【今後の展開に期待!】「仮面ライダーセイバー」出演中の青木瞭(劇団4ドル50セント)が富加宮賢人/仮面ライダーエスパーダへの想いを語る!
劇団4ドル50セントの団員で、今年9月からは「仮面ライダーセイバー」に、富加宮賢人/仮面ライダーエスパーダとしてレギュラー出演を果たしている青木瞭さん。……ところが、12月6日放送の第13章で、敵の剣に倒れて消滅してしまうという大変な事態に! ええっ、賢人の、青木さんの出演はもう終わっちゃうの!? ということで、とりあえずご本人に直撃してみました!
1年間頑張るはずが、まさかの1クールで……
──さっそくですが、12月6日に「仮面ライダーセイバー」第13章を見させていただいたんですが……ひどくないですか!?
青木 えっ、何がですか?
──前週、第12章で敵に斬られて瀕死の状態になって、それだけでもショックでしたが、13章では「治るかもしれない」と戦った末に、結局消滅してしまうなんてひどいですよ!
青木 そうなんですよね。見てくださった方は第12章の最後で「あ、賢人はここで死ぬんだ!」と思ってて、でも第13章の頭でまたすぐ出てきて、いったんは「よかった!」ってなるわけですよ。そこで「新堂倫太郎みたいになるのかな」(同じく敵の攻撃で瀕死の重傷を負うが、復活)と思ったと思うんですけど、すぐいなくなっちゃいましたね(笑)。
──賢人自身、そして仲間たちもあれだけ戦って、しかも仮面ライダーセイバーの新フォームも登場して「あ、これで助かるんだ!」と思ったら……。
青木 まさかの「間に合わず」でしたね……。
──とにかく見ていて感情の起伏が激しすぎて、何からお聞きすればよいかと(笑)。放送されての反響はいかがでしたか?
青木 SNSでは「死なないでくれ!」「復活してほしい!」とか「お芝居よかったですよ」と言っていただくことが多いので、それに関してはもう、「ありがたい」という言葉しか出てこないですね。
──しかも放送終了のタイミングで、青木さんがツイッターでキャストの皆さんとの写真を載せて「みんな、ありがとう」とツイートされていて。さらにそこで固定ツイートの「これから1年間、応援よろしくお願いいたします」の言葉を改めて見ると、もうどうしてよいやら……。
青木 そうですね(笑)。僕もそう書いてたところで、まさかの1クールで退場になっちゃって、「あれ、1年間って言ったんですけど!」って思ったんですが……まあ、それも「仮面ライダー」らしいなと思いますね。
──確かに、長いシリーズの中では途中で亡くなったライダーも何人かはいますが、何もここで来なくてもと。しかし敵に斬られて、そこから戦って最終的に「消滅」するという流れを2話かけてというのは、演技としても大変だったのでは?
青木 ホントに、これをどうお芝居としてつなげていけばいいのかというのは難しかったんですけど……でもそれは、まずは自分らしくやれればいいかなと思っていたので、メチャクチャ悩むということはなかったです。
──そうなんですね。
青木 緊張はすごくしましたけどね。「どう受け取られるだろう」というのはあったんですけど、まずは自分を出せればいいかなと思って頑張りました。
──その結果をオンエアで見られて、どう感じましたか?
青木 「もっとできたかな」とは思いました。自分で見た限りは、やっぱり満足はしないですね。あと本編を見て、周りのみんなの感情がすごかったなと改めて思って、それでちょっとグッときました。
──「仮面ライダー」シリーズの撮影は、キャストには先々の展開は知らされないと聞きます。青木さんもそうだったんですか?
青木 ホントにそうです。だからやり始めた時には賢人が「消滅」することも知らなかったし、こうなって視聴者の方々からは「復活してほしい」っていう声をすごくいただくんですけど、復活するのかどうかも分からないですし、どうなるんだろうなあと。もしも復活できるんだとしたら、僕自身の不安要素を取り除きたいので、早く教えてほしいんですけどね(笑)。
──過去の登場人物の中には、一度死んで復活したキャラクターもいますからね。
青木 でももしかしたら、このまま最後まで出番がなく終わる可能性もあるんですよ。それは本当に分からないので、どっちなのかだけでも教えてほしいんですけど(笑)。
──そして、同じく6日には「仮面ライダーセイバー スピンオフ 剣士列伝」の第3話として「an episode of 仮面ライダーエスパーダ」も配信されました。
青木 はい。これは第12章と第13章の間のお話になっているんですが、本当にすごく内容が重いので、第13章を見た後にこのスピンオフを見て、さらに第13章を見返していただくと、イメージがすごく変わると思うんです。賢人がなぜベッドから抜け出して戦場に赴いたのかというのも分かりますし、賢人が剣士になった理由、なりたての頃のエピソードなども描かれているので、その順番で見るとまた心持ちが変わって見られるんじゃないかと思います。
──この配信開始はドンピシャのタイミングですね。
青木 狙ったんだなと思いますね。ファンの方からは「今やるの? タイミング悪いでしょ!」とか「“消滅”した後に賢人を見るのは、うれしいけどつらい……」とかという声をたくさんいただくんですけど、2回楽しめるというのもありますし、「あっ、賢人はこういうことを考えてたから戦場に行ったんだね」というのも分かるので、僕はアリだなと思うんです。
──歴代シリーズの作品でも急展開を見せるライダーはいましたが、その急展開と同じタイミングで視聴者があれだけの追加情報をもらえることって、なかなかないですよね。
青木 ですね! なかなか珍しいですよね。だから、深い“読み”をする方だったら、より楽しめるのかなと思います。自分がしてた考察が「やっぱ違ったな」とか「合ってた!」とか、スピンオフと合わせると分かる回だったと思うので、そういうところがいいのかなと。
──ちなみに、スピンオフの撮影はどのタイミングで行われたんですか?
