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SUPER EUROBEAT

【エイベックスの原点!】SUPER EUROBEATの歴史にせまる!

2016.12.28
音楽
ダンス
コンピレーション
突然ですが、エイベックスが一番初めにリリースしたCDってわかりますか?
そう!この「SUPER EUROBEAT(スーパー・ユーロビート)」なのです!
 
今日のコラムは2016年最後の更新ということで、締めくくるのに相応しい「SUPER EUROBEAT」の特集です。
 


実は今年は、240枚目の「SUPER EUROBEAT」が発売された記念すべき年でした!!
歴史のある「SUPER EUROBEAT(スーパー・ユーロビート)」ですが、ユーロビートとは?あらためて聞かれると答えられる人は少ないのでは?

ということで、今回は、「SUPER EUROBEAT」のリミックスを担当している“DJ BOSS(ディージェイ・ボス)”さんに解説をお願いしました!




DJ BOSS

国内において、本物のDISCO・CLUB DJとして活動を続けるアーティスト。
これまでにMAHARAJAやvelfarreでチーフDJを務め、都内の名立たるCLUBでレギュラーを持ち、現在はMAHARAJA六本木、ESPRIT TOKYO等のレジェンドDJとして、また渋谷T2やscramble cafeにも出演し都内主要地区の各店舗でDJとして活躍中。
最新CLUBミュージックから70’s、80’sサウンド、90'sに2000年代、J-POPまで、全てのジャンルに精通しており、その経験と実績に裏打ちされた選曲・MC・スタイルは唯一無二のものである。
またクリエイターとしても20年に及ぶ活動実績があり、数多くのダンスコンピレーションシリーズやリミックスワークも手掛け、これまでに300作品以上、累計セールスは2000万枚に及ぶ。現在ではSUPER EUROBEATのトータル・プロデュースも行い楽曲選定からブランディングに至るまで、一手に担っている、EUROBEATの第一人者であり、最重要人物である。

DJとしても現在の主流である映像を取り入れたVDJスタイルを2005年より導入した先駆者であり、常に新しいものを追求するそのスタイルはDISCO・CLUBの歴史を未来に繋ぐ重要な役割を担う業界のTOP DJ。



「SUPER EUROBEAT」ってどんな音楽!??



現在エイベックスよりリリースされている所謂「SUPER EUROBEAT(以下SEB)」が一般的に言われているユーロビートであり、1990年にスタートした現在進行形のスタイルとなっています。

ユーロビートのルーツや成り立ちを語ると、恐らくこの執筆内では終わらないので詳しくは割愛させて頂きます(笑)
が、80年代初期に端を発したハイ・エナジー・サウンドから80年中盤のPWLサウンド(ストック・エイトキン・ウォーターマン)、そして80年代後期のザッツ・ユーロビートを経て産まれたスタイルなんです。

80年代はイギリスを中心にドイツやイタリア、オランダ等のヨーロッパ地方から、アメリカに至るまで制作されていましたが、現在ではイタリアでのみ作られているのが「SEB」となります。

日本のマーケットにのみターゲットを絞った作品で、曲の早さや構成、展開は独特のスタイルでありながらSEBとしては定番なのが特徴的です。

エモーショナルなメロディーライン、イントロのシンセリフからAメロ、Bメロ、サビ、リフといったデフォルト・スタイル、曲の早さはBPM140以上であり、ズシズシ体に来るキックのリズム音に、煌びやかなシンセサイザー、お祭り騒ぎなパーカッション等々が特徴的です。『バブル・サウンド』とも言うべきでしょうか。


ユーロビートがブームに!

国内においてその存在が顕著になった原因の一つとしては「ディスコ」がキーワードになります。80年代の日本全国的なディスコ・ブームの波に乗り、東京だけでも新宿・渋谷・六本木界隈合わせても100店舗以上、当時の遊びの代名詞と言ったら「ディスコ」でしたね。

そう!そこで毎晩の様にかかっていた曲がハイエナジーであり、ユーロビートでした。そこから、SEBへと受け継いでいったのがKING OF DISCOと言われる「MAHARAJA」の存在でした。

国内主要都市60店舗近く、全盛期にはハワイにまで展開していたそのネットワークで毎夜のように盛り上げでかかっていた曲がSEBでした。

そして、その光景を見ていたエイベックスの社長である松浦勝人氏が「これはより日本向けに制作すれば絶対にウケるはず!」と全身全霊をかけて、イタリアの作家やレーベルを口説いて、独自のルートを開拓し、立ち上げたブランドがSEBなのです。その予想は確信に変わり、そして最終的には見事に大成功の結果に結びつきました。時代的には93年あたりでしたね。

90年代初期には「ジュリアナ」旋風により、SEBはクローズアップされていませんでしたが、逆にその水面下の状況で自由な作風で、開拓されていない分野で数多くの作品をリリースする事により、追い風が吹いた瞬間にその風に乗り、瞬く間に日本全国を席巻したのでした。


「SUPER EUROBEAT」の歴史



90年代当時のSEBでは2つのレーベルしか存在していませんでした。

その2つが“A-BEAT C”と“TIME“です。SEBのコンセプトである「毎月リリース」を掲げ、おおよそですがひと月に20曲近く、年間で200曲以上をリリースしていました。

元々は“TIMEレーベル”がユーロビートの総本山として存在していたのですが、SEBを立ち上げるタイミングで“TIMEレーベル”所属のアーティストであったデイヴ・ロジャースが独立して“A-BEAT Cレーベル”を立ち上げました。
この事がSEB躍進の原動力になったのは紛れも無い事実でした。

