったりすると、尚良い!……そういうのに触れてこなかったので、憧ればかりが募ってて(笑)
──得られなかった青春へ馳せる想いも楽曲やMVのなかにこもっているわけですね
廣川 はい、その分きらきらしちゃってます!(笑)
──わーすたは今年すでに大きな有観客ライブも成功させていますが、リリースイベントとなると2020年3月の『わーすたBEST』以来となります。やはり久しぶりのリリイベは違う新鮮さがありますか?
松田 緊張しちゃう。1年以上ずっと(できていなかったこと)だから
三品 “リリースしてる感” が出るよね。
小玉 うん
三品 (コロナ禍でライブができない間は)オンライン特典会とかはやっていたんですけど、それまではリリースといえば怒涛のリリースイベントだったので、なかなかリリースしても歌えなかった状況が多かったから、また久しぶりにみんなの前で新曲を披露する機会が増えるのは嬉しいですね。
松田 ワンマンライブを大きい会場でやらせていただいたり、オンラインライブも多くなっていた分、近い距離のライブでは緊張して、レスの回数が減ったり、耐性がなくなっていないかと自分に対して思っていて。久々に新曲を目の前で披露するので、ファンのみんなによろこんでもらえることを、レスや目線が合うことを感じられたらなと。
廣川 今回、MVを先行公開して、「すごくいいね」って言ってもらえていて、もうすでにみんなのなかにイメージが出来上がっていると思うので、そのいいイメージのままライブできるかのプレッシャーはすごくあります。世界観がしっかりある曲ですし、振り入れしてからも結構時間が経っているので、いい形で届けられるようにしっかりパフォーマンスしたいと思います
──そんな久しぶりの場で披露する新曲の歌い出しは初めて坂元さんが務めます
坂元 今まで歌い出しを歌うことがなかったので、それを人前で披露するって、すごく緊張してて……。でもMVをみんながいいって言ってくれているからこそ、この曲に改めて自信がもてたので、精一杯頑張りたいと思います。今回のMVがドラマ仕立てでダンスシーンがたくさん入っているわけじゃないので、ライブで初めて全編の振付けをみてもらえるのも楽しみにしています
──アルバムをめくりながら思い出を拾い集めるようであったり、秒針のように刻々と時間が流れるような楽曲の内容とシンクロしたとても印象的な振付でした。
坂元 はい!最初から最後まで素敵な振付がめちゃくちゃ詰まっています。フォーメーションもすごい綺麗なので、それを生で見てもらえるっていうのはすごくうれしいです。
──ところで、ライブでの表現方法やその手ごたえはコロナ禍で変化しましたか?
廣川 無観客ライブなどを後から映像で見ても、やっぱりお客さんがいるときのほうがテンション感が上を行っているな、とは正直思いますね。無観客でも自分たち自身としてはクオリティを保てていると思うんですけど。
──まだまだ有観客のイベントは開催も流動的。開催できてもお客さんは感染拡大防止のための制限が多い状況です
三品 そうですね。以前は“ライブ感”を大事にしていたからこそ、近い距離で声ありきのライブづくりをしていたけれど、今は声が出せなかったり、みんなの表情がはっきり見えなかったりしてしまう。ただ、やってみるとそれでも会場の一体感みたいなものは意外と感じられるんだなと思ったんです。以前のように声を出すことだけが盛り上がるってことではないんだなって。だから、そのための見せ方を慎重に考えるようになったというか、つくり方がちょっと変わっている感じですね。
小玉 もともと毎回のセットリストは対バンであっても私たちメンバー5人だけで決めてきているので、基本的にどういう曲を見せたいかや、どういうお客さんがいるかも色々考えてきています。もちろんワンマンライブになるとそこにかける思いや見せたいもので、よりいっそう、曲選びや、その幅に対しては慎重になるんですけど。だからこういう状況になってからの構成についても毎回メンバーの意見がライブにしっかり反映されています。
廣川 うん。その上で、お客さんの感想を参考にしていますので、反応がよければ自信につながりますね。あと写真OKにしているので、それを見ながら一緒に添えてある感想を読むことで「いいライブができてよかった!」と思えますね。
「現状維持より『まだまだこの5人で上にいくぞ!』って気持ちで頑張りたい」(廣川)
──今後、9月18日、20日にツアー(『わーすた LIVE TOUR 2021~君と僕の青春歌!~』)も控えていますが、「季節は背中を押す」という歌詞にメンバーのみなさんも言及されている通り、坂元さんの卒業が決まってからそれをメンバー全員で受け止め、発表し、ついに5人体制での最後の曲をリリースしました。これから迎えるラストスパートに向けて、今の想いは?