青木 第9章・第10章の途中ですね。坂本浩一監督が本編を撮影してくださっている傍らで、監督がスピンオフも一緒に撮っていました。だからスピンオフの撮影だけ本編より話が少し先行していて、そのために気持ちを作るのが大変だったんです。本編では、まだ戦場に赴く段階にもいっていなかったので、「賢人がこのセリフを言うことについて、見てくださる方はどう捉えるんだろう?」というのを考えるのが大変でしたし、そういうところが難しかったなと思います。
難しい役柄の上に、●●に乗って初登場!?
──難しいと言えば、そもそも「富加宮賢人」という役柄自体が難しいというか、複雑な立ち位置ですよね。
青木 そうなんですよ! 大問題アリアリの(笑)。父親がかつて組織を裏切ったという過去があって、そこにずっと負い目があって。そのために仲間にもなかなか頼れないですし、暴走したりしてしまうし。
──そもそも出演が決まったのは、オーディションに合格してですか?
青木 はい。事務所から「こういう案件があるから」って普通に言われて、「やりたいです」と志願して。オーディションのときはメチャクチャ緊張しました。それまでは「テニスの王子様ミュージカル」を2年ぐらいやっていて、オーディションに触れる機会がなかったんですよ。だからものすごく初心に戻って、緊張しながらやりました。
──それは「富加宮賢人」役のオーディションだったんですか?
青木 いえ、全員分のでした。なんとなくオーディション台本で主人公の「神山飛羽真」役と「新堂倫太郎」役が書き分けられていて、オーディションが進む中で「富加宮賢人」っぽい役が出てきて、そこで僕も初めて賢人に触れて。それで決まりました。
──最初、賢人の役柄や背景についてはどう思いました?
青木 オーディション台本ではけっこう違って、クールはクールなんですけど悪役みたいなイメージをうけました。だから本編での賢人に触れた時は全然違うなと思いましたし、ただクールなんじゃなくて、何かが隠されたクールさなんだなと思いました。
──賢人の背景については、いっぺんにではなく、だんだんと出てきますよね。
青木 そういうこともあって、メチャクチャ難しかったですね。もしかしたら賢人役が一番やりづらいんじゃないかと思うぐらい。賢人は抱えているストーリーが何個もあって大きすぎるんですよ。例えば飛羽真の記憶がなくなったのは賢人のせいでもあるし、またそれを一人で抱えて背負い込んじゃってますし。さらに父親だと思ってた仮面ライダーカリバーがまさかの先代セイバーだったり、そういうのがたくさんあるので、章ごとの感情がブレちゃうんですよね。それを統一するのも大変でしたし、感情の起伏が激しいので、そこも大変でした。
──しかも、第2章の終わりの初登場シーンが……。
青木 絨毯に乗って現れました(笑)。
──ですよね(笑)。長い「仮面ライダー」シリーズの中でも、絨毯に乗って登場した人は初めてだと思うんですが……。
青木 僕もビックリしました(笑)。第1章の終わりに倫太郎が初登場した時はライオンに乗ってたので、「あ、これは乗り物に乗って登場するシリーズなんだな」と。じゃあ僕はランプの魔神とかかなとか思ってたんですが、柴崎貴行監督から「賢人、絨毯に乗るぞ」って言われて、「どういうこと?」って(笑)。グリーンバックで撮影したんですけど、「初登場シーンが絨毯って、めちゃくちゃインパクト強いじゃん!」ってなりました。
──でも第2章の終わりに初登場したのはいいですが、第3章では仮面ライダーバスターも初登場してくるので、そこも複雑というか。
青木 そうなんですよ、あそこで富加宮賢人っていうキャラが1回かき消されるんですよね(笑)。第3章、第4章ではそんなにピックアップされたわけではなかったので、「えっ、結局賢人ってどういう人物なの?」というのが謎めいたままで進んでしまって。でも第5章の初変身でかなり覆されるし、賢人と飛羽真の確執が生まれるというシーンもあったので、そこで賢人については深掘りされたのかなと思います。
──少し遡りますが、青木さんご自身は、そもそも「仮面ライダー」シリーズについてどれぐらい認識していたんですか?
青木 僕は小っちゃい頃、一番最初に見てたのが「仮面ライダー龍騎」でした。でも子供心に「カッコいい!」「強い!」しか感じてなくて、漠然と楽しんでたぐらいだったんですね。物心ついた後だと「仮面ライダー電王」で佐藤健さんの芝居を見て、「多重人格ってこんなにできるものなんだ!」と衝撃を受けて。しかも佐藤健さんはあれがほぼ初芝居ですよね。「これは天才だ!」と思いました。だから、見てたと言えば「龍騎」と「電王」ぐらいで、他のシリーズについては必死に勉強中という感じです(笑)。
──大泰寺哲雄役の岡宏明さんが、仮面ライダーについては詳しいとか。
青木 岡はすごいですよ! メチャメチャ勉強になります。「仮面ライダージオウ」がどうだったとか、「仮面ライダーオーズ」がどうだったとか、いろいろ教えてくれるんですけど、僕は名前だけでてんやわんやしちゃってるんですよ(笑)。「賢人君だったら、ジオウに出てきたツクヨミが設定的にちょっと似てるんじゃん?」って言われて、調べたら確かにちょっと似てるところもあって「コイツはすごいぞ」と。いろいろ教えてもらうし、自分でも調べるんですけど、なかなか覚えきれなくて。
──情報量が多すぎますからね(笑)。
青木 ストーリーだって、2~3回ループして見ないとなかなか把握しきれないぐらいじゃないですか。そこで今は苦労してます。
──しかし、そんな自分が「仮面ライダー」シリーズに出演して、しかも仮面ライダーに変身までしちゃうわけですよね。
青木 そうなんです。驚きですよね。「こんな50年も続いてる、歴史ある作品に出てる俺って何なんだろ?」って思っちゃいます。子供たちの夢でもあり希望でもある作品に出られるって、どういうことなんだろう?って。今はもう客観的に見られないので、ちょっと不安だったりします。
──初変身のシーンは?