80年代から続いたユーロビートというジャンルに一線を画すようにして立ち上がったSEBの特徴としては、ポップなものはよりポップに、アグレッシヴなものは更にアグレッシヴにと言った感じで、完全に振り切ったものを作るという感じでした。

また、特に“A-BEAT C”に至っては、それまであまりクローズ・アップされなかった「アーティスト」にスポットを充てた楽曲制作もポイントでしたね。例えばロリータといえばこの曲、ヴァージネリといえばこれとか、ドミノであればこの曲とか。この時代、このジャンルには珍しく、アーティスト・アルバムをリリースするという事がその事実を裏付けていたと思います。

そんな形で、“A-BEAT C”はよりユーロビートを研ぎすました進化形を突き進み、かたや、“TIMEレーベル”はそれまで培って来たスタイルであるユーロビートの伝統と格式を守りながら、楽曲テイストとしては、哀愁路線をメインに、主にメロディー・メイクに重きを置いた感じで、ブレずに進んでいく方向性で2大巨頭としてSEBを支えていきました。

このSEBを更に確固たる地位にのし上げた要素が2つあります。
まず一つ目はこのSEBに振付けを付けて踊る「パラパラ」と呼ばれるもの。2000年の3次ブームには流行語大賞にもノミネートされたり話題も多かったです。
今回は楽曲に関してなので、パラパラに関しては一つのファクターとして挙げておくだけにしておきます。

またもう一つの要素は「J-EURO」ですね。有名なのは“安室奈美恵”のヒット曲「TRY ME」は原曲がロリータのTRY ME。また“MAX”の「TORA TORA TORA」は原曲が同じくドミノのものだし、“V6”の「MUSIC FOR THE PEOPLE」もデイヴ・ロジャースのナンバー。



つまりは元々は“A-BEAT Cレーベル”の作家が書いた曲が日本人アーティストのブレイク、更には大ヒットとなり、ユーロビート、SEBの認知度を上げていきました。この時点でSEBとしてのブランドは完全に確立されていました。年代的には95年、96年あたりでしたね。


「SUPER EUROBEAT」はさらに大きなムーブメントに!!

そこからユーロビートは戦国時代へと突入していきます。
それまで2大巨頭だったレーベルから作家が独立し、“HI- NRG ATTACKレーベル”、“DELTAレーベル”、“VIBRATIONレーベル”が設立され、SEBが多角化していきます。

楽曲的にもそれぞれのレーベルの持ち味、特徴を出した音作りをしていきました。レーベルが増えれば、リリースされる楽曲数も自ずと増えていき、時代背景もあってですが、ユーロビートが更にクローズアップされ、同ジャンルのサブ・シリーズをテーマにリリースされるコンピレーション・アルバムもリリースされていきました。

そしていよいよ一大SEB(ユーロビート)ブームが興りました。
そう、それが第3次ブームと言われるSEB史上、最大最強と言われるものです。

97年にリリースされた「NIGHT OF FIRE」、「YESTERDAY」や「velfarre2000」等を軸に、更に数多くの楽曲がリリースされ、SEBの躍進、ユーロビート・ブームに拍車をかけていきました。



楽曲の特徴も、よりスピーディーになり、高速化が進み、日本のみのマーケットである事から、日本の文化や流行、日本語等をフィーチャーした楽曲も数多くリリースされヒットに繋がっていきました。

この時代には、バックボーンとして追い風になったのが日本のアニメである「頭文字D」との融合で、SEBの更なる側面の魅力を引き出し、より多くのファン層をゲット、ユーロビートの持つスピード感の魅力を最大限引き出してくれました。



その後は、イタリアのユーロビートを日本人アーティストがカバーするJ-EUROではなく、オリジナルとしてユーロビート・アレンジをリリースしたり、洋・邦問わず既存のアーティスト楽曲をユーロビート・アレンジするという形になり、その人気は不動のものとなっていきました。

戦国時代は治まる事無く、そこから更に作家達が独立し、レーベルが設立されていきます。

“DELTAレーベル”からシンクレアが独立し、“SinclaireStyle”を設立。
“A-BEAT C”からカスターニャが独立し“SCPレーベル”を。同じく“A-BEAT C”からドミノが独立し“GOGO’Sレーベル”を設立。
“VIBRATIONレーベル”に変わり、“DIMAレーベル”が設立、ユーロビート界の帝王デイヴ・ロジャースが“A-BEAT C”を離れ、自身のレーベル“SUN FIRE”を設立。

もう訳が判らない状態!??となって来ましたが、現在はSEBとして稼働しているレーベルが8レーベルあります。

その中でも、イケイケな楽曲が得意なレーベルあり、メロディー・メイクが得意なレーベルあり、コマーシャル的なポップなテイストが得意なレーベルあり、その他沢山それぞれの特徴を活かした音作り、楽曲テイストでSEBを彩っています。

そんなSEBも現時点で241作品リリースされています。
また2016/12/21には『THE BEST OF SUPER EUROBEAT 2016』もリリースされました。


30年弱前にリリースされたユーロビートから今現在のユーロビート、SEBの進化した音を聴けますので、是非聴いてみて下さい!!
 
1990年から26年もの歴史を刻み続けている「SUPER EUROBEAT」!!
 年末年始のパーティーに、「SUPER EUROBEAT(スーパー ユーロビート)」の楽曲はいかがでしょう。


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雜賀 信之助(サイカ シンノスケ)
WRITTEN BY雜賀 信之助(サイカ シンノスケ)
プロデューサー。PRイベントや映像制作、キュレーションサイト『和食ラボ』等の運営・進行管理を担当。
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