小玉 (発表前を振り返って)卒業についての葉月の気持ちを聞いた時、すぐにその場で話し合うようなことはせず、みんながいったん持ち帰ったんです。その間に気持ちに整理をつけたり、それぞれがスタッフさんと話したりして、メンバーとも自分とも向き合う時間はあったので、今後のやりたいこと、グループとしてどうしていきたいかまで、ちゃんと発表するまでの期間までに考えられたのは私的にはすごく大きくて。不安な状態とか、「この先どうしよう」という気持ちのままの卒業発表じゃなく、ちゃんと「来年以降は4人でがんばっていこう」という意志も固まった上で発表できたので、卒業に対しても、その先についても気持ちを整理して言えたのがよかった。
廣川 うん。それから、私たちメンバーの思いとして、なるべく早く5人での活動が年内いっぱいになることを伝えたいよね、と。それをできたことがまず第一に「よかった」と思っています。「これからの5人もずっと応援するね!」とファンの方が声をかけてくれているのに葉月は卒業するという事実があって、発表するまでに秘密を隠して活動しているような時期が少しあったんです。私はその時期が苦しかったので、逆に発表したことでファンに何も嘘をつくこともなくなった。自分のなかですごくスッキリした。今はまだ気持ちの整理ができていなかったり、前をむけていないファンの方がいっぱいいるのもすごくわかっているので、こういう楽曲をリリースすることで、あんまり5人の活動でのカウントダウンを示しすぎるのも、「つらい気持ちになっちゃうのかも?」とも思うんですけど……。
三品 準備できてないのは、私たちもまだ拭いきれないので(笑)。
一同 (笑)
三品 そういう部分はあるけど、その先もしっかり私たちは自分たちの足で進んでいきたいと決意しながら、今こうして進めていっている。だからちゃんと4人になっても見てみていたいと思ってもらえるように、5人でできるうちに、しっかりとひとりひとりパワーもつけて、ちゃんと葉月にも安心して見ていてもらえるようにしたい。
廣川 私たちが進んできた歩みを止めることなく、わーすたらしく、これから残された時間や、ライブなど、全部、1回1回を大切にして進んでいきたい。葉月も思ってくれてると思うけど現状維持っていうより、まだまだこの5人で上にいくぞ!っていう気持ちで頑張りたい!
坂元 うん。5人だから出せるパワーもあるし、そこが好きって言ってくださるファンの方がたくさんいるから、奈々聖が言ってくれたように、最後までみんな100%の力で1個1個がんばっていきたいです。「爪痕を残したい」というか(笑)。結果を残したい!この5人が好きで、このまま続いてほしいって思ってくださっている方もいると思うんですけど、このままじゃなくてギリギリまで全力でがんばって、そこに私も貢献したい。5人で行ける最大限の上まで行きたいなっていう気持ちがすごくある。ファンのみんなはまだ気持ちの整理とかついてないと思うけど、最後まで全力疾走で駆け抜けて、私たちについてきてもらえたら嬉しいです。
廣川 この「詠み人知らずの青春歌」が気持ちを代弁してくれるから心が軽くなっている部分もあるかなって思いますし、私たちだけの問題っていうよりも、ファンの皆さんが支えていてくれたおかげで今の私たちがいるから、寂しさとかも全部、みんなで分かちあっていけるからこそ軽くできる。だから「もう楽しむしかないよね!」っていう気持ちでいます。
──では、最後に坂元さんが悔いなく5人での最大の高みを目指すために、メンバー4人にもっとがんばってもらいたいことがあればこの機会に伝えてください!
坂元 えええっ!何かあるかな……、私が言えることがあるかわからないですけど……
廣川 そこは厳しく(笑)。
坂元 ……うん。早め早めの行動を心がけてください(笑)。
三品・松田 すみません!
廣川 本当にすみません!
三品 葉月は“15分前行動”ができるんですけど、私たちは、ぴったりを目標に……、ぴったりできればいいほうで(笑)
廣川 そうだね、4人になった時に、梨々華ぐらいしか余裕をもった行動ができるひとがいなくなっちゃうから……。
小玉 (真顔で)1対3はきついです。
坂元 待ち時間長めになっちゃうからね……。
廣川 (この言葉は)重く響きました!
撮影 長谷英史
詠み人知らずの青春歌
2021.8.18 ON SALE
『わーすた LIVE TOUR 2021~君と僕の青春歌!~』
■東京公演
9月18日(土) 1部 開場11:30 / 開演12:30 2部 開場15:30 / 開演16:30 会場:東京・Zepp DiverCity TOKYO
お問い合わせ:キョードー東京 0570-550-799(平日11:00~18:00 / 土日祝10:00~18:00)
■大阪公演
9月20日(月祝) 1部 開場13:30 / 開演14:30 2部 開場17:30 / 開演18:30 会場:大阪・Zepp Namba お問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(平日・土曜 11:00~16:00)
■チケット料金 全席指定 7,800(税込)
【全席指定 詳細】・枚数制限:お一人様2枚まで・別途ドリンク代必要
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- WRITTEN BYユカワユウコ
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にフリーで携わる傍ら、 取材記者として各種イベントに出没するハリネズミ愛好家。