青木 死ぬほど緊張しました。「これで初めてライダーになるのか」と。手が震えましたし、ワンダーライドブック(本の形の変身アイテム)を持ってる時も、開き方を忘れちゃうぐらいで。本当は片手で開く予定だったんですけど、間違えて両手で開いちゃって。今はもう両手でやっちゃってるんですけど(笑)。
──間違えてやったことが採用されたということですか?
青木 そうなんです。最初、カッコつけて片手でやろうと思ってたんですけど、緊張でできなくて、両手でやっちゃったんです。でも、監督が「見映えも悪くなかった」ということで採用してくれて。あの時のことは緊張であんまり頭に残ってないぐらいです(笑)。片手で開くこともあるんですけど、今はもう両手で開く方がしっくりくるんですよね。
撮影現場から離れて……また行きたい!
──「仮面ライダー」シリーズは、撮影スケジュールがけっこう大変だそうですね。
青木 はい。ほぼ毎日撮影があって、朝はだいたい4時起きが当たり前という感じでした。セットでの撮影だとちょっと遅いんですけど、それでも5時起きとか。だから、早起きはメチャクチャ得意になりました。でも、夜眠れないことが多いので、撮影が終わって次の日も4時起きだったりすると、基本寝ないで現場に行くことも多かったし、2日寝ないのが普通って感じだったので、最初は生活リズムが合わなかったですね。
──基本的にそういうリズムだったのが、いきなり早朝当たり前の仕事がドカッと入ってきたと。
青木 本当にそういう感じです。いきなりそうなったので、体が追いつこう追いつこうと頑張って、今は大丈夫になりましたけど、最初の頃は慣れなくて苦痛でしょうがなかったです。撮影に入ると楽しいんですけど、唯一つらいのは寝る前と、起きる瞬間で。朝日が入った瞬間に、「もうこんな時間か」と思って萎えてました(笑)。
──そんなに寝ないで撮影して、大丈夫なんですか?
青木 僕は集中力が切れることもなかったし、セリフをとちったりもなかったですね。環境をうまく作ってくださった監督さんだとかスタッフさんだからこそできて、僕はラッキーだったんだと思います。
──現場は和気あいあいとしてましたか?
青木 メチャメチャしてましたね。でも、仲良しこよしという感じではなくて、お互いに高め合っていくというか、「ここは変だよ」というのがあったらバシバシ意見を言い合うという感じで。あと何がいいかって、スタッフさんたちが撮影モードに入る前にキャストがビシッとモードが変わって、全員の切り替わりが早いのがすごかったですね。
──でも賢人が消滅してしまって、今は撮影からは離れられてるわけですよね。淋しくないですか?
青木 はい、メッチャ淋しいですよ(笑)。でも「何してるの?」とか、みんなからの連絡はちょくちょく来るし、一緒にごはんに行ったりもしているのでまだいいんですけど、僕の知らないところでどんどん状況が進んで行っちゃうので、それはちょっと悲しいですね。
──今でも現場に行きたいのでは?
青木 メッチャ行きたいです! 「いつでも見学においで」って言われるんですけど、「出してくれよ~」ってアピールしてるみたいで、見学はちょっと(笑)。今はスタッフさんたちにも何も言わず、「早く出してくれ!」と心の中で思いながら、じっと待ってます。頼むから、このまま殺さないでと(笑)。
──ところで、実際のオンエアではCG加工が入ったりして、撮影の時とはまた全然違った雰囲気になりますよね。
青木 ホントに違いますね! 一番ビックリしたのは、スケールの大きさ。「あそこで撮影したのに、背景が全然違うじゃん!」とかはしょっちゅうで。あとグリーンバックで撮影して合成がかかった時のダイナミックさはすごいです。
──今回の「仮面ライダーセイバー」は特に合成が多い印象があります。
青木 「お金は大丈夫かな?」って僕が思っちゃうぐらいですからね(笑)。キャストのみんなでもたまに話すんですよ。「予算、大丈夫なの?」とか(笑)。ホントに心配になっちゃうぐらいスケールの大きな合成があるので、オンエアを見ないと分からない部分で面白いですね。僕らは2回楽しませてもらってます。
──今年はコロナウイルスの影響でいろいろ大変ですが、撮影も何かと大変ですよね?
青木 スタッフさんたちは本当に大変そうですね。全員、完璧にマスクとかフェイスガードを着用してますし、あとスタジオは密閉空間があるので、30~40分に1回は必ず換気をして、5~10分休憩を取って。対策は万全なんですけど、やっぱり見えないから不安じゃないですか。だからこまめに手洗いや消毒をしてソーシャルディスタンスも取ってってやってますけど、スタッフさんたちも慣れないのでストレス溜まるだろうし、シビアでしたね。その関係もあって合成が多かったり、合成にすごく助けられてるシーンもありましたし。その考え方がすごいなと思いました。
──さて、役者としてはここまで「テニスの王子様ミュージカル」でのキャリアが大きかったと思います。それが今回の出演に対して、役に立った部分ってありますか?
青木 テニミュは、長い年月をかけて役に向き合うという姿勢の部分で、すごく勉強になりました。1年とか2年間、その役を演じていく中で、まずキャラを確立させることが一番大事だと思うので、そういう追究とか深掘りの仕方はテニミュですごく学ばせていただきました。それがあったからこそ富加宮賢人というキャラを、13話という短い期間ではありましたけど、少しでも視聴者の方々に理解していただけるように自分の中で深掘りできたんだと思います。
富加宮賢人を忘れないでいてください!
──12月18日には、「劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本」が公開されます。これには出演してるんですよね?
青木 出てます! 映画の時間軸が、第9章・第10章あたり、仮面ライダースラッシュが変身したあたりなので、賢人もまだ生きてます(笑)。だからファンの方々には、「賢人がまだいる!」と思って見ていただければいいなと思います。
──6人揃っての変身シーンがあるというのが話題になってますね。
青木 あれはうれしかったですね! 自分がこうやって仮面ライダーになって、作品内にライダーがいっぱい出てきてる中で、セイバー、ブレイズ、エスパーダの3人同時変身はTV版の中でもあったんですけど、6人同時変身というのは初めてだったので、すごく興奮しました。
──演じているご本人がそうなんだから、映画を見る方は余計ですね。
青木 みんなの変身ポーズは見てたんですけど、自分がエスパーダとして変身して、なおかつ全員が1列に並んだのを見た時は感動というか、またさらにしみじみと「ライダーになったんだなあ……」という実感が湧きました。
──それは必見シーンですね! 映画自体はどんな内容なんですか?
青木 封印から解かれた仮面ライダーファルシオンが敵として登場するんですが、その敵が何を目的としてセイバーたちに戦いを挑んでくるのかとか、それに立ち向かうセイバーたちの心持ちだったり……どうやって約束を守って人間を守って世界を守るのかというのも面白い部分だと思います。今回は短編なんですけど、一番最初のシーンですでに世界が滅ぼされてるんですよ(笑)。そこからお客さんはビックリすると思うので、そこも楽しみに見ていただければと思います。
──その中で賢人/エスパーダの見どころは?
青木 短編なので出てくるシーンとしては短いんですけど、変身前のセリフもいいですし、エスパーダは何しろ必殺技をスマートにカッコよく決めるので、そこを見ていただければと思います。エスパーダはとにかく色とフォルムが今回の全ライダーの中で一番カッコいいと、全員に言ってるんで。そうすると「いや、セイバーがカッコいい!」「いやブレイズだ!」って始まっちゃうんで、いっつも同じことを言い合ってます(笑)。
──そうですか(笑)。
青木 今回は短編ですけど、例年通りなら来年の夏には長編の劇場版が作られると思うので、そこに賢人はいるのか。いや、絶対にいてほしいんですけどね。TVの最終話でもいいので、復活して映画に出たいです。
──回想シーンとかではなく。
青木 はい! 回想シーンでの出演とかだったら、正直いらないです。生きてる登場人物として物語にからんでいきたいので。
──今、青木さんとしては多くのファンと同じように、「賢人、復活してくれ~!」と祈ってるわけですよね。
青木 そうです、そうです! 視聴者の方々と全く一緒で、今後の展開を楽しみにしてるのが僕なんですよ。「賢人、いつ復活するの? もしかしてしないの?」とずっと思ってますし、もしかしたら「仮面ライダーエグゼイド」の九条貴利矢先輩みたいに、敵側として復活したりするかもしれないし……とか思って。だから過去のライダー作品の復活シーンをいっぱい見て、「どうやって復活しようか」とずっと考えてるんです。ちょっと楽しみでもありますね。
──この作品を、今一番楽しんでるのは青木さんなんじゃないですか(笑)。
青木 そうなんですよ。死んじゃって悲しいですけど、それよりも復活するのかしないのか、復活するんだったらその仕方、いっぱい考察を考えていて、それを今度、プロデューサーさんにぶつけてやろうかなと思ってます。「こんな展開でどうですか」って売り込みたいなと(笑)。
──復活させてほしい身としては、「いつでもいけますよ!」という状態じゃないといけないですしね。
青木 だから毎日、万全に保ってないといけないんですよ。「明日来れるか?」と聞かれたら、「いつでも行けます!」と。最初は撮影が終わって、ちょっと羽を伸ばすかとも思ってたんですけど、それでコロナに感染なんかしてしまったら終わりなので、仕事がない日はとりあえず自宅待機で頑張ってます(笑)。
──今年は青木さん自身、こうして大きな変化があった年だったわけですよね。
青木 飛躍に次ぐ飛躍の年になれたのかなと。ただ、まだオーディションに受からせていただいたというだけなので、来年がどうなるかとか正直分からないじゃないですか。だから、「来年は今年よりもっと飛躍の年にしよう」って、毎年同じ目標を持ってます。そこは変わらないと思います。
──ただ、今年はそのステップボードが一段上がったわけですよね。そこから来年、チャレンジしてみたいことはありますか?
青木 来年は……学生役とかやってみたいんですよね。制服をちゃんと着て、授業のシーンもあるみたいな。それに朝ドラとか大河ドラマとかにも出てみたいので、そういうところに出られるレベルのスキルだったり知識だったりを、今のうちに勉強しておきたいなと思いますね。今が何の時間かって言ったらそういうお勉強の時間でもありますし、それを培うことができるっていう利点が生かせるのは僕だけだと思うので、頑張っていきたいですね。
──スキルを伸ばした上で賢人が復活できたら……。
青木 ベストですね! そんなことになったら、プロデューサーに土下座して「ありがとうございます!」って言います(笑)。
──本当にそれが実現することをお祈りしております! では最後に、今悲嘆に暮れているファンの皆さんに、改めてメッセージをいただければ。
青木 まず、悲しみに暮れているのは分かりますが、富加宮賢人は、まだ分からないです。これは僕の考察なんですけど、まだ「消滅」で、「死んだ」というわけではないと。そして「仮面ライダー」シリーズでは復活もあり得ると、視聴者の方々は分かってると思うので、その希望を持ってほしいです。あと、その日まで富加宮賢人を忘れないでいてくださいというのは言いたいです。
──「あれ? これって誰だったっけ?」って……ならないでしょう(笑)。
青木 そう思いたいです(笑)。あとは本当に、「仮面ライダーセイバー」の物語がどうなるのか。仮面ライダーカリバーがどうなるのかとか、6本の柱が出てきてどうなっちゃうんだろうっていうのを考えて、楽しんでいただければと思います。
青木瞭(劇団4ドル50セント)
■Twitter:https://twitter.com/aoki__ryo
「劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本」
2020年12月18日(金)公開
http://kamenrider-winter.com/
「仮面ライダーセイバー #3 ~an episode of 仮面ライダーエスパーダ~」
TELASAにて配信中
https://www.videopass.jp/videos/172566
テレビ朝日「仮面ライダーセイバー」
毎週日曜9時~ 放送中
https://www.tv-asahi.co.jp/saber/
1年間頑張るはずが、まさかの1クールで……
──さっそくですが、12月6日に「仮面ライダーセイバー」第13章を見させていただいたんですが……ひどくないですか!?
青木 えっ、何がですか?
──前週、第12章で敵に斬られて瀕死の状態になって、それだけでもショックでしたが、13章では「治るかもしれない」と戦った末に、結局消滅してしまうなんてひどいですよ!
青木 そうなんですよね。見てくださった方は第12章の最後で「あ、賢人はここで死ぬんだ!」と思ってて、でも第13章の頭でまたすぐ出てきて、いったんは「よかった!」ってなるわけですよ。そこで「新堂倫太郎みたいになるのかな」(同じく敵の攻撃で瀕死の重傷を負うが、復活)と思ったと思うんですけど、すぐいなくなっちゃいましたね(笑)。
──賢人自身、そして仲間たちもあれだけ戦って、しかも仮面ライダーセイバーの新フォームも登場して「あ、これで助かるんだ!」と思ったら……。
青木 まさかの「間に合わず」でしたね……。
──とにかく見ていて感情の起伏が激しすぎて、何からお聞きすればよいかと(笑)。放送されての反響はいかがでしたか?
青木 SNSでは「死なないでくれ!」「復活してほしい!」とか「お芝居よかったですよ」と言っていただくことが多いので、それに関してはもう、「ありがたい」という言葉しか出てこないですね。
──しかも放送終了のタイミングで、青木さんがツイッターでキャストの皆さんとの写真を載せて「みんな、ありがとう」とツイートされていて。さらにそこで固定ツイートの「これから1年間、応援よろしくお願いいたします」の言葉を改めて見ると、もうどうしてよいやら……。
青木 そうですね(笑)。僕もそう書いてたところで、まさかの1クールで退場になっちゃって、「あれ、1年間って言ったんですけど!」って思ったんですが……まあ、それも「仮面ライダー」らしいなと思いますね。
──確かに、長いシリーズの中では途中で亡くなったライダーも何人かはいますが、何もここで来なくてもと。しかし敵に斬られて、そこから戦って最終的に「消滅」するという流れを2話かけてというのは、演技としても大変だったのでは?
青木 ホントに、これをどうお芝居としてつなげていけばいいのかというのは難しかったんですけど……でもそれは、まずは自分らしくやれればいいかなと思っていたので、メチャクチャ悩むということはなかったです。
──そうなんですね。
青木 緊張はすごくしましたけどね。「どう受け取られるだろう」というのはあったんですけど、まずは自分を出せればいいかなと思って頑張りました。
──その結果をオンエアで見られて、どう感じましたか?
青木 「もっとできたかな」とは思いました。自分で見た限りは、やっぱり満足はしないですね。あと本編を見て、周りのみんなの感情がすごかったなと改めて思って、それでちょっとグッときました。
──「仮面ライダー」シリーズの撮影は、キャストには先々の展開は知らされないと聞きます。青木さんもそうだったんですか?
青木 ホントにそうです。だからやり始めた時には賢人が「消滅」することも知らなかったし、こうなって視聴者の方々からは「復活してほしい」っていう声をすごくいただくんですけど、復活するのかどうかも分からないですし、どうなるんだろうなあと。もしも復活できるんだとしたら、僕自身の不安要素を取り除きたいので、早く教えてほしいんですけどね(笑)。
──過去の登場人物の中には、一度死んで復活したキャラクターもいますからね。
青木 でももしかしたら、このまま最後まで出番がなく終わる可能性もあるんですよ。それは本当に分からないので、どっちなのかだけでも教えてほしいんですけど(笑)。
──そして、同じく6日には「仮面ライダーセイバー スピンオフ 剣士列伝」の第3話として「an episode of 仮面ライダーエスパーダ」も配信されました。
青木 はい。これは第12章と第13章の間のお話になっているんですが、本当にすごく内容が重いので、第13章を見た後にこのスピンオフを見て、さらに第13章を見返していただくと、イメージがすごく変わると思うんです。賢人がなぜベッドから抜け出して戦場に赴いたのかというのも分かりますし、賢人が剣士になった理由、なりたての頃のエピソードなども描かれているので、その順番で見るとまた心持ちが変わって見られるんじゃないかと思います。
──この配信開始はドンピシャのタイミングですね。
青木 狙ったんだなと思いますね。ファンの方からは「今やるの? タイミング悪いでしょ!」とか「“消滅”した後に賢人を見るのは、うれしいけどつらい……」とかという声をたくさんいただくんですけど、2回楽しめるというのもありますし、「あっ、賢人はこういうことを考えてたから戦場に行ったんだね」というのも分かるので、僕はアリだなと思うんです。
──歴代シリーズの作品でも急展開を見せるライダーはいましたが、その急展開と同じタイミングで視聴者があれだけの追加情報をもらえることって、なかなかないですよね。
青木 ですね! なかなか珍しいですよね。だから、深い“読み”をする方だったら、より楽しめるのかなと思います。自分がしてた考察が「やっぱ違ったな」とか「合ってた!」とか、スピンオフと合わせると分かる回だったと思うので、そういうところがいいのかなと。
──ちなみに、スピンオフの撮影はどのタイミングで行われたんですか?
青木 第9章・第10章の途中ですね。坂本浩一監督が本編を撮影してくださっている傍らで、監督がスピンオフも一緒に撮っていました。だからスピンオフの撮影だけ本編より話が少し先行していて、そのために気持ちを作るのが大変だったんです。本編では、まだ戦場に赴く段階にもいっていなかったので、「賢人がこのセリフを言うことについて、見てくださる方はどう捉えるんだろう?」というのを考えるのが大変でしたし、そういうところが難しかったなと思います。
難しい役柄の上に、●●に乗って初登場!?
──難しいと言えば、そもそも「富加宮賢人」という役柄自体が難しいというか、複雑な立ち位置ですよね。
青木 そうなんですよ! 大問題アリアリの(笑)。父親がかつて組織を裏切ったという過去があって、そこにずっと負い目があって。そのために仲間にもなかなか頼れないですし、暴走したりしてしまうし。
──そもそも出演が決まったのは、オーディションに合格してですか?
青木 はい。事務所から「こういう案件があるから」って普通に言われて、「やりたいです」と志願して。オーディションのときはメチャクチャ緊張しました。それまでは「テニスの王子様ミュージカル」を2年ぐらいやっていて、オーディションに触れる機会がなかったんですよ。だからものすごく初心に戻って、緊張しながらやりました。
──それは「富加宮賢人」役のオーディションだったんですか?
青木 いえ、全員分のでした。なんとなくオーディション台本で主人公の「神山飛羽真」役と「新堂倫太郎」役が書き分けられていて、オーディションが進む中で「富加宮賢人」っぽい役が出てきて、そこで僕も初めて賢人に触れて。それで決まりました。
──最初、賢人の役柄や背景についてはどう思いました?
青木 オーディション台本ではけっこう違って、クールはクールなんですけど悪役みたいなイメージをうけました。だから本編での賢人に触れた時は全然違うなと思いましたし、ただクールなんじゃなくて、何かが隠されたクールさなんだなと思いました。
──賢人の背景については、いっぺんにではなく、だんだんと出てきますよね。
青木 そういうこともあって、メチャクチャ難しかったですね。もしかしたら賢人役が一番やりづらいんじゃないかと思うぐらい。賢人は抱えているストーリーが何個もあって大きすぎるんですよ。例えば飛羽真の記憶がなくなったのは賢人のせいでもあるし、またそれを一人で抱えて背負い込んじゃってますし。さらに父親だと思ってた仮面ライダーカリバーがまさかの先代セイバーだったり、そういうのがたくさんあるので、章ごとの感情がブレちゃうんですよね。それを統一するのも大変でしたし、感情の起伏が激しいので、そこも大変でした。
──しかも、第2章の終わりの初登場シーンが……。
青木 絨毯に乗って現れました(笑)。
──ですよね(笑)。長い「仮面ライダー」シリーズの中でも、絨毯に乗って登場した人は初めてだと思うんですが……。
青木 僕もビックリしました(笑)。第1章の終わりに倫太郎が初登場した時はライオンに乗ってたので、「あ、これは乗り物に乗って登場するシリーズなんだな」と。じゃあ僕はランプの魔神とかかなとか思ってたんですが、柴崎貴行監督から「賢人、絨毯に乗るぞ」って言われて、「どういうこと?」って(笑)。グリーンバックで撮影したんですけど、「初登場シーンが絨毯って、めちゃくちゃインパクト強いじゃん!」ってなりました。
──でも第2章の終わりに初登場したのはいいですが、第3章では仮面ライダーバスターも初登場してくるので、そこも複雑というか。
青木 そうなんですよ、あそこで富加宮賢人っていうキャラが1回かき消されるんですよね(笑)。第3章、第4章ではそんなにピックアップされたわけではなかったので、「えっ、結局賢人ってどういう人物なの?」というのが謎めいたままで進んでしまって。でも第5章の初変身でかなり覆されるし、賢人と飛羽真の確執が生まれるというシーンもあったので、そこで賢人については深掘りされたのかなと思います。
──少し遡りますが、青木さんご自身は、そもそも「仮面ライダー」シリーズについてどれぐらい認識していたんですか?
青木 僕は小っちゃい頃、一番最初に見てたのが「仮面ライダー龍騎」でした。でも子供心に「カッコいい!」「強い!」しか感じてなくて、漠然と楽しんでたぐらいだったんですね。物心ついた後だと「仮面ライダー電王」で佐藤健さんの芝居を見て、「多重人格ってこんなにできるものなんだ!」と衝撃を受けて。しかも佐藤健さんはあれがほぼ初芝居ですよね。「これは天才だ!」と思いました。だから、見てたと言えば「龍騎」と「電王」ぐらいで、他のシリーズについては必死に勉強中という感じです(笑)。
──大泰寺哲雄役の岡宏明さんが、仮面ライダーについては詳しいとか。
青木 岡はすごいですよ! メチャメチャ勉強になります。「仮面ライダージオウ」がどうだったとか、「仮面ライダーオーズ」がどうだったとか、いろいろ教えてくれるんですけど、僕は名前だけでてんやわんやしちゃってるんですよ(笑)。「賢人君だったら、ジオウに出てきたツクヨミが設定的にちょっと似てるんじゃん?」って言われて、調べたら確かにちょっと似てるところもあって「コイツはすごいぞ」と。いろいろ教えてもらうし、自分でも調べるんですけど、なかなか覚えきれなくて。
──情報量が多すぎますからね(笑)。
青木 ストーリーだって、2~3回ループして見ないとなかなか把握しきれないぐらいじゃないですか。そこで今は苦労してます。
──しかし、そんな自分が「仮面ライダー」シリーズに出演して、しかも仮面ライダーに変身までしちゃうわけですよね。
青木 そうなんです。驚きですよね。「こんな50年も続いてる、歴史ある作品に出てる俺って何なんだろ?」って思っちゃいます。子供たちの夢でもあり希望でもある作品に出られるって、どういうことなんだろう?って。今はもう客観的に見られないので、ちょっと不安だったりします。
──初変身のシーンは?
青木 死ぬほど緊張しました。「これで初めてライダーになるのか」と。手が震えましたし、ワンダーライドブック(本の形の変身アイテム)を持ってる時も、開き方を忘れちゃうぐらいで。本当は片手で開く予定だったんですけど、間違えて両手で開いちゃって。今はもう両手でやっちゃってるんですけど(笑)。
──間違えてやったことが採用されたということですか?
青木 そうなんです。最初、カッコつけて片手でやろうと思ってたんですけど、緊張でできなくて、両手でやっちゃったんです。でも、監督が「見映えも悪くなかった」ということで採用してくれて。あの時のことは緊張であんまり頭に残ってないぐらいです(笑)。片手で開くこともあるんですけど、今はもう両手で開く方がしっくりくるんですよね。
撮影現場から離れて……また行きたい!
──「仮面ライダー」シリーズは、撮影スケジュールがけっこう大変だそうですね。
青木 はい。ほぼ毎日撮影があって、朝はだいたい4時起きが当たり前という感じでした。セットでの撮影だとちょっと遅いんですけど、それでも5時起きとか。だから、早起きはメチャクチャ得意になりました。でも、夜眠れないことが多いので、撮影が終わって次の日も4時起きだったりすると、基本寝ないで現場に行くことも多かったし、2日寝ないのが普通って感じだったので、最初は生活リズムが合わなかったですね。
──基本的にそういうリズムだったのが、いきなり早朝当たり前の仕事がドカッと入ってきたと。
青木 本当にそういう感じです。いきなりそうなったので、体が追いつこう追いつこうと頑張って、今は大丈夫になりましたけど、最初の頃は慣れなくて苦痛でしょうがなかったです。撮影に入ると楽しいんですけど、唯一つらいのは寝る前と、起きる瞬間で。朝日が入った瞬間に、「もうこんな時間か」と思って萎えてました(笑)。
──そんなに寝ないで撮影して、大丈夫なんですか?
青木 僕は集中力が切れることもなかったし、セリフをとちったりもなかったですね。環境をうまく作ってくださった監督さんだとかスタッフさんだからこそできて、僕はラッキーだったんだと思います。
──現場は和気あいあいとしてましたか?
青木 メチャメチャしてましたね。でも、仲良しこよしという感じではなくて、お互いに高め合っていくというか、「ここは変だよ」というのがあったらバシバシ意見を言い合うという感じで。あと何がいいかって、スタッフさんたちが撮影モードに入る前にキャストがビシッとモードが変わって、全員の切り替わりが早いのがすごかったですね。
──でも賢人が消滅してしまって、今は撮影からは離れられてるわけですよね。淋しくないですか?
青木 はい、メッチャ淋しいですよ(笑)。でも「何してるの?」とか、みんなからの連絡はちょくちょく来るし、一緒にごはんに行ったりもしているのでまだいいんですけど、僕の知らないところでどんどん状況が進んで行っちゃうので、それはちょっと悲しいですね。
──今でも現場に行きたいのでは?
青木 メッチャ行きたいです! 「いつでも見学においで」って言われるんですけど、「出してくれよ~」ってアピールしてるみたいで、見学はちょっと(笑)。今はスタッフさんたちにも何も言わず、「早く出してくれ!」と心の中で思いながら、じっと待ってます。頼むから、このまま殺さないでと(笑)。
──ところで、実際のオンエアではCG加工が入ったりして、撮影の時とはまた全然違った雰囲気になりますよね。
青木 ホントに違いますね! 一番ビックリしたのは、スケールの大きさ。「あそこで撮影したのに、背景が全然違うじゃん!」とかはしょっちゅうで。あとグリーンバックで撮影して合成がかかった時のダイナミックさはすごいです。
──今回の「仮面ライダーセイバー」は特に合成が多い印象があります。
青木 「お金は大丈夫かな?」って僕が思っちゃうぐらいですからね(笑)。キャストのみんなでもたまに話すんですよ。「予算、大丈夫なの?」とか(笑)。ホントに心配になっちゃうぐらいスケールの大きな合成があるので、オンエアを見ないと分からない部分で面白いですね。僕らは2回楽しませてもらってます。
──今年はコロナウイルスの影響でいろいろ大変ですが、撮影も何かと大変ですよね?
青木 スタッフさんたちは本当に大変そうですね。全員、完璧にマスクとかフェイスガードを着用してますし、あとスタジオは密閉空間があるので、30~40分に1回は必ず換気をして、5~10分休憩を取って。対策は万全なんですけど、やっぱり見えないから不安じゃないですか。だからこまめに手洗いや消毒をしてソーシャルディスタンスも取ってってやってますけど、スタッフさんたちも慣れないのでストレス溜まるだろうし、シビアでしたね。その関係もあって合成が多かったり、合成にすごく助けられてるシーンもありましたし。その考え方がすごいなと思いました。
──さて、役者としてはここまで「テニスの王子様ミュージカル」でのキャリアが大きかったと思います。それが今回の出演に対して、役に立った部分ってありますか?
青木 テニミュは、長い年月をかけて役に向き合うという姿勢の部分で、すごく勉強になりました。1年とか2年間、その役を演じていく中で、まずキャラを確立させることが一番大事だと思うので、そういう追究とか深掘りの仕方はテニミュですごく学ばせていただきました。それがあったからこそ富加宮賢人というキャラを、13話という短い期間ではありましたけど、少しでも視聴者の方々に理解していただけるように自分の中で深掘りできたんだと思います。
富加宮賢人を忘れないでいてください!
──12月18日には、「劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本」が公開されます。これには出演してるんですよね?
青木 出てます! 映画の時間軸が、第9章・第10章あたり、仮面ライダースラッシュが変身したあたりなので、賢人もまだ生きてます(笑)。だからファンの方々には、「賢人がまだいる!」と思って見ていただければいいなと思います。
──6人揃っての変身シーンがあるというのが話題になってますね。
青木 あれはうれしかったですね! 自分がこうやって仮面ライダーになって、作品内にライダーがいっぱい出てきてる中で、セイバー、ブレイズ、エスパーダの3人同時変身はTV版の中でもあったんですけど、6人同時変身というのは初めてだったので、すごく興奮しました。
──演じているご本人がそうなんだから、映画を見る方は余計ですね。
青木 みんなの変身ポーズは見てたんですけど、自分がエスパーダとして変身して、なおかつ全員が1列に並んだのを見た時は感動というか、またさらにしみじみと「ライダーになったんだなあ……」という実感が湧きました。
──それは必見シーンですね! 映画自体はどんな内容なんですか?
青木 封印から解かれた仮面ライダーファルシオンが敵として登場するんですが、その敵が何を目的としてセイバーたちに戦いを挑んでくるのかとか、それに立ち向かうセイバーたちの心持ちだったり……どうやって約束を守って人間を守って世界を守るのかというのも面白い部分だと思います。今回は短編なんですけど、一番最初のシーンですでに世界が滅ぼされてるんですよ(笑)。そこからお客さんはビックリすると思うので、そこも楽しみに見ていただければと思います。
──その中で賢人/エスパーダの見どころは?
青木 短編なので出てくるシーンとしては短いんですけど、変身前のセリフもいいですし、エスパーダは何しろ必殺技をスマートにカッコよく決めるので、そこを見ていただければと思います。エスパーダはとにかく色とフォルムが今回の全ライダーの中で一番カッコいいと、全員に言ってるんで。そうすると「いや、セイバーがカッコいい!」「いやブレイズだ!」って始まっちゃうんで、いっつも同じことを言い合ってます(笑)。
──そうですか(笑)。
青木 今回は短編ですけど、例年通りなら来年の夏には長編の劇場版が作られると思うので、そこに賢人はいるのか。いや、絶対にいてほしいんですけどね。TVの最終話でもいいので、復活して映画に出たいです。
──回想シーンとかではなく。
青木 はい! 回想シーンでの出演とかだったら、正直いらないです。生きてる登場人物として物語にからんでいきたいので。
──今、青木さんとしては多くのファンと同じように、「賢人、復活してくれ~!」と祈ってるわけですよね。
青木 そうです、そうです! 視聴者の方々と全く一緒で、今後の展開を楽しみにしてるのが僕なんですよ。「賢人、いつ復活するの? もしかしてしないの?」とずっと思ってますし、もしかしたら「仮面ライダーエグゼイド」の九条貴利矢先輩みたいに、敵側として復活したりするかもしれないし……とか思って。だから過去のライダー作品の復活シーンをいっぱい見て、「どうやって復活しようか」とずっと考えてるんです。ちょっと楽しみでもありますね。
──この作品を、今一番楽しんでるのは青木さんなんじゃないですか(笑)。
青木 そうなんですよ。死んじゃって悲しいですけど、それよりも復活するのかしないのか、復活するんだったらその仕方、いっぱい考察を考えていて、それを今度、プロデューサーさんにぶつけてやろうかなと思ってます。「こんな展開でどうですか」って売り込みたいなと(笑)。
──復活させてほしい身としては、「いつでもいけますよ!」という状態じゃないといけないですしね。
青木 だから毎日、万全に保ってないといけないんですよ。「明日来れるか?」と聞かれたら、「いつでも行けます!」と。最初は撮影が終わって、ちょっと羽を伸ばすかとも思ってたんですけど、それでコロナに感染なんかしてしまったら終わりなので、仕事がない日はとりあえず自宅待機で頑張ってます(笑)。
──今年は青木さん自身、こうして大きな変化があった年だったわけですよね。
青木 飛躍に次ぐ飛躍の年になれたのかなと。ただ、まだオーディションに受からせていただいたというだけなので、来年がどうなるかとか正直分からないじゃないですか。だから、「来年は今年よりもっと飛躍の年にしよう」って、毎年同じ目標を持ってます。そこは変わらないと思います。
──ただ、今年はそのステップボードが一段上がったわけですよね。そこから来年、チャレンジしてみたいことはありますか?
青木 来年は……学生役とかやってみたいんですよね。制服をちゃんと着て、授業のシーンもあるみたいな。それに朝ドラとか大河ドラマとかにも出てみたいので、そういうところに出られるレベルのスキルだったり知識だったりを、今のうちに勉強しておきたいなと思いますね。今が何の時間かって言ったらそういうお勉強の時間でもありますし、それを培うことができるっていう利点が生かせるのは僕だけだと思うので、頑張っていきたいですね。
──スキルを伸ばした上で賢人が復活できたら……。
青木 ベストですね! そんなことになったら、プロデューサーに土下座して「ありがとうございます!」って言います(笑)。
──本当にそれが実現することをお祈りしております! では最後に、今悲嘆に暮れているファンの皆さんに、改めてメッセージをいただければ。
青木 まず、悲しみに暮れているのは分かりますが、富加宮賢人は、まだ分からないです。これは僕の考察なんですけど、まだ「消滅」で、「死んだ」というわけではないと。そして「仮面ライダー」シリーズでは復活もあり得ると、視聴者の方々は分かってると思うので、その希望を持ってほしいです。あと、その日まで富加宮賢人を忘れないでいてくださいというのは言いたいです。
──「あれ? これって誰だったっけ?」って……ならないでしょう(笑)。
青木 そう思いたいです(笑)。あとは本当に、「仮面ライダーセイバー」の物語がどうなるのか。仮面ライダーカリバーがどうなるのかとか、6本の柱が出てきてどうなっちゃうんだろうっていうのを考えて、楽しんでいただければと思います。
撮影 長谷 英史
青木瞭(劇団4ドル50セント)
■Twitter:https://twitter.com/aoki__ryo
「劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本」
2020年12月18日(金)公開
http://kamenrider-winter.com/
「仮面ライダーセイバー #3 ~an episode of 仮面ライダーエスパーダ~」
TELASAにて配信中
https://www.videopass.jp/videos/172566
テレビ朝日「仮面ライダーセイバー」
毎週日曜9時~ 放送中
https://www.tv-asahi.co.jp/saber/
- WRITTEN BY高崎計三
- 1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。